へなちょこ勇者の珍道記〜異世界召喚されたけど極体魔法が使えるのに無能と誤判定で死地へ追放されたんですが!!

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第2章

館へ

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 朝は普通に迎えることができた。カエデの事はシャロンがきっちり見張っており、太一の所に夜這いに行くような事もなかった。止められ頭を叩き、正座させられていたりしたとかしないとか。

 部屋割りを一度決めた後に太一の部屋はカエデにばれないように別の部屋に変えてある。
 一応そこまで徹底しておいたのだ。そんな事もあり、翌朝派カエデの不満そうな顔を見る事になった。それはともかくカエデもフローラ様の一番弟子の方の所へ同行してくれる事になったが、カエデが流石に服が欲しいと言い出した。長旅の為に碌な着替えが無い状態で、2着を着回していたので、今着ている水着としか思えないような物と作業着やコートぐらいしかないというのだ。

 太一は確かにこのままの格好で行くのはどうかとは思うのと、露出度が高すぎるのでせめて街中では普通の服を着て欲しいと思い、皆のも含め、身なりを整えてから行こうとなった。

 さすがに普段着というわけにもいかないので、せめて冒険者が着るようなそういうものの中では比較的街中にいるそういった感じの服を選んで行く。太一達は特にいらないのだが、街中用のお揃いのコートを買っていった。

 単純に仲間を分かり易くするだけの話なのだが、これは初対面の者に対する配慮であった。格好が違う者がいれば案内人か何かと思うかも分からないが、同じ物を着ていれば一つのグループなんだろうと思われるからという事であった。

 そうして教えられた住所にあった館に向かう。屋敷というような大きさではないというので、館がふさわしいだろうとカエデから言われていてた。太一が見るに確かに屋敷と言うのには小さい。かといって個人の一軒家にしては大き過ぎる位の大きさの館だった。

 そして館の玄関に行き、太一達がドアをノックする。すると反応があり、少し待っているとドアが開いた。

 そこにはメイドさんと小さな女の子が一人いた。見た目だけでいうと小学校高学年ぐらいの女の子だろうか。いわゆるゴスロリと言われるような服を着ていた。

「何用じゃ?」

 とぶっきらぼうに言う。

 伊能がつい反応してしまった。

「なんだこのガキ。年上に向かって生意気な口聞くなよ」

 伊能に対して女の子が睨んでいた。そしてその女の子が

「アラ楓さんがこちらに来るなんて珍しいわね。彼らは貴女の弟子?」

 そんな感じで質問していた。ところがいきなり稲垣が片膝をつき、リーリンのその小さな手を取り

「我々はフローラ様の一番弟子である方に会いに来ました。フローラ様からの伝言を携え、フローラ様に代わり私達を指導して頂きたく参りました。この屋敷の主の方へお目通りをお願いしたいのですが、よろしいでしょうか?小さきレディよ」

 そしてそっとその手の甲にキスをする。皆唖然としていた。

「うむ。少し間違えておる所はあるが、礼儀正しい者もおるのならまあよかろう。そこの大男の無礼はこの男の礼儀正しさに免じて不問にしてやろう」

 カエデ以外はポカーンとなっていた。

「こんな所ではなんだから、中に入って茶でも飲んでいくと良い。カエデも久し振りじゃな」

 皆がぽかんとしているのをくすくすと笑いながら

「何をそんなに驚いておる?我がそなた達が求め、会いに来たこの屋敷の主のリーリンじゃぞ?これでも26歳にさじゃて」

 皆は一様に驚きながらメイドさんに案内され館の中に入るのであった。何故かリーリンは稲垣の手を握り、引っ張っていっていた。

 太一はぼそっと

「合法ロリだな。稲垣さんの好みか・・・」

 伊能が「だな」と頷いていたのであった。
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