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運命を求めた男(雄大視点)
運命を求めた男14
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「俺か? そうだな。……やっぱり、守ってあげたいような可愛い女のΩがいいな。それで、些細なことで一緒に笑いあえるような、価値観が合う子」
……カケらしい、答えだな。だいたい、想像していた通りだ。
「男のΩじゃ駄目なの?」
「駄目というか……女のΩの方が好みかな」
嘘だと、すぐ分かった。
……別に、隠さなくても良いのに。
「……そっか。俺、カケって男全般が駄目なのかと思ってた」
隠さなくても、とっくに気づいてたよ。……カケが、女性愛者だなんてこと、ずっと前から知ってた。
だって、いつもカケを見てたから。……分かるよ
だから、カケが中学時代に友達を遠ざけるようになったのも、βではなくてαと診断されたことで、自身が性的マイノリティであることを自覚したからだって思ってる。
一般的な性嗜好の友達と接することが……きっと、居たたまれなかったんだろう、って。
「……雄大は、どうなんだ? どんなΩが好みだ?」
いつものように、咄嗟に話を逸らすカケに、思わず笑ってしまった。
本当にカケは……分かりやすい。
その通りだと、認めてるようなものなのに。
「そうだな……俺は優しい人が良いな。俺のことを、いつも気にかけてくれて、押しつけがましくなく気遣ってくれる優しい人」
「そうか。雄大には、お似合いのΩ……」
……あまりにも無自覚なカケに少し苛立って、つい余計な言葉まで付け加えてしまった。
「……で、課題を半分こして写しっこしたり、一緒にゲームをしたり、布団に入って二人で話したり……そんな些細なことが、幸せだと思える人」
「…………っ」
カケが息を飲んだ音が聞こえてきて、すぐに後悔した。
「……何だ、雄大。後半、今日の俺のことみたいじゃねぇか。何、お前、俺のことが好きなの?」
少しの沈黙の後からかうように返された言葉は、震えていて。
カケの警戒が、怯えが、伝わって来る。……本当に余計なことを言ったな。
「違うよ」
だけど………もうここまで言ったなら、全部言ってしまおう。
カケが、否定して欲しいのは分かっているけど。
もういっそ、正直な俺の気持ちを伝えてしまおう。……この反応からして、カケも薄々分かってるみたいだし。
「後半だけじゃないよ。……全部だよ。優しいのも、気にかけてくれるのも、さりげなく気を遣ってくれるのも、全部カケだ。……俺の理想は、全部カケなんだよ」
カケが理想で……カケしか要らないんだよ。俺は。
カケが、好きなんだ。
……カケだけが、好きなんだよ。
「……俺は、優しくなんかねぇよ」
しばらく押し黙った後、カケは苦しそうに、そう口にした。
「俺は自分のことばっかりの、利己的な奴だよ。……お前は優しくされてると思ってるかもしれないけど、そんな行動も結局は全部俺自身の為なんだ。俺自身の罪悪感を減らしたい……そればかりなんだ」
「--うん……カケが言うなら、そうかもしれないね」
俺は、カケの優しさを、見返りを求めない尊い物だと思ってるけれど……それを自己満足の偽善だと言う人もいるだろう。
それにカケは基本的に優しいけど、都合が悪くなるといつも逃げる。だから、口ばかりで、卑怯で利己的と言われれば、そうかも知れない。
--カケがけして聖人君子ではないことも、俺はちゃんと知ってる。
「……でもやっぱり……どんな思惑であれ、俺はカケから優しくされると嬉しいから、やっぱり俺の理想はカケなんだよ」
だけど………それでも、俺が求める優しさは、カケの物だけだ。
カケの温もりだけが……ただ欲しい。
隣から、かちかちと歯がなる音が聞こえる。
カケが震えているのが、気配で分かった。
「……何? 雄大。俺、もしかしなくても、貞操の危機なの? やめろよ。そういう趣味悪い冗談。俺、ケツ掘られるのは嫌だぞ」
あくまでからかうように発せられた言葉は、裏返って掠れてた。
そんなカケの反応に、内側から暗い獣欲が湧き上がって来る。
……いっそ、もう。このまま襲ってしまおうか。
手を伸ばせば届く距離に、カケは寝ている。俺の体格だったら、押さえ込むのなんて、簡単だ。
嫌がるカケの服を剥いで。泣き喚くカケの全身を、無理やり愛撫して。
男性Ωのそこと違って、排泄用途しか持たない尻穴を、力づくで押し開いて、欲望のままに性器をねじ込んで。
痛みで喘ぐカケの項を、思う存分噛んでしまおうか。
体内に駆け巡る凶暴な捕食願望は、α性によるものか。それとも、単に俺自身の内に秘められてたものか。
……カケはΩじゃないから、きっと俺自身の願望なんだろう。
どうせ、どれ程必死に求めても、カケは手に入らないんだ。
最終的に失うことに代わりないなら、一度だけでも、その体を思う存分貪って………。
