【改稿版】微笑みの悪役令嬢!~微笑むだけで上手くいくものですわ~

naturalsoft

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微笑み30

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地下に作られたダンジョンの入口にある小部屋で、テーブルにお茶やクッキー、ケーキなど普通のお茶会にあるものは用意されている。唯一、地下の石レンガで作られた場所でなければ最高だったであろう。

「えっと………お招き頂きありがとうございます?」

流石のセーラ王女も疑問系で挨拶をする。

「うん………お友達が来るの初めてだから、頑張って作ってみたよ♪」

!?

「これ!シオン様の手作りですか!?」
「そう、お腹が空いては【戦えない】から……頑張ったよ」

シオンの語った不安な言葉はスルーして、それぞれが贈り物をシオンに渡した。通常、お茶会に呼ばれた場合は何かしらのプレゼントを持っていくのが通例であるのだ。

「はい!シオン嬢!」
「ありがとう……嬉しい」

ドッキューーーン!!!


『『『可愛い!!!』』』

奥ゆかしいシオンの仕草や言葉に一同がキュンとなってしまった。そこに、シオンの身の回りのお世話をするクールビューティ系の侍女さんがやって来ました。

「皆様、遠い所からお集まり下さり誠にありがとうございます。本日、公爵様より取り仕切らせて頂きます【エーコ】と申します。気軽に【Aさん】(エーサン)とお呼び下さい」

「これはご丁寧にどうも……」

「さて、このパーティー(お茶会)は公爵様が企画したものです。もしこのパーティー(お茶会)で優秀な成績を出した御方には正式なお嬢様の【婚約者候補】としての【名誉】が与えられます。ここまではよろしいでしょうか?」

!?

「本当にシオン嬢と婚約出来るのですか!?」
「はい、婚約者【候補】として正式に認められ、国王様に提出されます」

「「おおっ!?」」
(貴族としての正式な婚約は国王様に書類を提出しなければならないのです)


各皆さんの心情は──

レオン
『マジかよ!頑張るぜ!』
セーラ
『バカ兄は気付いていませんね。ただのお茶会と聞いていたのに、明らかに魔物と戦わせようとしている様子………魔力増強の杖を持ってきておいて良かったわ』
クロウ
『事前調査通りだな。公爵が何かしら企んでいると思ったが……しかし、商品がシオン嬢の婚約とは逃げる訳にはいかないか……戦わねばならんときもある』
アーレスト
『困ったな?下調べ通り、公爵が仕掛けてきたか。私は他の者と違い戦えない。この不利な条件をどうひっくり返すか……シオン嬢は他の令嬢と違い、贅沢はしないし、ちょっとしたデザートで無邪気に喜ぶ、珍しいタイプの女性だ。何としても手に入れたい!』


などと、各々が思惑を巡らせていました。

「まずは、難しいことは考えずに普通のお茶会をお楽しみ下さい。この後は厳しい試練が待っておりますので」

「みんな……グラスを持った?乾杯するよ」

各自、グラスを持って乾杯!!!

「この飲み物美味しいですわ!」
「このクッキーも美味しい!」
「甘くないケーキ?いやほんのりと甘いか。イケる!」

美味しい食べ物を食べて、みんなの緊張がほぐれていった。しばらくして─

「お楽しみの所、失礼致します。事前調査の【点数】(ポイント)をお伝えしておきます」

「「「点数?」」」

「はい、本日は1番高得点を稼いだ御方を【婚約者候補】にする【予定】です」

「どうすれば点数を貰えるのですか?」

「明確な基準を教える事は出来ません。現在のお茶会は関係ありませんのでご安心下さい」

『一体何を企んでおりますの!?』

「さて、現在の点数で1番高いのはクロウ様です。その次がアーレスト様、レオン様は最下位ですね」

!?

「何だって!?どういう事だ!まだ屋敷に来たばかりだぞ!」

レオン王子は動揺していた。試練が始まる前から最下位とは認められないのだ!

「では、点数の内訳としましてはクロウ様ご自身、今回のパーティーのきっかけの場所にはいませんでしたが、招待状が届いた時点ですぐに情報収集を始めました。シオンお嬢様にしっかりと裏付けと理由も問いだたしています。そして、本日は何かしらの試練があると踏んで動きやすい格好で来ています。一方、アーレスト様もその場にいて公爵様のパーティーを意図を汲んで、自分が戻らなかった時の為の準備も家の者に言ってありますね?」

アーレストは驚いた。自分に何かあったときの為に私設軍に声を掛けてあったがどうしてその事をフレイムハート家が知っているのだろうか?

「一方、レオン様は【何を】していましたか?御二人が、パーティーに向けて公爵様の意図の裏を探ろうと走り廻っていた時に貴方は【何を】していましたか?」

シオン王子は拳を強く握り、下を向いて小さく震えていた。自分の不甲斐なさを恥じて……

『あら♪この子、虐めがいがあるわね♪震えちゃって可愛い♪初物食べたいわぁ~』

クールビューティのAさんはドSであった。表情に出さずに不埒な事を考えているのでした。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】

愚者の声
「さぁ、いきなり差をつけられたレオン王子はどうするのかな?」

シオン
「でも、これから魔物退治が始まるとアーレスト様は不利ですね。まだまだ挽回出来ますわ!」

愚者の声
「はてさてどうなるのやら!」

シオン
「楽しみね!」
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