へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

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第2章

夢だった

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  太一は湯船の中で寝ていた。湯船に沈んで溺れ掛けた為に急に目が覚めたのだ。いかんいかんと思いつつ、先程シャロンと一緒にお風呂に入っていたのが夢だったのだと理解した。ホッとしたのと残念に思う気持ちが有った。

 太一は確かにあの子は綺麗でいい子だよなと呟いていた。そう短い間だがシャロンと言う女性と一緒に過ごし、彼女の人となりに興味を持ち、異性として意識してしまったのだ。恋愛をした事のない太一に初めての恋心が目覚めたのである。

 先程の事も太一の欲求不満なのか、ただの願望なのかシャロンが気になって気になって仕方がなく、あんな夢を見たのかな?そんな感じであった。その後風呂を出たが、メイドさん達が体を洗いに来たり、体を拭きに来てくれるようなイベントもなく、お風呂を出て行った。

 お風呂場に入る前に入口の所に札を立てるように言われていて、太一入浴中と書かれた札を渡され、それを掲げていたので誰も入って来なかっただけの話である。

 シャロンは真面目で融通が効かないが、一途で真っ直ぐな心。命を助けた事もあり、自分の事を慕ってくれる。多分抱かせろと迫ると身を委ねて来る筈だと確信していた。勿論そんな事を要求しないが、今の太一には有り難い存在で、生活の中で彼女に依存している割合があまりにも高い事に改めて気が付き、シャロンに感謝していた。

 太一は風呂を上がり、用意して貰っている自室に行き、色々な事を考えていた。この屋敷の住人として部屋を割り当てられていたのだ。

 暫くするとドアがノックされ、トレーに飲み物とちょっとした茶菓子を持参したシャロンが現れた。

 彼女は手に何かノートのような物を持っていた。後はもう寝るだけの状態のようで、寝巻き姿であった。お風呂を上がったばかりだからだろうか、ほんのりと良い香りがしているのと、顔が紅潮し赤らんでいるからか、妙に色っぽく魅力的で、抱きしめたくなる衝動を抑えるのに必死だった。

 どうしたのと聞くと、文字を教えに来たと言う。

 太一が文字が読めないという事が分かっており、今日何度となく色々な質問をしていたので、字を教えなければと思ったのだ。フローラから言われたのもあり、紙等を買っていたのである。

 文字を教える前にシャロンは太一に、こちらの世界の事について少しレクチャーをする事にした。また、盗賊に捕まった時の事を話してくれた。

「あの時は本当に怖かったんです。見張りの者が倒され、寝込みを襲われたんです。私もまだ未熟だったのと、魔法を封印する結界を先に張られてしまい、あっさり捕まってしまいました。幸いだったのは、私を捕まえた者が、盗賊達の頭領に私を差し出す為、他の盗賊にまだ手を付けるなと言っていた事でしょうか。結果的に太一様が駆け付ける時間が得られたのです」

 なるほどと思った。あの程度ならシャロンの魔法で切り抜けられた筈だったから謎が溶けたのだ。

 そして文字を教える前にお礼を言い始めた。

「太一様のお陰で犯されずに済みました。あの、言っておきますけども、私はまだ処女ですからね!」

 真面目な話としてシャロンが説明をしてきた。

 この世界では結婚相手が初めての男性だというのが常識だと言っていた。そうでないものは売女として罵られる対象になると言う。どうやって処女で失くなったかが問題ではなかった。

 この世界では結婚するまで処女かどうか、そちらの問題が大きいのだと言う。なので犯されずに済んでいた自分はまだ処女ですと言う事を強調していた。相思相愛でも、再婚以外で相手が処女じゃないだけで分かれるのは当たり前だという。初夜の時に経験済みだった事が発覚して結婚が反故になった等と言う話しが時折聞かれるのだと。

 勿論シャロンの希望も結婚相手が初めての相手という事を望んでいると言う。

 なので太一が自分に手を出すと言うのは、シャロンを娶る事だと言う事を暗に示唆していた。勿論太一は遊びで女性を抱くつもりは無かった。

 ましてやそういう倫理観を聞かされた後では、抱く事の重さが違うのである。

 またシャロンが信じられない事をボソッと言った。

「太一様は何人位の女性を娶りたいのですか?又は娶るつもりですか?」

 そうこの世界は一夫多妻制であった。またシャロンは

「もし私を娶って頂けるなら、出来れば第一夫人にして頂けると嬉しいです」
 
 そんな事を言っていた。強い男性が複数の女性を娶り、強い子孫を残すのが強い男の責務だと言う。

 魔物との戦いで多くの男性が命を落としてしまい、出生率は男女ほぼ半々なのだが、成人男性の数が圧倒的に少なく、男女比は1:2か1:3の割合になってしまっていると言うのであった。

 太一は釈然としなかったが頷いてから分かったと一言言う。

 するとシャロンは満足したようで、文字の読み書きを教え始めた。太一はシャロンから教えられた事をどう受け止めたものか判断に迷っていた。

 それはともかく、大事な文字の勉強だ。太一なりに毒がくで文字を学ぼうという思いもあったので、自分で文字の変換表を作る事にした。

 まずアイウエオなどの五十音を書いて行き、50音を読みな示し、そこの横にシャロンに文字を一文字ずつ書いてもらう。

 諸事情があり複雑な状況であった。どうあがいてもスキルか何かの関係で言語翻訳されているのだが、文字を認識し読み書きするのは時間が掛かりそうではあったが、着実に一つ一つこなしていこうと太一は頑張る。

 ただシャロンは驚いていた。教えた事を次の瞬間には取得しているのだ。普通は何にしろ、何度も書き写したりする反復練習が必要であるが、太一には必要なかった。一度書けばそれでその文字が書けるようになっているのだ。

 シャロンはテーブルの向かいに座り、頬杖をつきながら太一が文字を学んでいる所を見ていた。図鑑等を持ってきて、図鑑の字を読む練習をしていた。そんな様子を見てシャロンはニコニコしながら見つめていた。しかしそのうちシャロンの方がウトウトしてしまい、ついに寝てしまった。1時間程経っただろうか、太一は集中しており、シャロンが寝てしまった事に気付いていなかった。


 ふと見るとシャロンが寝ていた。手を伸ばせばそこにシャロンの体がある。頭の中に響くのだ。据え膳だ!やってしまえと。またもう一つ声がする。女の寝込みを襲うなどと男として恥ずべき行為だ!

 頭の中で両者が戦っていた。太一は頭をブンブンと振り、どうしたものか考える。
 隣なのだが、実はシャロンの部屋を知らないのだ。仕方がないのでシャロンをお姫様抱っこし、太一の部屋のベッドに寝かせて行く。シャロンは太一に抱き上げられた瞬間に目が覚めた。しかし寝たふりをし、シャロンはドキドキし始めた。このまま太一に求められてしまうのであろうかと。それも良いのかなと思う。元々太一に救われた純潔だ。彼にはそれを受け取る権利があるのだと。そういう世界だし、太一に心酔しているのだ。

 しかし太一に求められる事も、寝込みを襲われる事もなくただ布団をかけられた。ただ、おでこにキスをされ、お休みを言われただけだ。

「ありがとう僕の大好きなシャロン。おやすみなさい」

 どうしたものかと太一は悩んでいたが、読み書きの勉強を続けていたが、夜中になり本格的に眠くなる。眠気には勝てずに太一はうとうとし、人生初の美少女と一緒の布団に入る機会を逃し、机に突っ伏したのであった。
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