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影法師
忠親
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真咲には《影法師》のことで何か思い至ったことがあるらしい。ただ、それを語るに当たって、まずは己の生い立ちにまつわる話から聞いてもらいたいという。
妙泉尼の前に置かれた火鉢をゆるく囲うように、もゆらと真咲、そして美葛が並んで座った。
「信太の里の外れも外れ、山に深く分け入った所に炭焼き小屋がぽつんとあって、俺の母親、千種と、その父親は、二人で暮らしていました」
他所から流れてきて居着いた親子だったが、やって来たのがいつ頃のことだったか、はっきり思い出せる者は里にはいなかったらしい。二人を捕まえて、来し方のことを根掘り葉掘り聞き出そうとする者もいなかった。炭の売り買いを通じてしょっちゅう顔を合わせるにも関わらず、里人と親子の交わりは不思議に淡く、誰も邪魔に感じないどころか深く気にすることさえなかったのだ。よく来る行商だ、くらいに思っていた者さえ初めはいたに違いなかった。
ただ、父親の方が病で死んでからはそんな間柄も少々変わった。
一人きりで山奥に住むことになった若い娘を誰が放っておけただろう。それまですべて父親がしていた木を伐る仕事を、里の若衆が持ち回りで請け負った。その分だけ値を落とすことにはなったが、千種が世話した窯の炭は変わらぬ持ちの良さで評判を取った。
何事もなく数年が経ったある日、里の女の一人がそれと気付いて、千種が身籠っていることが明らかになった。
里長の前に引っ立てられた十数人にも及ぶ若衆はしかし、一人残らず、腹の子の父親ではないと言い張った。
青くなった若衆頭が身振り手振りを交えて申し開きをした。千種は美貌で気立ての良い働き者だが、男勝りであまりに賢しく、人を食ったような所もあって、里の若衆ではなかなか相手が務まらない。度胸試しのつもりで挑んでみても笑ってあしらわれて恥をかくのが落ちなので、誰も進んで深い仲になろうとまではしないのだ、と。
十月十日を経て、いよいよ産まれるという段になってのことだった。それまで誰に何を問われても冷たく微笑んで首を振るばかりだった千種が、痛みに涙を流しながら産婆にすべてを打ち明けた。
夢の中に神を名乗る赤い衣の童子が現れて、寝ている私の腹に触れた、というのだった。
突拍子もないその話は、生まれたのが男子だという報せと一緒に村中に知れ渡り、不思議なこともあるものだなあと皆を唸らせた。里長をさえ取り上げた古老中の古老である産婆その人が請け合う話なだけに、眉唾だとは思いながらも誰一人異論を唱えようとはしなかった。
「……で、その時の子が俺って訳なんですが」
「真咲殿はつまり、神の子?」
もゆらが噴き出した。裾が乱れるのにも構わず腹を抱えて笑い転げる。まるっきり信じていないらしかった。美葛には何がそんなに可笑しいのかさっぱり分からない。窘めるような妙泉尼の咳払いを受けて、もゆらはようやく起き上がった。
「すみません、つい。我は神の子なんて、町外れの物乞いみたいなことをいきなり仰るから。それで? そんな真咲殿の生まれが、今度の《影法師》の一件とどう繋がるというのです?」
美葛はきちんと座り直した。旅の間、親なしの身の上を思うと何か憚られるものがあって、真咲の生まれについては深く立ち入ることをずっと避けてきた。それだけに聞き逃せないものがあった。
「お袋は、本当の親父が誰なのかは俺にも明かさずに死んだ。ただ、里の皆には秘密だぞと念押しをした上で、教えてくれたんだ。その頃はまだ隣郡に住んでいた河内忠親様と、度々会っていたってことを」
常陸国、河内郡の若衆の中にあって、当時十七だった河内忠親はかなりの異彩を放っていた。
主にその行き過ぎた気位の高さと猛々しさの故に、である。
郡司の三男坊という気楽な身の上ながら、彼は幼い頃から都での大活躍を期してやまなかった。行儀作法にうるさく、故実に通じて古例を尊ぶだけならまだ良かっただろう。忠親は、まるで本当に身分を得たかのように権高に振る舞い、周囲を困らせることしきりだったのでたいそう煙たがられた。何しろ若かったのだ。
