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一章(心は)まだまだ男
第五話 大股で
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――ドキリ。
なん、なんだ? 今、胸の奥がつねられたような、温められたような不思議な、切ない感覚は? 熱い安心みたいな。
当惑しつつも、ボーッした頭で小さく頷いていると、瞬間、頸動脈のあたりを舌が這う。
こんな、梅雨の昼下がり、上司と、ラブホテルで――。
「! かかりちょ。待っ、ダメ」
反射的にそう断るも、肩を押し返す力は、あまりにも弱々しかった。
「なぜだ? 俺じゃあ不安か?」
そう言いつつ、左手が、胸に優しく触れてくる。ノーブラのため、乳房の柔らかさを、バスローブ越しに伝えてしまい、また係長の熱を感じてしまった。
「だ、って。奥さん、いるの……ンニッ」
秒で乳首の位置を補足されてしまい、的確に指を押し当ててつつ、痛気持ちよく摘ままれる。同時に、首から顎にかけて、細い筆のように舌でなぞられる。
「お前を守るために、少しだけいい思いをさせてもらっては、ダメか?」
んあっ。か、係長をどけようとする力がどんどん弱まっていく。乳房が揉まれるたび、頸動脈を舐められるつど、自分でも信じられないくらい脱力して。
認めた異性だから? いや、それだけじゃ説明がつかない。っとすると、自分が、流されやすくなっている?
「(川口達の時とは、全然違いすぎて)かかりちょ」
「川口のとは違うんじゃないか?」
見透かされた一言で、触られている場所とお腹の中がさらに熱くなる。腰に回った右手が、肩まで上って抱きしめられ、乳房に埋もれてい左手が、バスローブの中へと侵入って、くる――!
「あっ、ダメ」
慌てて、バスローブの上から彼の左手を押さえつけようとする。けど、すでに入り込んでいた指が少し力を込めるだけで、生乳は妖艶に変形させられて、乳首は弾力を示し、私の手から力を奪うのであった。
「綺麗な胸だ。形も色も、質感も」
息を吹きかけられ、囁かれると、耳の中ゾワゾワピリピリとする。想定していなかった愛撫に、思考が中断される。
――味方になってくれそうで安心したから? そうでなくてもこうなった? 考えをまとめるより早く、係長の手が舌が、私の彼方此方を無遠慮に、けど、正確に触れ続けた。
「係長。もぅ、本当にぃ」
自分で言っていても、全然嫌がっていないような声質と弱さだった。
いつの間にか腰が砕けるみたく傾き、彼に身体を預けてしまった。そのため、肩から右手が離れたかと思いきや、二呼吸する間もなく、膝上のバスローブをめくり上げられてしまい、生の脚に触れられる。
「スベスベだな」
褒められたためか、妙にお腹の下あたりがキュッとなる。遊び焼けした指でもって、太腿を数回ほど撫でた後、付け根の方へと這い上がってくる。止めようと弱々しく手を差し向けるも、乳首を直に優しく抓あげられて、手は簡単にベットの上へと落ちた。
「もう、おねが――」
「乳首、コリコリだぞ?」
ドクン。かつての川口の時を思い出す。けど、あの時のように時間をかけて甚振られたからというよりは、まるでオンナの身体が、興奮させられているから、みたいな――。
「新妻」
「ハァ、ハァ――ッ!」
係長の顔が迫る。次の瞬間、温かなヌメっとしたものが、口の中にヤッてくる。
ン、チュ、ジュル。
――ま、た、男に口づけをさてしまった。なのに、なんで、気持ち悪くないの? 係長の息も唾液も全く臭わなかった。それどころか、僅かに甘みにを帯びているような錯覚すらした。気がつくと目を閉じて、心臓をバクバクと鳴らせつつ、こちらからも小さな舌を絡ませにいっていた。
ジュル、ジュ、ゴク。
まるで頭の中を舐められているみたい。キスって、こんなに気持ちよかった、んだ。ずっとしていたいとすら思った。
「ッンン!」
首筋のあたりを桃色に塗りたくられて呆けていると、卑猥の刺激が股間にて弾ける。
――ジョリ。ノ、ノーパンであるため、太い指が、私の陰毛の何本かを重ねて擦り合わせたのであった。
な、何とか、しないとぉ。と思うだけで、すぐにキスの感触に思考は蕩けさせられた。
ンチュ、ジュル、チュ。
ほぼ無抵抗のため、膣の入口へ、恋人でも旦那でもない男の手が迫っていたのを気にしていなかった。ほぼ犯されているのに、こんなに無警戒なのは、ヤバ、イ。この状況はもちろんだけど、今の自分って、女よりスケベになってなイ?
