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6.特別
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秋が深まり、夜の冷え込みが厳しくなってきた十月下旬。天狗の里に修練出ていた銀花が、天花と紅月と共に帰ってきた。
「おかえりなさい。元気そうでなによりです」
居間には久しぶりに大勢が集まり、和やかな雰囲気だ。
「蓮様、今年も宜しくお願いします」
「こちらこそ。天花さんと風花さんが居てくださり、心強いです」
神無月で出雲に向かう準備で、毎年数週間前から天花は里帰りをしている。まだ連れて行くことのできない銀花と紅月は、その期間を六花とハルトの家で過ごしている。
「今年は行けると思ったのになぁー」
不満気な声を出した紅月に、天花はまだまだと笑いながら伝えた。神議りの手伝いは多くの妖も集う。それを取りまとめている天狗の里からは、長である華月とその補佐で一人か二人が出席する。
本来なら、華月の嫁である天花が担うのだけれど、天花は華月の嫁であるが蓮の神使でもあるのだ。そして、役割として神使の方が重要視されているので、蓮と共に行動をしている。
その為、現在の補佐は寧月のみ。
あと数年もすれば、紅月も補佐として参加するようになるだろう。
「まぁいいじゃない。今年も六花とハルトと沢山遊べるし!」
「そうだな!」
「ふふ、ちゃんと修練もするんですよ?」
幸せそうな蓮に釘を刺され、二人は照れたように返事をした。
「そういえば、大和と暁は行くんですよね。準備はどうですか?」
会話に全く入っていなかった双子は、まさか自分達の話題になると思ってもみなかったようでビクリと背筋を伸ばした。
「えっと、はい! 大丈夫です!!」
銀花の言葉に暁が焦って返事をしたが、その内容に思わず茶を吹き出しそうになりつつ顔の前で手を振った。
「いやいやいや、まだ全然。主要な神の名前覚えるので必死だから、自分達と神議りする神達の名前は全く覚えてないよ」
「ふーちゃん!! 少しは覚えたから!!」
「まだそこまで進んでないだけです!!」
焦ったように言い訳をする二人が面白くてクスクスと笑ってしまったが、ふと思い出して顔を引き締める。
「そうだ。その件で蓮様にご相談が」
「? 何でしょう? 風花さん」
「俺はこれから天花と神議りの準備といつもの家事、あと紅月様と銀花のお世話係でもあるので、大和と暁の勉強まで手が回りません。なので、銀花から大和と暁に教育をお願いできませんか?」
その言葉に一番驚いたのは銀花だったようで、いやいやいや!! と声を出した。
「私はまだそんな教える立場では!!」
「いや、いいんじゃないか?」
その銀花の言葉を遮ったのは以外にも恭吾だった。
「銀花は復習しながら二人に教えられるし、不安なら俺もそこに立ち会おう。実は俺は神議りで蓮の横にいることが多いから、あまり他の神については知らないんだ。紅月も暇な時は参加すればいい」
「ち、父上に教えるだなんて!!」
「そんな気負わずに、ただの学習会だとおもえばいいさ。得意分野があれば紅月が講師になってもいい。あとはそうだな、俺も現地の雰囲気なら教えられる」
にこにこと微笑んで話す恭吾に誰も反対できず、銀花がうぅと唸る。すると、その固くなった雰囲気をぶち壊すように天花がいいなぁと呟いた。
「私も参加したいです! 神使としてなら私が講師できますよ?」
「ちょっ!! 天花!! 俺らの仕事が詰まるからって話なのに仕事増やしてどうするんだよ!!」
「どうにかしましょう! 出来るでしょ? 風花なら! どうせなら、六花とハルトも呼びましょう」
ワクワクが収まらない天花の言葉に、今度は蓮までも「時間が出来たら参加します」と言いはじめ、もはや何がなにやら……。しかし、そんな和やかな雰囲気に心が暖かくなるのを感じた。
しかし、実際に神議りまでの忙しい期間が始まると、やはり勉強に参加出来る暇が全くない。
朝は早く起きて、全員の朝餉の準備。蓮と恭吾の見回りの見送りをした後はすぐに朝餉の片付けと洗濯。掃除。それが終わった後に天花と神議りの準備と打ち合わせをして、昼餉、そして片付けと、洗濯を回収し、また神議りの準備、そして夕餉の準備と風呂の準備、そしてその片付け……。
銀花と紅月の世話もあるけれど、それは最低限衣服を整えたり、不足があれば六花に伝えて用意をお願いをしたり、必要があれば自ら集落まで降りて調達する。
さらには、冬の厳しいこの山にとって、秋の実は重要なものだ。その為、備蓄のために簡単な畑仕事や山の果物を取りに行かねばならない。保存食も作る。
毎日が本当に瞬きの間に終わっていく。
ヘトヘトになって布団に倒れ、紙と筆を引き寄せ、やるべきことや心残りを書き留め、明日の自分に託す程だ。
いつもならここで寝てしまうのだけれど、ふと大和と暁の顔が浮かんだ。
(最近、ちゃんと話したのはいつだっけか??)
