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5.孤酒*
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日差しが強い八月の真夏日。布団の敷布を干し終えて、太陽を見上げる。
ギラギラと照りつける太陽の光は、五十年前とは比べ物にならないほど強くなったけれど、最近は自然環境の保護が進んでいるらしく、異常なまでの猛暑は少しずつ改善されるだろうとのことだ。
それを知ったのは天花からの文だ。天狗の里では、この気象を研究する人も多いらしい。
六花にも勧められ、最近はラジオを屋敷に置いて気象予報は聞くようにしている。雲行きや風の流れでなんとなく雨が降ると分かりはするものの、具体的に何時頃からと知ることが出来ると様々な家事に役立つものだ。
「六花達も戻ってきたし、双子も成長したし、楽になったなぁ……」
天狗の里から戻ってきた時、大和と暁は人間の十歳程の子供にまで成長をしていた。可愛らしい時期は過ぎてしまったが、成長と修練をした分だけ筋肉がつき、水を操ることも容易くなってきたようだ。
六花とハルトは仕事が長引き普段よりも遅い七月下旬に帰国した。成長した双子を見て、お土産の服の丈が合わなかったらしくハルトは少し残念そうにした。けれど沢山の土産に狂喜する双子に、すぐに馴染んでいった。
「休憩しようかなー」
今日は大和と暁は六花の家にお泊まりだ。集落の祭りがあるらしく、友人の子供ということで遊びに行くらしい。一緒にと誘われたけれど、それは丁重にお断りをした。
祭りは嫌いではないけれど、そんなに好きでもない。花火は好きだけれど、祭りの最後に打ち上がる花火ならば屋敷の屋根からでもかろうじて見えるのだ。
「風花さん」
「蓮様!」
振り向くと、蓮が縁側に立ち手招きをしている。駆け寄り「御用ですか」と声をかけると、首を振って手に持っていた袋を差し出してきた。
それを受け取り中を覗く。
「あいすくりーむだ!」
「先程、六花さんが届けてくれました。一緒にどうですか?」
「はい!! あ、でも二つだ。恭吾は」
「恭吾さんは六花さんと山に入りました」
「え? なぜです?」
確かに山の見回りに恭吾だけで行くことも増えたが、それに六花がお供することはこれまで見たことがない。
何かあったのだろうか。
「何も無いですよ。ただ、恭吾さんが一緒にと誘っただけです。二人は歩きながら食べると」
「なんだ。行儀が悪いなぁ」
「ふふ、大目に見ましょう。さ、溶ける前に」
「はい!」
日陰になっている場所で腰を下ろし、あいすくりーむの蓋を開ける。氷や雪とは違う、白いクリームが冷たく固まっている様子に思わず唾を飲み込んむ。
実は、このあいすくりーむが大好物なのだ。
甘味といえば、山の恵みである果物やべっこう飴、むかし六花が集落で遊び回ってた頃に一人暮らしの六次から貰ってきた和菓子程度だった。
けれど、ある日ハルトが買い出しのお土産に買ってきてくれたあいすくりーむを食べた時、衝撃を受けた。
濃厚な牛乳を甘く煮つめたような味なのに、口の中でねっとりと溶ける不思議な冷たさ。何とも言えない幸福感の虜になってしまったのだ。
脆そうな薄い木製の匙で溶け始めたあいすくりーむの上をそっと撫で、口に入れる。
「んふー!!」
「美味しいですか?」
「はい! あいすくりーむは、ばにらが最高です! 蓮様も食べないと溶けちゃいますよ!」
「そうですね、いただきましょう」
縁側で大好きな蓮と並んで大好きなあいすくりーむを食べる。なんて贅沢な時間だろうか。
ゆっくりと食べたいけれど、真夏の暑さであいすくりーむは直ぐに溶け始めている。名残惜しさを感じつつ、冷たいうちに食べ切り手を合わせた。
「ご馳走様でした!」
「ご馳走様でした。風花さん、もう少し宜しいですか? ご相談……というよりも、ご報告があります」
