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ifの世界線のお話
14:自覚したばかりだから
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「お嬢。…あの、何でそんなに遠いんですか?」
「き、気にしないで」
「いや、気になるって…」
サイモンは薬草園の入り口からこちらの様子を伺うシャロンに小さくため息をこぼした。
「俺、何かしました?」
「違う。サイモンは何もしてない。これは私の問題だから」
「はぁ…。そうですか?」
アルフレッドとの話し合いを終えた後から、シャロンは何故かこのように、サイモンと物理的な距離を取る。
半径2メートル以内に近づくと爆発でもするのだろうかというほどに、とにかく近づかない。
しかし近づかないくせに、彼の後をストーカーのごとく追いかける。まるで乳幼児によくある後追いのようだ。
(やりづらい…)
言いたいことがあるなら声をかけて欲しい。ただただ凝視されるのは気が散るし、何より変な気を使う。
(どうしたものか…。とりあえず謝っておくか?)
こういう時はとりあえず謝っておけば何とかなると誰かが言っていた。
何が悪いのかわからなくても、とりあえず謝っておけば物事は円満に解決すると豪語していたのは誰だったか…。
(あ、ハディス様だ。やめとこう)
ハディスによる女関連の助言は大体裏目に出る。サイモンは一先ず、謝るのはやめにした。
「サイモン、お嬢様と何かあったのか?」
サイモンが草抜きをしながら悩んでいると、同じく作業中だった薬師の先輩が彼に近づいてくる。
「…何もありませんよ。多分」
「ふーん。そう?」
「…何ですか。その顔は」
「別に?」
先輩はニヤニヤとながらサイモンとシャロンを交互に見る。
そして、悪い顔をしてサイモンに耳打ちした。
「なあなあ、サイモン。ちょっとさ、お嬢様のことを名前で呼んでみて」
「何故?」
「あそこにいると邪魔だからさ、どうせならこっちに来いって声かけて」
「自分で呼べば良いじゃないですか」
「いいから、いいから」
「えぇー」
先輩のニヤニヤとした口元から察するに、きっとサイモンを揶揄うつもりなのだろう。
シャロンへの想いがここにいる薬師や使用人のほぼ全員にバレている彼は、シャロンとのことを度々揶揄われる。
(これはパワハラだと思う。いや、セクハラか?)
名前を呼んだところで、どうせサイモンがちょっと恥ずかしい思いをするだけで、シャロンはキョトンとして『急に名前呼びして、どうしたの?』となるに決まっいる。
それかもしくは『貴様に名を呼ぶことを許した覚えはない!』と悪ノリするかのどちらかだ。
気乗りしないが、先輩を含めたこの薬草園にいる人間が期待の眼差しでこちらをみてくる。
サイモンは仕方がないと諦め、シャロンを呼んだ。
「シャロン」
彼の低く、澄んだ声で名前を呼ばれたシャロンは大きく目を見開いて固まった。
いつもとは違う反応に、サイモンは首を傾げる。
「シャロン。こっちにおいで。そこにいると邪魔になるから」
2回目。再び名前を呼ばれたシャロンは一拍あけて、一瞬にして顔が赤くなった。
彼女の反応に何故か薬草園が湧く。
「…え?」
「な、なななななによ!」
「いや、それこっちの台詞なんだけど…。え?何、その反応…」
これではまるで、サイモンに名前を呼ばれたから顔を赤らめたみたいだ。
「ち、違う!違うから!私の心はエミリーのものだからぁ!」
シャロンはそう吐き捨てると、薬草園から走り去ってしまった。
「き、気にしないで」
「いや、気になるって…」
サイモンは薬草園の入り口からこちらの様子を伺うシャロンに小さくため息をこぼした。
「俺、何かしました?」
「違う。サイモンは何もしてない。これは私の問題だから」
「はぁ…。そうですか?」
アルフレッドとの話し合いを終えた後から、シャロンは何故かこのように、サイモンと物理的な距離を取る。
半径2メートル以内に近づくと爆発でもするのだろうかというほどに、とにかく近づかない。
しかし近づかないくせに、彼の後をストーカーのごとく追いかける。まるで乳幼児によくある後追いのようだ。
(やりづらい…)
言いたいことがあるなら声をかけて欲しい。ただただ凝視されるのは気が散るし、何より変な気を使う。
(どうしたものか…。とりあえず謝っておくか?)
こういう時はとりあえず謝っておけば何とかなると誰かが言っていた。
何が悪いのかわからなくても、とりあえず謝っておけば物事は円満に解決すると豪語していたのは誰だったか…。
(あ、ハディス様だ。やめとこう)
ハディスによる女関連の助言は大体裏目に出る。サイモンは一先ず、謝るのはやめにした。
「サイモン、お嬢様と何かあったのか?」
サイモンが草抜きをしながら悩んでいると、同じく作業中だった薬師の先輩が彼に近づいてくる。
「…何もありませんよ。多分」
「ふーん。そう?」
「…何ですか。その顔は」
「別に?」
先輩はニヤニヤとながらサイモンとシャロンを交互に見る。
そして、悪い顔をしてサイモンに耳打ちした。
「なあなあ、サイモン。ちょっとさ、お嬢様のことを名前で呼んでみて」
「何故?」
「あそこにいると邪魔だからさ、どうせならこっちに来いって声かけて」
「自分で呼べば良いじゃないですか」
「いいから、いいから」
「えぇー」
先輩のニヤニヤとした口元から察するに、きっとサイモンを揶揄うつもりなのだろう。
シャロンへの想いがここにいる薬師や使用人のほぼ全員にバレている彼は、シャロンとのことを度々揶揄われる。
(これはパワハラだと思う。いや、セクハラか?)
名前を呼んだところで、どうせサイモンがちょっと恥ずかしい思いをするだけで、シャロンはキョトンとして『急に名前呼びして、どうしたの?』となるに決まっいる。
それかもしくは『貴様に名を呼ぶことを許した覚えはない!』と悪ノリするかのどちらかだ。
気乗りしないが、先輩を含めたこの薬草園にいる人間が期待の眼差しでこちらをみてくる。
サイモンは仕方がないと諦め、シャロンを呼んだ。
「シャロン」
彼の低く、澄んだ声で名前を呼ばれたシャロンは大きく目を見開いて固まった。
いつもとは違う反応に、サイモンは首を傾げる。
「シャロン。こっちにおいで。そこにいると邪魔になるから」
2回目。再び名前を呼ばれたシャロンは一拍あけて、一瞬にして顔が赤くなった。
彼女の反応に何故か薬草園が湧く。
「…え?」
「な、なななななによ!」
「いや、それこっちの台詞なんだけど…。え?何、その反応…」
これではまるで、サイモンに名前を呼ばれたから顔を赤らめたみたいだ。
「ち、違う!違うから!私の心はエミリーのものだからぁ!」
シャロンはそう吐き捨てると、薬草園から走り去ってしまった。
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