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連載2

再会19

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 シャルル王子の言葉に、兄様は眉間に皺を寄せながら腕組みをした。

「……想定内の事態ではあるが、いつ襲撃が起こってもおかしくないと言うことだな。ちなみに結界以外の護符はどれくらい作用しそうだ」

「守護系の護符は力の働き方が結界と類似しているので、恐らく同じように作用しないか、効果か半減するかですね。あまり期待しない方がいいかと。逆に攻撃効果のあるものならば、通常通り作用するとは思いますが……」

 護符は書いて字の如く、あくまで護ることを目的としたもの。
 攻撃効果があるものは僅かで、相手の隙を作る程度の威力しかない。

「幻影を見せる護符のように、相手の精神に干渉するものはどうでしょうか?」

「通常通り作用するとは思いますが、精神干渉系の護符はある程度鍛錬を積んだものならば耐性持っている場合も多いので……エイドリーにはまず効かないでしょうね。ユーリアやルイス王はわかりませんが」

 シャルル王子の考察をもとに、使えそうな護符を選り分け、兄様とシャルル王子に渡す。
 どれも大した効果がない護符ばかりだけど、ないよりはましだろう。

「……ルイス王達は、いつ頃行動を移すでしょうか」

「襲撃に関してはわかりませんが、ユーリアか【災厄の魔女の呪い】を私にかけるのは、時間の問題だとは思いますよ。そうなるように、私は敢えてユーリアを怒らせたのですから」

 シャルル王子の言葉に、唇を噛む。
 シャルル王子は、あの時敢えてユーリアの神経を逆なでするような発言をした。
 全てはユーリアの呪いの矛先を、私と兄様から、自分へと逸らす為に。

「……シャルル王子。やっぱり、私、シャルル王子の呪いを……」

「だめです。……言ったでしょう。私を見捨ててくださいと。たった三人しかいない訪問者がセーヌヴェットの王都に入るなりまとめて呪いに侵されたとなれば、向こうとしても色々都合が悪い。初期のうちは一人しか狙わないはずです。この国での私の役目は、あなたたちの身分保障をした時点で終わりました。呪いの犠牲になるのは、私が一番都合が良いです」

「でも!」

「私の呪いを解呪したところで、ユーリアがまた新たな呪いを私にかけるだけです。私に呪いの重ねがけをするのならともかく、その矛先がお兄様に向いてしまったら困ります。お兄様には常に聖女様を守れる万全の状態でいてもらわなければなりませんから」
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