「もちろん、大丈夫ですよ!」
宜しくなくても、蓮の為ならばいくらでも宜しくする。何だって従うけれど、それを蓮は敬って尋ねてくれる。本当に素晴らしい人格者だと思う。いや、神格か。
「神無月のことです」
神無月。全国の神々が出雲大社にて大集合するのだ。神が居なくなるので通常は神無月と呼ばれるが、神が集まる出雲では神在月と呼ばれている。
その日付は旧暦の十月。従って、新暦では十一月中旬から十二月初旬。具体的な日にちはその年によって少しずつ変わる。
神が集まって何をしているのかというと、「神議り(かみはかり)」だ。主な議題は縁結び。男女だけではなく、子宝や仕事も縁結びに含まれる。今は少なくなっているものの、かつては農業などの議題も多かったらしい。
そして、その集まりに四季神である蓮も参加しているのだ。
四季神は神の中でも神格は上位だけれど、その上にはまだ多くの神が居るので、年一のご挨拶も兼ねている。
「もうそんな時期ですか」
まだ盛夏ではあるが、神無月まであと数ヶ月。冬の神である蓮は冬は忙しくなるうえに、この地域は冬の食物は秋に蓄えなければならない。
その為、神無月までの期間は何かと忙しいのだ。
「ええ、銀花は今年も六花さんとハルトさんが面倒を見て下さいます」
「そうですか。本格的に連れて行くのはあと数年後ですかね」
銀花は蓮が冬の神だと判明した最初の神無月に出雲大社へ顔を出したきりだ。立派に神としての役割が判明してからで構わないという計らいのもとだが、天狗の里で学ぶようになって、天花からも太鼓判が押されるほどの素晴らしい学びっぷりらしい。
「その予定です。今年から冬の見回りと寒気の調整を具体的に見せるつもりです」
「承知しました。その準備もしておきます」
「よろしくお願いします。あと」
「あと?」
「大和と暁は出雲大社へ連れて行きます」
「はい……えぇ!?」
思わず返事をしてしまったけれど、双子は産まれたばかりの神だ。天狗の里で多少勉強をしたと言えど、まだまだ幼く弱い。
「今年生まれたので、ご挨拶には行かなければ。彼らが赤子のままであれば、今年は報告だけにするつもりでした。しかし、彼らは今や少年程に大きくなりましたし」
「で、でも問題を起こすかも……」
日本の各地から数多の神々が集まるのだ。いくら蓮の……四季神の元で産まれた神であろうと、神議りの間はその格ごとに部屋が異なる。
自身と天花は神使としてお供をするけれど、それはあくまでも蓮の神使だ。他の部屋にはほとんど行くことがない。目が届かない場所で、あの二人が何をしでかすか……気が気ではないだろう。
「来年でも良くないですか?」
「いえ。今年です」
「そうですか……」
「色々ありましたから……風花さんの気が重くなるのもよく分かります。でも、彼らには一刻も早く大人になって頂きたい」
なぜ、と聞きたくなったけれど、蓮が決定したことだ。これはきっと恭吾と話し合いを重ねて出した結論に違いない。ならば、神使が口を出せるようなことてはないだろう。
「承知しました」
「神議りの世話役で、今年も華月様とねね坊がいらっしゃるそうです。二人なら他の神議りの部屋に出入りもするので、大丈夫でしょう」
不安ではあるけれど、天狗の里で指導役をしていたという寧月がいるなら大丈夫だろう。そう自分の心に言い聞かせることしかできなかった。
その日の夜、蓮と恭吾は湯浴みを済ませると自室に戻っていった。
家族が増えたけれど、こうして銀花は天狗の里に修練に出たままで、更に大和と暁は六花の家に泊まりに行ってしまうと広い屋敷は静まり返る。
書物を読む気にもなれず、文を書く気にもなれず、ふと酒でも飲むかと思ってしまった。普段ならそんな気になることはないのだれど、きっも昼間に聞いた神無月への不安がそうさせているのだろう。
台所から日本酒と軽いツマミを皿に用意して自室に戻る。
