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連載2
神との戦い15
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「そんなはずはない。同じ魂である以上きっとまたいつかセーラに出会えるはずだと信じて、私は彼女の魂が転生する度に次代の聖女を探しました。次こそはと新たな聖女を探し、見つけだしては失望する。それを何度か繰り返すうちに、もはやトリアスのことも【災厄の魔女】のことも、どうでもよくなっていました」
「ーーただもう一度セーラと会いたかった。面影なんかではなく、記憶と寸分変わらないセーラその人に」
「その気持ちは歳月が経つうちにますます大きくなっていき、会えない悲しみに押しつぶされて気が狂いそうになりました。……いえ、もう狂っていたのかもしれません。調和をもたらす為に人に作られた私が、自身の使命よりも、セーラと再び会うことばかりに取り憑かれるようになっていたのですから」
くつくつと喉を鳴らして笑いながら、予言者は片手で顔を覆って天井を扇いだ。
「私は失って初めて、セーラを愛していたことに気がついたんです。永遠に取り返しがつかない所まで来て、ようやく」
「…………」
「何人もの聖女を見て来ましたが、あなたが一番セーラに近かった。これからどれだけ魂の転生を見守った所で、きっとあなたほどセーラの面影を感じる相手に会うことはないでしょう。あなたが【災厄の魔女】を打ち倒し、魂に引き継がれた使命を終えたのだからなおさら」
「……でも、私は初代聖女ではありません」
「ええ! 知ってます。どれだけ似ていてもあなたはセーラじゃありません。私は記憶のセーラと寸分変わらない、そのままのセーラが欲しい。あなたじゃ代わりにはなりません。……だから」
予言者の手が、そっと私の首もとに当てられる。
びくりと体は跳ねたけど、予言者の手から逃げようとしてもそれ以上は動けない。
予言者は微笑みながら、手に少しだけ力を込めた。
私の首を締め上げるかのように。
「だから……あなたの魂の中から、セーラを探し出すことにしたんです。【神殿】や【神体】を破壊して、あなたを殺し、神としての私の核を、あなたの魂に結合させます。トリアスのような中途半端な寄生ではなく、完全に一つになるのです。そうすれば私は、あなたの魂の中で再びセーラと再会し、融合して一つになることができます。私はあなた、あなたは私になって、同じ存在として生まれ変わるのです」
「ーーただもう一度セーラと会いたかった。面影なんかではなく、記憶と寸分変わらないセーラその人に」
「その気持ちは歳月が経つうちにますます大きくなっていき、会えない悲しみに押しつぶされて気が狂いそうになりました。……いえ、もう狂っていたのかもしれません。調和をもたらす為に人に作られた私が、自身の使命よりも、セーラと再び会うことばかりに取り憑かれるようになっていたのですから」
くつくつと喉を鳴らして笑いながら、予言者は片手で顔を覆って天井を扇いだ。
「私は失って初めて、セーラを愛していたことに気がついたんです。永遠に取り返しがつかない所まで来て、ようやく」
「…………」
「何人もの聖女を見て来ましたが、あなたが一番セーラに近かった。これからどれだけ魂の転生を見守った所で、きっとあなたほどセーラの面影を感じる相手に会うことはないでしょう。あなたが【災厄の魔女】を打ち倒し、魂に引き継がれた使命を終えたのだからなおさら」
「……でも、私は初代聖女ではありません」
「ええ! 知ってます。どれだけ似ていてもあなたはセーラじゃありません。私は記憶のセーラと寸分変わらない、そのままのセーラが欲しい。あなたじゃ代わりにはなりません。……だから」
予言者の手が、そっと私の首もとに当てられる。
びくりと体は跳ねたけど、予言者の手から逃げようとしてもそれ以上は動けない。
予言者は微笑みながら、手に少しだけ力を込めた。
私の首を締め上げるかのように。
「だから……あなたの魂の中から、セーラを探し出すことにしたんです。【神殿】や【神体】を破壊して、あなたを殺し、神としての私の核を、あなたの魂に結合させます。トリアスのような中途半端な寄生ではなく、完全に一つになるのです。そうすれば私は、あなたの魂の中で再びセーラと再会し、融合して一つになることができます。私はあなた、あなたは私になって、同じ存在として生まれ変わるのです」
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