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第1章

第17話 講習の終わり

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 次が17、18歳位だろうか、細身で繊細な顔立ちの優男だ。男にしては長髪で後ろで縛っている。いや、周りを見ると長髪の男は珍しくないか。髪は銀髪で俺と違い男装の似合う女性のような麗人だ。まさか男の娘じゃないよなとついつい思い、寝技は止めようと心に決めてから打ち合いを始めた。

 彼は強かった。最初は様子見で軽く打ち合ったのだが、剣を弾かれた。尤も先程の様に寝技は男相手には嫌だし、そいつも同じ事を考えたようだ。

「剣を拾って本気でお願いします。模擬戦だから手加減されているのだと分かりますが、手加減しないでください。甘いかもですが出来れば魔法無しで剣で。それに剣を弾かれたのは先程のような寝技に持ち込む為の誘いですよね。その手には乗りませんよ」

「分かった。君は強いね。もしも怪我をしたとしても治すから本気で行くよ。俺って本当は魔法の方が得意なんだよな。じゃあ行くよー」

 ほぼ互角だった。俺は驚いた。あの講師より遥かに強い。多分剣はイリアよりは弱い筈だけど、それでも本気を出さないといけない。しかしスキル任せなのでボロが出始める。俺が押され始めたのだ。俺が本気というのは柔道技を使う事だ。多分スキルの影響だろう。テレビや本で見て知っている技が使える技として身に付いているっぽいのだ。筋肉バスタ○とか、卍固めとかできるかな?

 剣のみだと押され始めたので、足技を絡め翻弄し始めると、逆にこちらが押し始めた。しかも同じ所を執拗に狙う。
 そうして40合程打ち合っていると、遂にその時が来た。足に溜まったダメージで体を支えられなくなり、一瞬だがバランスを崩したのだ。俺は見逃さなかった。懐に潜り込み頭突きを喰らわせ、更に足を踏み動きを止めてから巴投げを決め込んだ。
 受け身が取れず、もろに背中を打ち付け悶絶していたので、俺は剣を首筋に当て勝負が決まった。

「悪いな。つい奥の手を使ったよ。君は強いね。今ヒールを掛けるからちょっと待っていろ。俺とほぼ互角で驚いたよ。講師さんよりは強いんだな」

「余計なお世話だ!分かっているから、君にやらせたんだ!」

 俺は優男君のおでこに手を当てながらヒールと唱える。声に出すのは不要なのだが、分かりやすいからだ。

「いやー参ったな。これでも剣には自信が有ったのに。世の中は広いですね!」

 「お前は魔法も入れたら俺より強いんじゃないのか!?」

「ははははどうでしょう。魔法はお互い様でしょう?それにしても凄いですね!2属性持ちの方と初めて相対しましたよ」

 そんな感じで妙に小さく剣だこのない女の子のような柔らかな綺麗な手だな?と思いつつ握手を交わしてから退いた。
 次が講師とイリアだったが、4合で決着した。一方的に打ち付け首筋にぴたりと剣が添えられた。

 ついでミリア。
 同じく6合で終わった。勿論スキルレンタルのお陰だ。

 総評が終わり、俺とイリア、ミリア、優男君がDランクスタートと言われた。
 講習開始時に渡していたステータスカードへの登録手続きが終わり、カードを返されたが、ちゃんとランクDになっていたのであった。
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