193 / 225
連載2
神との戦い15
しおりを挟む
「そんなはずはない。同じ魂である以上きっとまたいつかセーラに出会えるはずだと信じて、私は彼女の魂が転生する度に次代の聖女を探しました。次こそはと新たな聖女を探し、見つけだしては失望する。それを何度か繰り返すうちに、もはやトリアスのことも【災厄の魔女】のことも、どうでもよくなっていました」
「ーーただもう一度セーラと会いたかった。面影なんかではなく、記憶と寸分変わらないセーラその人に」
「その気持ちは歳月が経つうちにますます大きくなっていき、会えない悲しみに押しつぶされて気が狂いそうになりました。……いえ、もう狂っていたのかもしれません。調和をもたらす為に人に作られた私が、自身の使命よりも、セーラと再び会うことばかりに取り憑かれるようになっていたのですから」
くつくつと喉を鳴らして笑いながら、予言者は片手で顔を覆って天井を扇いだ。
「私は失って初めて、セーラを愛していたことに気がついたんです。永遠に取り返しがつかない所まで来て、ようやく」
「…………」
「何人もの聖女を見て来ましたが、あなたが一番セーラに近かった。これからどれだけ魂の転生を見守った所で、きっとあなたほどセーラの面影を感じる相手に会うことはないでしょう。あなたが【災厄の魔女】を打ち倒し、魂に引き継がれた使命を終えたのだからなおさら」
「……でも、私は初代聖女ではありません」
「ええ! 知ってます。どれだけ似ていてもあなたはセーラじゃありません。私は記憶のセーラと寸分変わらない、そのままのセーラが欲しい。あなたじゃ代わりにはなりません。……だから」
予言者の手が、そっと私の首もとに当てられる。
びくりと体は跳ねたけど、予言者の手から逃げようとしてもそれ以上は動けない。
予言者は微笑みながら、手に少しだけ力を込めた。
私の首を締め上げるかのように。
「だから……あなたの魂の中から、セーラを探し出すことにしたんです。【神殿】や【神体】を破壊して、あなたを殺し、神としての私の核を、あなたの魂に結合させます。トリアスのような中途半端な寄生ではなく、完全に一つになるのです。そうすれば私は、あなたの魂の中で再びセーラと再会し、融合して一つになることができます。私はあなた、あなたは私になって、同じ存在として生まれ変わるのです」
「ーーただもう一度セーラと会いたかった。面影なんかではなく、記憶と寸分変わらないセーラその人に」
「その気持ちは歳月が経つうちにますます大きくなっていき、会えない悲しみに押しつぶされて気が狂いそうになりました。……いえ、もう狂っていたのかもしれません。調和をもたらす為に人に作られた私が、自身の使命よりも、セーラと再び会うことばかりに取り憑かれるようになっていたのですから」
くつくつと喉を鳴らして笑いながら、予言者は片手で顔を覆って天井を扇いだ。
「私は失って初めて、セーラを愛していたことに気がついたんです。永遠に取り返しがつかない所まで来て、ようやく」
「…………」
「何人もの聖女を見て来ましたが、あなたが一番セーラに近かった。これからどれだけ魂の転生を見守った所で、きっとあなたほどセーラの面影を感じる相手に会うことはないでしょう。あなたが【災厄の魔女】を打ち倒し、魂に引き継がれた使命を終えたのだからなおさら」
「……でも、私は初代聖女ではありません」
「ええ! 知ってます。どれだけ似ていてもあなたはセーラじゃありません。私は記憶のセーラと寸分変わらない、そのままのセーラが欲しい。あなたじゃ代わりにはなりません。……だから」
予言者の手が、そっと私の首もとに当てられる。
びくりと体は跳ねたけど、予言者の手から逃げようとしてもそれ以上は動けない。
予言者は微笑みながら、手に少しだけ力を込めた。
私の首を締め上げるかのように。
「だから……あなたの魂の中から、セーラを探し出すことにしたんです。【神殿】や【神体】を破壊して、あなたを殺し、神としての私の核を、あなたの魂に結合させます。トリアスのような中途半端な寄生ではなく、完全に一つになるのです。そうすれば私は、あなたの魂の中で再びセーラと再会し、融合して一つになることができます。私はあなた、あなたは私になって、同じ存在として生まれ変わるのです」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
私が死んで満足ですか?
マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。
ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。
全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。
書籍化にともない本編を引き下げいたしました
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
側妃は捨てられましたので
なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」
現王、ランドルフが呟いた言葉。
周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。
ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。
別の女性を正妃として迎え入れた。
裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。
あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。
だが、彼を止める事は誰にも出来ず。
廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。
王妃として教育を受けて、側妃にされ
廃妃となった彼女。
その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。
実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。
それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。
屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。
ただコソコソと身を隠すつもりはない。
私を軽んじて。
捨てた彼らに自身の価値を示すため。
捨てられたのは、どちらか……。
後悔するのはどちらかを示すために。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。