食事の時に顔を合わせているが、流し込むように食事をして別の作業をしているので双子との会話は殆どない。
大丈夫だろう。何も報告がないということは何も無いのだ。
そう思うことにして、目を瞑る。すると疲れた脳はすぐに休息をとりはじめたのだった。
風花が毎日走り回っている。
忙しいのは分かっているし、自分達も覚えることが多すぎて手伝いをする時間もない。
しかし、それでも不満はつのる。
「なぁ、銀花。母上に会ったか?」
「いえ。今日は朝餉の時だけですね」
「そっか、じゃぁ風花さんには?」
わずかな休憩時間に、銀花と紅月が茶を飲みながら話を始めた。その内容に風花の名前が出て、思わず耳を大きくする。
「会いましたよ。厠へ行く途中に大荷物を抱えていたので、少し手伝いました」
「あー、そっか。資料頼んだんだけど、忘れてるよな。忙しいのに悪いことしたなぁ」
「あ、それなら聞いてます! 天狗の里に使いを出したから、夕方には届くはずだと」
「マジか! 良かった! あれがあったら、明日は講義できそうだな」
思わず唇を噛んだ。
全く話せていない自分や暁と違い、銀花と紅月は風花と話す機会がある。それは致し方ない。銀花は蓮の子であり、紅月は天狗の里の長と天花の子だ。風花にとって特別。
頭では理解していても、溜まる不満は抑えきれない。
「それ、自分でやるべきだったのでは?」
「は?」
思わず言葉に出してしまった。特大の不満を声色に乗せたそれを、紅月は攻撃だと受け取ったようだ。
言い直さねば、そう思うのに悪態は堰を切ったように溢れ出す。
「天狗の里なら、紅月が自分で連絡する方が早いですよね? なんで忙しい風花さん頼んだんですか? 天花さんでも構わないですよね?」
「……何キレてんの? 風花さんが里に連絡するっていうから、頼んだんだよ。無理は言ってない」
「でも、風花さんにとって紅月の言葉は世話のひとつになるんですよ。予定がなくても、そうおっしゃるでしょうね。そんなことも分からないんですか?」
「必要だから、頼んだ。なんだよ大和。何か問題ある?」
「その相手はふーちゃんじゃなくても良かったんじゃないか?」
ここで暁まで参加してしまい、その場は凍りついたような空気が流れる。
「大和、暁。落ち着いて。ほら紅月も」
間をとりもとうとした銀花だけれど、その言葉は誰の心にも全く響かない。
「お前らの方がよっぽど風花さんに迷惑かけてんじゃん」
「は? オレら、何もしてないけど? ふーちゃんとそもそも話してないし」
「あー、そういうこと。要は、風花さんと話せなくてモヤモヤしてんのか。甘えたちゃんのお子ちゃまだな」
「こ、紅月……」
やめなよと言うように銀花が紅月の肩に手を置くが、それを気にもせず口元を手で隠しながら馬鹿にしたよう笑う紅月に、頭の中でプツンと何かが切れた。
「お前!! 今なんて!!」
「あ!? 正解過ぎて恥ずかしいんだろ!? なんでもかんで風花風花って!!」
「大切なことの何が悪いんですか!! 風花さんは私達にとって神も同然!!」
「はァ? 神なのはテメェらだろ? お前らのソレは母親取られたガキの執着だな!!」