縁側に座り、月を眺めつつ、風を楽しむ。木々が葉を揺らす音は、虫の音と相まって豊かな山を表現しているかのようだ。
「ふぅ……」
ゆっくりと徳利からお猪口へ日本酒を注ぐ。冷酒にしたかったけれど、六花から貰っているクーラーボックスという保冷機能のある箱に入っている氷には限度がある。
それに暑いといえども、ここは冬の神である蓮の屋敷だ。蓮が居るだけで適度に屋敷は冷やされるし、比較的標高が高い山なので夏でも夜は涼しくなる。
常温がちょうど良い。
「んぅー!! 美味しい!!」
川で冷やしていた冷たいきゅうりとトマトをつまみにしたので、余計に常温の日本酒が身体に染み渡る気がした。
ふと、蓮と恭吾について考えた。彼らはいつまで神として存在するのだろうか。かつての冬の神は、結局なぜ蓮にその役目を譲渡したのかよく分からない。きっとこれは永遠に分からないままなのだろう。
神である蓮と恭吾、それに銀花は人間の信仰があり続ければ永遠と存在し続ける。
そうなると、今度は鬼の寿命について考えた。鬼は長い者だと数百年、短いと数十年とその幅が広い。これは鬼の種類によるらしい。自分達のような人間の身体と大きさが似ている鬼は数百年の可能性高く、小鬼と呼ばれる人間の掌程の鬼は数十年ということだ。
まだ鬼として産まれて六十年程の自分たち三つ子は、まだまだ産まれたてと変わらないのかもしれない。
「あ、六花は人間か」
六花とハルトは人間年齢で三十代。長くてもあと五十年から六十年。元気なら七十年……やはり、人間の命は短い。
「華月は……天狗も長生きだよな」
天狗の中では人間の中で馴染んで暮らしている者も多けれど、長生きしすぎるのである程度したら里に戻るようにしているとのことだ。そうしてまた別の場所で人間の輪に入る。
なんとも不思議な生活だ。
そんな天狗の里の長に嫁いだ天花は、鬼ではあるけれどその役目をしっかりと果たしている。本当に凄い鬼だと思う。それと、天花と華月の寿命はそんなに変わらないはずだ。それも安心の一つだ。
「……大和と暁は神様だから、信仰が無くなったら消えるのか」
ふと、あの湖で誰の信仰を得ているのだろうかと考える。
あの場所は人間が立ち入ることは滅多にない。この山への信仰が深い者が極々稀に迷い込むが、それは蓮や恭吾がきちんと里山に戻れるように見回りを欠かさない。
もしかしたら、その迷い込んだ人が湖の水で生きながらえたので勝手に心のどこかで有難みを感じ続けているのかもしれないが、たったそれだけで湖の神が、しかも双子という稀な神が産まれるだろうか。
「……ってことは、その人が死んだら双子は消えるのか?」
言葉にすると妙な胸騒ぎがしてしまい、徳利から直接日本酒を煽る。
「――はぁぁぁ!! 違う違う!! この山一体の信仰が湖に集まったと思うのが一番それっぽい!! はい、終わり!!」
一息吐いて空を見る。すると、声が聞こえてきた。それは良く良く知っている蓮の声であり、銀花が産まれるまでは毎晩のように聞こえていたものだ。
蓮の甘くねだるような声を聞いたのは、本当に久しぶりだ。銀花が産まれてからも交わっていたのかもしれないけれど、声を押し殺していたのかもしれない。
「もしくは昼の見回り中に山の中で……とか」
明るい場所でなんてと一瞬思ったけれど、開放感というやつかもしれない。ふと、どんな感じだろうかと想像してしまい、フルリと身体が震えてしまった。
これはきっと酒のせいだ。何度か自慰行為をしたことはあるけれど、射精後のなんともいえない空虚な感覚が嫌だった。そして、それを必要ないと思ってしまい何年もそれを致していなかった。だから、今、溜まりに溜まってしまったものを無性に出したくなっただけだろう。
自分自身に言い訳をして、寝巻きの前をくつろげる。昔は褌をしていたけれど、今は人間が作った下着が洗うのも着るのも楽だと知り、ボクサーパンツというものを着用している。
腰を上げて下着を脱ぎ捨てると、月明かりに勃起した魔羅が照らされた。
