【連載版】婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft

文字の大きさ
14 / 44

教皇

しおりを挟む
ヒジリは早足で教皇の寝室の階段を登った。
大聖堂の奥にある特別な階段で、普段は司祭やシスターしか登れない階段である。

「急いでいるけど大丈夫なの?」
「はぁはぁ、枢機卿達の邪魔が入るかも知れませんので念の為に急いでいます」

なるほど。
先日、緊急で出発した馬車の護衛が、枢機卿の暗殺者達だった訳だしね。
でも、アイツらはヒジリちゃんが死んだと思っているみたいだけど、少し違和感があるわね。
シオンはその違和感を後で聞こうと、今は教皇の元へ急いだ。

「着きました。ここが教皇様の休まれている寝室です」

階段を登り切ると、目の前には丈夫そうな扉があった。

「見張りっていうか、護衛とかいないの?」
「はい、ここは少し特別でして扉に魔力を込めると開く仕組みなのです」
「ハイテクだなぁ~」

話を聞くと、あらかじめ登録した人物の魔力しか反応せず、後から誰の魔力で開いたのかわかる仕組みとのこと。
現在で言うところの、指紋や顔認証に似ているね。
そうしてヒジリちゃんは扉を開き中に入った。中はそれなりに広かったが、机にテーブル、後は図書館?みたいなほど本棚に本が多く収められており、部屋の窓の近くにあるベットに老人が寝ていた。

「・・・・誰じゃ?」

しんどそうに起き上がる老人にヒジリが近寄った。

「教皇様、聖女ヒジリです。ただいま戻りました」

!?

「お、おお、ヒジリよ。良く無事であった。枢機卿から賊に襲われて死んだと聞かされた時は、心臓が止まるかと思ったぞ」
「まだ死なないでください。それより、信頼できる仲間に出会ったおかげで九死に一生を得ました」

ヒジリは今までの経緯を話した。

「なるほどのぅ~。先日の女神像が輝いた時は、ワシは希望の光に感じたのじゃが、まさかそれがヒジリの命を狙われるきっかけになろうとは思わんだ」

教皇は見るからに顔色が悪かった。

「その女神像と女神様と対話したお方が、こちらにいらっしゃるシオンお姉様なのです」

なぜかヒジリは自慢げに紹介した。

「ヒジリを救って頂き誠にありがとうございました。ヒジリは私の孫の様な存在でしてな。ヒジリを引き取って聖女として修行させる時に私が面倒を見ましてな。なかなか、破天荒な性格の娘で難儀いたしましたが、しかし心に、悪を許さぬ正義の意志を持っておりました」

「も、もう止めてよお爺ちゃん!」

恥ずかしそうに叫ぶヒジリにシオンは微笑ましい姿を見た。
この2人は本当に血の繋がりはなくても家族として認め合っているんだなと思った」

「ゴホゴホッ」

教皇様が咽せたのでヒジリが水を飲ませた。

「大丈夫?」
「はぁはぁ、すまんのぅ。ワシがもう少し動けたのなら・・」

教皇は自分の体調に申し訳なさそうにした。

!?

シオンはまさかねと、秘密にしていた『鑑定』を教皇に行った。

毒物反応・・・・なし

この表示にホッとしたが、別の表示に目を開いた。

軽度の【壊血病】

「な、なんですって!?」

突然声を上げたシオンに仲間達の注目が集まる。

「どうしたんだシオン?」
「教皇様の病気が判明いたしました。多分、行為的に病気にさせられた可能性があります」

!?

