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第1章
第88話 閉塞!英雄散る
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振動が収まったので、俺はゲートの蓋となっているアイスボールを解除したが、その直後に兵士達はゲートに突入して行った。そして俺はというと、少し遅れてゲートに入る。
そこで見たのは、敵の死体と兵器の残骸だらけで、周辺は荒野となっていた。
俺はゲートの周辺にある様々な物を収納に入れていく。特に使えそうな武器は優先してだ。
そうしていると多分航空機が接近してくるようなので、ファイヤーボールやアイスボールで撃墜していく。
ファイヤーボールについては、いつの間にか操作する事が可能になっていた。
避けられても追従できるのだ。また、進行方向にアイスボールを出せばそこに誘導して激突させたりする。
向かってくる航空機を全機墜落させた後、一旦ゲートまで戻って撤収する事にした。
「さあ、ゲートを閉めようか!」
ミリア以外、顔が明るい。
全員城へ戻ったのを確認すると、俺はゼツエイに反対側の扉を閉めるようにお願いした。
俺の側はあっさり閉まったが、ゼツエイが動かそうとするも動かす事が出来なかった。俺が反対側の扉に回ると、さっき閉めた側がまた開く。
場所を変えても同じように俺の方は閉まるのだが、反対側が閉まらない。ゼツエイの代わりに他の者が試すも駄目で、俺が反対側に回る為に扉から手を離すと、何をやろうとも扉は開いてしまう。
「試してくる」
ゼツエイが一言発し、ゲートの向こうに回って扉を触ると動き出した。
戻ってきたゼツエイが告げる。
「調べないと分からんが、本来勇者2人で閉めるのであろう?つまるところ坊主1人では無理だ。儂の推測じゃと、勇者以外の異界の者、つまりこちら側の者であれば、こちらの世界と反対側の扉を操作出来るのであろう」
つまり誰かが向こうに残って閉めないといけない。
検証したが、向こうから閉められるのは1枚のみ。
俺は必ずこちらにいなければならなかった。俺が向こうで試すも、もう1枚がどうにもならない。
更に向こう側を閉められたのは何故か、パーティーメンバーの中だとゼツエイだけだった。
また、城の兵士100人以上が試したが、可能だったのが5名のみだ。
俺は当初、俺達のパーティー全員で向こうに行き残留する選択を考えたが、俺がこちらにいないとどうにもならない時点で不可になった。
誰かが向こうに残る選択が必要なのだ。
無情だが、くじで誰が残るのかを決めた。
そして20歳近い若い兵士が当たりを引いた。いや外れか?まあ、ここはモチベーションが下がってしまうから、当たりにしよう。
残る者は英雄となり、家族に報奨が支払われ、安全な生活が約束される。
そうしているとゲートからまた敵が現れ始めた。
またもや激しい戦いになり、何とか向こう側まで押し返し、向こうにて戦う。
向こうで激しく辛い戦いになり、敵はどんどん増える。そして押され始めた。兵士達がまた1人、また1人と死んでいく。俺もやばくなって来て、もう閉めるしかないというところまで追い込まれ、かなりの魔力を使って魔法でゲート周辺の敵を一時的に駆逐し、ゼツエイとくじを引いた兵士、俺、ミザリアのみとなった。時間稼ぎでしかなく、消費する魔力量から何度も出来ない。
ゼツエイが叫びながらくじを引いた兵を向こう側、つまり城の中へ突き飛ばした。
「坊主が最後の望みだ。世界を救えるのは坊主だけじゃ。儂のスキルを持って行け!そしてミザリアを頼むぞ!儂の事は気にするな。どうせ長くても後2ヶ月も持たん体じゃ!時間がない!さあ行け!」
ゼツエイは反対するミザリアを抱き寄せた。
「すまぬ」
一言告げるとゼツエイはミザリアのお腹を殴って気絶させた。
彼の意思が変わらないのを俺は知っている。短い付き合いだったが、それ位は理解している。俺は迫りくる敵を視認し、もう時間がないのだと悟った。ゼツエイと握手を交わすが、彼に言われた通りにはしなかった。戦闘系のスキルは奪わず、鍛冶系等を引き継いだ。そしてゼツエイは頷くと、気絶させたミザリアを俺に託し、最後にミザリアの頭を撫でた。
「行け!ミザリアへ、お前と暮らした40年は楽しかった!ありがとうと伝えてくれ。そしてお前の父親と同じ行動を許せと。前回は奴が閉めたのだ。今回は違うが、前回は奴のみが可能じゃった」
俺にステータスカードを渡すと、背中を押した。
俺は泣きながら城へと戻り、ゲートの扉を閉める。すると反対側も同時に閉まった。
