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ifの世界線のお話
25:はじめの一歩
雪が溶け、芽吹き始めた新しい命が春の訪れを告げる頃、王太子ヘンリーは正式に即位した。
どこまでも晴れ渡る空の下、即意識後のパレードは盛大に行われた。
そんな賑やかなお祝いムードの中、社交界ではウィンターソン公爵が二人目の妻シャロンと離婚したという話で持ちきりだった。
噂では、前妻を思い続けていると噂の烏公爵に愛想をつかし屋敷を出て行ったとか、ずっと昔からの恋人だったジルフォード家お抱えの薬師と駆け落ちしたとか言われている。
噂の真偽は定かではないが、ウィンターソン公爵夫妻の早すぎる離婚は噂好きの暇な貴族たちにとっては恰好の餌となった。
元々友人のいないシャロンが離婚を機に一切表舞台には出て来なくなったことも相まって、真実を確認しようのない彼らはウィンターソン公爵夫妻の早すぎる離婚を好き勝手に語っているそうだ。
「顔が怖い」
即位式後のパーティーで貴族たちから好奇な視線を送られて居心地の悪そうな顔をするアルフレッドに、陛下となったヘンリーは呆れたような顔で言い放つ。
本来なら彼がエスコートしていたはずのシャロンも存在そのものが隠されているエミリアも、この場にはいない。そのことに少し寂しさを覚えているようにヘンリーには見えたらしい。
「二兎追うものは一途も得ず、だな」
「何が言いたいのですか」
アルフレッドは玉座でふんぞり変えるヘンリーを半眼で見下ろした。
別に自分はどちらも逃したわけではないと彼は主張するが、ヘンリーから見ればどちらも選べず、結果どちらも手放してしまったようにしか見えない。
「公爵、寂しいか?」
「まあ、寂しくないと言えば嘘にはなります」
「もう一度結婚したいのなら俺が紹介してやろうか?」
「遠慮しておきます。多分私は結婚には向いていないので」
「…あー、確かに」
「そこは『そんなことないよ』というところですよ、陛下」
「事実なんだから仕方がないだろう」
二人は目を合わせるとクスクスと笑い合った。
「これから寂しさを感じさせないほどにこき使ってやろう」
「楽しみにしておきます」
***
シャロンがウィンターソン公爵夫人ではなくなってからら、さらに二ヶ月が経った頃、一通の手紙が届いた。
差出人はアルフレッド・カーティス。彼女の元夫だ。
その手紙には友人エミリアが静かに息を引き取ったことが記されていた。とても穏やかに旅立ったらしい。
これも全て、彼女に手紙という楽しみを与えてくれたシャロンのおかげだとアルフレッドは言う。
同封されていた書きかけの手紙にはいつも通り、おすすめの本の考察でびっしりと埋まっていたが、最後の便箋の裏には小さく『今までありがとう。楽しかった』と書かれていた。
きっと、もう自分が長くないことを悟っていたのだろう。文字は少し滲んでいた。
あの日、離宮で初めて会った時からずっと、小さくはなれど決して消えなかった彼女への想いは彼女の死を知ってもなお残っている。
途中、物理的な距離を置き、文通相手として接してきたことが功を奏したのかもしてない。
シャロンにとってのエミリアはただの趣味の合う友人になることができた。
「ありがとう、エミリー。公爵様…」
彼らと出会わなければ、彼らに関わらなければ、きっと自分のことを1番近くで1番大事にしてくれていた人の存在には気づけなかった。
シャロンは読み終えた手紙を宝箱にしまい、鍵をかけた。そして服をクッション材にしてトランクへと詰める。
そう、これから彼女はこれからジルフォード領に行くのだ。
領地を継ぐために、これから田舎に引っ込み領地経営を学ぶ。彼の新しい夫とともに。
「お嬢、用意できました?」
部屋の外からずっと自分を支えてくれていた優しい声で名前を呼ばれたシャロンは、爽やかな笑顔で扉を開けた。
穏やかに、自然に微笑む姿は数ヶ月前まで表情筋が死んでいたとは思えないほどだ。
貴族であること、魔力持ちであることなど様々な重責から解放されたが故に余裕があるらしい。
新しい夫となったサイモンはその笑顔に頬を紅潮させた。
「サイモンはもう準備できたの?」
「ええ、まあ…」
「じゃあそろそろ行こうか」
シャロンは新しい人生を一歩踏み出した
ーーーーー完ーーーーーーー
どこまでも晴れ渡る空の下、即意識後のパレードは盛大に行われた。
そんな賑やかなお祝いムードの中、社交界ではウィンターソン公爵が二人目の妻シャロンと離婚したという話で持ちきりだった。
