120 / 129
ifの世界線のお話
16:エミリーからの手紙
愛しのエミリーへ。
私が心から愛しているのはエミリーだけです。そのはずです。
けれど、この間からおかしいのです。
何故か幼馴染の事が頭から離れなくて困っています。
彼の混じり気のない金髪も、海に近い色の青い瞳も、柔らかい微笑みも今までと違ってとても見えて、とても新鮮でなんだかドキドキと心臓がうるさいです。
あの低く澄んだ声で名前を呼ばれただけで、全身が沸騰するように熱くなります。
私はどうすれば良いのでしょう?
p.s
オススメの本を読みましたが、どうやらは私とエミリーでは解釈が違うようです。私は鬼畜メガネ伯爵は攻めと見せかけてのツンデレ受けだと思います。そして伯爵家の執事はそんなツンデレな伯爵をそのおおらかさで包み込む攻めです。
***
親愛なるシャロンへ。
もうそれは恋です。流れに身を任せるべし。
p.s
どうしてシャロンはそういう歪んだ見方しか出来ないのですか?鬼畜メガネ伯爵は鬼畜メガネというだけで、もう攻める方です。確かに、伯爵家の執事は少し傲慢なところがある伯爵を全て包み込むだけの度量はありますが、全てを包み込む受けというものも存在します。物事はもっと真正面からストレートに見るべきです。
***
愛しのエミリーへ。
これは恋なのですか?しかし、私はエミリーが好きなのですよ?流れに身を任せると二股になりませんか?
p.s
いいえ。ここはどうしても譲れません。鬼畜メガネ伯爵が穏やかな笑みを浮かべる執事に攻められ、うっすらと涙を浮かべる様を想像してみてください。アリだと思うでしょう?
***
親愛なるシャロンへ。
二股にはなりません。
よく考えてみなさい。貴女の私への感情は所詮紛い物です。
しかし、あなたの幼馴染はそんな紛い物の感情に支配されていた貴女の心に入り込んできたのです。
もうそれは恋です。それこそ真の恋心です。王道展開、萌。
早急に告白するべし。
p.s
想像したら鼻血を吹き出して、貴女のお兄様にドン引きされてしまいました。ですが、アリです。
ちなみに、その解釈であの小説を見れるのならば、『悪役令嬢の執事に転生!?-何故か俺が王太子に溺愛されてます-』という本をオススメします。
***
エミリアからの手紙を受け取り、スッキリしたような表情をするシャロン。
対して、彼女たちの伝書鳩を務めるハディスは怪訝な顔をしていた。
「…すごく内容が気になるが、何を書いてるんだ?」
「主に恋の相談です」
「…恋?」
「と、言うわけで、私は今からサイモンに告白してきます」
「待って待って待って。急展開すぎてお兄ちゃん、ついていけないから」
手紙を握りしめ、サイモンの元へ行こうとするシャロンをハディスはとりあえず引き留めた。
興奮状態にあるのか、少しテンションがおかしい。無表情なのに、明らかに頭から花を飛ばしている。
「落ち着け、シャロン。お前はまだ公爵夫人だ。離縁の手続きが済んでいない」
離縁することは決まっているが、諸々の処理が済んでいないのに、他の男と結ばれるのは倫理的にどうなのだろうか。
ハディスはそう意義を唱える。しかし…。
「え?もう離縁すること確定なのですし、気持ちを伝えるくらいはしても良いのではないですか?」
どうせ振られるのだし、とシャロンはシレッと返した。どうやらサイモンの気持ちには気づいていないらしい。
「ふ、振られないかもしれないだろう」
「振られますよ。サイモンみたいなカッコよくて優しい人が私なんかで妥協するわけないじゃないですか」
「はい?では、お前は今から振られに行こうとしているということか?」
「そうですけど…。それが何か?」
呆れ顔の兄に、シャロンはコテンと首を傾げる。
普通、愛の告白というものはもう少し緊張したり、中々一歩踏み出せず悩んだりするものだろう。
それなのに何故、彼女はこんなにも平然としていられるのか。
やはり情緒がない。さすがは恋愛化石女だ。ハディスは頭を抱えた。
「兄様、私は伝えてスッキリしたいです」
「お前はスッキリするだろうが、サイモンはそうとは限らないだろう?」
「…何故ですか?」
「あいつは平民でお前は貴族、それもまだ公爵夫人だ。あいつはそういうの気にすると思うぞ」
「…確かに」
そう言えばサイモンは最近、自分との間にきっちり線を引くようになっていたことを思い出したシャロンは、手紙を握りしめたまま俯いてしまった。
ハディスはそんな彼女の頭をポンポンと叩く。
「…シャロン。せめて気持ちを伝えるのは離縁してからにしよう」
「わかりました。ではとりあえず、サイモンのところに行ってきます」
シャロンは不貞腐れたような口調でそういう時、踵を返し、薬草園へと向かおうとする。
ハディスはそんな彼女をまた引き留めた。
「…シャロン?お兄ちゃんの話聞いてた?」
「聞いてましたよ?」
「では何故サイモンのところに?」
「最近、サイモンのことを避けてしまっていたので謝りに行こうかと」
「…お、おう」
「では、お兄様。お手紙ありがとうございました」
何となく嫌な予感しかしないハディスだが、謝りに行くと言われてはこれ以上引き止められない。
泣く泣く妹を幼馴染の元へと送り出した。
私が心から愛しているのはエミリーだけです。そのはずです。
けれど、この間からおかしいのです。
何故か幼馴染の事が頭から離れなくて困っています。
彼の混じり気のない金髪も、海に近い色の青い瞳も、柔らかい微笑みも今までと違ってとても見えて、とても新鮮でなんだかドキドキと心臓がうるさいです。
あの低く澄んだ声で名前を呼ばれただけで、全身が沸騰するように熱くなります。
私はどうすれば良いのでしょう?
