最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

文字の大きさ
90 / 144
第二章

フィクスはヨシュアを問いただす

しおりを挟む
こんにちは。フィクスです。

最近色々なことが起こり過ぎて俺はちょっと疲れている。
一つは未だササラ様が昏睡状態から目を覚まさないことだ。その状態から政務が滞っていて、少々混乱状態が続いている。頼りのデズロ様もササラ様の側から離れようとはせず部屋にこもりきりで、二人を良く思っていない奴等はササラ様の代わりを立てようと躍起になっている。うざい。

「フィクス。アルカディア家から正式に婚約の話が上がっている。お前どう思う?」

そして、もう一つは、コ・レ・だ。

「一応聞いておきますが、それは俺ではなく、アイラへの申し入れですよね?」

「・・・・そうだ。お前、何か聞いてないか?」

聞いてるも何も、俺は大変混乱している。

薄々だがアイラがヨシュアを気にしている事は気が付いていた。だけどさ?あのアイラが好きな相手に何も行動を起こさないとは思えなかったんだ。だから、勘違いかな?とか思ってたら、あのモフモフ事件だろ?これはやはり、そうなのでは?と、考えていた矢先のヨシュアの家からの婚約話。一体どうなってるんだろうな?

「全く何も。ただ、アイラは受け入れると思いますよ」

「そうか、だが、あの家の息子は魔力持ちだろう?本人も家を継ぐ気は無いと聞いているが?」

「アイラと結婚するのなら継ぐでしょう。でなければ貴方が許す訳ないですからね?」

複雑だな。どうしてこんな展開になったのか。
ヨシュアの両親はアイツを溺愛してるからなぁ。家に戻す為の強行策にしても、ヨシュアに旨味がある話とは思えない。そもそも、ヨシュアは貴族の地位に未練がない。
アイツがなりたいのはあくまで立派な騎士だからな。

「まぁ、相手がアルカディア家なら、こちらは文句はないのだが。あの二人はそういう仲ではないだろう?何故急にこんな話が?」

「この話はアイラには?」

「まだ話してない。あの子は変に行動力があるのでな。気に入らなければ自ら相手の家に乗り込んで行きかねない」

多分そんな事態にはならないと思うぞ?お父様?
さて、どうしたものか。

「ヨシュア」

「おう。なんだよシケたツラして」

お前等の所為だよ!とは言えないな。
我が妹がヨシュアにしている事を思えば。

「アルカディア家から、うちに正式な婚約話がきてる。お前知ってるよな?」

「なんだフィクス。やっと落ち着く気になったのか?おめでとさん!」

え?まさかコイツ知らされてない?
いくらヨシュアを家に戻したくても本人の知らぬ所で話を進めるなんて事あるか?

「冗談だ阿呆。俺とアイラの事だろ?」

「・・・・お前、余裕だな?自分の事だぞ?」

「そりゃそうだろ。この話は俺が親に頼んだ」

・・・・・・・は?ヨシュア今なんて?
そして、なんでちょっと怒ってる?

「お前、アイラが俺に気があるの気付いて知らない振りしてただろ?そっちでなんとかするって言った癖によ?」

ちょっと待て。お前等一体何があった?まさかコイツ、アイラに変な事してないだろうな?

「おい?変な勘違いすんな。冷静に考えて一番良い方法を選んだだけだからな?そもそも、アイラほどの家の令嬢が恋人でもない男と二人きりで何度も会うなんて普通なら考えられない。そんな事、あってはいけないだろ」

確かにそうだな。
ここは仲間内だし、こんな事を告げ口する奴もいないから安心していたが、確かに問題だな。

「気付かなかった俺にも落ち度はあるしな。責任を取ろうと思ってよ」

「は?責任って大袈裟な・・・・」

え?お前本当にアイラに何もしてないよな?
責任ってなんなんだ?

「で?フィクスはどうなんだよ。俺がアイラの相手じゃ不満なのか?」

「俺は誰であろうが妹を奪う奴は気に入らないが?」

「あっそ?じゃあこの話は進めっからな?」

・・・・・これは、なんなんだろう?

