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災厄は人災

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シオンの絵が盗まれてから2日目の夕方に差し掛かろうとしてきた頃──

日が落ちてきて辺が暗くなってきた時、『ソレ』は現れた。

「うん?急に暗くなった………?」

急に影が差して、街の無関係な人が空を見上げるとそこには『アリエナイ』者が存在していた。

「あ……あああ………………」

その者は真っ青になり恐怖の余り声が出なかった。
しかし、周囲から悲鳴が上がった。

「「「キャーーーーーーー!!!!!」」」

そこには巨大な『紅き龍』が飛んでいたからだ。

バッサ
バッサ

巨大な龍は大きく旋回しながら王都を一周して、王都の人々にその存在感を見せ付けていた。

「納得いきませんわ。どうして私が紅の背に乗って移動しなければなりませんの!」

龍の正体は紅さんであり、その背には蒼さんと騎士達3人が乗っていた。

『『聞いてはいたけれどマジで神話の時代の古龍様だった!?』』

バーニングハート公爵家の騎士達は実際に龍になった紅さんと蒼さんを見た者はほとんどいなかった。なので鬼コーチとして認知はしていても、同じ人間だと心の何処かで思っていたのだ。

『アクエリアス、状態保存の魔力は何処から感じる?』

水の大精霊アクエリアスは、姿を消して王都全域に体を霧状にして、広範囲を探索していたのだ。

「待って、この王都の端の方から気配を感じるわ。アクア、どうかしら?」

蒼さんも感じ取ったようだった。

『ええ、私も感じたわ。王都は水が濁っていて探すのに苦労したわ。魔力で誘導するわ。付いてきて』

紅さんはアクエリアスに誘導されながら目的地へと向かった。










──同時刻──

「こっちの方みたいね」

小龍達も、おおよその方向がわかるだけで正確な場所までわからなかった。しかし、確実に近付いていた。

「随分歩きましたが、小龍ちゃん達の様子から近付いているようですわね♪」

スカーレットは小龍を抱いて歩きながら幸せそうであった。
シオン達は途中まで馬車を使っていたが、小龍達が細い道など誘導するので、徒歩に切り替えたのだ。

そしてシオン達が盗賊団のアジトに迫ろうとした時、お母さん達がやってきたと言う訳である。

「あれ?カーマインとマリンのお母さんだ」

シオンはのんびりとしていたが、周囲のメンバーは大慌てであった。

「あれヤバくない!?」

フィーネは動揺して周囲を飛び回った。

「どどどっどうしよう!!!」

メリッサはテンパっていた。

「あ、ああ!あれはマズイ!?」
「ヤバイ!ヤバイ!ヤバイ!国が滅ぼされる!?」

王子達もテンパっていた。

「あ、あれがカーマインのお母様!ぜひ御結婚のご挨拶をしなければ!?」

スカーレットは平常運転であった。

そして龍の姿にまったく動じていなかった。
三者三様の様子を見てシオンは──

「まったく、みんな動揺しすぎよ!お母さん達に良いところ持って行かれる前に、私達で絵を取り戻すわよ!」

こういうとき、能天気な者が1番強かったのである。








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