最弱の魔王に転生させられたんだけど!?~ハズレスキル【砂糖生成】で異世界を征服してみよう~

素朴なお菓子屋さん

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第一章 はじめての

男のロマン

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 翌朝。早速会議……と言いたい所だけど、一先ず昨日のスレットの報告を聞かないとだね。
 

「と、言うわけで……第二回魔王軍会議の前に……スレット、昨日の報告を宜しく」


「ほほ、承りました」


「……ねぇ、スレット。話変わるけどさ……アレットの兄って事は……そんなに老けてない、よね?」


「左様で御座いますな」


「じゃあその喋り方は……?」


「…………上に立つ者、威厳が必要なのです」


「成程……耳が痛いねぇ……」


 昨日の僕の対応、スレットはどう思っているか気になる……けど、見た感じ何も変わってないから、逆に不安になるなぁ。


「まず、基地に詰めていた二千弱の兵士達ですが……皆、骨と変え眷属に致しました」


「二千………………え、骨ぇ!?」


「ほほ、魔王様のお力で……肉を剥がすのも容易でしたぞ」


 に、肉を剥がす……?
 怖っ……てか、強……。


「それと……基地自体ですが、一部の損傷が目立ちますが……残しておきました。もし攻勢に出る際、此方が使う事も可能かと」


「なるほど……起点に使うかぁ……」


「他には――――」


 その他、兵士の力量やらなんやらと……スレットの報告が終わり、次の議題に移ろうかと思ったらプースが手を挙げた。


「どうしたのプース」


「へい、魔王様……確かに今、我が国は軌道に乗ってやす。が、しかし……未だ傷付いた民は、国土は癒えていやせん。まだ、攻勢なんて言ってられやせんぜ」


「そう……だよね、確かに……」


 そうか……そうだよね。僕は目の前の事柄しか見えてなかった……反省、しないと。
 これはゲームじゃないんだ……簡単に、駒は進められないんだよ……ね。


「むむっ……然し前哨基地を潰した今、混乱のままに攻め入るのも手ですぞ? 反撃の隙を与えず攻め込めば!!」


「そのっ!! 攻める人員はっ!! 何処におるのだ!? 皆、疲れ果てておるのだぞ!? 傷付けられておるのだぞ!? 生きるのもままならんっ!!」


「かと言ってまた奴らに時間を与えれば体勢を立て直されるじゃろう!? 今、私が作った隙を突くしか!!」


「お、落ち着いて二人ともっ!!」


 立ち上がり、怒鳴るように熱くなるプースとスレット。
 ど、どうしたら良い……!? 僕、製造ばっかだったからこんな会議の捌き方知らないぞ!?


「アッ魔王様~!! 魔王様~!! 配下が今、飴が足りないとォ~!! 言っておりますヨヨヨヨ~!」


 や、やめろ!! 混ざってくるな!! お前は一番ややこしいんだよ!!


「だ、だよね!! 後で作るね!! でもちょっと後でにして貰って良い!?」


 あーもう!! ごちゃごちゃしてきたっ!!
 つーかフェーリーはどうやって配下と連絡取ってるの!? 姿見えないんだけど!? もう、追加情報やめてぇ……!

 とにかく、一先ず落ち着かないと!! 僕が、冷静に……!!


「と、とにかく!! 僕の心情的には、プースの意見の方に賛成したい!!」

 
「そ、そんな!? 魔王様!?」


「さすがわかってらっしゃる!!」


「あぁ……嘆かわしや嘆かわしや……」


 あぁ……スレットよ、そんな悲しそうな雰囲気を出さないでおくれ……。
 
 スレットが頑張って体を張ってくれたのも事実だし……あーもう! 人の上に立つのって難しいなぁ!!


「スレットの意見も取り入れるとなると……どうしても、人員が足りないんだよ……戦力になる存在がさ……」


「攻めと守りの両立……ですか。夢のまた夢ですぜ魔王様」
 

 そのプースの言葉に、急に考え出し……コツッと顎骨に手を当てるスレット。

 
「いや……待つんじゃプース。一人……心当たりがおる」


 え、心当たり……? 魔王の記憶を探っても…………特に、居ないけど……?


「ねぇスレット、その人は誰……?」


「…………先々代の魔王様と共に暴れた、今は老化で動かぬ山と化した――――――古の龍で御座います」


「りゅ、龍……!? つまり…………ドラゴンッ!?」


 待て……待てよスレット……!! なんだよその心躍るワードは!!
 ドラゴンナイト……竜騎士……あぁ、夢が広がる!! ハイジャンプとか竜剣とか出来ちゃう!?
 
 ちょっと、男の子に龍なんて言っちゃダメだぞ!? こんなにもワクワクしちゃうんだからさぁ!!!


「最早体も動かせぬ木偶と聞き及んでおりますが……魔王様、貴方様のお力なら――――」


 僕の力で……魔力を取り戻せるなら、もしかしたら……体が動くかも知れない。
 もっと言えば…………若返らせる事も、出来るかも知れないんだ、この力は。

 こりゃ……行くしかねぇよな!!


 
 ――――――――――

 
 ――――――


 ――――

 
 ――


 ワクワクしながらスレットと共に魔王城の外へ。


「それでは参りますぞ? しっかりと捕まって下され」


「ど、どこに……??」


 魔王城裏門前。表門から出れば城下町があるみたいだけど……今回向かうのは城の裏山なので、裏門から出る。
 裏門の先は直ぐに外に繋がってるらしい……どういう構造なんだろ? 普通壁で囲うよね?
 ……まぁ良いか。

 その門前で、骨の馬に跨るスレットに引き上げられ、二人乗りしたんだけど……もう、見渡す限り骨。

 前も骨。下も骨。

 んー……この中で一番掴まり易いのは……ここ、だな。


「おっほぉ!! せ、脊髄は敏感なのですぞぉ魔王様ぁ~!!」


 電車の手摺りみたいで一番掴まり易かったんだよ、そこ。


「変な声出すな阿呆!!」


 こっちは知らんのよ、骨の生体なんてさぁ!! こっちは骨なんてどこ触られても致命傷なんだよ!


