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微笑み61
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楽しい?放課後が終わり、各自帰宅した。
「はぁ、リンちゃんがまさかレオン王子に惚れるなんてね………」
シオンはモヤッとした気分で呟いた。
『でも、家の為に結婚しないといけないんだよね』
シオンにはいまいち結婚願望がなく、他人事のように感じていた。しかし、婚約者候補が出来てから、嫌でも意識しなければならなくなったのだ。
『なんかどうでも良いなんて考えたらダメだよね。みんな必死にアピールしてくれてるし』
なんとなくシオンはフルフェイスの隊長さんを思い出した。
『あんなに必死で看病してくれたのにはびっくりしたけど優しい人だったなぁ~』
冒険者として活動すると偶然にもよく会う人だ。
どうして隊長さんの事を思い出したのか分からなかったが、明日は休みな事もあり、また冒険者として依頼を受けに行こうとした。
「シオンお姉様、まだ起きてます?明日の予定はありますか?」
「リンちゃんどうしたの?明日は冒険者として依頼を受けようかな?と思っていた所だよ」
「まぁ!それなら私も同行していいですか?」
えっ?
シオンは一瞬固まった。
実力はあるが、実戦に慣れてないリンが………
トラブルメーカーのリンちゃんがついてくると、とんでもない事が起きそうな予感が………
シオンは表情には出さずに頷いた。
「いいよ。でも私の指示には従うこと。いいね?」
「やった!わかりました!」
リンは喜んで出ていった。
「明日は薬草採集などの簡単な依頼にしておこう」
シオンはトラブルがあっても良いように、簡単な依頼を受けようと誓うのだった。
そして次の日──
「ジャーン!やってきました!冒険者ギルドですよ!」
シオン達は冒険者ギルドへとやってきた。Sランクパーティーの【熱き心】のメンバーも一緒です。
騎士のグレイさんに戦闘メイドのアルカさんとナイカさんです。
コソッ
「ナイカ、わかっているわね?今回はリン様とカイ様を集中して守るわよ」
「わかっていますって。特にリン様は何をするかわからないから注意だよね」
シオンは受付カウンターに着くと受付のお姉さんにクエストを見せて貰うことにした。
「すみません。何か手頃なクエストを───」
「はい♪この書類にサインをお願いします!」
受付のお姉さんは何も聞かずにクエストの用紙を出してきた。
「これは?」
「ここに大きくサインをお願いします♪」
「いえ、何のクエストかも知らずにサインは………」
受付のお姉さんはニコニコしながらズモモモッと再度サインをお願いしてきた。
「え、あ、はい………」
シオンは迫力に押されてサインしてしまった。
「キャー♪ありがとうございます!」
受付のお姉さんは飛び跳ねるように喜んだ。
「結局、なんのクエストの用紙だったんですか?」
「え、『SSSランクのクエストの用紙』ですけど?」
トリプルSのクエスト!?
流石にリンちゃんを連れては無理だよ!?
「いやー、余り使わない用紙って、今はこれしか無かったので。クエスト用紙の裏側ね」
「裏側???」
「うん♪微笑みの令嬢様のサインが欲しくって☆」
「あ、サインってそっちのほうでしたか………」
シオンはドッと疲れて脱力した。
「一生宝にするわね♪それで、今回はどんなクエストをご希望ですか?」
シオンは深いため息を付いてから言った。
「妹に簡単なクエストを体験させたいの。採集クエストなどないですか?」
「なるほど。それなら、この【日輪草】のタネの採集などどうですか?ただの薬草の採集よりは、やりごたえがありますよ?」
『日輪草……確かひまわりの事だったわね。ペットのエサなど人気があるわ』
「わかりました。それでお願いします」
「今の季節だと、王都から少し行った所にあるアルスタの森を抜けた丘に、沢山自生していますよ♪」
「確か観光名所でしたね。わかりました。お願いします」
クエストを受注するとリンちゃんは少し不満だった。
「お姉様、私は討伐クエストがやりたかったです!」
「こらっ、ワガママ言わないの。これも立派な依頼よ。それに討伐クエストでなくても、冒険中に魔物が出る場合もあるんだからね」
「わかりました。ごめんなさい」
シオンはリンの頭を撫でるとみんなにクエスト内容を伝えた。
「なかなか良いクエストですね。あそこの丘は綺麗だから一度は行ってみる価値ありますから♪」
『それに初心者向けの森だしね』
アルカさんとナイカさんも心の中で拍手していた。
「ここから馬車で1時間ほどで森に着きます。森を30分ほど歩けば日輪草の丘に着くでしょう」
グレイさんが地図を見ながら説明した。
「ちょっと楽しみだなぁ~」
カイだけは純粋に嬉しそうだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「さて、今回は無事に終わるかな?」
シオン
「また悪巧みしていますわね!」
愚者の声
「そろそろエロを取り入れたいね」
シオン
「この煩悩の塊がっ!」
愚者の声
「僕は健全なだけだよ!」
シオン
「もし、大切な妹に変な事をしたら去勢してやりますわっ!」
愚者の声
ひぃぃぃぃ!!!!