「違います!! 私達にとって、風花さんは母親ではない!!」
「じゃぁなんだ!? 恋人か!?」
「――!!」
今は恋人ではない。でも、母親を慕うそれとは絶対に違う。風花は世話をする対象としてしか見ていないと思う。分かっている。けれど……。
「げ、マジかよ……」
「……私達は、風花さんを愛しています」
「私達?」
銀花の言葉に、暁が小さく「オレもふーちゃんを愛してる」と呟いた。
それを聞いた紅月は頭をガシガシと乱暴に掻いた。
「はぁーーーーッ。そういうことかよ。わかった」
何が分かったのだろうか。ただ、もう互いに激昂しているわけでも、怒りを覚えているわけでもないことは理解できた。
「黙っていて下さい」
「風花さんに? そりゃ黙ってるけどさ……なんで風花さんなの?」
「……それは、今は言えません」
「あっそ。で、風花さんを嫁にしたいのか?」
「え?」
「……嫁」
嫁という紅月の言葉に、思わず暁と顔を見合わせる。
もちろんそうなれば嬉しい。でも、きっと風花は私達を選ばないような気がする。
それは暁も同じのようで、こちらを見ていた目はゆっくりと地面に向けられた。
「烏滸がましいことは考えないさ」
「……暁」
悲しげな声に、胸が苦しくなる。
「あっそ。……神議りで、きっともっと風花さんは構えなくなる。ブチ切れんなよ?」
「気を付けます」
紅月と銀花。少しの期間だけれど、天狗の里で仲良く過ごした気兼ねない友人。もうすぐでその人達も居ない期間が訪れるのだ。
不安がただグルグルと闇を纏って巡り始めた。
「おかえりなさい。元気そうでなによりです」
居間には久しぶりに大勢が集まり、和やかな雰囲気だ。
「蓮様、今年も宜しくお願いします」
「こちらこそ。天花さんと風花さんが居てくださり、心強いです」
神無月で出雲に向かう準備で、毎年数週間前から天花は里帰りをしている。まだ連れて行くことのできない銀花と紅月は、その期間を六花とハルトの家で過ごしている。
「今年は行けると思ったのになぁー」
不満気な声を出した紅月に、天花はまだまだと笑いながら伝えた。神議りの手伝いは多くの妖も集う。それを取りまとめている天狗の里からは、長である華月とその補佐で一人か二人が出席する。
本来なら、華月の嫁である天花が担うのだけれど、天花は華月の嫁であるが蓮の神使でもあるのだ。そして、役割として神使の方が重要視されているので、蓮と共に行動をしている。
その為、現在の補佐は寧月のみ。
あと数年もすれば、紅月も補佐として参加するようになるだろう。
「まぁいいじゃない。今年も六花とハルトと沢山遊べるし!」
「そうだな!」
「ふふ、ちゃんと修練もするんですよ?」
幸せそうな蓮に釘を刺され、二人は照れたように返事をした。
「そういえば、大和と暁は行くんですよね。準備はどうですか?」
会話に全く入っていなかった双子は、まさか自分達の話題になると思ってもみなかったようでビクリと背筋を伸ばした。
「えっと、はい! 大丈夫です!!」
