スキルスティール〜悪い奴から根こそぎ奪って何が悪い!能無しと追放されるも実はチート持ちだった!

KeyBow

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第2章

第102話 村

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 村に着く少し前に俺は異常を感じたが、ムネチカは既に警戒しており、戦闘準備を!と言われた。

 フランカの様子があまりにもおかしかったのだ。震えていてブツブツとうわ言を呟いており、視点が定まっていなかった。

 皆に戦闘準備をさせ、エルザとカナロアには馬車の護衛、俺とミザリア、ムネチカは村に入る事にした。

 フランカの頬を叩き、正気に戻す。
 改めて聞くと村を出た理由が思い出せないというのだ。どうやら、自らの記憶を封じなければならないような事態に見舞われていたと見るしかなさそうだ。

 確か一度寝言で、理由を告げられず母親に逃げるようにと村から連れ出され、結婚するまで帰ってくるなと言われたと。正気を失っていた母親が久し振りに正気に戻っていたが、貴方のためだと言われたと言っていたな。

 彼女が俺の妻になった日、幼少より男として育てられていた事を伝えられた。父親はろくでなしだが、そこだけは正論として諭されていたと教えてくれた。女だと隠さなければならない何かがあったのだろう。

 そんな考えを巡らせていたが、そのような事はともかく、村の入り口に着いてそのまま村に入ろうとすると、盗賊のような奴らに誰何された。

「何だてめえ等?」

「妻の出身地で、結婚したのでご両親に挨拶に来ましたが」

「はあ?この10年、村の女は誰一人として他所になんぞ出していないぞ。てめえふざけてんのか?そのマブイ姉ちゃんは置いてけや。置いていくなら命までは取らねえよ」

「何を言っている?まるで盗賊だな。お前らこの村で一体何をしているんだ?」

「なんだてめえ!どうやら死にたいようだな。おいみんな!獲物が来たぞ!女は殺すなよ!」

 そいつが怒鳴ると、何人かが剣やナイフを握りしめて「何事だ?」と騒ぎながら入り口に出て来た。


 「やるぞ!」

 その一言を皮切りに戦闘になる。
 しかし呆気なかった。
 あっという間に攻撃してきた奴等を腹パンで悶絶させ、盗賊?達を捕らえた。そして後方で待機している馬車を呼び、捕らえた奴等を見張って貰い、俺はフランカ、ムネチカを伴い村の中へ探索に行く。
 ミザリアは見張りの為に残って貰う。

 すると程なくフランカの親も見付かった。夫婦として暮らしていたが、母親の夫は盗賊の下っ端で、俺達が家の扉を開くと、中で震えていた。
 母親はのほほんとして、どうみても目が逝っていた・・・

 この男は家に軟禁し、死にたくなければ許可を出すまで家から出るなと告げ一旦奴隷にした。

 捕らえた盗賊達も奴隷にし、村の中央に集めていた。先程奴隷にするのを忘れていたのだ。

 村人が出てきたが、男がいない。女性ばかりだ。既に全員の良人は殺され、盗賊と無理やり結婚させられているという。

 フランカの親もそうだ。ただ、ろくでなしのこの男が父親を殺し、母親が自害しようとしていた所をモノにし、支配したと。
 死別したサキュバスはまず死のうとする。ただ、その時に犯すとその男を夫と認識し、愛してしまうのだとか。本来あり得ない事だが、サキュバスの悲しい本能により、避けられなかったと。
 ただ、幸か不幸かこの男は母親を心から愛し、幼いフランカを子供として溺愛してしまい、女というのを隠したと。
 母親はフランカを子供として大事にする条件でこの男に下ったという。自殺を止めさせ、フランカの命を保証する事を条件にする等色々話してきたのだ。

 母親は愛する夫を殺した憎き相手に対して、身も心も全て捧げる事になるが、それでも愛娘の為にこの男に屈する事を選び、抱かれた事により、サキュバスの魂にこの男が主人として刻まれたのだ。
 そしてこの男が貴女の父親よと言われ、フランカはその経緯となる記憶を封印をした。 

 また、今頭領が稼ぎに出掛けていて、ソロソロ戻る頃だと言っていた。この男に縛って欲しいと頼まれ、縛り上げた。
 どうやら俺達が負けると思ったらしい。
 奴らは10人居た。本体が留守の時に女達が逃げないようにと、いつも一部が残るらしい。
 フランカの父親は元々村の出身で、足が悪く盗賊家業が出来ないので門番になっている。
 盗賊が攻めてきた時に真っ先に軍門に下り、村を守る為に戦わなかったのだ。

 村人からは盗賊は全員殺して欲しいと懇願された。

 中には盗賊と子をなした者もいるが、構わないらしい。

 なのでフランカの父親もどき以外の、捕らえた盗賊に命令を出した。
 その内容は帰ってくる盗賊達を殺して来いとした。

 感付かれずに近付き、倒して来いと。
 仲間に殺られる方が屈辱的だし、士気を削げる。それに楽だ。

 奴らが帰ってきたのが分かるので、俺は村の入り口で出迎えて背後からぶすりと殺るように指示をして、10人を送り出したのであった。
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