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「小林、昼休みは大丈夫だったのか?」
放課後になって帰る準備をしていたら伊藤君が話しかけてきた。それが聞こえたみたいで昼休みに中庭に居た数人もこちらを気にしているのがわかる。
「大丈夫って、どうして?」
「怒ってる顔した生徒会長に拉致されて行ったじゃん。だから気になってさ」
そうか、確かに最初は怒っていたもんな。それで心配かけてしまったみたいだ。
「高橋先輩は優しい人だから大丈夫だよ」
「なら良いんだけど」
そう言った伊藤君が顔を寄せてきて「あんなところを見られたから彼氏に怒られたんだろう?」と小声で聞いてきた。
「なっ?! か、か、…って、なんで?」
「あれ? 違うの? だって、」
「わあぁっ、それ以上は言わなくて良いから! ちょっとこっち来て!」
慌てて伊藤君と一緒に教室から出て、人気のない渡り廊下まで連れて来た。とにかく話を聞きたい。
「何で伊藤君は高橋先輩と僕が、その、付き合ってるって思ったの?」
「え? そう思ってるやつ割と多いんじゃないかな? あからさまだし」
「そんな…、あからさまって?」
「だって、生徒会長の態度見てれば解るよ。デレデレじゃん」
で、でれでれ? 解るの?
伊藤君が言うには僕とそれ以外の人で態度がはっきりと違うらしく、僕にハグする時も高橋さんの抱きしめ方は他の人と比べて気持ちが籠っているのが解ると言われた。
「それに小林から抱き着くのも生徒会長ばっかりじゃん」
「そっ、んなことは、無いよね?」
必死に思い出してみたけど確かに自分から抱き着いたのは高橋さんだけかもしれない。もしかして、僕の態度もバレバレだったの? それが周りの人にはどう映っていたのかを考えてしまい今更だけど恥ずかしい。
「小林は姫だからみんな気軽にハグしたりするけど、昼休みの生徒会長の様子だとやっぱり嫌だったんじゃないかって思ったんだよ」
伊藤君、正解です。そんなに解りやすかったなんて、もう穴があったら入りたいってこういうこと? 返事も出来ずにいる僕に伊藤君が心配そうに聞いてきた。
「なあ、やっぱり怒ってたんだろう?」
「…うん。これからはやめて欲しいって言われた」
すでに色々バレてるし、一番仲の良い伊藤君には話してしまおうって思った。それにもう誰かに話を聞いて欲しい。一人で考えるの限界だよ。
伊藤君にこの後時間がとれるか聞いてみて大丈夫だったので近くのショッピングセンターに行った。まずはファストフード店で腹ごしらえしながら昼休みに来た高橋さんは実は怒っていたことをかいつまんで話した。食べ終わってからはショッピングセンター内のベンチに移動して付き合う事になった経緯を説明したんだけど…。
「生徒会長の思い込みも凄いけど、小林の鈍さも凄いな。あんなあからさまな態度なのに好意に気付いて無いなんて驚きなんだけど」
「だ、だって、僕が姫だってなってからみんな優しくなったから、それと同じだと思ってたんだよ。決定的な事を言われなかったし…」
「あ~、姫かぁ。みんな今まで通り触りたがるだろうし、これから大変かもな。山川とか、どうすんの?」
そうなんだよ、今まで良かったのに急に駄目だと言わなければいけない。やめて欲しいと言えば良いだけなのかも知れないけど、躊躇ってしまうのはみんな優しかったから。陰キャで話下手な僕がコミュニケーションを取れるようになったのはみんなから姫扱いされるようになったからなんだ。この関係が壊れてしまうのはやっぱり嫌だ。
「先輩とちゃんと話してみる。伊藤君、話を聞いてくれてありがとう」
「クラスの奴らに俺からそれとなく話しておこうか? 嫉妬深い彼氏が煩いから教室以外ではひっつくなって」
「でもそれって僕が先輩と付き合ってるのを公表する事にならない?」
「すでにバレバレなんだからいいんじゃないの?」
そんなにバレバレなのか…。
伊藤君が「俺が上手く話しといてやるから心配すんな」って言ってくれたからちょっと不安だけど任せる事にした。
伊藤君と別れての帰り道、高橋さんから次の日曜日に時間が出来そうだというメッセージがスマホに届いた。昼休みに二人きりで話そうって言っていたから、僕の予定を確認してくれている。僕も日曜は空いているのでその旨を返信した。
