処刑された王女は隣国に転生して聖女となる

空飛ぶひよこ

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連載2

決戦の時20

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 どんなに楽しみなことも、どんなに気が重いことも、時は平等に流れてけして待ってはくれない。
 たとえそれが、国を揺るがし、数多の人生を変えるような大きな出来事だとしても。

 ーーセーヌヴェットに発つ日がやって来た。

「商隊に扮して先に出発した父さんの部隊も、隊長の部隊も、まもなくセーヌヴェットに着いている頃だな。そろそろ俺たちも出発するか」

 ヒースに馬車を取り付け終えた兄様は、そう言って優しくヒースのたてがみを撫でた。

「そうだね。そろそろ行こう」

「馬車の取り付けさえ終われば、こちらとしては準備万端です! いつでも出発してください」

 にこにこ笑いながら馬車に乗り込もうとするシャルル王子を、兄様はため息を吐きながら半目で見据えた。

「お前……やっぱり着いてくるのか」

「だから、一緒に行くってずっと言ってるじゃないですかー。聖女様と二人旅がしたかったお気持ちはよーくわかりますけど、いい加減受け入れてください」

 シャルル王子はコホンと咳払いをして胸を張ると、得意げな顔で兄様を指差した。

「だいたい私なしで、どうやって身分証明をするおつもりで? お兄様の顔はもちろん、聖女様のお顔だって、セーヌヴェットは知らないのですよ。多分裏で調査しているでしょうけど、少なくとも表向きは知らないことになっているはず。お兄様と聖女様が二人で行ったところで、偽物じゃないかと疑われて拘束されるのがおちです」

「だからそれはライオネル陛下から親書なりをもらえばいいだけだろ」

「そんなのいくらでも偽造できるじゃないですか。特殊な魔法を使ってしっかり身分証明を行ったところで、相手が『これは偽物の親書だ』『偽聖女だ』と騒ぎたてれば、聖女様やお兄様のような一般市民だけではどうしようもありません。相手は一国の王ですからね。だから身分が明らかで、先日の謁見でセーヌヴェットに顔も知られている私が同行するのが一番なんです。もし私がセーヌヴェットの国内で害されることがあれば、ルシトリアがセーヌヴェットを攻め込む大義になりますし」

 シャルル王子の言うとおり、同行者の数を制限する以上、私達の身分を保証するにはシャルル王子が同行するのが一番得策なのかもしれない。
 だけど、私達はどうしてもそのことに賛同できなかった。

「本当に、本当に良いのですか。シャルル王子」

 シャルル王子の同行に賛同できない理由。それは。

「もし貴方がセーヌヴェット国内で【災厄の魔女の呪い】に侵されたとしても、状況次第では私は貴方を見捨てます。私を守る剣である兄様や、【災厄の魔女】を打ち倒すことの方を優先しますし、ライオネル陛下からもその了承を得ました。それでもなお、貴方は私達に同行するおつもりですか」

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