クチュ。
「ン~ッ!」
「普段、気の強そうなお前が、ベットの上では、こんなに控えめだなんてな」
係長の人差し指が、トロトロに濡れた小陰唇の裂け目を、小さく割る。秒速一ミリメートルほどの遅さで、味わうように掘り進んでくるぅ。
「ジュパ。――かかりちょ、待っ、てぇ」
懇願するように眉をひそめ、上目遣いで甘い息を顔面に吹きかける。
係長は返事の代わりに、シュル、っと私のバスローブの上半身部分を開け放つ。たわわな桃の実みたいに姿を現した乳房の乳首へ、噛みつくように顔を寄せる。
チュル、チュパ。
「ああんっ!」
も、もう偽れない。今のは間違いなく本気の嬌声だった。男の性技に完全に感じ入った、雌の咆哮だった。
乳首を力強く口内へ含んだ後、舌で軽く先端を撫で舐め、そして甘噛みされる。乳輪を舌先でなぞられた時、喘ぎ声を抑えようと、口元へ手を運ぶも手首を強く掴まれて、簡単に剥がされる。
そして、く、陰核を、こ、小指で――。
ピリリッ。
「アッ、ンン、はぁん!」
完全にスイッチが入った。もう、係長のヤル気を昂ぶらせるためだけに、あるいは自分が感じているのをわからせたいがために、喘ぎ声を出しているのに他ならなかった。
クチュ、クチュ。
「ひゅあん!」
優しく、けど力強く指が膣口をほぐしていく。もう、元男だとか、身体が女だとか考えられない。ただただ、係長に触られる身体全部が茹でるみたく気持ちよくて――。
ニュグ。
「っ痛!」
今まで一番、大きな声を出してし、微かに正気に戻る。い、今のは? 感じたことの無い、股間の辺りから激痛だった。
薄ら涙目で下を見ると、係長の指の第一関節の半分ほどが、膣内へと入ろうとしていた。
「チュポン――新妻、お前まさか」
額に汗を浮かべて、慌てて乳首から口を離した係長の驚いた声が、ひどく新鮮だった。私はただただ息を整えつつ、桃色に火照る身体や股間を、視線を落としていた。
「処女、か?」
イエスともノーとも答えず、係長の出方を伺った。
っというのは建前で、もう腰にいれる力すらほとんど無くて――。
「ぃよっと」
「! ひゃっ」
予想の斜め上へ羽ばたく。お、お姫様抱っこされた私は、そのまま水平に運ばれて、ベッドの中央に寝かしつけられる。
「新妻……」
覆いかぶさられるような位置で、係長は、かつて無いほどの真剣な瞳と声をこちらへ向ける。急に気恥ずかしくなって、腕でもって乳首を隠し、顔を背ける。
けど、依然として雰囲気に飲まれたままで、胸のドキドキは聞こえそうなくらいだった。匂い立つように逞しい、係長が、じ、私に夢中に? け、けれども……。
「かかり、ちょう。ご結婚、されているから、やっぱり――」
倫理で諭そうと思ったのが、そもそもの間違いだったのかもしれない。
ポン、と優しく頭の上に手を乗せられる。そして、滑るように柔らかな栗色の髪を、何度も撫でられる。
「可愛くて優秀な部下のハジメテが、目の前で花開いているのに、お預けなんて憤死してしまうぞ」
キュ。心が小さく締め付けられる。キザな言葉でも、係長だと違和感が薄く、抵抗心をなめらかにされてしまう。
「(確かに、こんな状況で立場が逆なら、絶対我慢できないだろうな)――って、そうではなく」
「俺に全て任せろ、新妻」
抱きしめられる。つまり、係長に覆い被されたんだ。汗の臭いと体臭と、整髪料の混ざった匂いは、私の中の頑なナニかを急速に溶かしていく。
彼の焼けた両足が徐々に左右へ開くと、当然、細くてほぼ無毛な脚も、合わせて開いていく。きっと今の自分は、女な顔をしているんだろうな。
「か、係長。ご、避妊具は?」
ほぼイエスの返答を、言い換えて伝えてしまう。
しかしそもそも、女体化して日が浅いため、妊娠するのかもわからなかったけど、本能的に問いかけてしまう。
「俺は生派なんだ」
妊娠したらどーすんのぉ~!