今日は木曜日だから三日後か。その時に僕の気持ちをちゃんと伝えよう。
放課後になって帰る準備をしていたら伊藤君が話しかけてきた。それが聞こえたみたいで昼休みに中庭に居た数人もこちらを気にしているのがわかる。
「大丈夫って、どうして?」
「怒ってる顔した生徒会長に拉致されて行ったじゃん。だから気になってさ」
そうか、確かに最初は怒っていたもんな。それで心配かけてしまったみたいだ。
「高橋先輩は優しい人だから大丈夫だよ」
「なら良いんだけど」
そう言った伊藤君が顔を寄せてきて「あんなところを見られたから彼氏に怒られたんだろう?」と小声で聞いてきた。
「なっ?! か、か、…って、なんで?」
「あれ? 違うの? だって、」
「わあぁっ、それ以上は言わなくて良いから! ちょっとこっち来て!」
慌てて伊藤君と一緒に教室から出て、人気のない渡り廊下まで連れて来た。とにかく話を聞きたい。
「何で伊藤君は高橋先輩と僕が、その、付き合ってるって思ったの?」
「え? そう思ってるやつ割と多いんじゃないかな? あからさまだし」
「そんな…、あからさまって?」
「だって、生徒会長の態度見てれば解るよ。デレデレじゃん」
で、でれでれ? 解るの?
伊藤君が言うには僕とそれ以外の人で態度がはっきりと違うらしく、僕にハグする時も高橋さんの抱きしめ方は他の人と比べて気持ちが籠っているのが解ると言われた。
「それに小林から抱き着くのも生徒会長ばっかりじゃん」
「そっ、んなことは、無いよね?」
必死に思い出してみたけど確かに自分から抱き着いたのは高橋さんだけかもしれない。もしかして、僕の態度もバレバレだったの? それが周りの人にはどう映っていたのかを考えてしまい今更だけど恥ずかしい。
「小林は姫だからみんな気軽にハグしたりするけど、昼休みの生徒会長の様子だとやっぱり嫌だったんじゃないかって思ったんだよ」
伊藤君、正解です。そんなに解りやすかったなんて、もう穴があったら入りたいってこういうこと? 返事も出来ずにいる僕に伊藤君が心配そうに聞いてきた。
「なあ、やっぱり怒ってたんだろう?」
「…うん。これからはやめて欲しいって言われた」
すでに色々バレてるし、一番仲の良い伊藤君には話してしまおうって思った。それにもう誰かに話を聞いて欲しい。一人で考えるの限界だよ。
伊藤君にこの後時間がとれるか聞いてみて大丈夫だったので近くのショッピングセンターに行った。まずはファストフード店で腹ごしらえしながら昼休みに来た高橋さんは実は怒っていたことをかいつまんで話した。食べ終わってからはショッピングセンター内のベンチに移動して付き合う事になった経緯を説明したんだけど…。
「生徒会長の思い込みも凄いけど、小林の鈍さも凄いな。あんなあからさまな態度なのに好意に気付いて無いなんて驚きなんだけど」
「だ、だって、僕が姫だってなってからみんな優しくなったから、それと同じだと思ってたんだよ。決定的な事を言われなかったし…」
「あ~、姫かぁ。みんな今まで通り触りたがるだろうし、これから大変かもな。山川とか、どうすんの?」
そうなんだよ、今まで良かったのに急に駄目だと言わなければいけない。やめて欲しいと言えば良いだけなのかも知れないけど、躊躇ってしまうのはみんな優しかったから。陰キャで話下手な僕がコミュニケーションを取れるようになったのはみんなから姫扱いされるようになったからなんだ。この関係が壊れてしまうのはやっぱり嫌だ。
「先輩とちゃんと話してみる。伊藤君、話を聞いてくれてありがとう」
「クラスの奴らに俺からそれとなく話しておこうか? 嫉妬深い彼氏が煩いから教室以外ではひっつくなって」
「でもそれって僕が先輩と付き合ってるのを公表する事にならない?」
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伊藤君が「俺が上手く話しといてやるから心配すんな」って言ってくれたからちょっと不安だけど任せる事にした。
伊藤君と別れての帰り道、高橋さんから次の日曜日に時間が出来そうだというメッセージがスマホに届いた。昼休みに二人きりで話そうって言っていたから、僕の予定を確認してくれている。僕も日曜は空いているのでその旨を返信した。
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