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1984年、中3

しーゆーあげいん

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「それで、杉下はオレの他に誰の第二ボタン貰ったんだ?」

「えっ…小野っちにしか言ってないよ」

「ウソ?他のヤツから貰わなかったのか?」

「そんな、何人もの第二ボタン貰ってもしょーがないじゃん!」

「いや、オレ以外にも第二ボタンあげたヤツがいるのかなって」

杉下は【お前バカじゃないの!】って言うような顔をしていた。

このやり取りで、杉下は僕に気があるんじゃないかという雰囲気は何となく解った。

でも僕は波多野が好きだ。

こればっかりはどうしようもない。

しかし、杉下の巨乳を見ているうちに
(オッパイ触りてぇなぁ!)という下衆な考えを持ってしまう。

まぁ性の事で悶々としていた頃だから、致し方ないと言えば致し方ないのだが、悲しい男の性だ。

「小野っちどうした?」

こういう時って、女は男が胸に目線が行ってるのは解ってるのだろうか?

「いや、何でもない。杉下、連絡くれてありがとうな」

「小野っち…さっきから、アタシの胸ばっか見てない?」

バレてるのかっ?

「へっ?」

「小野っちでしょ?アタシがクラスで一番胸が大きいって言い触らしてたのは?」

あれ?僕だっけ?

杉下は身を乗り出して、ヒソヒソ声で僕に耳打ちした。

「修学旅行でお風呂場覗いた時、アタシの身体見たでしょ?」

あぁ~、あの時か!

いや、違うだろ!

身体測定の時だろ!

オレは風呂場覗けなかったんだし、一晩中正座だし…

「風呂場じゃねえよ、身体測定の時だよ!
風呂場のは結局、誰の裸も見ること出来なかったし」

「えっ!身体測定の時も覗いてたの?」

「身体測定の時だけ、な」

「何で男子って、そんな事ばっか考えるのかなぁ」


その様子を思い浮かべて、不覚にも勃ってしまった…

(何でこんな時に勃つんだよ!)

杉下は風呂場を覗かれた事を思い出して赤面し、僕はその事を思い出して、勃っている事を悟られないようにして平然を装っていた。

でも、修学旅行の風呂場は覗けなかった。

これはマジ!

「あぁ、オレか言い出しっぺは!」

「そうだよ、小野っちが悪いんだからね!」

情けない…

「悪かったよ、あん時は」

「あれからかなり経つから、別にいいんだけどね」

あれ以来、杉下=オッパイが大きいと学年で注目を浴び、男子から色眼鏡で見られるようになったらしい。

「いや、ホントにごめんなさい」

この時、杉下はオッパイばかりに注目が行って恥ずかしかっただろうな。

体育の時間なんか、杉下が動く度に男子はガン見していたからな。

「もういいよ、過ぎた事だから」

腕を組ながら、杉下はブスーっとした表情をしている。

「それよりね小野っち」

「うん」

「あの…もうそろそろ出ない?」

気がつくと、二時間程経過していた。

僕らは席を立った。


「小野っち、いいよ自分の分は払うから」

「大丈夫、大丈夫。誘ったのはオレだから」

僕が料金を払った。

「いいの?じゃご馳走さまでした」

店を出て、杉下はペコリと頭を下げた。

「んじゃ、今度は杉下が奢ってくれよ」

今度なんてあるんだろうか?

「小野っち、また会ってくれる?」

杉下は俯きながら呟いた。

「またって、会えるじゃん!
たかが学校が違っただけで、会わないなんて事はしないよ」

「ホント?」

「うん、また連絡くれれば行くよ」

「今度は小野っちが連絡してよ~」

僕の方に顔を向けて笑った。

「わかった!じゃ必ず連絡するよ。
しーゆーあげいん!だ」

僕は杉下と別れた。

でも、どんなタイミングで連絡すりゃいいんだ?

何せ、女のとこに電話かける時のドキドキ感はハンパねぇからなぁ。

ケータイの無い時代だったし…
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