(。ノω\。)
「はぁ、リンちゃんがまさかレオン王子に惚れるなんてね………」
シオンはモヤッとした気分で呟いた。
『でも、家の為に結婚しないといけないんだよね』
シオンにはいまいち結婚願望がなく、他人事のように感じていた。しかし、婚約者候補が出来てから、嫌でも意識しなければならなくなったのだ。
『なんかどうでも良いなんて考えたらダメだよね。みんな必死にアピールしてくれてるし』
なんとなくシオンはフルフェイスの隊長さんを思い出した。
『あんなに必死で看病してくれたのにはびっくりしたけど優しい人だったなぁ~』
冒険者として活動すると偶然にもよく会う人だ。
どうして隊長さんの事を思い出したのか分からなかったが、明日は休みな事もあり、また冒険者として依頼を受けに行こうとした。
「シオンお姉様、まだ起きてます?明日の予定はありますか?」
「リンちゃんどうしたの?明日は冒険者として依頼を受けようかな?と思っていた所だよ」
「まぁ!それなら私も同行していいですか?」
えっ?
シオンは一瞬固まった。
実力はあるが、実戦に慣れてないリンが………
トラブルメーカーのリンちゃんがついてくると、とんでもない事が起きそうな予感が………
シオンは表情には出さずに頷いた。
「いいよ。でも私の指示には従うこと。いいね?」
「やった!わかりました!」
リンは喜んで出ていった。
「明日は薬草採集などの簡単な依頼にしておこう」
シオンはトラブルがあっても良いように、簡単な依頼を受けようと誓うのだった。
そして次の日──
「ジャーン!やってきました!冒険者ギルドですよ!」
シオン達は冒険者ギルドへとやってきた。Sランクパーティーの【熱き心】のメンバーも一緒です。
騎士のグレイさんに戦闘メイドのアルカさんとナイカさんです。
コソッ
「ナイカ、わかっているわね?今回はリン様とカイ様を集中して守るわよ」
「わかっていますって。特にリン様は何をするかわからないから注意だよね」
シオンは受付カウンターに着くと受付のお姉さんにクエストを見せて貰うことにした。
「すみません。何か手頃なクエストを───」
「はい♪この書類にサインをお願いします!」
受付のお姉さんは何も聞かずにクエストの用紙を出してきた。
「これは?」
「ここに大きくサインをお願いします♪」
「いえ、何のクエストかも知らずにサインは………」
受付のお姉さんはニコニコしながらズモモモッと再度サインをお願いしてきた。
「え、あ、はい………」
シオンは迫力に押されてサインしてしまった。
「キャー♪ありがとうございます!」
受付のお姉さんは飛び跳ねるように喜んだ。
「結局、なんのクエストの用紙だったんですか?」
「え、『SSSランクのクエストの用紙』ですけど?」
トリプルSのクエスト!?
流石にリンちゃんを連れては無理だよ!?
「いやー、余り使わない用紙って、今はこれしか無かったので。クエスト用紙の裏側ね」
「裏側???」
「うん♪微笑みの令嬢様のサインが欲しくって☆」
「あ、サインってそっちのほうでしたか………」
シオンはドッと疲れて脱力した。
「一生宝にするわね♪それで、今回はどんなクエストをご希望ですか?」
シオンは深いため息を付いてから言った。
「妹に簡単なクエストを体験させたいの。採集クエストなどないですか?」
「なるほど。それなら、この【日輪草】のタネの採集などどうですか?ただの薬草の採集よりは、やりごたえがありますよ?」
『日輪草……確かひまわりの事だったわね。ペットのエサなど人気があるわ』
「わかりました。それでお願いします」
「今の季節だと、王都から少し行った所にあるアルスタの森を抜けた丘に、沢山自生していますよ♪」
「確か観光名所でしたね。わかりました。お願いします」
クエストを受注するとリンちゃんは少し不満だった。
「お姉様、私は討伐クエストがやりたかったです!」
「こらっ、ワガママ言わないの。これも立派な依頼よ。それに討伐クエストでなくても、冒険中に魔物が出る場合もあるんだからね」
「わかりました。ごめんなさい」
シオンはリンの頭を撫でるとみんなにクエスト内容を伝えた。
「なかなか良いクエストですね。あそこの丘は綺麗だから一度は行ってみる価値ありますから♪」
『それに初心者向けの森だしね』
アルカさんとナイカさんも心の中で拍手していた。
「ここから馬車で1時間ほどで森に着きます。森を30分ほど歩けば日輪草の丘に着くでしょう」
グレイさんが地図を見ながら説明した。
「ちょっと楽しみだなぁ~」
カイだけは純粋に嬉しそうだった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【後書き】
愚者の声
「さて、今回は無事に終わるかな?」
シオン
「また悪巧みしていますわね!」
愚者の声
「そろそろエロを取り入れたいね」
シオン
「この煩悩の塊がっ!」
愚者の声
「僕は健全なだけだよ!」
シオン
「もし、大切な妹に変な事をしたら去勢してやりますわっ!」
愚者の声
ひぃぃぃぃ!!!!
(。ノω\。)
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