へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

KeyBow

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第2章

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 馬を眠らせ、3人はダンジョンに入ったが、ダンジョンに入った途端に異変が発生した。そう、太一の様子がおかしかったのだ。

 ガチガチ震えていて、動けず、その為に前方から向かってきた獣型にあっさり体当たりを喰らってしまい、腕を噛まれ、投げ飛ばされて壁に激突し、重傷を負ってしまった。

 シャロンとノエルがいきなり慌てる羽目になった。追撃をしようとしていた為太一と魔物の間に割って入り、シャロンがその魔物を倒した。そしてノエルが必死になって太一に治療魔法行なっていた。

 頭に大きな裂傷を負い、腕も半ば切断されていた。体の方は大丈夫そうだったのだが、頭の怪我が酷かった。

 ノエルの必死な治療魔法により太一の傷はスーッと引いていった。シャロンが周りを警戒し、ノエルが太一の介抱をしていた。ノエルは回復魔法の効き目に驚いていた。

 暫くして傷が癒えた太一が意識を取り戻すが、その顔は恐怖に引きつっていた。
 そんな太一を一生懸命ノエルが抱きしめて背中をさすっていた。暫くすると落ち着いたようで

「悪かった。いや、ありがとうと言うべきかな。以前ダンジョンに放り出された時に、おそらく死を覚悟した時があると思うんだ。その時の記憶が断片的に蘇ってきてるようで震えたんだ。でももう大丈夫だ。ノエルが抱きしめてくれたから。ノエルの温もりを感じたからもう大丈夫だ」

「うふふ私のおっぱいのお陰かしら?」

「どうしてそういう方向に行くかな。折角俺の中のノエルの株が上がったのに、今の一言で台無しじゃないか」
 
「株って何かしら?」

「株を知らないのか。この世界には無いのだな。そうだな、まぁ、評価が上がったのが落ちたって事だよ」

「何がダメなの?太一って私の胸好きでしょ?たまに私の胸をチラチラ見てるの知ってるんだから」

「そう、そう、そう、それはそう、それはな、それは・・ごめんなさい。見てました。確かに見てました。確かに胸は好きだけどさ、それを女の子が言うか?」

「こそこそするのはだめだよ。堂々と言えば、私にしろシャロンにしろちゃんと触らせてあげるんだからね」

 太一はため息をつく。勿論、堂々と女性に胸を触らせてくれなどと言える筈もない。勿論ノエルも太一がそんな事を言ってくるとは思わない。そうやってからかった時の太一の困った反応を見て楽しんでいるのだ。
期待通りの反応にノエルはニコニコしていたが、太一はこいつ口を聞かなければ天使だよなとため息を付いていた。

 こんな事じゃいかんと太一は頬を叩き、気を取り直し先へ進む。どれ位の広さなのか分からないが、極端な数の魔物が来る訳ではないようだ。対処可能な数が来るのだ。恐らく最終的に太一の極大魔法で魔物を倒した方が安全にダンジョンを出られると思っていた。ただ、ある程度以上の魔力を使ってしまうと、極大魔法発動時に魔力が枯渇するのが分かっている。その為、太一の魔力を温存するのだ。

 つまり最終局面では役に立つが、それまではお荷物なのだ。太一が戦えるのは、あくまでも武器の性能である。多少のステータスの恩恵による補正が掛かってはいるが、一般人に毛が生えたレベルだ。

 その為に弱い敵であれば対処できるが、少しでも強い相手が現れ、太一の瞬発力にて対処出来ない場合は強敵となってしまう。

 それはともかく太一が元気になったようなので、シャロンは先に進む事を選んだ。

 大して広いダンジョンではないようで、岩がゴツゴツした洞窟を進んでいく。分岐路を左に進むが、300m程進むと突き当たりになって引き返し、元の道に戻る。そして反対側の道に進むと階段があった。10分位で最初の階層を終え、下に降りて行く。

 ごくごくまれに下の方から上がってきたと思われるそれなりに強いものも上がってくるが、シャロンの敵ではなかった。先を急ぎ、1時間位で5階層をクリアしたのであった。
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