蓮の喘ぎ声で抜くのは嫌だ。しかし、別に女の身体にも興味があまりない。何を妄想のネタにしようかと思いつつ、手に唾液を垂らし魔羅を握った。
ゆっくりと扱きながら、先端を指先で弾く。すると先走りがトロリと溢れ出し、扱く手の滑りが良くなった。
「んッ……」
雄々しく脈打つそれは、本来ならば誰かに挿れて腰を振り、柔らかい中を擦りながら互いの絶頂で子種となる精を最奥で放つのだろう。
ふと、蓮にもこの魔羅はあるな。と思ってしまった。兄弟である天花にも。そして人間のハルトにも。
しかし、その二人はそれを挿れることなく、逆に受け入れて、相手からの重く熱く激しい愛の塊である精を身体の最奥で受け止めている。
「――俺、は」
どちらかといえば、受け入れたい。挿れる想像はできないけれど、挿れられる想像は出来るかもしれない。
空いた手で徳利から残りの酒を喉に流し込む。そして、その手を口に入れて垂れるくらい唾液を指に絡ませた。
縁側に寝転がり、足を開いて後孔に指を添える。何も受け入れたことがないそこに、指を一本差し込むと、以外にもすんなりと受け入れ飲み込んだ。
(違和感はあるけど、まぁ平気だな)
指を二本に増やしそれを少し動かしながら、握ったままの魔羅の手も上下に扱く。
「ぁ――くっ」
これは魔羅と後孔のどちらに対しての快感かは、正直よく分からない。しかし、どちらも嫌ということではないので、そのまま目を瞑り続けることにした。
(誰か、誰、相手……いない、そんなのいないから、とりあえず、具体的な人じゃなくて、そう、身体はガッシリした方が良いな。筋肉がついてて、鍛えてる感じで、それで、男の俺でも軽く持ち上げられるような)
そんな顔の無い相手の身体だけを想像し、その相手が滾る魔羅を自分の中で激しく動かし求める姿を想像する。
(甘い言葉も、そう、俺が甘えられるように)
ぐじゅぐじゅと泡立つ音が下半身から聞こえる。それが想像の筋肉質の男にされているのだと思うとゾクリと身体が震えた。
「アァッ――!!」
頭の中の男が、優しく「身体を預けろ」と言ってくれる。たったそれだけの言葉に、あっさりと絶頂を迎え思い切り吐精をしてしまった。
ドクドクと何度も吐き出す精は手に収まりきらず、指の隙間から床に垂れた。
「はぁーー……」
後孔から指を引き抜き身体を起こす。そして、ちり紙を入れている箱に手を伸ばし、出たばかりの熱い液を拭い取る。
(何やってんだろ……)
最後は多分、魔羅を擦っていただけだった。後孔に挿れていた指は動いておらず、ただそれが挿入されていたというだけだろう。
何だかとても虚しく思えてしまい、徳利を持ち上げ口を付けた。だが、もう数滴しか残っておらず。余計に虚しさが増した。
片付けをして、水場で手を洗い、布団に入る。これからしなければならないその光景を思い浮かべ、思わずため息を吐いた。
いつの間にか夜は更け、蓮達の声も聞こえなくなっていた。
ギラギラと照りつける太陽の光は、五十年前とは比べ物にならないほど強くなったけれど、最近は自然環境の保護が進んでいるらしく、異常なまでの猛暑は少しずつ改善されるだろうとのことだ。
それを知ったのは天花からの文だ。天狗の里では、この気象を研究する人も多いらしい。
六花にも勧められ、最近はラジオを屋敷に置いて気象予報は聞くようにしている。雲行きや風の流れでなんとなく雨が降ると分かりはするものの、具体的に何時頃からと知ることが出来ると様々な家事に役立つものだ。
「六花達も戻ってきたし、双子も成長したし、楽になったなぁ……」
天狗の里から戻ってきた時、大和と暁は人間の十歳程の子供にまで成長をしていた。可愛らしい時期は過ぎてしまったが、成長と修練をした分だけ筋肉がつき、水を操ることも容易くなってきたようだ。
六花とハルトは仕事が長引き普段よりも遅い七月下旬に帰国した。成長した双子を見て、お土産の服の丈が合わなかったらしくハルトは少し残念そうにした。けれど沢山の土産に狂喜する双子に、すぐに馴染んでいった。