ことに忠親は検非違使というものに強い憧れを抱いた。そのため郡内で起こるどのような悪事も許さなかった。たとえ遊びだろうと博奕を許さなかった。食うに困っての所業だろうと一度目の盗みさえ許さなかった。捕らえた者は縄でぐるぐる巻きにして庭に座らせ、公然と、しかも長々と説法を打った。少しでも背く素振りを見せた者には手ずから容赦のない打擲を加えた。里の安寧は己が力で保たれていると信じて疑わない、勝ち気で乱暴な手の付けられない青年だった。家人を駆り出して里中を見回っていたが、その目の光らせ方はあまりに細かい点に及んだので、じきに疎んじられ、忠親の周りからは次第に人が遠ざかっていった。
貴人然とした振る舞いを求める己の心に従って、忠親はまた鷹狩という名の山遊びにも精を出した。日によっては供さえ連れずに野へ繰り出し、日がな鷹を空に遊ばせて本人はそこらへ寝そべっていた。頭には大抵、都に出て何がしかの活躍をする己の姿が浮かんでいた。怠らず学び続けてきた歌のことや、幼い頃から得手とする舞のことなども漂い過ぎていった。
――と、もゆらがここで真咲の昔語に待ったをかけた。
「田舎の悪たれがいかに気ままに暮らしているかを、このまま延々と聞かされるんですか」
「肝心な所はまだ先だ。急かすな。歌で言うなら二句目の頭ってとこなのに」
先は長そうだ、と美葛は足を崩した。
文月のことだった。午睡から目覚めた忠親は、放した鷹がまだ戻らないことに気付いて青くなった。父の郡司に無理を言って手に入れてもらった鷹だった。高く名を呼びながら探し回るうちに、雨が降り出し、日も暮れかかって、彼を惨めな気持ちにさせた。身内にも疎んじられ始めていることを薄々察している身には、鷹からさえも愛想をつかされたように切なく思われた。
あれこれと思い悩みながら随分と歩いた。腰まである濡れた草の海を漕いで行くと、木立の向こうに灯りが見えた。人の気配。小屋がある。炭焼き小屋であるらしいことは窯を設けてあるのを見れば分かった。小汚いじじいが顔を出すぞ、と思いつつ戸を叩いた。
ところがだった。出てきたのは若い娘。衣こそ煤まみれで見窄らしいが、そのためにかえって白い肌の目立つような見目麗しい女だった。声もない忠親に、娘は訝しげな目を向けた。
「信太の者じゃないね。誰、あんた」
娘の強気に気圧された。何と答えたものか忠親は迷った。素直に名乗って事情を話すか。しかし、逃げた鷹を探していたら迷ったなどと、気位の高い彼には、たとえ見ず知らずの女が相手でも言えるはずはなかった。
ただこの時、残念なことに事の次第は見透かされていた。背格好が、振る舞いが、忠親自身も気付かないうちに彼の素性をすっかり明かしていたからだ。
ふいに女がにやりと笑った。
「あんたあれだね? 噂に聞く『河内の検非違使』殿だね?」
陰でそう渾名されているらしいことは忠親も知っていた。
違うとも言えずにむっつり黙っていると、お入りよ、と促された。
「連れとはぐれたかどうかしたんだろう? 日が落ちてからの山歩きじゃもっと迷っちまうよ」
迷ってなどおらん、と日頃の忠親なら無闇に腹を立てたかもしれない。しかし女には、彼の心から余計な力を抜いてしまうような、何とも不思議な気安さがあった。
ふと、ある歌が忠親の頭をよぎった。
「『狩り暮らし たなばたつめに 宿からむ』」
「天の河原じゃないよここは」
と、鼻で笑った女は突き放すように言った。
――ちょっと待ってもらえますか、ともゆらが再び話の腰を折った。
「何なんです? 今のは。歌?」
「『伊勢物語』」
真咲がこともなげに答えた。
「一日中、野山で狩をして過ごした貴人たちが、禁野を流れる天の川に行き着くくだりで出てくる歌だ。『狩り暮らし たなばたつめに 宿からむ 天の河原に 我は来にけり』」
妙泉尼がひょいと眉を上げたのを美葛は見逃さなかった。
まさか田舎の炭やき男の口から伊勢物語の一節を聞こうとは、と思ったのに違いない。
もちろん美葛にとっても驚きだった。真咲はなかなかどうして物を知っている。本当に、どうしてなのだろうとつくづく不思議に思う。
もゆらが、それにしても、と納得いかない様子で腕組みをした。疑わしげに半眼を細める。
「見てきたように語りますよね。若い頃の河内忠親殿がその時に何を感じてどう思っていたかなんて、なぜ真咲殿に分かるんです?」