銀花の言葉に暁が焦って返事をしたが、その内容に思わず茶を吹き出しそうになりつつ顔の前で手を振った。
「いやいやいや、まだ全然。主要な神の名前覚えるので必死だから、自分達と神議りする神達の名前は全く覚えてないよ」
「ふーちゃん!! 少しは覚えたから!!」
「まだそこまで進んでないだけです!!」
焦ったように言い訳をする二人が面白くてクスクスと笑ってしまったが、ふと思い出して顔を引き締める。
「そうだ。その件で蓮様にご相談が」
「? 何でしょう? 風花さん」
「俺はこれから天花と神議りの準備といつもの家事、あと紅月様と銀花のお世話係でもあるので、大和と暁の勉強まで手が回りません。なので、銀花から大和と暁に教育をお願いできませんか?」
その言葉に一番驚いたのは銀花だったようで、いやいやいや!! と声を出した。
「私はまだそんな教える立場では!!」
「いや、いいんじゃないか?」
その銀花の言葉を遮ったのは以外にも恭吾だった。
「銀花は復習しながら二人に教えられるし、不安なら俺もそこに立ち会おう。実は俺は神議りで蓮の横にいることが多いから、あまり他の神については知らないんだ。紅月も暇な時は参加すればいい」
「ち、父上に教えるだなんて!!」
「そんな気負わずに、ただの学習会だとおもえばいいさ。得意分野があれば紅月が講師になってもいい。あとはそうだな、俺も現地の雰囲気なら教えられる」
にこにこと微笑んで話す恭吾に誰も反対できず、銀花がうぅと唸る。すると、その固くなった雰囲気をぶち壊すように天花がいいなぁと呟いた。
「私も参加したいです! 神使としてなら私が講師できますよ?」
「ちょっ!! 天花!! 俺らの仕事が詰まるからって話なのに仕事増やしてどうするんだよ!!」
「どうにかしましょう! 出来るでしょ? 風花なら! どうせなら、六花とハルトも呼びましょう」
ワクワクが収まらない天花の言葉に、今度は蓮までも「時間が出来たら参加します」と言いはじめ、もはや何がなにやら……。しかし、そんな和やかな雰囲気に心が暖かくなるのを感じた。
しかし、実際に神議りまでの忙しい期間が始まると、やはり勉強に参加出来る暇が全くない。
朝は早く起きて、全員の朝餉の準備。蓮と恭吾の見回りの見送りをした後はすぐに朝餉の片付けと洗濯。掃除。それが終わった後に天花と神議りの準備と打ち合わせをして、昼餉、そして片付けと、洗濯を回収し、また神議りの準備、そして夕餉の準備と風呂の準備、そしてその片付け……。
銀花と紅月の世話もあるけれど、それは最低限衣服を整えたり、不足があれば六花に伝えて用意をお願いをしたり、必要があれば自ら集落まで降りて調達する。
さらには、冬の厳しいこの山にとって、秋の実は重要なものだ。その為、備蓄のために簡単な畑仕事や山の果物を取りに行かねばならない。保存食も作る。
毎日が本当に瞬きの間に終わっていく。
ヘトヘトになって布団に倒れ、紙と筆を引き寄せ、やるべきことや心残りを書き留め、明日の自分に託す程だ。
いつもならここで寝てしまうのだけれど、ふと大和と暁の顔が浮かんだ。
(最近、ちゃんと話したのはいつだっけか??)