「休憩しようかなー」
今日は大和と暁は六花の家にお泊まりだ。集落の祭りがあるらしく、友人の子供ということで遊びに行くらしい。一緒にと誘われたけれど、それは丁重にお断りをした。
祭りは嫌いではないけれど、そんなに好きでもない。花火は好きだけれど、祭りの最後に打ち上がる花火ならば屋敷の屋根からでもかろうじて見えるのだ。
「風花さん」
「蓮様!」
振り向くと、蓮が縁側に立ち手招きをしている。駆け寄り「御用ですか」と声をかけると、首を振って手に持っていた袋を差し出してきた。
それを受け取り中を覗く。
「あいすくりーむだ!」
「先程、六花さんが届けてくれました。一緒にどうですか?」
「はい!! あ、でも二つだ。恭吾は」
「恭吾さんは六花さんと山に入りました」
「え? なぜです?」
確かに山の見回りに恭吾だけで行くことも増えたが、それに六花がお供することはこれまで見たことがない。
何かあったのだろうか。
「何も無いですよ。ただ、恭吾さんが一緒にと誘っただけです。二人は歩きながら食べると」
「なんだ。行儀が悪いなぁ」
「ふふ、大目に見ましょう。さ、溶ける前に」
「はい!」
日陰になっている場所で腰を下ろし、あいすくりーむの蓋を開ける。氷や雪とは違う、白いクリームが冷たく固まっている様子に思わず唾を飲み込んむ。
実は、このあいすくりーむが大好物なのだ。
甘味といえば、山の恵みである果物やべっこう飴、むかし六花が集落で遊び回ってた頃に一人暮らしの六次から貰ってきた和菓子程度だった。
けれど、ある日ハルトが買い出しのお土産に買ってきてくれたあいすくりーむを食べた時、衝撃を受けた。
濃厚な牛乳を甘く煮つめたような味なのに、口の中でねっとりと溶ける不思議な冷たさ。何とも言えない幸福感の虜になってしまったのだ。
脆そうな薄い木製の匙で溶け始めたあいすくりーむの上をそっと撫で、口に入れる。
「んふー!!」
「美味しいですか?」
「はい! あいすくりーむは、ばにらが最高です! 蓮様も食べないと溶けちゃいますよ!」
「そうですね、いただきましょう」
縁側で大好きな蓮と並んで大好きなあいすくりーむを食べる。なんて贅沢な時間だろうか。
ゆっくりと食べたいけれど、真夏の暑さであいすくりーむは直ぐに溶け始めている。名残惜しさを感じつつ、冷たいうちに食べ切り手を合わせた。
「ご馳走様でした!」
「ご馳走様でした。風花さん、もう少し宜しいですか? ご相談……というよりも、ご報告があります」
「もちろん、大丈夫ですよ!」
宜しくなくても、蓮の為ならばいくらでも宜しくする。何だって従うけれど、それを蓮は敬って尋ねてくれる。本当に素晴らしい人格者だと思う。いや、神格か。
「神無月のことです」
神無月。全国の神々が出雲大社にて大集合するのだ。神が居なくなるので通常は神無月と呼ばれるが、神が集まる出雲では神在月と呼ばれている。
その日付は旧暦の十月。従って、新暦では十一月中旬から十二月初旬。具体的な日にちはその年によって少しずつ変わる。
神が集まって何をしているのかというと、「神議り(かみはかり)」だ。主な議題は縁結び。男女だけではなく、子宝や仕事も縁結びに含まれる。今は少なくなっているものの、かつては農業などの議題も多かったらしい。
そして、その集まりに四季神である蓮も参加しているのだ。
四季神は神の中でも神格は上位だけれど、その上にはまだ多くの神が居るので、年一のご挨拶も兼ねている。
「もうそんな時期ですか」
まだ盛夏ではあるが、神無月まであと数ヶ月。冬の神である蓮は冬は忙しくなるうえに、この地域は冬の食物は秋に蓄えなければならない。
その為、神無月までの期間は何かと忙しいのだ。
「ええ、銀花は今年も六花さんとハルトさんが面倒を見て下さいます」
「そうですか。本格的に連れて行くのはあと数年後ですかね」
