34 / 49
物名歌
正体
しおりを挟む
美葛は、噂に聞く『百鬼夜行』というものに行き遭ったことは一度もない。ないのだが、もしもそうした人ならざるものたちの道行きに加わったなら、ちょうど今と似た心持ちになるかもしれないと密かに思った。
促されるまま付いてきた美葛と真咲をも包み込む、ひどく濃密な妖気。辺りは、不知也に従う姿のないものたちが醸す不穏な気配と、やはり彼らが発する言い知れない昂揚に満ちていた。
喜斉の屋敷の中を、不知也は勝手知ったる様子で歩いて行く。足元は青白い火の玉に照らされていた。黄昏時なだけあって、火を灯したり蔀戸を下ろしたりと、立ち働く家人の姿があちこちにある。しかし、その中の誰一人として不知也の方には見向きもしない。よほど聡い者でなければ、屋敷の雰囲気が変わったことには気付きもしないのに違いない。隠形の術に抜かりはないのだった。
妻戸は触れる前に開き、一行が通り過ぎるとひとりでに閉まった。簾は勝手に巻き上がり、屏風やら几帳やら、行く手を遮る物のすべては見えない手によって直ちに脇へ退かされた。ただでさえ物の少ない屋敷の中をいっそうがらんとさせながら、不知也はずんずん進んでいく。
喜斉は庇の間の片隅で灯りもつけずに膝を抱えていた。隠れていたつもりなのかもしれなかった。
不知也が来たことに気付くと、火の玉に照らされた喜斉の青い顔には諦めも色濃い薄笑いが浮かんだ。
「……お迎えご苦労。何だ、今日は文はないのか」
「ありますとも」
袂から取り出した一葉の短冊を、不知也が喜斉の前に示した。
歌を一読するなり喜斉が表情をなくした。秘められた物の名の響きが心に働きかけ、喜斉が隠し通そうとしている何かがいっそう重みを増した。美葛にはそのように感じられた。
さあ、と不知也が促した。
「今夜もあの小屋で薫里が待っています。どうぞ表の車へ」
「しつこい女だ」
座ったまま、喜斉は口元だけで笑った。その眼は逃げる兎や鼠のように血走って見えた。
「祓ってやれなかったことがつくづく悔やまれる」
「安倍家の遣いをけしかけたことなら知っています」
「それがとんだ役立たずでな。先々のこともあるから、さっさと片付けて欲しかったのだが、ああだこうだ御託を並べるばかりで何もできないときた」
これも陰形の術のお陰なのだろう、喜斉には不知也の後ろにいる美葛と真咲のことが見えていないのだった。
「先々のこととは、看督長河内忠親様の娘、雪世様との今後のことですね」
不知也の一言に真咲が息を呑んだ。ああそのことか、と喜斉が笑みを深めた。
「腕利きで知られた看督長の、大事な一人娘。ろくに世間を知らない箱入りだろうと思っていたが、そうでもなかった。雪世は私が別当の三男だとすぐに見抜いた。少し大人しすぎることを措けばなかなか良い女だ。何しろ具合が良い。暇潰しの相手としては悪くない」
真咲が、音がしそうなほど強く拳を握った。何も知らない喜斉は痩せこけた頬をますますいやらしい笑みに歪めた。
「雪世のことより何より、大事なのは近く迫っている除目の儀式だ。あまり俺の評判が悪いと、親父殿や兄者たちの任免に差し障る。望ましからぬ関わりとは縁を切っておかねばならん。俺のような役立たずにできることといえば、せいぜい皆の足を引っ張らないよう努めることくらいだからな」
「薫里のことを悪縁だと仰るのですね」
「夜な夜な人を苦しめる死霊が悪縁でなくて何だというのだ」
「あれが望む通りにしてやれば良いものを……」
美葛には不知也の声が心なしか震えたように聞こえた。後ろにいるせいで表情は分からないが、まるで涙を堪えるかのようだった。続く言葉には、いよいよ隠しきれない心の乱れが感じられた。