「忠親様からその時のお気持ちまで聞いたのは、お袋だ。おれはそのお袋から聞いた話を忠親様の側から語り直してるだけだ」
「《影法師》のことに関わるんだよね?」
美葛の問いに真咲は頷いた。
「今の所ちっともそんなふうに聞こえないだろうが、もう少し辛抱してくれ」
妙泉尼の前に置かれた火鉢をゆるく囲うように、もゆらと真咲、そして美葛が並んで座った。
「信太の里の外れも外れ、山に深く分け入った所に炭焼き小屋がぽつんとあって、俺の母親、千種と、その父親は、二人で暮らしていました」
他所から流れてきて居着いた親子だったが、やって来たのがいつ頃のことだったか、はっきり思い出せる者は里にはいなかったらしい。二人を捕まえて、来し方のことを根掘り葉掘り聞き出そうとする者もいなかった。炭の売り買いを通じてしょっちゅう顔を合わせるにも関わらず、里人と親子の交わりは不思議に淡く、誰も邪魔に感じないどころか深く気にすることさえなかったのだ。よく来る行商だ、くらいに思っていた者さえ初めはいたに違いなかった。
ただ、父親の方が病で死んでからはそんな間柄も少々変わった。
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何事もなく数年が経ったある日、里の女の一人がそれと気付いて、千種が身籠っていることが明らかになった。
里長の前に引っ立てられた十数人にも及ぶ若衆はしかし、一人残らず、腹の子の父親ではないと言い張った。
青くなった若衆頭が身振り手振りを交えて申し開きをした。千種は美貌で気立ての良い働き者だが、男勝りであまりに賢しく、人を食ったような所もあって、里の若衆ではなかなか相手が務まらない。度胸試しのつもりで挑んでみても笑ってあしらわれて恥をかくのが落ちなので、誰も進んで深い仲になろうとまではしないのだ、と。
十月十日を経て、いよいよ産まれるという段になってのことだった。それまで誰に何を問われても冷たく微笑んで首を振るばかりだった千種が、痛みに涙を流しながら産婆にすべてを打ち明けた。
夢の中に神を名乗る赤い衣の童子が現れて、寝ている私の腹に触れた、というのだった。
突拍子もないその話は、生まれたのが男子だという報せと一緒に村中に知れ渡り、不思議なこともあるものだなあと皆を唸らせた。里長をさえ取り上げた古老中の古老である産婆その人が請け合う話なだけに、眉唾だとは思いながらも誰一人異論を唱えようとはしなかった。
「……で、その時の子が俺って訳なんですが」
「真咲殿はつまり、神の子?」
もゆらが噴き出した。裾が乱れるのにも構わず腹を抱えて笑い転げる。まるっきり信じていないらしかった。美葛には何がそんなに可笑しいのかさっぱり分からない。窘めるような妙泉尼の咳払いを受けて、もゆらはようやく起き上がった。
「すみません、つい。我は神の子なんて、町外れの物乞いみたいなことをいきなり仰るから。それで? そんな真咲殿の生まれが、今度の《影法師》の一件とどう繋がるというのです?」
美葛はきちんと座り直した。旅の間、親なしの身の上を思うと何か憚られるものがあって、真咲の生まれについては深く立ち入ることをずっと避けてきた。それだけに聞き逃せないものがあった。
「お袋は、本当の親父が誰なのかは俺にも明かさずに死んだ。ただ、里の皆には秘密だぞと念押しをした上で、教えてくれたんだ。その頃はまだ隣郡に住んでいた河内忠親様と、度々会っていたってことを」
常陸国、河内郡の若衆の中にあって、当時十七だった河内忠親はかなりの異彩を放っていた。
主にその行き過ぎた気位の高さと猛々しさの故に、である。
郡司の三男坊という気楽な身の上ながら、彼は幼い頃から都での大活躍を期してやまなかった。行儀作法にうるさく、故実に通じて古例を尊ぶだけならまだ良かっただろう。忠親は、まるで本当に身分を得たかのように権高に振る舞い、周囲を困らせることしきりだったのでたいそう煙たがられた。何しろ若かったのだ。