銀花は蓮が冬の神だと判明した最初の神無月に出雲大社へ顔を出したきりだ。立派に神としての役割が判明してからで構わないという計らいのもとだが、天狗の里で学ぶようになって、天花からも太鼓判が押されるほどの素晴らしい学びっぷりらしい。
「その予定です。今年から冬の見回りと寒気の調整を具体的に見せるつもりです」
「承知しました。その準備もしておきます」
「よろしくお願いします。あと」
「あと?」
「大和と暁は出雲大社へ連れて行きます」
「はい……えぇ!?」
思わず返事をしてしまったけれど、双子は産まれたばかりの神だ。天狗の里で多少勉強をしたと言えど、まだまだ幼く弱い。
「今年生まれたので、ご挨拶には行かなければ。彼らが赤子のままであれば、今年は報告だけにするつもりでした。しかし、彼らは今や少年程に大きくなりましたし」
「で、でも問題を起こすかも……」
日本の各地から数多の神々が集まるのだ。いくら蓮の……四季神の元で産まれた神であろうと、神議りの間はその格ごとに部屋が異なる。
自身と天花は神使としてお供をするけれど、それはあくまでも蓮の神使だ。他の部屋にはほとんど行くことがない。目が届かない場所で、あの二人が何をしでかすか……気が気ではないだろう。
「来年でも良くないですか?」
「いえ。今年です」
「そうですか……」
「色々ありましたから……風花さんの気が重くなるのもよく分かります。でも、彼らには一刻も早く大人になって頂きたい」
なぜ、と聞きたくなったけれど、蓮が決定したことだ。これはきっと恭吾と話し合いを重ねて出した結論に違いない。ならば、神使が口を出せるようなことてはないだろう。
「承知しました」
「神議りの世話役で、今年も華月様とねね坊がいらっしゃるそうです。二人なら他の神議りの部屋に出入りもするので、大丈夫でしょう」
不安ではあるけれど、天狗の里で指導役をしていたという寧月がいるなら大丈夫だろう。そう自分の心に言い聞かせることしかできなかった。
その日の夜、蓮と恭吾は湯浴みを済ませると自室に戻っていった。
家族が増えたけれど、こうして銀花は天狗の里に修練に出たままで、更に大和と暁は六花の家に泊まりに行ってしまうと広い屋敷は静まり返る。
書物を読む気にもなれず、文を書く気にもなれず、ふと酒でも飲むかと思ってしまった。普段ならそんな気になることはないのだれど、きっも昼間に聞いた神無月への不安がそうさせているのだろう。
台所から日本酒と軽いツマミを皿に用意して自室に戻る。
縁側に座り、月を眺めつつ、風を楽しむ。木々が葉を揺らす音は、虫の音と相まって豊かな山を表現しているかのようだ。
「ふぅ……」
ゆっくりと徳利からお猪口へ日本酒を注ぐ。冷酒にしたかったけれど、六花から貰っているクーラーボックスという保冷機能のある箱に入っている氷には限度がある。
それに暑いといえども、ここは冬の神である蓮の屋敷だ。蓮が居るだけで適度に屋敷は冷やされるし、比較的標高が高い山なので夏でも夜は涼しくなる。
常温がちょうど良い。
「んぅー!! 美味しい!!」
川で冷やしていた冷たいきゅうりとトマトをつまみにしたので、余計に常温の日本酒が身体に染み渡る気がした。
ふと、蓮と恭吾について考えた。彼らはいつまで神として存在するのだろうか。かつての冬の神は、結局なぜ蓮にその役目を譲渡したのかよく分からない。きっとこれは永遠に分からないままなのだろう。
神である蓮と恭吾、それに銀花は人間の信仰があり続ければ永遠と存在し続ける。
そうなると、今度は鬼の寿命について考えた。鬼は長い者だと数百年、短いと数十年とその幅が広い。これは鬼の種類によるらしい。自分達のような人間の身体と大きさが似ている鬼は数百年の可能性高く、小鬼と呼ばれる人間の掌程の鬼は数十年ということだ。
まだ鬼として産まれて六十年程の自分たち三つ子は、まだまだ産まれたてと変わらないのかもしれない。