p.s
オススメの本を読みましたが、どうやらは私とエミリーでは解釈が違うようです。私は鬼畜メガネ伯爵は攻めと見せかけてのツンデレ受けだと思います。そして伯爵家の執事はそんなツンデレな伯爵をそのおおらかさで包み込む攻めです。
***
親愛なるシャロンへ。
もうそれは恋です。流れに身を任せるべし。
p.s
どうしてシャロンはそういう歪んだ見方しか出来ないのですか?鬼畜メガネ伯爵は鬼畜メガネというだけで、もう攻める方です。確かに、伯爵家の執事は少し傲慢なところがある伯爵を全て包み込むだけの度量はありますが、全てを包み込む受けというものも存在します。物事はもっと真正面からストレートに見るべきです。
***
愛しのエミリーへ。
これは恋なのですか?しかし、私はエミリーが好きなのですよ?流れに身を任せると二股になりませんか?
p.s
いいえ。ここはどうしても譲れません。鬼畜メガネ伯爵が穏やかな笑みを浮かべる執事に攻められ、うっすらと涙を浮かべる様を想像してみてください。アリだと思うでしょう?
***
親愛なるシャロンへ。
二股にはなりません。
よく考えてみなさい。貴女の私への感情は所詮紛い物です。
しかし、あなたの幼馴染はそんな紛い物の感情に支配されていた貴女の心に入り込んできたのです。
もうそれは恋です。それこそ真の恋心です。王道展開、萌。
早急に告白するべし。
p.s
想像したら鼻血を吹き出して、貴女のお兄様にドン引きされてしまいました。ですが、アリです。
ちなみに、その解釈であの小説を見れるのならば、『悪役令嬢の執事に転生!?-何故か俺が王太子に溺愛されてます-』という本をオススメします。
***
エミリアからの手紙を受け取り、スッキリしたような表情をするシャロン。
対して、彼女たちの伝書鳩を務めるハディスは怪訝な顔をしていた。
「…すごく内容が気になるが、何を書いてるんだ?」
「主に恋の相談です」
「…恋?」
「と、言うわけで、私は今からサイモンに告白してきます」
「待って待って待って。急展開すぎてお兄ちゃん、ついていけないから」
手紙を握りしめ、サイモンの元へ行こうとするシャロンをハディスはとりあえず引き留めた。
興奮状態にあるのか、少しテンションがおかしい。無表情なのに、明らかに頭から花を飛ばしている。
「落ち着け、シャロン。お前はまだ公爵夫人だ。離縁の手続きが済んでいない」
離縁することは決まっているが、諸々の処理が済んでいないのに、他の男と結ばれるのは倫理的にどうなのだろうか。
ハディスはそう意義を唱える。しかし…。
「え?もう離縁すること確定なのですし、気持ちを伝えるくらいはしても良いのではないですか?」
どうせ振られるのだし、とシャロンはシレッと返した。どうやらサイモンの気持ちには気づいていないらしい。
「ふ、振られないかもしれないだろう」
「振られますよ。サイモンみたいなカッコよくて優しい人が私なんかで妥協するわけないじゃないですか」
「はい?では、お前は今から振られに行こうとしているということか?」
「そうですけど…。それが何か?」
呆れ顔の兄に、シャロンはコテンと首を傾げる。
普通、愛の告白というものはもう少し緊張したり、中々一歩踏み出せず悩んだりするものだろう。
それなのに何故、彼女はこんなにも平然としていられるのか。
やはり情緒がない。さすがは恋愛化石女だ。ハディスは頭を抱えた。
「兄様、私は伝えてスッキリしたいです」
「お前はスッキリするだろうが、サイモンはそうとは限らないだろう?」
「…何故ですか?」
「あいつは平民でお前は貴族、それもまだ公爵夫人だ。あいつはそういうの気にすると思うぞ」
「…確かに」
そう言えばサイモンは最近、自分との間にきっちり線を引くようになっていたことを思い出したシャロンは、手紙を握りしめたまま俯いてしまった。
ハディスはそんな彼女の頭をポンポンと叩く。
「…シャロン。せめて気持ちを伝えるのは離縁してからにしよう」
「わかりました。ではとりあえず、サイモンのところに行ってきます」
シャロンは不貞腐れたような口調でそういう時、踵を返し、薬草園へと向かおうとする。
ハディスはそんな彼女をまた引き留めた。
「…シャロン?お兄ちゃんの話聞いてた?」
「聞いてましたよ?」
「では何故サイモンのところに?」