ことに忠親は検非違使というものに強い憧れを抱いた。そのため郡内で起こるどのような悪事も許さなかった。たとえ遊びだろうと博奕を許さなかった。食うに困っての所業だろうと一度目の盗みさえ許さなかった。捕らえた者は縄でぐるぐる巻きにして庭に座らせ、公然と、しかも長々と説法を打った。少しでも背く素振りを見せた者には手ずから容赦のない打擲を加えた。里の安寧は己が力で保たれていると信じて疑わない、勝ち気で乱暴な手の付けられない青年だった。家人を駆り出して里中を見回っていたが、その目の光らせ方はあまりに細かい点に及んだので、じきに疎んじられ、忠親の周りからは次第に人が遠ざかっていった。
貴人然とした振る舞いを求める己の心に従って、忠親はまた鷹狩という名の山遊びにも精を出した。日によっては供さえ連れずに野へ繰り出し、日がな鷹を空に遊ばせて本人はそこらへ寝そべっていた。頭には大抵、都に出て何がしかの活躍をする己の姿が浮かんでいた。怠らず学び続けてきた歌のことや、幼い頃から得手とする舞のことなども漂い過ぎていった。
――と、もゆらがここで真咲の昔語に待ったをかけた。
「田舎の悪たれがいかに気ままに暮らしているかを、このまま延々と聞かされるんですか」
「肝心な所はまだ先だ。急かすな。歌で言うなら二句目の頭ってとこなのに」
先は長そうだ、と美葛は足を崩した。
文月のことだった。午睡から目覚めた忠親は、放した鷹がまだ戻らないことに気付いて青くなった。父の郡司に無理を言って手に入れてもらった鷹だった。高く名を呼びながら探し回るうちに、雨が降り出し、日も暮れかかって、彼を惨めな気持ちにさせた。身内にも疎んじられ始めていることを薄々察している身には、鷹からさえも愛想をつかされたように切なく思われた。
あれこれと思い悩みながら随分と歩いた。腰まである濡れた草の海を漕いで行くと、木立の向こうに灯りが見えた。人の気配。小屋がある。炭焼き小屋であるらしいことは窯を設けてあるのを見れば分かった。小汚いじじいが顔を出すぞ、と思いつつ戸を叩いた。
ところがだった。出てきたのは若い娘。衣こそ煤まみれで見窄らしいが、そのためにかえって白い肌の目立つような見目麗しい女だった。声もない忠親に、娘は訝しげな目を向けた。
「信太の者じゃないね。誰、あんた」
娘の強気に気圧された。何と答えたものか忠親は迷った。素直に名乗って事情を話すか。しかし、逃げた鷹を探していたら迷ったなどと、気位の高い彼には、たとえ見ず知らずの女が相手でも言えるはずはなかった。
ただこの時、残念なことに事の次第は見透かされていた。背格好が、振る舞いが、忠親自身も気付かないうちに彼の素性をすっかり明かしていたからだ。
ふいに女がにやりと笑った。
「あんたあれだね? 噂に聞く『河内の検非違使』殿だね?」
陰でそう渾名されているらしいことは忠親も知っていた。
違うとも言えずにむっつり黙っていると、お入りよ、と促された。
「連れとはぐれたかどうかしたんだろう? 日が落ちてからの山歩きじゃもっと迷っちまうよ」
迷ってなどおらん、と日頃の忠親なら無闇に腹を立てたかもしれない。しかし女には、彼の心から余計な力を抜いてしまうような、何とも不思議な気安さがあった。
ふと、ある歌が忠親の頭をよぎった。
「『狩り暮らし たなばたつめに 宿からむ』」
「天の河原じゃないよここは」
と、鼻で笑った女は突き放すように言った。
――ちょっと待ってもらえますか、ともゆらが再び話の腰を折った。
「何なんです? 今のは。歌?」
「『伊勢物語』」
真咲がこともなげに答えた。
「一日中、野山で狩をして過ごした貴人たちが、禁野を流れる天の川に行き着くくだりで出てくる歌だ。『狩り暮らし たなばたつめに 宿からむ 天の河原に 我は来にけり』」
妙泉尼がひょいと眉を上げたのを美葛は見逃さなかった。
まさか田舎の炭やき男の口から伊勢物語の一節を聞こうとは、と思ったのに違いない。
もちろん美葛にとっても驚きだった。真咲はなかなかどうして物を知っている。本当に、どうしてなのだろうとつくづく不思議に思う。
もゆらが、それにしても、と納得いかない様子で腕組みをした。疑わしげに半眼を細める。
「見てきたように語りますよね。若い頃の河内忠親殿がその時に何を感じてどう思っていたかなんて、なぜ真咲殿に分かるんです?」
「忠親様からその時のお気持ちまで聞いたのは、お袋だ。おれはそのお袋から聞いた話を忠親様の側から語り直してるだけだ」
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