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35 寝室で2

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 そうだよ、ここはジークハルトの部屋の寝室じゃないか。
 いつもは自室にいる時だったのに何で今回は繋がったんだ?

( うわぁ、どこから聞かれてたんだろう? なんとか誤魔化したいけど… )


「セレスティン様」

 どうしたものかと焦っていたら、突然ヒューイに名前を呼ばれて驚いてしまった。
ジークハルトも見開いた目を後ろに向けている。

「運命の番。そう聞こえましたが、間違いありませんか?」

 …バッチリ聞かれているじゃん。
 仕方ないから誤魔化すのは諦めてこくりと頷けば口元に笑みを浮かべたヒューイが胸に手を当てて恭しい仕草で頭を下げて滔々と語り出した。

「ジークハルト様、そしてセレスティン様。まずはお祝いを申し上げます。お二人は魂で結ばれた関係になったのです! たとえどんなに優秀なアルファやオメガがお二人の前に現れてもその絆は揺らぐことは無いと言われている唯一無二の関係です。…今までは神話や物語の中の事と思われていましたが、女神様からのお告げであれば真実で間違いないでしょう!」

 寡黙なタイプだと思っていたヒューイに熱く語られて戸惑いが隠せない。この人ってこんなキャラだったんだ…。ていうか女神のお告げはもう確定なんだね。

( それにしても、魂で結ばれた関係? 『愛情ゲージがМAXになって~』とかゲームっぽい事を言っていたけど、なんだか崇高な感じになっていないか…? )

 どうにも齟齬を感じて何も反応できないでいたら、ヒューイから祝福を受けたジークハルトが瞳をふせて考えに沈んだように小さく呟いているのが聞こえてきた。

「運命の番…魂で結ばれた揺らぐことの無い唯一無二の関係…」

  顔を上げたジークハルトがなんだか頼りない感じの声で俺に問いかけてきた。

「セレス、私達は運命の番だと、そう女神様は告げたのか…?」

 見上げた俺の目に映る彼のオレンジ色の瞳がそうであって欲しいと訴えている。
 そんな彼もやっぱり可愛いと思ってしまって愛しさに胸がきゅうっと苦しくなった。


 そうだよ、二人の愛情ゲージはМAXなんだ。俺は誰よりもジークハルトを愛していると今なら胸を張って言える。この世界の運命の番の条件がそれなら俺達は完全に当てはまっているじゃないか。

 今の俺は立つことが出来ないからせめてベッドから足を下ろし出来るだけ姿勢を正して真っ直ぐジークハルトを見て告げた。

「はい。女神様から私とジークが運命の番になったと告げられました。私は心から貴方を、ジークハルト・ガルブレイス殿下を愛しています」

 俺の宣言にジークハルトの頼りなげだった顔が輝くような笑顔に変わった。

「セレス! 私も君を、セレスティン・アッシュフィールドを心から愛している!!」

 喜びを爆発させてベッドまでの短い距離を走り寄ってきたジークハルトを両手を広げて向かい入れる。力一杯抱きしめられて少し苦しいくらいだ。


 そんな俺達を胸の前で両手を握り合わせて膝をついたヒューイが見ているのが目の端に映ったけど、うん、気にしない事にしよう…。




 それから三日ぶりのちゃんとした食事をベッドで食べた。ヒートの間も簡単なものを食べさせてくれていたらしいんだけど、全然覚えていない…。ジークハルトも寝室に運び込まれたテーブルで一緒に食べて身体が動かしづらい俺を甲斐甲斐しくフォローしてくれて申し訳ないけど嬉しかった。

 食べながら抑制剤が効かないのは最初だけだと言う事も伝えておいた。薬が効かなくなったわけでは無いと知ってジークハルトも安堵の表情を浮かべている。

「色々調べるように頼んでしまったからヒューイにも伝えておこう。そういえばヒューイもセレスの信奉者なんだ。君が女神の力を振るうところをはじめから見ていたからね。心酔していると言っても良いくらいだよ」

「…そうなんですか。もうそんな力を使う事は無いと思うけど…」

 残念な事にさっき目の端に映った姿は気のせいでは無かったようだ。
本当に今更だけど、どうして女神とか言っちゃったんだよ俺ぇ。はぁ…。



 そのまま俺はジークハルトの部屋で休養することになった。

 最初は自分の部屋に帰ると言ったけどジークハルトの「では君の部屋まで私が抱いて行こう」という脅しに折れた結果だ。

 ジークハルトは自分の部屋に俺がいる事が本当に嬉しいみたいで、公務以外の時間は部屋で過ごし足腰が立たない最初の頃は何処に行くのも抱いて運んでくれた。流石にトイレに一緒に入ろうとしたときはお断りさせてもらったけどね…。
 でもお風呂もベッドも一緒だと身体が回復したらやっぱりそうなるというか…、休養と言いつつ恋人同士のイチャイチャな毎日を過ごしてしまった。




「まだ項の強く吸ったところの痕が消えていないね」

 唇がそこに触れたのが解ってピクンと身体が反応してしまう。ベッドの上でジークの足の間に座り後ろから抱きしめられているから逃げられなくて身体を捩って抗議した。

「ジーク⁉ 付けたらダメだ。んっ、あっ」

「触れてるだけ。吸わないよ」

 項に舌を這わせながら肌蹴た寝間着の中に入っている手が胸の先端を指で転がしもう片方の手は少し膨らんでいる前を布の上から形を確かめるように撫でている。堪らずその手を押さえるけど、力の入らない指では動きを阻止することが出来なくて手の中で大きくなっていくのがわかる。

「あ、駄目。それ以上は、あっ、あ、んんっ、」

「セレスが楽な態勢になろうか」

 そう言って横に倒されジークの胸に背中を預ける態勢にされてズボンを下着ごと下ろされ手で一度イかされた。その間に慣らされていた濡れてる後ろにジークが入って来て、気付いた時には喘がされてて、くたりとした身体をお風呂に運ばれてそこでもイチャイチャしてからベッドに戻れば疲れた身体は直ぐに睡魔に誘われ朝までぐっすり眠れてしまう。

 我ながら爛れていると思う…。


 ***


「セレス、何かあれば必ず私を呼んでくれ」

「わかった。それじゃあおやすみなさい…ん、」

 就寝の挨拶をしたら抱きしめられて唇が塞がれた。何度もキスを交わしてからようやく離れたジークハルトが名残惜しそうに扉を閉じて帰って行った。


 俺はジークハルトの部屋での休養を経て自室に戻って来ていた。

 明日からは授業にも参加する予定だ。とっくに問題ないくらい身体は回復していたが、ジークハルトが付けた見える場所、特に項付近の所有印が消えるのに一週間もかかってしまったんだ。
 それだけなら自室に帰っても良かったんだけど、引き止められるままズルズルと…。
 まあ俺も一緒にいたかったし…。

 その夜は久しぶりの自分の部屋のベッドで一人で寝るのがなんだか寂しいと感じながらもやっぱり落ち着く場所なのか直ぐに眠りに落ちていった。


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