「えっ!?どういう事ですか!?」
「他の人には秘密にして欲しいんだけど私は『鑑定』の魔法が使えるの」
「あ、あの勇者様にしか使えないっていう伝説の魔法じゃないですか!?」

これにはエルフのレオナも驚いた。

「失礼かと思ったけど、教皇様に毒物でも盛られていないかと思ってね。結果は毒物はなし。少し安心したんだけど、病名が【壊血病】って出たのよ」
「病名までわかるなんてすごいな!」
「私も人には初めてだったから驚いているの。でも本当に驚いたのはこの病気よ。通常なら船乗りの間で流行る病気なの」

そこで何かを思い出したかの様な様子でレオナが口を挟んだ。

「もしかして船乗りがかかったらほぼ助からない疫病じゃなかった?病名は違っていたと思うけど」
「地域や国によって病名が変わった呼び方になっているかも知れないけど、同じ病気よ。ビタミンCって栄養分が不足するとなる病気で、新鮮な野菜とか食べておけば問題ないのだけれど・・・」

そこでヒジリと教皇は思い至った。

「教皇様が体調を崩された時、教会のシェフが栄養の高い『穀物粥』の様なものを作ってくれて、数ヶ月はそれしか口にしておりませんでした」

「毒物混入は1番警戒しておったからのぅ。毒味役や毒物検査はしっかりとしておったのじゃが・・・」
「まさか、特定の栄養のない食べ物をずっと食べていたから病が進行したと?」

「わかりやすく言えば、数ヶ月間もお肉のみ食べていたら体調も悪くなるでしょ?って感じだね」

なるほど。
シオンはマジックバックに入っていたリンゴや蜂蜜など出して教皇に食べるように言った。

「飲み水に果実水としてレモンと蜂蜜を混ぜました。リンゴも今の病に効果がある果物です。リンゴを食べながら果実水を飲んで下さい」

シオンは毒味をしようとしたが教皇がそれを止めた。

「いや、毒味はよい。君達は信用できると感じたのでな。そのまま頂こう」

教皇はそれを食べると落ち着いた。

「ありがとう。少し良くなったのを感じるよ」
「それはよかったです。手持ちのリンゴと蜂蜜、レモンなどビタミンCの栄養のある食べ物をここに置いておきます」

ベットの横に引き出しになっている場所があったので、ひとまず隠しておいた。本当は新鮮な野菜を食べて欲しいけど毒殺の可能性があるから難しいよね。

「感謝する。それで枢機卿達の悪事の証拠の話できたのじゃったな?」

シオン達はようやく本題に入るのであった。




しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【完結】出来の悪い王太子殿下の婚約者ですって? 私達は承諾しておりません!

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
真実の愛は策略で生まれる ~王太子殿下の婚約者なんて絶対に嫌ですわ~  勉強は出来ず、実技も酷い。顔だけしか取り柄のない一番最初に生まれた王子というだけで、王太子の地位に就いた方。王国を支える3つの公爵家の令嬢達は、他国にも名の知れた淑女であり、王太子レオポルドの婚約者候補に名を連ねた。 「絶対にお断りだわ」 「全員一緒に断りましょうよ」  ちょうど流行している物語の主人公のように演出し、道化を演じて退場していただきましょう。王家も貴族のひとつ、慣習や礼儀作法は守っていただかないと困ります。公爵令嬢3人の策略が花開く!   ハッピーエンド確定、6話完結 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、ノベルアップ+ ※2022/05/25、小説家になろう 恋愛日間20位 ※2022/05/25、カクヨム 恋愛週間27位 ※2022/05/24、小説家になろう 恋愛日間19位 ※2022/05/24、カクヨム 恋愛週間29位 ※2022/05/23、小説家になろう 恋愛日間27位  ※2022/05/21、完結(全6話) ※2022/05/21、カクヨム 恋愛週間41位 ※2022/05/20、アルファポリス HOT21位 ※2022/05/19、エブリスタ 恋愛トレンド28位

婚約破棄された令嬢、気づけば王族総出で奪い合われています

ゆっこ
恋愛
 「――よって、リリアーナ・セレスト嬢との婚約は破棄する!」  王城の大広間に王太子アレクシスの声が響いた瞬間、私は静かにスカートをつまみ上げて一礼した。  「かしこまりました、殿下。どうか末永くお幸せに」  本心ではない。けれど、こう言うしかなかった。  王太子は私を見下ろし、勝ち誇ったように笑った。  「お前のような地味で役に立たない女より、フローラの方が相応しい。彼女は聖女として覚醒したのだ!」