「最近、サイモンのことを避けてしまっていたので謝りに行こうかと」
「…お、おう」
「では、お兄様。お手紙ありがとうございました」
何となく嫌な予感しかしないハディスだが、謝りに行くと言われてはこれ以上引き止められない。
泣く泣く妹を幼馴染の元へと送り出した。
あなたにおすすめの小説
全てを捨てて、わたしらしく生きていきます。
彩華(あやはな)
恋愛
3年前にリゼッタお姉様が風邪で死んだ後、お姉様の婚約者であるバルト様と結婚したわたし、サリーナ。バルト様はお姉様の事を愛していたため、わたしに愛情を向けることはなかった。じっと耐えた3年間。でも、人との出会いはわたしを変えていく。自由になるために全てを捨てる覚悟を決め、わたしはわたしらしく生きる事を決意する。
【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~
いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。
地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。
「――もう、草とだけ暮らせればいい」
絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。
やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる――
「あなたの薬に、国を救ってほしい」
導かれるように再び王都へと向かうレイナ。
医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。
薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える――
これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
逆行転生、一度目の人生で婚姻を誓い合った王子は私を陥れた双子の妹を選んだので、二度目は最初から妹へ王子を譲りたいと思います。
みゅー
恋愛
アリエルは幼い頃に婚姻の約束をした王太子殿下に舞踏会で会えることを誰よりも待ち望んでいた。
ところが久しぶりに会った王太子殿下はなぜかアリエルを邪険に扱った挙げ句、双子の妹であるアラベルを選んだのだった。
失意のうちに過ごしているアリエルをさらに災難が襲う。思いもよらぬ人物に陥れられ国宝である『ティアドロップ・オブ・ザ・ムーン』の窃盗の罪を着せられアリエルは疑いを晴らすことができずに処刑されてしまうのだった。
ところが、気がつけば自分の部屋のベッドの上にいた。
こうして逆行転生したアリエルは、自身の処刑回避のため王太子殿下との婚約を避けることに決めたのだが、なぜか王太子殿下はアリエルに関心をよせ……。
二人が一度は失った信頼を取り戻し、心を近づけてゆく恋愛ストーリー。
病めるときも健やかなるときも、お前だけは絶対許さないからなマジで
あだち
恋愛
ペルラ伯爵家の跡取り娘・フェリータの婚約者が、王女様に横取りされた。どうやら、伯爵家の天敵たるカヴァリエリ家の当主にして王女の側近・ロレンツィオが、裏で糸を引いたという。
怒り狂うフェリータは、大事な婚約者を取り返したい一心で、祝祭の日に捨て身の行動に出た。
……それが結果的に、にっくきロレンツィオ本人と結婚することに結びつくとも知らず。
***
『……いやホントに許せん。今更言えるか、実は前から好きだったなんて』
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
結婚5年目の仮面夫婦ですが、そろそろ限界のようです!?
宮永レン
恋愛
没落したアルブレヒト伯爵家を援助すると声をかけてきたのは、成り上がり貴族と呼ばれるヴィルジール・シリングス子爵。援助の条件とは一人娘のミネットを妻にすること。
ミネットは形だけの結婚を申し出るが、ヴィルジールからは仕事に支障が出ると困るので外では仲の良い夫婦を演じてほしいと告げられる。
仮面夫婦としての生活を続けるうちに二人の心には変化が生まれるが……
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。