「あ、六花は人間か」
六花とハルトは人間年齢で三十代。長くてもあと五十年から六十年。元気なら七十年……やはり、人間の命は短い。
「華月は……天狗も長生きだよな」
天狗の中では人間の中で馴染んで暮らしている者も多けれど、長生きしすぎるのである程度したら里に戻るようにしているとのことだ。そうしてまた別の場所で人間の輪に入る。
なんとも不思議な生活だ。
そんな天狗の里の長に嫁いだ天花は、鬼ではあるけれどその役目をしっかりと果たしている。本当に凄い鬼だと思う。それと、天花と華月の寿命はそんなに変わらないはずだ。それも安心の一つだ。
「……大和と暁は神様だから、信仰が無くなったら消えるのか」
ふと、あの湖で誰の信仰を得ているのだろうかと考える。
あの場所は人間が立ち入ることは滅多にない。この山への信仰が深い者が極々稀に迷い込むが、それは蓮や恭吾がきちんと里山に戻れるように見回りを欠かさない。
もしかしたら、その迷い込んだ人が湖の水で生きながらえたので勝手に心のどこかで有難みを感じ続けているのかもしれないが、たったそれだけで湖の神が、しかも双子という稀な神が産まれるだろうか。
「……ってことは、その人が死んだら双子は消えるのか?」
言葉にすると妙な胸騒ぎがしてしまい、徳利から直接日本酒を煽る。
「――はぁぁぁ!! 違う違う!! この山一体の信仰が湖に集まったと思うのが一番それっぽい!! はい、終わり!!」
一息吐いて空を見る。すると、声が聞こえてきた。それは良く良く知っている蓮の声であり、銀花が産まれるまでは毎晩のように聞こえていたものだ。
蓮の甘くねだるような声を聞いたのは、本当に久しぶりだ。銀花が産まれてからも交わっていたのかもしれないけれど、声を押し殺していたのかもしれない。
「もしくは昼の見回り中に山の中で……とか」
明るい場所でなんてと一瞬思ったけれど、開放感というやつかもしれない。ふと、どんな感じだろうかと想像してしまい、フルリと身体が震えてしまった。
これはきっと酒のせいだ。何度か自慰行為をしたことはあるけれど、射精後のなんともいえない空虚な感覚が嫌だった。そして、それを必要ないと思ってしまい何年もそれを致していなかった。だから、今、溜まりに溜まってしまったものを無性に出したくなっただけだろう。
自分自身に言い訳をして、寝巻きの前をくつろげる。昔は褌をしていたけれど、今は人間が作った下着が洗うのも着るのも楽だと知り、ボクサーパンツというものを着用している。
腰を上げて下着を脱ぎ捨てると、月明かりに勃起した魔羅が照らされた。
蓮の喘ぎ声で抜くのは嫌だ。しかし、別に女の身体にも興味があまりない。何を妄想のネタにしようかと思いつつ、手に唾液を垂らし魔羅を握った。
ゆっくりと扱きながら、先端を指先で弾く。すると先走りがトロリと溢れ出し、扱く手の滑りが良くなった。
「んッ……」
雄々しく脈打つそれは、本来ならば誰かに挿れて腰を振り、柔らかい中を擦りながら互いの絶頂で子種となる精を最奥で放つのだろう。
ふと、蓮にもこの魔羅はあるな。と思ってしまった。兄弟である天花にも。そして人間のハルトにも。
しかし、その二人はそれを挿れることなく、逆に受け入れて、相手からの重く熱く激しい愛の塊である精を身体の最奥で受け止めている。
「――俺、は」
どちらかといえば、受け入れたい。挿れる想像はできないけれど、挿れられる想像は出来るかもしれない。
空いた手で徳利から残りの酒を喉に流し込む。そして、その手を口に入れて垂れるくらい唾液を指に絡ませた。
縁側に寝転がり、足を開いて後孔に指を添える。何も受け入れたことがないそこに、指を一本差し込むと、以外にもすんなりと受け入れ飲み込んだ。
(違和感はあるけど、まぁ平気だな)
指を二本に増やしそれを少し動かしながら、握ったままの魔羅の手も上下に扱く。
「ぁ――くっ」