「ちゃんと膣外射精するから、心配するな」
バスローブから伸び出ているであろう、係長の肉棒の先端が、クチュ、っと優しく膣口へ当たる。
さっき見た平常時のサイズを思うと、物理的な恐怖が湧き出てくる。
「係長、やっぱり無理だよ。入らな、い」
止せばいいのに、情欲の炎を燃やす燃料のような一言を、涙ぐみながら呟いてしまう。
「新妻。お前が守ってきた大切な処女を、俺がもらえるなんて――」
――最高に幸せだよ――そう口元が動いた瞬間だった。
グニュ、ニュルグ、グ。
「! たいっ、痛いっ!」
もう愛液でビショビショの膣内と、尿道球腺液でベトベトの肉棒という組み合わせ――にも関わらず、ねじ込まれて、膣内が圧迫されるそのつど、股間に亀裂が走るみたいな、激痛が疾走する。
「痛い、たいたい! 股がっ、裂けるぅ!」
こ、れは。マジ、まじで痛いっ! いた、痛みを少しでも誤魔化すため、彼のその硬い背中を抱きしめると、爪すら立ててしまう。
「くぅ、狭い。とても、イイ、ぞっ、新妻っ」
余裕の無い息遣いとは裏腹に、係長の足によって完全に開脚されてしまう。異物としか表現できない、焼けた鉄棒のようなモノが体内へと刺し込まれていく。
膣壁を灼け擦るみたいで、信じられない熱量と痛みに、汗を浮かべて顔が引きつる。逃げようとする腰は、彼の万力のごとき腕力によって固定されてしまう。
「(破瓜は痛いって、聞いたけど、これ、ほど、とはっ)ぜ、全部入った?」
ひぃ、はぁ、っと涙を浮かべつつ、口元の耳に尋ねるも。
「まだ半分、くらいだっ」
嘘っ。こんなに耐えに耐えて我慢しているのに、まだ折り返し地点?
汗だくになりながら、互いに死んだ虫のように身体を硬直させて抱きしめ合う。一方はとにかくゆっくり挿れさせるため、もう一方はとにかく早く挿れるために。
「ひたい! 痛いよぉ」
なんで女はこんなに痛い目に遭わないといけないの?
下手な化粧は当に落ちており、顔をグチャグチャにして何度も悲痛な声をもあげる。けど、係長は、そんな私の辛そうな言動にはお構いなしに、ただただ挿し込みを強行していた。
ヌチョォ、ピタン。
係長の腰の動きが止まる。もう痛すぎて、股付近の感覚があまり感じられないくらいだった。私は泣き震えながら、彼の耳元へ、許しを請うみたく、弱々しい息を吹きかけた。
「ハァ、ハァ。は、入ったぁ?」
「あぁ――」
ヒック、ヒックと嘔吐きつつ、気がつくと、彼の動きを少しでも阻害するためか、脚も腕も全てを巻き付けていた。
しかし、直後に、衝撃的なことを告げられる。
「動く、ぞ」
「……はっ?」
ニュル、ズニュニュ。
「! たいっ、痛い!」
ズルルル、っと肉棒が引き抜かれていく。い、挿れて出しているだけなのに、こんなにも濡れているのに、膣壁がほんの微かに拡張されるいるのか、激痛が膣を覆った。
「うご、かないでっ、裂けるぅ!」
必死に抱きしめて動きを止めようとするも、彼の力に勝てるわけもなかった。
「そんなの、無理だっ」
私を押しつぶすように抱きしめ抑えると、上半身を圧迫してくる。そして、彼は自由な下半身を、ここぞとばかりに前後へ揺らし始める。
ニュルグ、ズルル、ヌパアン!
「いたい、ひたい! おねがっ、もっ、ゆっくり!」
「すごい、締め付けだっ」
そういうプレイかと思うほどに泣き喚くけど、本当に痛いんだって! 熱い鉛の棒を何度も体内に出し入れされるみたいであった。
処女が初体験で感じるなんて、絶対嘘だと、我が身を持って知ることになるなんて、思わなかった。
パン、ズルル、パァン!
痛みが麻痺してきたせいか、膣内の感覚が再び失せていく。とにかく必死に彼を抱きしめる以外、出来ることは何もなかった。
「ハァ、ハァ。いいぞ、新妻っ」
褒められても、ただただ奥歯を噛みしめて痛みに耐えるしかなかった。は、早く膣外で射精って!
「ふぁっ、ウ、グゥ――んんっ!」
互いの汗と体温と息と、何より体液が混ざり合う中、セックスを始めてからの時間の感覚がなくなっていった。
でも、やがて祈りが通じてか、膣内の肉棒が、ビクビクと収縮しだしたような気がした。
「か、かかり、ちょう」
やっと解放される、そう弛緩しかけた時であった。
「お、ぬおおっ」
雄叫びのような声が、耳元で放たれたかと思うと。
「(なに?)ひゃぁ!」
今までより輪をかけた力で、抱き締められて、腰を押し込まれる。痛いと呻く間もなく、反動でもって私の腰すらも前後させられる。
当然、肉棒が膣壁を擦る早さと強さは跳ね上がり、膣口と陰茎の根元がぶつかる衝撃のたび、卑猥な水音が室内に響く。
パン! ピチャ、パァン! ビチャァ。
互いの股間の辺りは、これ全て体液? と呼べるくらいにグチョビショだった。痛みと疲労で、私はもはや失神寸前だった。
「射精ぞっ、新妻!」
え? だす? えっ?
「! ――だ、だめ。膣内は、ダメぇ!」
もっとも不要な一言が、最大の後押しとなってしまった。
「おおおっ」
グリュリュ、ニュルルル。パァン!
肉棒が子宮口の最も深いところに到達するや否や、腕の筋肉が隆起する勢いで、肉体を圧着させられる。
ビュ、ビュルル、ピュピュ、ドポォ!
抱きしめてくる力が強すぎて、一瞬、息が出来なかった。
「あ、ああっ。ア――」
ヘソの真下あたりでぇ、熱いナニかがぁ、次々と放出されているのを、微かに感じ、た。う、受け側だから、か、膣内射精って、こんなに、熱狂的、なんだぁ。
ハァ、ハァ。
さっきまでの激しい運動はなりを潜めて、室内の全てが静止している風だった。二人は、一人の人間になってしまったの? ってくらいに、合体しまま動けなかった。
「かかり、ちょう。かいしゃ――」
ずっと非常識な行為をしていたためか、常識的な一言を言うと、口を口で覆われた。
股間に痛覚が戻ってきたのか、ジンジンと熱いけど、優しい風なキスにより、どういうわけか心が落ち着いてくる。
「ンッ。後休の連絡をしておく」
係長の舌が歯を舐め拭く。
と、とりあえずこのまま休めることと、もう終わったことで、全身の力が抜ける。
――ズリュリュ。
音を立てて係長のが引き抜かれる。微弱な電気信号に思わず、爪先がピクンと何度も動く。
やがて彼が胡座をかいてベッドに座ると、私は力を振り絞って上半身を起こしつつ、顎を引いて股の方を見る。陰毛やシーツの辺りが、白とわずかな赤でかなり汚れていた。
「――まだ挿入っている感じが、します」
動くと、ズキズキ、ヒリヒリする。女って、大変過ぎない?
「……怒っているか?」
えっ? っと見上げる。
今日は係長の本当に色々な顔を見る日となった。こんな不安そうな顔は初めてだった。
自分自身も、さっきまであんなに一杯一杯だったのに、割と冷静になりつつあった。
「う、う~ん、どうでしょう? でも、膣出しは流石にびっくりしましたよ」
この感情を上手く説明できない。女体化した初体験の感想が、こんなにボヤッとしたものになるなんて思いもしなかった。
彼の顔を見ていると、やがていつもの表情を取り戻す。
「――よっ」
再び彼が、私をお姫様抱っこする。
「え、ちょ、係長?」
「風呂に入って綺麗にしよう」
そういうと、ニカッと白い歯を見せる。ほ、本当に反省してます?
「やや、いいですって、てか一人でしますから!」
「痛くて動けないだろ? 身体の隅々まで綺麗にしてやるから――」
「ちょ、ほんと、だめぇ」
私が――あ、いや――お、私が心まで女になってしまう第一歩は、文字通り大股であったと、後になってから想うこととなった。
なん、なんだ? 今、胸の奥がつねられたような、温められたような不思議な、切ない感覚は? 熱い安心みたいな。
当惑しつつも、ボーッした頭で小さく頷いていると、瞬間、頸動脈のあたりを舌が這う。
こんな、梅雨の昼下がり、上司と、ラブホテルで――。
「! かかりちょ。待っ、ダメ」
反射的にそう断るも、肩を押し返す力は、あまりにも弱々しかった。
「なぜだ? 俺じゃあ不安か?」
そう言いつつ、左手が、胸に優しく触れてくる。ノーブラのため、乳房の柔らかさを、バスローブ越しに伝えてしまい、また係長の熱を感じてしまった。
「だ、って。奥さん、いるの……ンニッ」
秒で乳首の位置を補足されてしまい、的確に指を押し当ててつつ、痛気持ちよく摘ままれる。同時に、首から顎にかけて、細い筆のように舌でなぞられる。
「お前を守るために、少しだけいい思いをさせてもらっては、ダメか?」
んあっ。か、係長をどけようとする力がどんどん弱まっていく。乳房が揉まれるたび、頸動脈を舐められるつど、自分でも信じられないくらい脱力して。
認めた異性だから? いや、それだけじゃ説明がつかない。っとすると、自分が、流されやすくなっている?
「(川口達の時とは、全然違いすぎて)かかりちょ」
「川口のとは違うんじゃないか?」
見透かされた一言で、触られている場所とお腹の中がさらに熱くなる。腰に回った右手が、肩まで上って抱きしめられ、乳房に埋もれてい左手が、バスローブの中へと侵入って、くる――!
「あっ、ダメ」
慌てて、バスローブの上から彼の左手を押さえつけようとする。けど、すでに入り込んでいた指が少し力を込めるだけで、生乳は妖艶に変形させられて、乳首は弾力を示し、私の手から力を奪うのであった。
「綺麗な胸だ。形も色も、質感も」
息を吹きかけられ、囁かれると、耳の中ゾワゾワピリピリとする。想定していなかった愛撫に、思考が中断される。
――味方になってくれそうで安心したから? そうでなくてもこうなった? 考えをまとめるより早く、係長の手が舌が、私の彼方此方を無遠慮に、けど、正確に触れ続けた。
「係長。もぅ、本当にぃ」
自分で言っていても、全然嫌がっていないような声質と弱さだった。
いつの間にか腰が砕けるみたく傾き、彼に身体を預けてしまった。そのため、肩から右手が離れたかと思いきや、二呼吸する間もなく、膝上のバスローブをめくり上げられてしまい、生の脚に触れられる。
「スベスベだな」
褒められたためか、妙にお腹の下あたりがキュッとなる。遊び焼けした指でもって、太腿を数回ほど撫でた後、付け根の方へと這い上がってくる。止めようと弱々しく手を差し向けるも、乳首を直に優しく抓あげられて、手は簡単にベットの上へと落ちた。
「もう、おねが――」
「乳首、コリコリだぞ?」
ドクン。かつての川口の時を思い出す。けど、あの時のように時間をかけて甚振られたからというよりは、まるでオンナの身体が、興奮させられているから、みたいな――。
「新妻」
「ハァ、ハァ――ッ!」
係長の顔が迫る。次の瞬間、温かなヌメっとしたものが、口の中にヤッてくる。
ン、チュ、ジュル。
――ま、た、男に口づけをさてしまった。なのに、なんで、気持ち悪くないの? 係長の息も唾液も全く臭わなかった。それどころか、僅かに甘みにを帯びているような錯覚すらした。気がつくと目を閉じて、心臓をバクバクと鳴らせつつ、こちらからも小さな舌を絡ませにいっていた。
ジュル、ジュ、ゴク。
まるで頭の中を舐められているみたい。キスって、こんなに気持ちよかった、んだ。ずっとしていたいとすら思った。
「ッンン!」
首筋のあたりを桃色に塗りたくられて呆けていると、卑猥の刺激が股間にて弾ける。
――ジョリ。ノ、ノーパンであるため、太い指が、私の陰毛の何本かを重ねて擦り合わせたのであった。
な、何とか、しないとぉ。と思うだけで、すぐにキスの感触に思考は蕩けさせられた。
ンチュ、ジュル、チュ。
ほぼ無抵抗のため、膣の入口へ、恋人でも旦那でもない男の手が迫っていたのを気にしていなかった。ほぼ犯されているのに、こんなに無警戒なのは、ヤバ、イ。この状況はもちろんだけど、今の自分って、女よりスケベになってなイ?
