最強騎士は料理が作りたい

菁 犬兎

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第二章

ギャドはティファを落ち着かせたい

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「それで?一体どうやって泣かすの?」

「どうしましょうね?何が一番堪えると思います?」

おいおい。穏やかじゃねぇな?
何でデズロ様を泣かす相談を真剣にしてるんだ?
あの人今回の事でかなりダメージを食らった筈だからそれで許してやれよ。何でそんな話になったかは知らんが。

「ティファが罵ったらいいんじゃね?二度と顔見せるな!とか言ったら泣くと思うぜ?」

「プキュ~・・・・」

「あ!ギャドさんにゴルドさん!来てたんですね?」

おい、満面の笑みだな?そんなに楽しいか?デズロ様泣かす計画とやら。なんて思ってたんだが、実際理由を聞いたら俺も納得した。つまり俺達も知らず知らず巻き込まれていたんだな?

「ドッキリなんてどうです?例えば・・デズロさんの娘だと言って私以外の子を連れて行くとか?あ!見つけたから連れてきますと騙して慌てさせるのはどうです?!」

俺、何となくティファの性格把握したぞ。
ティファ、お前正直にデズロ様に聞くのが、恥ずかしいんだな?それでこんな遠回しな事して、ドサクサに紛れてデズロ様に言わせたいんだろ?何この親子本当そっくりなんだけど?主に素直じゃない所が。

「いいんじゃない?おい!ラット!盗み聞きしてないでこっち来て」

「なんだよ。俺になんか用か?」

「ラットも手伝ってくれるよね?暇なんでしょ?」

おい、そいつはデズロ様の犬だろ?俺らの言う事聞くのか?下手したら全部バラしそうだぞ?

「ふーん?別にいいぜ?で、何をしろと?」

「え?いいのお前?」

「主にデズロを泣かす辺りが気に入った。号泣させてやろうぜ!!」

・・・カスバール人って歪んだ人間が多いんじゃねぇか?
しかし、デズロ様泣くか?

「貴方達また厨房で集まって・・・ここの国の騎士は暇なの?」

「こんな仕事真面目にやってたら死んじゃうよ。サボるぐらいで丁度良い加減なんだ」

「へぇ?あ、私今から出掛けるから。後はよろしくね?残りの作業はエリスに伝えてあるから」

ベロニカ最近出掛ける事が多くなったな?
やっぱここを出る準備をしてるんだろうが・・・ティファ、そんなにジッとベロニカを見つめるなよ。穴が空くかもしれないぞ?ベロニカに穴が空いたら大変だぞ?

「よく聞こえなかったけど、デズロ様って娘がいたのね?悪戯するにしても程々にね?せっかく再会出来るんだから」

「・・・・ベロニカ」

「じゃ。後よろしく」

俺達もしかして物凄くデリカシーなかったか?
でもなぁ。実の娘本人からの要望だからな?

「プキューーウ」

「え?ゴルドさん何です?」

この竜なぁ。あの部屋では流暢に喋ってたのに部屋に出た途端コレだもんな。一度声を聞いた俺としてはこっちのゴルドに違和感しか感じない。

「はい?どういう事です?それってつまり死んじゃうって事ですか?」

死ぬ?おい、物騒だな?なんの話してんだよ。

「ティファ?さっきから一体ゴルドと何の話を・・・」

「・・・・・駄目です。そんなの、だめです」

「ティファ?ゴルド?」

ゴルドも困った顔をしてるぞ?ティファも明らかに狼狽えてるし、説明してくれよちゃんと。

「ベロニカを連れ戻して下さい!今すぐに!!あ、でも追いかけて走らせたりはしないで下さい。心臓に負担がかかるから・・・」

「ティファ。落ち着いて?ちゃんと説明してくれないと僕達も正しく対処できない。ベロニカがどうしたの?」

なんだ?なんでそんな酸欠状態の魚みたいに口をパクパクさせてるんだ?声が出せないとかか?どうすりゃいいんだ?えーと?・・・・・・あ。

「ハイト。頼むから怒るなよ?」

「え?」

すまんハイト!コレは深い意味はない!友人としての軽いハグだ!あくまでティファを落ちつかせるためだ!