「諸官任免の儀式は近いと知りながら、それに進んで関わろうともしない脛かじり。親兄弟の冷たい目に怯える穀潰し。そんな貴方の立場をさえ思い遣ろうとする薫里の心を、どうして汲んでやれないのです。今からでも遅くはありません。伏せたまま訴え続けるだけの値打ちのある貴方だったと、薫里に思わせてやってください」
「もう何一つ手元にはない。俺にはどうにもできん」
喜斉はよろめくように立ち上がった。
覚束ない足取りで不知也に近付き、恐れげもなくその肩に手をかけた。
「何となれば、使いを務めるお主の方から薫里に話を付けてもらおうと思っていたが、もう止めた。行くぞ」
「腹を壊して死にたいのですか」
「私が死ぬのが先か、除目が済むのが先か、どっちだろうな。賭けでもしないか」
「その賭け事に耽って身を持ち崩して、とうとう身内に見限られた者の吐く言葉とも思えませんね」
「色々とよく知っている。車は寄せてあるんだったな」
喜斉は、へらへらと笑いながら、勝手に道を開ける簾や戸を抜けて外へと出て行った。
くそっ、と真咲が毒づいた。
「あれが本性か。ろくな男じゃない。雪世様は、あんな男に言い寄られて……。忠親様に、何をどうお伝えすれば……」
心の底から悔しそうな真咲に、美葛はかける言葉が見つからなかった。
雪世の行く末の幸せを考えるなら、上役の息子だろうと誰だろうと、あんな男とは少しでも早く縁を切ってしまった方が良い。心苦しいことだが、忠親にはそう伝えるしかないと美葛は思った。
不知也が振り向いた。泣いてはいなかった。ただ、その表情には静かに滾るような怒りが露わだった。ご覧になった通りです、と沈んだ声で言った。
「逢瀬を重ねる中で、男の性根が腐っていることにはっきりと気が付きながら、それでも情けをかけてやらずにはいられない、むしろそんな男だからこそ支えてやらなければならないと思い定める、哀れなほど優しい女たちがいます。喜斉は、そんな女たちを弄び、食い物にしながら生きている。……美葛殿、真咲殿、今度こそ、ここから先には来ない方がいい。見なくて良いはずのものを見て、わざわざ心を暗くすることはありません」
美葛は、不知也が手にした、青白い鬼火が照らす短冊に目を落とした。薫里は歌で何を成そうとしたのだろう。物の名を伏せて訴えるという手段を取ることで、喜斉に何をどうしてもらいたかったのだろう。
「俺は行く」
真咲が言った。
「『頼もしき』の歌の意味する所がどうしても気にかかる。事の顛末を見届けたい。何もかもを知った上で忠親様にご報告申し上げたい。……美葛はどうする?」
「私は……」
美葛は喜斉が出て行った方に顔を向けた。
外はすっかり日も落ちて、山際を染める紫の残照さえ薄らいで消えつつあった。
促されるまま付いてきた美葛と真咲をも包み込む、ひどく濃密な妖気。辺りは、不知也に従う姿のないものたちが醸す不穏な気配と、やはり彼らが発する言い知れない昂揚に満ちていた。
喜斉の屋敷の中を、不知也は勝手知ったる様子で歩いて行く。足元は青白い火の玉に照らされていた。黄昏時なだけあって、火を灯したり蔀戸を下ろしたりと、立ち働く家人の姿があちこちにある。しかし、その中の誰一人として不知也の方には見向きもしない。よほど聡い者でなければ、屋敷の雰囲気が変わったことには気付きもしないのに違いない。隠形の術に抜かりはないのだった。
妻戸は触れる前に開き、一行が通り過ぎるとひとりでに閉まった。簾は勝手に巻き上がり、屏風やら几帳やら、行く手を遮る物のすべては見えない手によって直ちに脇へ退かされた。ただでさえ物の少ない屋敷の中をいっそうがらんとさせながら、不知也はずんずん進んでいく。
喜斉は庇の間の片隅で灯りもつけずに膝を抱えていた。隠れていたつもりなのかもしれなかった。
不知也が来たことに気付くと、火の玉に照らされた喜斉の青い顔には諦めも色濃い薄笑いが浮かんだ。
「……お迎えご苦労。何だ、今日は文はないのか」
「ありますとも」