これは魔羅と後孔のどちらに対しての快感かは、正直よく分からない。しかし、どちらも嫌ということではないので、そのまま目を瞑り続けることにした。
(誰か、誰、相手……いない、そんなのいないから、とりあえず、具体的な人じゃなくて、そう、身体はガッシリした方が良いな。筋肉がついてて、鍛えてる感じで、それで、男の俺でも軽く持ち上げられるような)
そんな顔の無い相手の身体だけを想像し、その相手が滾る魔羅を自分の中で激しく動かし求める姿を想像する。
(甘い言葉も、そう、俺が甘えられるように)
ぐじゅぐじゅと泡立つ音が下半身から聞こえる。それが想像の筋肉質の男にされているのだと思うとゾクリと身体が震えた。
「アァッ――!!」
頭の中の男が、優しく「身体を預けろ」と言ってくれる。たったそれだけの言葉に、あっさりと絶頂を迎え思い切り吐精をしてしまった。
ドクドクと何度も吐き出す精は手に収まりきらず、指の隙間から床に垂れた。
「はぁーー……」
後孔から指を引き抜き身体を起こす。そして、ちり紙を入れている箱に手を伸ばし、出たばかりの熱い液を拭い取る。
(何やってんだろ……)
最後は多分、魔羅を擦っていただけだった。後孔に挿れていた指は動いておらず、ただそれが挿入されていたというだけだろう。
何だかとても虚しく思えてしまい、徳利を持ち上げ口を付けた。だが、もう数滴しか残っておらず。余計に虚しさが増した。
片付けをして、水場で手を洗い、布団に入る。これからしなければならないその光景を思い浮かべ、思わずため息を吐いた。
いつの間にか夜は更け、蓮達の声も聞こえなくなっていた。
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漁師の働き方は、さまざま。
漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。
出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。
休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。
個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。
漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。
専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。
資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。
漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。
食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。
地域との連携も必要である。
沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。
この物語の主人公は極楽翔太。18歳。
翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。
もう一人の主人公は木下英二。28歳。
地元で料理旅館を経営するオーナー。
翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。
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この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。
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