「「「げ!!」」」

「・・・・ギャ・・」

「良い子だ、ティファ。落ち着いて話してみろ、大丈夫。ゆっくり息を吐いて吸ってからでいい。俺達がなんとかしてやるから」

多分俺はティファが特別に思っている奴に似てる可能性がある。この前弱った時に見せたあの顔、あれはきっと本当のティファだと思うんだ。

「・・・・・・っ」

「ティファ。ちゃんと言葉にしろ。お前の望みを誤魔化さないで言ってみろ。ちゃんと受け止めてやる」

そうか。ごめんなティファ。
お前甘えられなかったんだな?
もしかして俺がお前と初めて会った時、目を合わせなかったからか?俺がお前を避けたからか?

「べ、ベロニカ。一度、死にかけてて・・・」

「おう」

「私。丁度その時通りかかって。持っていた秘薬をベロニカに使ったんです。その後、ちゃんと医療所にも運びました。それから暫くして私の前に元気な姿で現れたんです。その時もその後も何事もなく普通に過ごしていたので、てっきり身体に問題は残らなかったと思い込んでいました」

つまり、何か問題があったんだな?だが一体どこが?

「あの秘薬。私の妹が私用に作った物なんです。多分そのせいです。命は助かっても、その後薬が強過ぎて後遺症が残ったのかも・・・妹にも、絶対に自分以外には使うなと、言われてたん、でぇすぅ」

「ティファ。大丈夫だ」

「ゴルドが、ベロニカの心臓の音が変だって。多分、止まる前兆なんだって・・・ベロニカが、ベロニカが・・・死んじゃいますぅぅぅううええええええええん!!!」

頼む!!頼むから泣かないでくれ!ほ、本当に俺苦手なんだって!ほらほら頭撫でてやるから!よーしよしよし!

「死なない!死なないからな!その前に捕まえて方法を考えればいいだろ?まだベロニカ死んでないからな!!」

「・・・・あ、そうでした。そういえば」

おーい!勝手に殺すな!はーー焦ったぁ。
ん?うえ!?

「そうだね?まだ死んでないね?ちょっとは落ち着いた所でギャド?そろそろティファを離そうか?」

「わ、わかってる!わかってるよ!ティファ、すまん」

「え?なにがですか?」

い、いや。だからその、一度俺から離れようか?
服を目一杯掴まれてると離れられないんだけどな?

「ギャド?」

いや!だからティファが離してくれないと・・・・って外野!!ニヤニヤしてないでサッサと助けろよ!!

「ギャドさん!!ベロニカを助けて下さい!」

「・・・・おう!じゃあまずベロニカを確保しないとな?
ハイト!」

「うん?何?」

「お前ティファとカスバールに行け。それでティファの妹を連れて来い」

ベロニカを治すには、その秘薬が何で出来ていたか分からないと、どうにもならないからな。ティファを直接向かわせた方が話が早そうだ。

「ティファがここを出たらデズロ様も泣くだろ?一石二鳥じゃねぇか?」

「成る程!!でも、なんでハイトさんと?」

「ハイトだったら絶対にティファから目を離さないだろ?ここにいる誰よりもティファの近くにいたからな。ティファがカスバールで危険な目に遭わないよう側にいてくれ」

「ティファ?僕じゃ不満なの?」

「いいえ。ただ・・・」

「よーーーし!皆んな!ベロニカを探しに行くぞ!散れ!」

悪いティファ!その続きは最後まで言わせないぜ!
俺もハイトには色々思うところが有るにはあるが、他の人間をティファにつける気にはなれない。
後が色々怖えからな!

とにかく今は、ベロニカを見つける事に専念するぞ!
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