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セルドアイベント?25

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  ……ん?

「リッカの家族を見ていたら、しみじみそう思いました。空回りしたり、暴走したりしながらも、互いを思い合っている。見ているだけでとても温かくて……少し羨ましいです」

 家族がいないセルドアならではの言葉に、ちくりと胸が痛んだ。

「……私がいるでしょ。セルドアお兄ちゃん」

 せめてもの慰めとして、以前のようにシスコンプレイを試みたのは、セルドアの為というよりも自分の為だったかもしれない。
 兄ちゃんのことはほんの一瞬抱き締めるしかできなかったから、何だか妹として兄に甘えたくなった。
 猫のように、ぐりぐりとセルドアの肩に頭をこすりつけると、セルドアは小さく笑った。

「お兄ちゃんごっこも、悪くはないですけどね」

 そっと私の手を取ると、セルドアは静かに私の指に口づけた。
 誓いの指輪をはめる左手の薬指に。

「--やっぱり、私はいつか貴女と本当の家族になりたいです。名実ともに、永遠の繋がりを誓うことのできる立場に」

 真っ赤に染まったセルドアのハートに、どきんと心臓がはねた。

「……そ、それは本当に恋なの?」

 咄嗟に出た以前の問いかけに、セルドアは動じることなく微笑んで、まっすぐに私を見つめた。

「名称なんて、何でもいいのです。私は、これからもずっと貴女も傍にいたい。貴女の手助けをしたい。貴女が傷ついた時、その涙を拭うのは他の誰でもなく私でいたい。……その想いを叶えたいだけですから」

 セルドアの言葉に、最早迷いはなくて。
 心臓がうるさいくらいに、脈打った。

 な、なんて、答えよう。

 どんな反応をすればいいのだろう。

 固まる私の頭を、セルドアは優しく撫でた。

「すぐに返事は求めません。貴女が恋も知らないねんねさんなことはわかってますから。長期戦は覚悟の上です」

「…………」

「ただ、私がそういう風に思っていることは、覚えていてください。貴女を過去のしがらみから解放できたことを……貴女を救えたのが私であることが、私にとってはたまらなく幸福であることを」  

 そう言って微笑むセルドアの姿は……何だかすごくキラキラしてて、顔がかあっと熱くなった。

「セルドア……その、私……」

「--ただいま! ちゃんと僕、リッカの家族を安全に送り届けてきたよ!」

 その時、自分が無害な存在であることをアピールするために、家族を背中に乗せて送り届けることを申し出たラドが、帰ってきた。

「リッカ、褒めて。褒めて!」  

「あ、うん。……ありがとうね。ラド」 

 私とセルドアの間に割り入るラドの頭を撫でると、ラドは嬉しそうに目を細めた。
 正直自分の経験から恐怖しかなかったのだけど、セルドアが何重にも保護魔法と、姿を見えないようにする魔法を掛けてくれたから、しぶしぶ許可したのだけどとりあえず大事にはならなかったようだ。
 ……後で本当に大丈夫だったか、通信機で家族に確認しないと。

「……それじゃあ、お邪魔虫も帰ってきたところですし、私もそろそろお暇しますか」


 
 
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