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第63話 英雄たちの凱旋
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ダンジョンの出入口は、喧騒と祈りに満ちていた。
「まだ、出てこないのか!」「もう丸一日以上経っているのだぞ!」
我が子の身を案じる親たちの悲痛な叫びが響き渡り、ギルド職員たちの制止を振り切ってダンジヨンの入口に押し寄せていた。
そうして嗚咽と、虚しく入口を叩く音が響き渡る。
セスティーナも、アレンも、レイラも、固唾を飲んで、光を失ったダンジョンの入り口を、ただ見つめることしかできなかった。
ギルドマスターすらこのようなことは初めてで、聞いたこともない。ただただ、再び扉が開いて、中から英雄たちが出てくることを祈る位しかできなかった。
セスティーナは、最悪の事態を覚悟していた。もし、ディノッゾたちが戻らなければ、自分は皇帝陛下に何と報告すればよいのか。いや、それ以上に、あの規格外の男と、健気な少女を失うという事実が、彼女の胸を締め付けていた。
その、時だった。
ダンジョンの入り口が、再び、まばゆい光を放った。
誰もが、息を呑む。
光の中から、最初に姿を現したのは、盾を構えたリオと、両手剣を背負ったカミラだった。
彼らの体は、泥と、乾いた血で汚れている。だが、その瞳には、ダンジョンに入る前の怯えなど微塵もない。幾多の死線を乗り越えた者だけが持つ、確かな自信の光が宿っていた。
親たちから、安堵のどよめきが上がる。
だが、本当の驚きは、その後に続いた。
ぞろぞろと、残りの子供たちが出てくる。誰もが、傷つき、疲れ果ててはいるが、その足取りは確かだ。
そして、その中心。
一番大柄な斧使いのボルツの屈強な背中に、一人の男が負われていた。
ぐったりと気を失い、全身の力が抜けきっているのは・・・ディノッゾ。
そのディノッゾを守るように、リリアと、他の五人の子供たちが、精悍な顔つきで周囲を固めている。
「帰ってきた!」「生きてるぞ!」
親たちの、歓喜の絶叫が響き渡る。
「無事でしたか!」
セスティーナが駆け寄る。彼女の目には、涙が浮かんでいた。
だが、その視線は、すぐにボルツの背中でぐったりとしているディノッゾに注がれた。
「ディノッゾ殿は!?」
「大丈夫です」
リーダーのリオが、力強く答えた。
「魔力の使いすぎで、少しお疲れなだけです」
一行は、街の者たちの盛大な歓迎を受けながら、宿屋へと凱旋した。
気を失ったディノッゾは、すぐに最高級の部屋の、ふかふかのベッドへと寝かされる。
そして、残された子供たちは、親たちや、セスティーナ、ギルドマスターに囲まれ、英雄として、質問の渦に巻き込まれた。
「一体、中で何が……!?」
「オークキングを倒したというのは、本当なのか!?」
その問いに、答えたのはカミラだった。彼女は、集まった大人たちを、まっすぐに見据えた。
「オークキングも、ゴブリンキングも、全部倒しました。でも、それは、私たちだけの力じゃありません」
彼女は、ディノッゾが眠る部屋の扉を、誇らしげに指し示した。
「全部、あの方が……私たちの『先生』が、いたからです」
その場にいた誰もが、固唾を飲んだ。
ただの御者だと思われていたオッサンが、七人の子供たちを英雄へと育て上げ、そして、自らは傷つき倒れた。
その、あまりにも劇的な物語。
英雄の凱旋。
それは、主役が眠る中で、その弟子たちの口から、静かに、しかし熱く、語り継がれていくのだった。
「まだ、出てこないのか!」「もう丸一日以上経っているのだぞ!」
我が子の身を案じる親たちの悲痛な叫びが響き渡り、ギルド職員たちの制止を振り切ってダンジヨンの入口に押し寄せていた。
そうして嗚咽と、虚しく入口を叩く音が響き渡る。
セスティーナも、アレンも、レイラも、固唾を飲んで、光を失ったダンジョンの入り口を、ただ見つめることしかできなかった。
ギルドマスターすらこのようなことは初めてで、聞いたこともない。ただただ、再び扉が開いて、中から英雄たちが出てくることを祈る位しかできなかった。
セスティーナは、最悪の事態を覚悟していた。もし、ディノッゾたちが戻らなければ、自分は皇帝陛下に何と報告すればよいのか。いや、それ以上に、あの規格外の男と、健気な少女を失うという事実が、彼女の胸を締め付けていた。
その、時だった。
ダンジョンの入り口が、再び、まばゆい光を放った。
誰もが、息を呑む。
光の中から、最初に姿を現したのは、盾を構えたリオと、両手剣を背負ったカミラだった。
彼らの体は、泥と、乾いた血で汚れている。だが、その瞳には、ダンジョンに入る前の怯えなど微塵もない。幾多の死線を乗り越えた者だけが持つ、確かな自信の光が宿っていた。
親たちから、安堵のどよめきが上がる。
だが、本当の驚きは、その後に続いた。
ぞろぞろと、残りの子供たちが出てくる。誰もが、傷つき、疲れ果ててはいるが、その足取りは確かだ。
そして、その中心。
一番大柄な斧使いのボルツの屈強な背中に、一人の男が負われていた。
ぐったりと気を失い、全身の力が抜けきっているのは・・・ディノッゾ。
そのディノッゾを守るように、リリアと、他の五人の子供たちが、精悍な顔つきで周囲を固めている。
「帰ってきた!」「生きてるぞ!」
親たちの、歓喜の絶叫が響き渡る。
「無事でしたか!」
セスティーナが駆け寄る。彼女の目には、涙が浮かんでいた。
だが、その視線は、すぐにボルツの背中でぐったりとしているディノッゾに注がれた。
「ディノッゾ殿は!?」
「大丈夫です」
リーダーのリオが、力強く答えた。
「魔力の使いすぎで、少しお疲れなだけです」
一行は、街の者たちの盛大な歓迎を受けながら、宿屋へと凱旋した。
気を失ったディノッゾは、すぐに最高級の部屋の、ふかふかのベッドへと寝かされる。
そして、残された子供たちは、親たちや、セスティーナ、ギルドマスターに囲まれ、英雄として、質問の渦に巻き込まれた。
「一体、中で何が……!?」
「オークキングを倒したというのは、本当なのか!?」
その問いに、答えたのはカミラだった。彼女は、集まった大人たちを、まっすぐに見据えた。
「オークキングも、ゴブリンキングも、全部倒しました。でも、それは、私たちだけの力じゃありません」
彼女は、ディノッゾが眠る部屋の扉を、誇らしげに指し示した。
「全部、あの方が……私たちの『先生』が、いたからです」
その場にいた誰もが、固唾を飲んだ。
ただの御者だと思われていたオッサンが、七人の子供たちを英雄へと育て上げ、そして、自らは傷つき倒れた。
その、あまりにも劇的な物語。
英雄の凱旋。
それは、主役が眠る中で、その弟子たちの口から、静かに、しかし熱く、語り継がれていくのだった。
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