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連載2
再会20
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シャルル王子の言うことは正しいし、既に私はそれを受け入れていたはずだった。
それなのに、いざとなるとどうしても揺らいでしまう。【災厄の魔女の呪い】で地獄の苦しみを味わったミーシャ王女の姿が、どうしても脳裏に浮かんでしまって。
そんなミーシャ王女の姿を、誰より近くで見続けたはずのシャルル王子には、迷いがないのに。
「……来たっ」
気配を感じた瞬間、「それ」がものすごい早さで部屋に接近してくるのが分かった。
扉の隙間から、ずるりと室内に押し入ってくる黒いもやは、私が今までみた成長した【厄】より未熟なものではあったけれど、今までみてきたどの【厄】よりも大きかった。
真っ黒な【厄】は、まっすぐにシャルル王子へ向かって行き、その全身を呑み込もうとするかのように集合していく。
ーー今なら、まだ間に合う。
手を伸ばして、聖女の力を網目上に集結させて、【厄】に向かって投げれば、シャルル王子を救うことができる。
無意識のうちに手を伸ばして、力を集結させようとした時だった。
「ーー聖女様」
すっかり【厄】に覆い尽くされたシャルル王子の、凛とした諭すような声で、我に返った。
「だめですよ。聖女様。今は自分のことだけをお考えください」
「…………」
伸ばした手を握りしめ、目を伏せる。
【厄】はシャルル王子の体の中に入っていき、徐々に表出している黒いもやが小さくなっていった。
シャルル王子は脂汗を流して痛みに耐えるかのように顔を歪めながらも、無理やり表情を動かして私に笑いかけた。
「……なるほど……これが……【災厄の魔女の呪い】……ですか。確かに、今まで生きてきて味わった色んな苦痛を煮詰めたような辛さですね……」
「…………」
「でも……耐えきれないほどではありません……少なくとも現時点では、まだ我慢できます……」
そう言ってシャルル王子はよろよろと傍らのベッドに近づくと、倒れ込むようにベッドに横になった。
「シャルル王子……大丈夫ですか?」
「……大丈夫です……ミーシャは死の直前まで耐えたのに、兄である私がこれくらいの苦痛に耐えきれなくてどうしますか」
シャルル王子は次から次に流れ出る汗を腕で拭いながら、不敵な笑みを浮かべた。
「耐えてみせますよ。聖女様がユーリアを打ち倒すまで。……だから、どうか私のことは気にせずユーリアを倒すことだけに集中なさってください」
それなのに、いざとなるとどうしても揺らいでしまう。【災厄の魔女の呪い】で地獄の苦しみを味わったミーシャ王女の姿が、どうしても脳裏に浮かんでしまって。
そんなミーシャ王女の姿を、誰より近くで見続けたはずのシャルル王子には、迷いがないのに。
「……来たっ」
気配を感じた瞬間、「それ」がものすごい早さで部屋に接近してくるのが分かった。
扉の隙間から、ずるりと室内に押し入ってくる黒いもやは、私が今までみた成長した【厄】より未熟なものではあったけれど、今までみてきたどの【厄】よりも大きかった。
真っ黒な【厄】は、まっすぐにシャルル王子へ向かって行き、その全身を呑み込もうとするかのように集合していく。
ーー今なら、まだ間に合う。
手を伸ばして、聖女の力を網目上に集結させて、【厄】に向かって投げれば、シャルル王子を救うことができる。
無意識のうちに手を伸ばして、力を集結させようとした時だった。
「ーー聖女様」
すっかり【厄】に覆い尽くされたシャルル王子の、凛とした諭すような声で、我に返った。
「だめですよ。聖女様。今は自分のことだけをお考えください」
「…………」
伸ばした手を握りしめ、目を伏せる。
【厄】はシャルル王子の体の中に入っていき、徐々に表出している黒いもやが小さくなっていった。
シャルル王子は脂汗を流して痛みに耐えるかのように顔を歪めながらも、無理やり表情を動かして私に笑いかけた。
「……なるほど……これが……【災厄の魔女の呪い】……ですか。確かに、今まで生きてきて味わった色んな苦痛を煮詰めたような辛さですね……」
「…………」
「でも……耐えきれないほどではありません……少なくとも現時点では、まだ我慢できます……」
そう言ってシャルル王子はよろよろと傍らのベッドに近づくと、倒れ込むようにベッドに横になった。
「シャルル王子……大丈夫ですか?」
「……大丈夫です……ミーシャは死の直前まで耐えたのに、兄である私がこれくらいの苦痛に耐えきれなくてどうしますか」
シャルル王子は次から次に流れ出る汗を腕で拭いながら、不敵な笑みを浮かべた。
「耐えてみせますよ。聖女様がユーリアを打ち倒すまで。……だから、どうか私のことは気にせずユーリアを倒すことだけに集中なさってください」
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