袂から取り出した一葉の短冊を、不知也が喜斉の前に示した。
歌を一読するなり喜斉が表情をなくした。秘められた物の名の響きが心に働きかけ、喜斉が隠し通そうとしている何かがいっそう重みを増した。美葛にはそのように感じられた。
さあ、と不知也が促した。
「今夜もあの小屋で薫里が待っています。どうぞ表の車へ」
「しつこい女だ」
座ったまま、喜斉は口元だけで笑った。その眼は逃げる兎や鼠のように血走って見えた。
「祓ってやれなかったことがつくづく悔やまれる」
「安倍家の遣いをけしかけたことなら知っています」
「それがとんだ役立たずでな。先々のこともあるから、さっさと片付けて欲しかったのだが、ああだこうだ御託を並べるばかりで何もできないときた」
これも陰形の術のお陰なのだろう、喜斉には不知也の後ろにいる美葛と真咲のことが見えていないのだった。
「先々のこととは、看督長河内忠親様の娘、雪世様との今後のことですね」
不知也の一言に真咲が息を呑んだ。ああそのことか、と喜斉が笑みを深めた。
「腕利きで知られた看督長の、大事な一人娘。ろくに世間を知らない箱入りだろうと思っていたが、そうでもなかった。雪世は私が別当の三男だとすぐに見抜いた。少し大人しすぎることを措けばなかなか良い女だ。何しろ具合が良い。暇潰しの相手としては悪くない」
真咲が、音がしそうなほど強く拳を握った。何も知らない喜斉は痩せこけた頬をますますいやらしい笑みに歪めた。
「雪世のことより何より、大事なのは近く迫っている除目の儀式だ。あまり俺の評判が悪いと、親父殿や兄者たちの任免に差し障る。望ましからぬ関わりとは縁を切っておかねばならん。俺のような役立たずにできることといえば、せいぜい皆の足を引っ張らないよう努めることくらいだからな」
「薫里のことを悪縁だと仰るのですね」
「夜な夜な人を苦しめる死霊が悪縁でなくて何だというのだ」
「あれが望む通りにしてやれば良いものを……」
美葛には不知也の声が心なしか震えたように聞こえた。後ろにいるせいで表情は分からないが、まるで涙を堪えるかのようだった。続く言葉には、いよいよ隠しきれない心の乱れが感じられた。
「諸官任免の儀式は近いと知りながら、それに進んで関わろうともしない脛かじり。親兄弟の冷たい目に怯える穀潰し。そんな貴方の立場をさえ思い遣ろうとする薫里の心を、どうして汲んでやれないのです。今からでも遅くはありません。伏せたまま訴え続けるだけの値打ちのある貴方だったと、薫里に思わせてやってください」
「もう何一つ手元にはない。俺にはどうにもできん」
喜斉はよろめくように立ち上がった。
覚束ない足取りで不知也に近付き、恐れげもなくその肩に手をかけた。
「何となれば、使いを務めるお主の方から薫里に話を付けてもらおうと思っていたが、もう止めた。行くぞ」
「腹を壊して死にたいのですか」
「私が死ぬのが先か、除目が済むのが先か、どっちだろうな。賭けでもしないか」
「その賭け事に耽って身を持ち崩して、とうとう身内に見限られた者の吐く言葉とも思えませんね」
「色々とよく知っている。車は寄せてあるんだったな」
喜斉は、へらへらと笑いながら、勝手に道を開ける簾や戸を抜けて外へと出て行った。
くそっ、と真咲が毒づいた。
「あれが本性か。ろくな男じゃない。雪世様は、あんな男に言い寄られて……。忠親様に、何をどうお伝えすれば……」
心の底から悔しそうな真咲に、美葛はかける言葉が見つからなかった。
雪世の行く末の幸せを考えるなら、上役の息子だろうと誰だろうと、あんな男とは少しでも早く縁を切ってしまった方が良い。心苦しいことだが、忠親にはそう伝えるしかないと美葛は思った。
不知也が振り向いた。泣いてはいなかった。ただ、その表情には静かに滾るような怒りが露わだった。ご覧になった通りです、と沈んだ声で言った。