「肩、肩に…………お掴まり下されぇ~」


 ちょっと甘い声になってて……凄く、気が滅入る。キツイってスレット……。


「わかった、わかったら早く行こう……」


「ん、んんっ……!! では、開門っ!!」


 スレットの言葉と共に門が開き……同時に、馬が駆け出す。
 誰かが門、開けてるのかな? 門番……か。挨拶したかったな。


「わ……わわっ!!」


 ギュンッと加速する馬に、思わず声が漏れて。


「ほほっ!! まだまだ行きますぞぉ!! ハイヤーッ!!」


 馬一頭、ギリギリ通れるくらいの隙間を縫って門を飛び出して……突風を、巻き起こして。

 ブワッと吹かかる風に……僕の長い髪が持っていかれて。
 それでも魔王のこの体は……風に負けずに、目を開けっ放しでいられて。
 
 凄くクリアに見える世界。あぁ……便利だ、魔王の体。


「はははっ……はははっ!! 気持ち良いねっ!!」


「そうでしょうそうでしょう!!」


 スレットの隙間だらけの体を縫って、僕の顔に吹かかる異世界の風。

 温くて、青臭くて……心地好くて、擽ったくて。

 どうしてか……ワクワクして。

 自然と、スレットの肩に掴まる手をギュッと強く握り締めて。

 あぁ……思えばこの世界に来て、初めての外出。

 家屋もビルも無い……見晴らしの良い平原。

 遠くを見れば森があって、山があって……長閑で、清々しくて。

 ゲームじゃ見られない……平和な、魔王が治める土地。


「サラマンダーより、ずっと早いっ!!」


 人気の無いこの土地……僕が守って、繁栄させたい――――そう、思えた。
 


 ***

 五分程馬で掛けた後、辿り着いた裏山。草木の茂る……自然の美しい、山。


「滑りますので、しっかりお掴まり下され」


「うん、ありがと」


 スレットと一緒に、急斜面を滑り落ちるように駆け下りる。

 山の中……辿り着いた先は渓谷。飛行機だって着陸出来そうなくらい……大きな場所。

 流石に馬じゃ通れないので、二人で徒歩で行く事に。トホホ。

 しかしまぁ……綺麗な場所だなぁ……。

 苔むした岩壁に囲まれた、透き通った川。

 空からは突風に乗って、青々とした草花が飛び交わし、出迎えるように激しく僕らを包み込む。

 魔王領とは思えない……清楚な土地。

 穢れを知らない……穏やかな場所。


「ささ、この奥に居るらしいですぞ」


「わかった。それにしても……凄い所だね、ここ」


「ほほ…………龍が終の住処に決めた所ですからな」


「そっか」


 僕の最期は……どうなるんだろ。

 また日本に帰るのかな――――そう思ったら、ジワッと嫌な気持ちが湧いてきた。

 変化の無い、つまらない毎日。

 悪くなる一方の世情。

 上がらない給料と上がる物価。

 原料の高騰で、お菓子も値上げして……売上が、落ちて。

 不安になるお店の将来と自分の老後。

 …………嫌だ……嫌だ、日本は嫌だ……。

 魔王という立場。

 砂糖を出す異能。

 激流の毎日。

 この世界なら……僕という個人の力で、世界が動かせる。
 
 お菓子ならどっちでも作れる。なら、この世界に居た方が――――楽しい。


「魔王様、ボーッとされては危ないですぞ」


「あ……ごめんね。ありがと」


 差し出されたスレットの手を取り、この地に僕の足跡を残さないように……川の流れに沿って静かに歩く。

 どんどん急斜面になる地面と、激しくなる川の流れは……まるで僕の心を映しているみたい。

 僕は……この世界が、楽しい。

 この先に龍がいる……それだけで、胸の高鳴りが抑えきれない。

 刺激的で……超常で。


「だいぶ狭くなってきましたが……まだ、見当たりませんのぉ」


「そう……だね」


 十分程歩いても終点には付かず……太ももをお腹の辺りまで上げないと、登ることすらままならないくらいまで来てしまった。
 それでも痛くない体と、息切れしない体力……最高。


「よい……しょっと……」


 右側に聳える、苔むした濃い紅色の巨岩。

 手が汚れるのは嫌だけど……仕方ない、転びそうだし手を付いて支えにするか。


「こんな所っ……住み難いだろ……っとと」


『アッ……』


 ………………ん?


「……え? スレット……今、喋った……?」


「……いえ、私は何も……」


 いや、今でも確かに右側から――――ん? 右側……!?
 スレットは…………左側。


 『いけませんよお客人。いくら老齢とはいえ……乙女の臀部を鷲掴みにするのは』


 僕の右手は……この、巨岩をしっかり握っていて…………急いで苔をそのまま握り取って投げ捨てて、苔のあった部分を手で拭う。

 そこにあったのは…………岩、というより……鱗。
 薄ら光沢があり、人の掌くらいの大きさの物がビッシリと。
 まさか……まさか……!?
 

 『アッ……アッ……。こ、今回の魔王殿は、激しいのがお好きなのですね……』


 コイツ……脳内に直接……!?


「キェェェェェェアァァァァァァシャベッタァァァァァァ!!!」
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