家同士の政略結婚とも捉えられるが、ヨシュアは自分から申し出たって言ったよな?で、アイラはヨシュアが好きなわけで・・・・。

「え?お前まさか、アイラの為に?」

「んな訳あるか!!誰があんな我儘女の為に!俺は中途半端は嫌いなんだよ!アイツが平民だったなら、ほっといても問題なかったけど、立場上そういう訳にはいかねぇだろが!!」

え?だから、それがアイラの為なんじゃないのか?
なんなの?ヨシュア、ツンデレ?

「・・・・いいのか?お前、実家嫌いなんだろ?」

「俺は既に大人の階段は登り切ったからな!反抗期は終了した!!」

いやいや、今やっと階段に辿り着いたくらいだろ?
自己評価高いんだよお前。鏡ちゃんと見ろよ。

「・・・・・悪いな、ヨシュア」

「は?お前のシスコンはそんなもんか?もっと全力で妨害しねぇと、本当にこのまま結婚しちまうぞコラ!」

成る程ね。

確かに今この状態でアイラを突き放しても、きっとアイラはヨシュアを諦めないだろう。かと言ってほっておいたら後々面倒な事になる。変な噂が立ったりでもしたら足元すくわれかねないからな?特に家は。

「アイラには、家同士で決まった事だと言うつもりか?」

「ああ。絶対言うなよ?アイツまた暴走しそうで怖え」

そんな事言ってるけど、お前って自分の意に反する事は絶対しないよな?実は結構アイラの事、気に入ってるだろ?さては、気がついてないな?

「そうだな。じゃあこれから俺は、遠慮なくヨシュアを潰すとしよう!」

「へ、平和に行こうぜ!お前、目がマジなんだよ!怖!」

情けないな?こんな事で尻込みしてるようじゃアイラの相手は務まらないぞ?未来の義弟殿?
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

田舎農家の俺、拾ったトカゲが『始祖竜』だった件〜女神がくれたスキル【絶対飼育】で育てたら、魔王がコスメ欲しさに竜王が胃薬借りに通い詰めだした

月神世一
ファンタジー
​「くそっ、魔王はまたトカゲの抜け殻を美容液にしようとしてるし、女神は酒のつまみばかり要求してくる! 俺はただ静かに農業がしたいだけなのに!」 ​ ​ブラック企業で過労死した日本人、カイト。 彼の願いはただ一つ、「誰にも邪魔されない静かな場所で農業をすること」。 ​女神ルチアナからチートスキル【絶対飼育】を貰い、異世界マンルシア大陸の辺境で念願の農場を開いたカイトだったが、ある日、庭から虹色の卵を発掘してしまう。 ​孵化したのは、可愛らしいトカゲ……ではなく、神話の時代に世界を滅亡させた『始祖竜』の幼体だった! ​しかし、カイトはスキル【絶対飼育】のおかげで、その破壊神を「ポチ」と名付けたペットとして完璧に飼い慣らしてしまう。 ​ポチのくしゃみ一発で、敵の軍勢は老衰で塵に!? ​ポチの抜け殻は、魔王が喉から手が出るほど欲しがる究極の美容成分に!? ​世界を滅ぼすほどの力を持つポチと、その魔素を浴びて育った規格外の農作物を求め、理知的で美人の魔王、疲労困憊の竜王、いい加減な女神が次々にカイトの家に押しかけてくる! ​「世界の管理者」すら手が出せない最強の農場主、カイト。 これは、世界の運命と、美味しい野菜と、ペットの散歩に追われる、史上最も騒がしいスローライフ物語である!

人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―

ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」 前世、15歳で人生を終えたぼく。 目が覚めたら異世界の、5歳の王子様! けど、人質として大国に送られた危ない身分。 そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。 「ぼく、このお話知ってる!!」 生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!? このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!! 「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」 生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。 とにかく周りに気を使いまくって! 王子様たちは全力尊重! 侍女さんたちには迷惑かけない! ひたすら頑張れ、ぼく! ――猶予は後10年。 原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない! お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。 それでも、ぼくは諦めない。 だって、絶対の絶対に死にたくないからっ! 原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。 健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。 どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。 (全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない

しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。

【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。

猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。 復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。 やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、 勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。 過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。 魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、 四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。 輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。 けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、 やがて――“本当の自分”を見つけていく――。 そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。 ※本作の章構成:  第一章:アカデミー&聖女覚醒編  第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編  第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編 ※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位) ※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。

処理中です...