最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第二章

デズロはティファとご飯を食べる

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「どこまで行くんですか?」

「もう少し行くと大きな木があるんだよ。そこからの眺めは格別なんだぁー」

ティファっていつも僕のピンチにひょっこり現れるよねー?君は僕の天使なのかな?あ、そうだった。

「ふぁーー!大きいですね?サンチコアから見えてた大きな木はコレだったんですね?」

「そうだよ。もう何千年もこの地に根を張って皆の生活を支えている。生命の木さ」

数年前までこの国の人間は、この木の気まぐれに振り回されてたんだ。この国の魔力を根こそぎ吸い込んで混乱が起きた時、僕はこの国に来たんだよ?

「上まで登ろう。ティファ、おいで?」

「え?デズロさん?わきゃ!?」

ティファ?背が高い割に軽すぎない?
駄目だよちゃんと食べなくちゃ。

「ちょっと飛ぶから舌噛まないようにね?」

「え!!あぎゃ!ーーーーーっわあ!?」

いい眺めでしょ?ティファでも、ここまで高い所には来た事がないんじゃないかな?ここなら、良く見えるよね。

「あ!カスバールが見えます。凄い」

「じゃあここでご飯食べよう!!ここなら下が平らだから。ここね?僕の特等席なんだよ?」

「そうなのですね!お招き頂き感謝です!」

あ、ちゃんとお茶まで用意してくれたんだね?
嬉しいなぁ。僕ティファの作るご飯大好きなんだよね~本当に美味しいんだもん。僕の血を継いでるのに料理が出来るなんて凄いよ?僕なんてお茶さえまともに入れられないからね?

「ティファも一緒に食べようよ?ほら、ピクニックしよう!」

「そうですか?じゃあ失礼します!カリカリに揚げたチキンも持って来ました!こっちはピリ辛で、こっちはペッパーが効いてます。デズロさんのお好きな物をどうぞ!」

サンドイッチだけでも具沢山なのにね?
わざわざ色々作って来てくれたんだね?じゃあ遠慮なく。

「ん~!サクッとしてるのに中はしっとり美味しいね?冷めてるのに味がしっかりしてて油っぽくない。美味」

「使ってる油を、用途で使い分けているのです!お弁当用のは油っぽさが出ないように、ぶどうの種の油を使ってます。サウジスカルは食材が豊富なので色々試せて楽しいですね!」

「カスバールは数年前まで困窮してたからね?最近やっと落ち着いて来たみたいだよ?アトレイアが退いたんだ」

「え?デズロさんカスバールの王様とお知り合いですか?」

「うん?言わなかったけ?僕実は、カスバール出身なんだよ?生まれも育ちもカスバール!」

「え!!そうなんですか?では、何故ここに?」

そうだよね?僕もさ、まさかサウジスカルに来る事になるとは思ってなかったよ?僕の予想では、僕は既に死んでいた筈だったからね?

「僕もティファみたいに色々あったの、ティファも知ってるでしょ?アトレイアの前の王様」

「ああ。噂のクソ野郎ですね?」

お?流石僕の娘。意見が一致したね?
そう、あのクソ野郎のお陰で本当に大変だったんだぁ。

「でも、私は一度も会った事はないですよ?私が生まれたくらいに、殺されたと聞きました。反乱が起こったとか暗殺されたとか言われていましたが、ハッキリした事は・・・」

そうだね。

アトレイアには結構苦労かけたよね?ア・レ・隠すの大変だっただろうにね?でも、別に僕は良かったんだけどね?事実を隠してくれなくてもさ?

「え?まさか・・・・」

「エルハドと僕は、結構前から仲が良くてさぁ?でも、お互いの立場の事を口にした事がなくてね?気付いた時には僕もエルハドも大ピンチ。それで、全てをエルハドが引き受けてくれたんだよ?だから、僕は今ここで生きてる」

「・・・・デズロさん家族は?」

「弟が一人ね?もう結婚して子供もいるよ?大丈夫。僕との繋がりは隠してたから、アイツに被害が行く事はなかったと思うよ?」

「会いたく、ないんです?」

あはは?アイツに?そうだねぇー?

「会っても喧嘩になるからなぁ。僕、無自覚に相手を怒らせるみたいなの」

あーーこのベーコンとトマトとレタスのサンドが絶妙なんだよねぇ。なんで挟んであるだけなのに、こんなに味が違うんだろ?ウマーーー!!

「私もです。怒らせたくないのに、いつも相手を怒らせちゃいます。でも、何が悪いのかわからないんですよねー」

「そうそう!そもそもさぁ?カスバールの人間って気が短いよね?サウジスカルはいいよ?大抵緩い」

「確かに、本気で怒る事はあまりないですよね?ここの人達が怒るのは、殆どの場合、他人の為です」

「そうそう。僕、不思議だったなぁ?エルハドはさぁ?大抵の我儘は聞いてくれるんだ。でも、僕が命を賭けることだけは許してくれない。今回だって・・・・」

もう僕が居なくなっても、この国が困らなくなる様に設備も、若い人材の育成だって進んでる。

僕がこの国に絶対不可欠だと言われた時代は終わりだ。

もう少しで、僕は必要なくなる。
エルハド、君を自由にしてあげられる。

「それは、エルハド様や他の人達にとってデズロさんがとても大事だからでは?デズロさんは、ここに来てから、この国の為に一生懸命なんですよね?それを、みんな知ってるのでは?」

「はは?ティファは優しいね?でも、僕はそんな事を思ってもらえるような人間じゃないよ?僕の愛した人達は、皆不幸になったから。僕の所為で」

「そうなんです?なんでそんな風に?」

「僕ね。娘がいるんだ、血の繋がった実の娘。でも、この国に逃げる時、弟の所に置いてきた。それっきり会ってない」

本当はね?君をこちらに保護して僕が君の親になると決めた時、全てを打ち明けようとしたんだよ?でも、出来なかったんだ。

だってティファはまだ、僕の弟の事、実の父親だと信じてるよね?君は自分が僕に置いてかれた事を知らないんだもん。

「そうですか。会いたいですか?」

「・・・・会えないよ。だって、幸せに暮らしてたら僕の所為でその子が不幸になるもん。だから、会いには行けない」

「ほう?そうなのですね?あ、デズロさん、ソース垂れてますよ?動かないで下さい?」

うーん。良い子だ。本当に僕の血継いでる?僕の妄想じゃないよね?結構僕とティファ似てると思うんだよね?
エルハドが言ってたから間違いないよ?

「・・・・・ササラさんを大事にしてあげて下さいね?起きてもいじめちゃ駄目ですよ?それに、私デズロさんは勘違いしてると思いますよ?」

「勘違い?」

「不幸になるのも、幸せになるのも決めるのは本人です。デズロさんの大切な人が不幸になったと言ったんですか?」

「・・・・・」

「私は自分の事、不幸だと思った事ないです!私が悲しかったのは、私の好きな人達が私と居ると幸せではなかったという事だけです。そうだったんだって、今思いました」

僕は君を幸せにしたい。それなのに、どうして僕が幸せになるんだろう。おかしいよね?そう思わない?

「私は、デズロさんに幸せになって欲しいです!娘さんにも、いつかきっと会えますよ!きっと不幸になんてなりません!」

あのね?僕、本当にいい歳のおっさんなんだよね?こんなキャラだけど?だから、涙腺が緩いから、あまり、泣かせようとしないで欲しいな?ここで号泣したらキモいとか思われそうで怖いよね?僕今めっちゃ目力強いけど気にしないで!!!
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