今、目の前で娘が婚約破棄されていますが、夫が盛大にブチ切れているようです

シアノ
恋愛
「アンナレーナ・エリアルト公爵令嬢、僕は君との婚約を破棄する!」  卒業パーティーで王太子ソルタンからそう告げられたのは──わたくしの娘!?  娘のアンナレーナはとてもいい子で、婚約破棄されるような非などないはずだ。  しかし、ソルタンの意味ありげな視線が、何故かわたくしに向けられていて……。  婚約破棄されている令嬢のお母様視点。  サクッと読める短編です。細かいことは気にしない人向け。  過激なざまぁ描写はありません。因果応報レベルです。

悪役令嬢に転生しましたが、行いを変えるつもりはありません

れぐまき
恋愛
公爵令嬢セシリアは皇太子との婚約発表舞踏会で、とある男爵令嬢を見かけたことをきっかけに、自分が『宝石の絆』という乙女ゲームのライバルキャラであることを知る。 「…私、間違ってませんわね」 曲がったことが大嫌いなオーバースペック公爵令嬢が自分の信念を貫き通す話 …だったはずが最近はどこか天然の主人公と勘違い王子のすれ違い(勘違い)恋愛話になってきている… 5/13 ちょっとお話が長くなってきたので一旦全話非公開にして纏めたり加筆したりと大幅に修正していきます 5/22 修正完了しました。明日から通常更新に戻ります 9/21 完結しました また気が向いたら番外編として二人のその後をアップしていきたいと思います

追放された悪役令嬢、規格外魔力でもふもふ聖獣を手懐け隣国の王子に溺愛される

黒崎隼人
ファンタジー
「ようやく、この息苦しい生活から解放される!」 無実の罪で婚約破棄され、国外追放を言い渡された公爵令嬢エレオノーラ。しかし彼女は、悲しむどころか心の中で歓喜の声をあげていた。完璧な淑女の仮面の下に隠していたのは、国一番と謳われた祖母譲りの規格外な魔力。追放先の「魔の森」で力を解放した彼女の周りには、伝説の聖獣グリフォンをはじめ、可愛いもふもふ達が次々と集まってきて……!? 自由気ままなスローライフを満喫する元悪役令嬢と、彼女のありのままの姿に惹かれた「氷の王子」。二人の出会いが、やがて二つの国の運命を大きく動かすことになる。 窮屈な世界から解き放たれた少女が、本当の自分と最高の幸せを見つける、溺愛と逆転の異世界ファンタジー、ここに開幕!

側妃に追放された王太子

基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」 正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。 そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。 王の代理が側妃など異例の出来事だ。 「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」 王太子は息を吐いた。 「それが国のためなら」 貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。 無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。

偽りの断罪で追放された悪役令嬢ですが、実は「豊穣の聖女」でした。辺境を開拓していたら、氷の辺境伯様からの溺愛が止まりません!

黒崎隼人
ファンタジー
「お前のような女が聖女であるはずがない!」 婚約者の王子に、身に覚えのない罪で断罪され、婚約破棄を言い渡された公爵令嬢セレスティナ。 罰として与えられたのは、冷酷非情と噂される「氷の辺境伯」への降嫁だった。 それは事実上の追放。実家にも見放され、全てを失った――はずだった。 しかし、窮屈な王宮から解放された彼女は、前世で培った知識を武器に、雪と氷に閉ざされた大地で新たな一歩を踏み出す。 「どんな場所でも、私は生きていける」 打ち捨てられた温室で土に触れた時、彼女の中に眠る「豊穣の聖女」の力が目覚め始める。 これは、不遇の令嬢が自らの力で運命を切り開き、不器用な辺境伯の凍てついた心を溶かし、やがて世界一の愛を手に入れるまでの、奇跡と感動の逆転ラブストーリー。 国を捨てた王子と偽りの聖女への、最高のざまぁをあなたに。

処理中です...