「逢瀬を重ねる中で、男の性根が腐っていることにはっきりと気が付きながら、それでも情けをかけてやらずにはいられない、むしろそんな男だからこそ支えてやらなければならないと思い定める、哀れなほど優しい女たちがいます。喜斉は、そんな女たちを弄び、食い物にしながら生きている。……美葛殿、真咲殿、今度こそ、ここから先には来ない方がいい。見なくて良いはずのものを見て、わざわざ心を暗くすることはありません」
美葛は、不知也が手にした、青白い鬼火が照らす短冊に目を落とした。薫里は歌で何を成そうとしたのだろう。物の名を伏せて訴えるという手段を取ることで、喜斉に何をどうしてもらいたかったのだろう。
「俺は行く」
真咲が言った。
「『頼もしき』の歌の意味する所がどうしても気にかかる。事の顛末を見届けたい。何もかもを知った上で忠親様にご報告申し上げたい。……美葛はどうする?」
「私は……」
美葛は喜斉が出て行った方に顔を向けた。
外はすっかり日も落ちて、山際を染める紫の残照さえ薄らいで消えつつあった。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
織田信長 -尾州払暁-
藪から犬
歴史・時代
織田信長は、戦国の世における天下統一の先駆者として一般に強くイメージされますが、当然ながら、生まれついてそうであるわけはありません。
守護代・織田大和守家の家来(傍流)である弾正忠家の家督を継承してから、およそ14年間を尾張(現・愛知県西部)の平定に費やしています。そして、そのほとんどが一族間での骨肉の争いであり、一歩踏み外せば死に直結するような、四面楚歌の道のりでした。
織田信長という人間を考えるとき、この彼の青春時代というのは非常に色濃く映ります。
そこで、本作では、天文16年(1547年)~永禄3年(1560年)までの13年間の織田信長の足跡を小説としてじっくりとなぞってみようと思いたった次第です。
毎週の月曜日00:00に次話公開を目指しています。
スローペースの拙稿ではありますが、お付き合いいただければ嬉しいです。
(2022.04.04)
※信長公記を下地としていますが諸出来事の年次比定を含め随所に著者の創作および定説ではない解釈等がありますのでご承知置きください。
※アルファポリスの仕様上、「HOTランキング用ジャンル選択」欄を「男性向け」に設定していますが、区別する意図はとくにありません。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
花嫁御寮 ―江戸の妻たちの陰影― :【第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞】
naomikoryo
歴史・時代
名家に嫁いだ若き妻が、夫の失踪をきっかけに、江戸の奥向きに潜む権力、謀略、女たちの思惑に巻き込まれてゆく――。
舞台は江戸中期。表には見えぬ女の戦(いくさ)が、美しく、そして静かに燃え広がる。
結城澪は、武家の「御寮人様」として嫁いだ先で、愛と誇りのはざまで揺れることになる。
失踪した夫・宗真が追っていたのは、幕府中枢を揺るがす不正金の記録。
やがて、志を同じくする同心・坂東伊織、かつて宗真の婚約者だった篠原志乃らとの交錯の中で、澪は“妻”から“女”へと目覚めてゆく。
男たちの義、女たちの誇り、名家のしがらみの中で、澪が最後に選んだのは――“名を捨てて生きること”。
これは、名もなき光の中で、真実を守り抜いたひと組の夫婦の物語。
静謐な筆致で描く、江戸奥向きの愛と覚悟の長編時代小説。
全20話、読み終えた先に見えるのは、声高でない確かな「生」の姿。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる