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本編
24:やはり残念なアルフレッド(2)
ふと、シャロンがエディの胸元に視線を落とすと、ジャケットにつけている魔術師の格を示すピンバッチが目に入った。
魔術師のライセンスはC級が軍属、B級で神殿勤め、A級で宮廷勤めとなり自分の研究室を持てる仕組みになっているのだが、エディのバッジは彼がC級である事を示している。
(意外だ…)
こんなに尊大な態度なのにまだC級しか持っていない事にシャロンは素直に驚いた。
魔術師になってはじめての査定の際には学院の卒業時の成績も考慮されるため、本来なら主席のエディはかなり有利なはず。出世コースに乗っているならば、既にB級まで取得していてもおかしくないのだが…。
「なんだよ」
シャロンの視線を感じ取ったエディは彼女をキッと睨みつける。
「いえ、C級ライセンスなのだなと思っただけですわ。私の2番目の兄は卒業後半年でB級、2年でA級を取得したものですから少し驚いてしまって。その、クラーク様は成績トップでいらしたのでてっきりもうB級をお持ちなのかと…」
言外に『もう出世街道から外れたのかしら』と言われたエディは、ギリっと奥歯を鳴らした。
「バカにするなよ。俺は軍の魔術師部隊で少尉の地位を貰っているのだぞ!」
「軍属の魔術師の位は少尉からスタートのはずですが…」
「ま、魔術師にもなれなかった落ちこぼれが偉そうにするな!」
「偉そうにしているつもりはございませんわ。確かに私はクラーク様が仰る通り、魔術師にもなれなかった落ちこぼれですが…。えっと…それが何か?」
必死にシャロンを見下して自分の方が上だと主張するエディに、彼女は極めて冷静に『それがどうした?』と返す。
そもそもどれだけ軍部での位が高くなろうが、国防の最前線である軍属の魔術師など所詮は使い捨て部隊。そこから抜け出せない彼が何を言おうと周囲からは哀れに見えるだけだ。
そんなこともわからない愚かな若者に、クレーターの外からも嘲笑が聞こえ始めた。
「あの、クラーク様。もう少し周りをご覧になられた方がよろしいかと」
シャロンの言葉にハッとしたエディは周りを見渡した。
扇で口元を隠したのはご婦人たちのひそひそと話す声、貴族男性がせせら笑う声がようやく彼の耳に届いたらしい。
エディは恥の感情からか、みるみる赤くなる。取り巻きの2人もワナワナと悔しそうに肩を震わせていた。
シャロンは扇をバサッと広げて口元を隠すと、目元を細めた。
「ここは学院ではなく社交の場です」
口元を隠したのは下手な愛想笑いを隠すためだが、当然の如く彼らにはそれが嘲笑っているように見えた。
「馬鹿にするなよ!シャロン・ジルフォード!」
逆向したエディはシャロンに殴りかかる。
シャロンは「やばい」とギュッと強く目を瞑り、身構えた。
しかし、彼の拳が彼女に届くことはなかった。
シャロンがゆっくりと目を開けると自分の肩を抱き寄せ、エディの拳を手のひらで受け止めている……次兄バディスがいた。
「うちの妹に何か用事かな?」
元々目つきの悪い三白眼の次兄バディスに睨まれたエディは怖気付き、拳を下ろすと一歩後ろに下がった。
あと一歩のところで間に合わなかったアルフレッドは、行き場のない手を伸ばしたまま、その様子をただただ呆然と眺めていた。
「あはは!ほんと決まらんなぁ、公爵は」
ヘンリーはそんな彼の姿に、堪えきれず腹を抱えて笑い転げた。
「…どうせ私は残念な男ですよ」
伸ばした手をアルフレッドはゆっくりと下す。
近くの者は、なんだか可哀想な者を見る目で彼を見ていた。
魔術師のライセンスはC級が軍属、B級で神殿勤め、A級で宮廷勤めとなり自分の研究室を持てる仕組みになっているのだが、エディのバッジは彼がC級である事を示している。
(意外だ…)
こんなに尊大な態度なのにまだC級しか持っていない事にシャロンは素直に驚いた。
魔術師になってはじめての査定の際には学院の卒業時の成績も考慮されるため、本来なら主席のエディはかなり有利なはず。出世コースに乗っているならば、既にB級まで取得していてもおかしくないのだが…。
「なんだよ」
シャロンの視線を感じ取ったエディは彼女をキッと睨みつける。
「いえ、C級ライセンスなのだなと思っただけですわ。私の2番目の兄は卒業後半年でB級、2年でA級を取得したものですから少し驚いてしまって。その、クラーク様は成績トップでいらしたのでてっきりもうB級をお持ちなのかと…」
言外に『もう出世街道から外れたのかしら』と言われたエディは、ギリっと奥歯を鳴らした。
「バカにするなよ。俺は軍の魔術師部隊で少尉の地位を貰っているのだぞ!」
「軍属の魔術師の位は少尉からスタートのはずですが…」
「ま、魔術師にもなれなかった落ちこぼれが偉そうにするな!」
「偉そうにしているつもりはございませんわ。確かに私はクラーク様が仰る通り、魔術師にもなれなかった落ちこぼれですが…。えっと…それが何か?」
必死にシャロンを見下して自分の方が上だと主張するエディに、彼女は極めて冷静に『それがどうした?』と返す。
そもそもどれだけ軍部での位が高くなろうが、国防の最前線である軍属の魔術師など所詮は使い捨て部隊。そこから抜け出せない彼が何を言おうと周囲からは哀れに見えるだけだ。
そんなこともわからない愚かな若者に、クレーターの外からも嘲笑が聞こえ始めた。
「あの、クラーク様。もう少し周りをご覧になられた方がよろしいかと」
シャロンの言葉にハッとしたエディは周りを見渡した。
扇で口元を隠したのはご婦人たちのひそひそと話す声、貴族男性がせせら笑う声がようやく彼の耳に届いたらしい。
エディは恥の感情からか、みるみる赤くなる。取り巻きの2人もワナワナと悔しそうに肩を震わせていた。
シャロンは扇をバサッと広げて口元を隠すと、目元を細めた。
「ここは学院ではなく社交の場です」
口元を隠したのは下手な愛想笑いを隠すためだが、当然の如く彼らにはそれが嘲笑っているように見えた。
「馬鹿にするなよ!シャロン・ジルフォード!」
逆向したエディはシャロンに殴りかかる。
シャロンは「やばい」とギュッと強く目を瞑り、身構えた。
しかし、彼の拳が彼女に届くことはなかった。
シャロンがゆっくりと目を開けると自分の肩を抱き寄せ、エディの拳を手のひらで受け止めている……次兄バディスがいた。
「うちの妹に何か用事かな?」
元々目つきの悪い三白眼の次兄バディスに睨まれたエディは怖気付き、拳を下ろすと一歩後ろに下がった。
あと一歩のところで間に合わなかったアルフレッドは、行き場のない手を伸ばしたまま、その様子をただただ呆然と眺めていた。
「あはは!ほんと決まらんなぁ、公爵は」
ヘンリーはそんな彼の姿に、堪えきれず腹を抱えて笑い転げた。
「…どうせ私は残念な男ですよ」
伸ばした手をアルフレッドはゆっくりと下す。
近くの者は、なんだか可哀想な者を見る目で彼を見ていた。
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