ゲートが閉まると扉が一瞬光り、光が消えるとゲートも消えていた。
そして泣き崩れ、ゼツエイさん!と叫ぶミリアの姿が痛々しかった・・・
そこで見たのは、敵の死体と兵器の残骸だらけで、周辺は荒野となっていた。
俺はゲートの周辺にある様々な物を収納に入れていく。特に使えそうな武器は優先してだ。
そうしていると多分航空機が接近してくるようなので、ファイヤーボールやアイスボールで撃墜していく。
ファイヤーボールについては、いつの間にか操作する事が可能になっていた。
避けられても追従できるのだ。また、進行方向にアイスボールを出せばそこに誘導して激突させたりする。
向かってくる航空機を全機墜落させた後、一旦ゲートまで戻って撤収する事にした。
「さあ、ゲートを閉めようか!」
ミリア以外、顔が明るい。
全員城へ戻ったのを確認すると、俺はゼツエイに反対側の扉を閉めるようにお願いした。
俺の側はあっさり閉まったが、ゼツエイが動かそうとするも動かす事が出来なかった。俺が反対側の扉に回ると、さっき閉めた側がまた開く。
場所を変えても同じように俺の方は閉まるのだが、反対側が閉まらない。ゼツエイの代わりに他の者が試すも駄目で、俺が反対側に回る為に扉から手を離すと、何をやろうとも扉は開いてしまう。
「試してくる」
ゼツエイが一言発し、ゲートの向こうに回って扉を触ると動き出した。
戻ってきたゼツエイが告げる。
「調べないと分からんが、本来勇者2人で閉めるのであろう?つまるところ坊主1人では無理だ。儂の推測じゃと、勇者以外の異界の者、つまりこちら側の者であれば、こちらの世界と反対側の扉を操作出来るのであろう」
つまり誰かが向こうに残って閉めないといけない。
検証したが、向こうから閉められるのは1枚のみ。
俺は必ずこちらにいなければならなかった。俺が向こうで試すも、もう1枚がどうにもならない。
更に向こう側を閉められたのは何故か、パーティーメンバーの中だとゼツエイだけだった。
また、城の兵士100人以上が試したが、可能だったのが5名のみだ。
俺は当初、俺達のパーティー全員で向こうに行き残留する選択を考えたが、俺がこちらにいないとどうにもならない時点で不可になった。
誰かが向こうに残る選択が必要なのだ。
無情だが、くじで誰が残るのかを決めた。
そして20歳近い若い兵士が当たりを引いた。いや外れか?まあ、ここはモチベーションが下がってしまうから、当たりにしよう。
残る者は英雄となり、家族に報奨が支払われ、安全な生活が約束される。
そうしているとゲートからまた敵が現れ始めた。
またもや激しい戦いになり、何とか向こう側まで押し返し、向こうにて戦う。
向こうで激しく辛い戦いになり、敵はどんどん増える。そして押され始めた。兵士達がまた1人、また1人と死んでいく。俺もやばくなって来て、もう閉めるしかないというところまで追い込まれ、かなりの魔力を使って魔法でゲート周辺の敵を一時的に駆逐し、ゼツエイとくじを引いた兵士、俺、ミザリアのみとなった。時間稼ぎでしかなく、消費する魔力量から何度も出来ない。
ゼツエイが叫びながらくじを引いた兵を向こう側、つまり城の中へ突き飛ばした。
「坊主が最後の望みだ。世界を救えるのは坊主だけじゃ。儂のスキルを持って行け!そしてミザリアを頼むぞ!儂の事は気にするな。どうせ長くても後2ヶ月も持たん体じゃ!時間がない!さあ行け!」
ゼツエイは反対するミザリアを抱き寄せた。
「すまぬ」
一言告げるとゼツエイはミザリアのお腹を殴って気絶させた。
彼の意思が変わらないのを俺は知っている。短い付き合いだったが、それ位は理解している。俺は迫りくる敵を視認し、もう時間がないのだと悟った。ゼツエイと握手を交わすが、彼に言われた通りにはしなかった。戦闘系のスキルは奪わず、鍛冶系等を引き継いだ。そしてゼツエイは頷くと、気絶させたミザリアを俺に託し、最後にミザリアの頭を撫でた。
「行け!ミザリアへ、お前と暮らした40年は楽しかった!ありがとうと伝えてくれ。そしてお前の父親と同じ行動を許せと。前回は奴が閉めたのだ。今回は違うが、前回は奴のみが可能じゃった」
俺にステータスカードを渡すと、背中を押した。
俺は泣きながら城へと戻り、ゲートの扉を閉める。すると反対側も同時に閉まった。
ゲートが閉まると扉が一瞬光り、光が消えるとゲートも消えていた。
そして泣き崩れ、ゼツエイさん!と叫ぶミリアの姿が痛々しかった・・・
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