噂では、前妻を思い続けていると噂の烏公爵に愛想をつかし屋敷を出て行ったとか、ずっと昔からの恋人だったジルフォード家お抱えの薬師と駆け落ちしたとか言われている。
噂の真偽は定かではないが、ウィンターソン公爵夫妻の早すぎる離婚は噂好きの暇な貴族たちにとっては恰好の餌となった。
元々友人のいないシャロンが離婚を機に一切表舞台には出て来なくなったことも相まって、真実を確認しようのない彼らはウィンターソン公爵夫妻の早すぎる離婚を好き勝手に語っているそうだ。
「顔が怖い」
即位式後のパーティーで貴族たちから好奇な視線を送られて居心地の悪そうな顔をするアルフレッドに、陛下となったヘンリーは呆れたような顔で言い放つ。
本来なら彼がエスコートしていたはずのシャロンも存在そのものが隠されているエミリアも、この場にはいない。そのことに少し寂しさを覚えているようにヘンリーには見えたらしい。
「二兎追うものは一途も得ず、だな」
「何が言いたいのですか」
アルフレッドは玉座でふんぞり変えるヘンリーを半眼で見下ろした。
別に自分はどちらも逃したわけではないと彼は主張するが、ヘンリーから見ればどちらも選べず、結果どちらも手放してしまったようにしか見えない。
「公爵、寂しいか?」
「まあ、寂しくないと言えば嘘にはなります」
「もう一度結婚したいのなら俺が紹介してやろうか?」
「遠慮しておきます。多分私は結婚には向いていないので」
「…あー、確かに」
「そこは『そんなことないよ』というところですよ、陛下」
「事実なんだから仕方がないだろう」
二人は目を合わせるとクスクスと笑い合った。
「これから寂しさを感じさせないほどにこき使ってやろう」
「楽しみにしておきます」
***
シャロンがウィンターソン公爵夫人ではなくなってからら、さらに二ヶ月が経った頃、一通の手紙が届いた。
差出人はアルフレッド・カーティス。彼女の元夫だ。
その手紙には友人エミリアが静かに息を引き取ったことが記されていた。とても穏やかに旅立ったらしい。
これも全て、彼女に手紙という楽しみを与えてくれたシャロンのおかげだとアルフレッドは言う。
同封されていた書きかけの手紙にはいつも通り、おすすめの本の考察でびっしりと埋まっていたが、最後の便箋の裏には小さく『今までありがとう。楽しかった』と書かれていた。
きっと、もう自分が長くないことを悟っていたのだろう。文字は少し滲んでいた。
あの日、離宮で初めて会った時からずっと、小さくはなれど決して消えなかった彼女への想いは彼女の死を知ってもなお残っている。
途中、物理的な距離を置き、文通相手として接してきたことが功を奏したのかもしてない。
シャロンにとってのエミリアはただの趣味の合う友人になることができた。
「ありがとう、エミリー。公爵様…」
彼らと出会わなければ、彼らに関わらなければ、きっと自分のことを1番近くで1番大事にしてくれていた人の存在には気づけなかった。
シャロンは読み終えた手紙を宝箱にしまい、鍵をかけた。そして服をクッション材にしてトランクへと詰める。
そう、これから彼女はこれからジルフォード領に行くのだ。
領地を継ぐために、これから田舎に引っ込み領地経営を学ぶ。彼の新しい夫とともに。
「お嬢、用意できました?」
部屋の外からずっと自分を支えてくれていた優しい声で名前を呼ばれたシャロンは、爽やかな笑顔で扉を開けた。
穏やかに、自然に微笑む姿は数ヶ月前まで表情筋が死んでいたとは思えないほどだ。
貴族であること、魔力持ちであることなど様々な重責から解放されたが故に余裕があるらしい。
新しい夫となったサイモンはその笑顔に頬を紅潮させた。
「サイモンはもう準備できたの?」
「ええ、まあ…」
「じゃあそろそろ行こうか」
シャロンは新しい人生を一歩踏み出した
ーーーーー完ーーーーーーー
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ifルートエンドも有るのが特に良かったです!
これからも執筆頑張ってください。応援&楽しみにしています。
ご指摘ありがとうございます!
アルフレッドの分際で、何をディスってんねんって感じですよね。笑
修正しました!ありがとうございました!
魅了のせいといえど、単純過ぎるアルフレッド ・・・。20年上だし、私だったらやだな。白い結婚おk。5年くらいで、サイモンと結婚しなおしたいよね?まあ、30年後、アルが寿命で、サイモンとさいこんでもいいけどね。遺産もあるし・・・w?
サイモンendが読めて本当に良かったです。
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ありがとうございました。