「……まさか。俺はαのカケに、無理強いする気はないよ」
……なんて。できるはずがないんだけど。
こんなに怯えているカケを、これ以上怖がらせることなんて。
……カケらしい、答えだな。だいたい、想像していた通りだ。
「男のΩじゃ駄目なの?」
「駄目というか……女のΩの方が好みかな」
嘘だと、すぐ分かった。
……別に、隠さなくても良いのに。
「……そっか。俺、カケって男全般が駄目なのかと思ってた」
隠さなくても、とっくに気づいてたよ。……カケが、女性愛者だなんてこと、ずっと前から知ってた。
だって、いつもカケを見てたから。……分かるよ
だから、カケが中学時代に友達を遠ざけるようになったのも、βではなくてαと診断されたことで、自身が性的マイノリティであることを自覚したからだって思ってる。
一般的な性嗜好の友達と接することが……きっと、居たたまれなかったんだろう、って。
「……雄大は、どうなんだ? どんなΩが好みだ?」
いつものように、咄嗟に話を逸らすカケに、思わず笑ってしまった。
本当にカケは……分かりやすい。
その通りだと、認めてるようなものなのに。
「そうだな……俺は優しい人が良いな。俺のことを、いつも気にかけてくれて、押しつけがましくなく気遣ってくれる優しい人」
「そうか。雄大には、お似合いのΩ……」
……あまりにも無自覚なカケに少し苛立って、つい余計な言葉まで付け加えてしまった。
「……で、課題を半分こして写しっこしたり、一緒にゲームをしたり、布団に入って二人で話したり……そんな些細なことが、幸せだと思える人」
「…………っ」
カケが息を飲んだ音が聞こえてきて、すぐに後悔した。
「……何だ、雄大。後半、今日の俺のことみたいじゃねぇか。何、お前、俺のことが好きなの?」
少しの沈黙の後からかうように返された言葉は、震えていて。
カケの警戒が、怯えが、伝わって来る。……本当に余計なことを言ったな。
「違うよ」
だけど………もうここまで言ったなら、全部言ってしまおう。
カケが、否定して欲しいのは分かっているけど。
もういっそ、正直な俺の気持ちを伝えてしまおう。……この反応からして、カケも薄々分かってるみたいだし。
「後半だけじゃないよ。……全部だよ。優しいのも、気にかけてくれるのも、さりげなく気を遣ってくれるのも、全部カケだ。……俺の理想は、全部カケなんだよ」
カケが理想で……カケしか要らないんだよ。俺は。
カケが、好きなんだ。
……カケだけが、好きなんだよ。
「……俺は、優しくなんかねぇよ」
しばらく押し黙った後、カケは苦しそうに、そう口にした。
「俺は自分のことばっかりの、利己的な奴だよ。……お前は優しくされてると思ってるかもしれないけど、そんな行動も結局は全部俺自身の為なんだ。俺自身の罪悪感を減らしたい……そればかりなんだ」
「--うん……カケが言うなら、そうかもしれないね」
俺は、カケの優しさを、見返りを求めない尊い物だと思ってるけれど……それを自己満足の偽善だと言う人もいるだろう。
それにカケは基本的に優しいけど、都合が悪くなるといつも逃げる。だから、口ばかりで、卑怯で利己的と言われれば、そうかも知れない。
--カケがけして聖人君子ではないことも、俺はちゃんと知ってる。
「……でもやっぱり……どんな思惑であれ、俺はカケから優しくされると嬉しいから、やっぱり俺の理想はカケなんだよ」
だけど………それでも、俺が求める優しさは、カケの物だけだ。
カケの温もりだけが……ただ欲しい。
隣から、かちかちと歯がなる音が聞こえる。
カケが震えているのが、気配で分かった。
「……何? 雄大。俺、もしかしなくても、貞操の危機なの? やめろよ。そういう趣味悪い冗談。俺、ケツ掘られるのは嫌だぞ」
あくまでからかうように発せられた言葉は、裏返って掠れてた。
そんなカケの反応に、内側から暗い獣欲が湧き上がって来る。
……いっそ、もう。このまま襲ってしまおうか。
手を伸ばせば届く距離に、カケは寝ている。俺の体格だったら、押さえ込むのなんて、簡単だ。
嫌がるカケの服を剥いで。泣き喚くカケの全身を、無理やり愛撫して。
男性Ωのそこと違って、排泄用途しか持たない尻穴を、力づくで押し開いて、欲望のままに性器をねじ込んで。
痛みで喘ぐカケの項を、思う存分噛んでしまおうか。
体内に駆け巡る凶暴な捕食願望は、α性によるものか。それとも、単に俺自身の内に秘められてたものか。
……カケはΩじゃないから、きっと俺自身の願望なんだろう。
どうせ、どれ程必死に求めても、カケは手に入らないんだ。
最終的に失うことに代わりないなら、一度だけでも、その体を思う存分貪って………。
「……まさか。俺はαのカケに、無理強いする気はないよ」
……なんて。できるはずがないんだけど。
こんなに怯えているカケを、これ以上怖がらせることなんて。
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