食事の時に顔を合わせているが、流し込むように食事をして別の作業をしているので双子との会話は殆どない。
大丈夫だろう。何も報告がないということは何も無いのだ。
そう思うことにして、目を瞑る。すると疲れた脳はすぐに休息をとりはじめたのだった。
風花が毎日走り回っている。
忙しいのは分かっているし、自分達も覚えることが多すぎて手伝いをする時間もない。
しかし、それでも不満はつのる。
「なぁ、銀花。母上に会ったか?」
「いえ。今日は朝餉の時だけですね」
「そっか、じゃぁ風花さんには?」
わずかな休憩時間に、銀花と紅月が茶を飲みながら話を始めた。その内容に風花の名前が出て、思わず耳を大きくする。
「会いましたよ。厠へ行く途中に大荷物を抱えていたので、少し手伝いました」
「あー、そっか。資料頼んだんだけど、忘れてるよな。忙しいのに悪いことしたなぁ」
「あ、それなら聞いてます! 天狗の里に使いを出したから、夕方には届くはずだと」
「マジか! 良かった! あれがあったら、明日は講義できそうだな」
思わず唇を噛んだ。
全く話せていない自分や暁と違い、銀花と紅月は風花と話す機会がある。それは致し方ない。銀花は蓮の子であり、紅月は天狗の里の長と天花の子だ。風花にとって特別。
頭では理解していても、溜まる不満は抑えきれない。
「それ、自分でやるべきだったのでは?」
「は?」
思わず言葉に出してしまった。特大の不満を声色に乗せたそれを、紅月は攻撃だと受け取ったようだ。
言い直さねば、そう思うのに悪態は堰を切ったように溢れ出す。
「天狗の里なら、紅月が自分で連絡する方が早いですよね? なんで忙しい風花さん頼んだんですか? 天花さんでも構わないですよね?」
「……何キレてんの? 風花さんが里に連絡するっていうから、頼んだんだよ。無理は言ってない」
「でも、風花さんにとって紅月の言葉は世話のひとつになるんですよ。予定がなくても、そうおっしゃるでしょうね。そんなことも分からないんですか?」
「必要だから、頼んだ。なんだよ大和。何か問題ある?」
「その相手はふーちゃんじゃなくても良かったんじゃないか?」
ここで暁まで参加してしまい、その場は凍りついたような空気が流れる。
「大和、暁。落ち着いて。ほら紅月も」
間をとりもとうとした銀花だけれど、その言葉は誰の心にも全く響かない。
「お前らの方がよっぽど風花さんに迷惑かけてんじゃん」
「は? オレら、何もしてないけど? ふーちゃんとそもそも話してないし」
「あー、そういうこと。要は、風花さんと話せなくてモヤモヤしてんのか。甘えたちゃんのお子ちゃまだな」
「こ、紅月……」
やめなよと言うように銀花が紅月の肩に手を置くが、それを気にもせず口元を手で隠しながら馬鹿にしたよう笑う紅月に、頭の中でプツンと何かが切れた。
「お前!! 今なんて!!」
「あ!? 正解過ぎて恥ずかしいんだろ!? なんでもかんで風花風花って!!」
「大切なことの何が悪いんですか!! 風花さんは私達にとって神も同然!!」
「はァ? 神なのはテメェらだろ? お前らのソレは母親取られたガキの執着だな!!」
「違います!! 私達にとって、風花さんは母親ではない!!」
「じゃぁなんだ!? 恋人か!?」
「――!!」
今は恋人ではない。でも、母親を慕うそれとは絶対に違う。風花は世話をする対象としてしか見ていないと思う。分かっている。けれど……。
「げ、マジかよ……」
「……私達は、風花さんを愛しています」
「私達?」
銀花の言葉に、暁が小さく「オレもふーちゃんを愛してる」と呟いた。
それを聞いた紅月は頭をガシガシと乱暴に掻いた。
「はぁーーーーッ。そういうことかよ。わかった」
何が分かったのだろうか。ただ、もう互いに激昂しているわけでも、怒りを覚えているわけでもないことは理解できた。
「黙っていて下さい」
「風花さんに? そりゃ黙ってるけどさ……なんで風花さんなの?」
「……それは、今は言えません」
「あっそ。で、風花さんを嫁にしたいのか?」
「え?」
「……嫁」
嫁という紅月の言葉に、思わず暁と顔を見合わせる。
もちろんそうなれば嬉しい。でも、きっと風花は私達を選ばないような気がする。
それは暁も同じのようで、こちらを見ていた目はゆっくりと地面に向けられた。
「烏滸がましいことは考えないさ」
「……暁」
悲しげな声に、胸が苦しくなる。
「あっそ。……神議りで、きっともっと風花さんは構えなくなる。ブチ切れんなよ?」
「気を付けます」
紅月と銀花。少しの期間だけれど、天狗の里で仲良く過ごした気兼ねない友人。もうすぐでその人達も居ない期間が訪れるのだ。
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