クチュ。
「ン~ッ!」
「普段、気の強そうなお前が、ベットの上では、こんなに控えめだなんてな」
係長の人差し指が、トロトロに濡れた小陰唇の裂け目を、小さく割る。秒速一ミリメートルほどの遅さで、味わうように掘り進んでくるぅ。
「ジュパ。――かかりちょ、待っ、てぇ」
懇願するように眉をひそめ、上目遣いで甘い息を顔面に吹きかける。
係長は返事の代わりに、シュル、っと私のバスローブの上半身部分を開け放つ。たわわな桃の実みたいに姿を現した乳房の乳首へ、噛みつくように顔を寄せる。
チュル、チュパ。
「ああんっ!」
も、もう偽れない。今のは間違いなく本気の嬌声だった。男の性技に完全に感じ入った、雌の咆哮だった。
乳首を力強く口内へ含んだ後、舌で軽く先端を撫で舐め、そして甘噛みされる。乳輪を舌先でなぞられた時、喘ぎ声を抑えようと、口元へ手を運ぶも手首を強く掴まれて、簡単に剥がされる。
そして、く、陰核を、こ、小指で――。
ピリリッ。
「アッ、ンン、はぁん!」
完全にスイッチが入った。もう、係長のヤル気を昂ぶらせるためだけに、あるいは自分が感じているのをわからせたいがために、喘ぎ声を出しているのに他ならなかった。
クチュ、クチュ。
「ひゅあん!」
優しく、けど力強く指が膣口をほぐしていく。もう、元男だとか、身体が女だとか考えられない。ただただ、係長に触られる身体全部が茹でるみたく気持ちよくて――。
ニュグ。
「っ痛!」
今まで一番、大きな声を出してし、微かに正気に戻る。い、今のは? 感じたことの無い、股間の辺りから激痛だった。
薄ら涙目で下を見ると、係長の指の第一関節の半分ほどが、膣内へと入ろうとしていた。
「チュポン――新妻、お前まさか」
額に汗を浮かべて、慌てて乳首から口を離した係長の驚いた声が、ひどく新鮮だった。私はただただ息を整えつつ、桃色に火照る身体や股間を、視線を落としていた。
「処女、か?」
イエスともノーとも答えず、係長の出方を伺った。
っというのは建前で、もう腰にいれる力すらほとんど無くて――。
「ぃよっと」
「! ひゃっ」
予想の斜め上へ羽ばたく。お、お姫様抱っこされた私は、そのまま水平に運ばれて、ベッドの中央に寝かしつけられる。
「新妻……」
覆いかぶさられるような位置で、係長は、かつて無いほどの真剣な瞳と声をこちらへ向ける。急に気恥ずかしくなって、腕でもって乳首を隠し、顔を背ける。
けど、依然として雰囲気に飲まれたままで、胸のドキドキは聞こえそうなくらいだった。匂い立つように逞しい、係長が、じ、私に夢中に? け、けれども……。
「かかり、ちょう。ご結婚、されているから、やっぱり――」
倫理で諭そうと思ったのが、そもそもの間違いだったのかもしれない。
ポン、と優しく頭の上に手を乗せられる。そして、滑るように柔らかな栗色の髪を、何度も撫でられる。
「可愛くて優秀な部下のハジメテが、目の前で花開いているのに、お預けなんて憤死してしまうぞ」
キュ。心が小さく締め付けられる。キザな言葉でも、係長だと違和感が薄く、抵抗心をなめらかにされてしまう。
「(確かに、こんな状況で立場が逆なら、絶対我慢できないだろうな)――って、そうではなく」
「俺に全て任せろ、新妻」
抱きしめられる。つまり、係長に覆い被されたんだ。汗の臭いと体臭と、整髪料の混ざった匂いは、私の中の頑なナニかを急速に溶かしていく。
彼の焼けた両足が徐々に左右へ開くと、当然、細くてほぼ無毛な脚も、合わせて開いていく。きっと今の自分は、女な顔をしているんだろうな。
「か、係長。ご、避妊具は?」
ほぼイエスの返答を、言い換えて伝えてしまう。
しかしそもそも、女体化して日が浅いため、妊娠するのかもわからなかったけど、本能的に問いかけてしまう。
「俺は生派なんだ」
妊娠したらどーすんのぉ~!
「ちゃんと膣外射精するから、心配するな」
バスローブから伸び出ているであろう、係長の肉棒の先端が、クチュ、っと優しく膣口へ当たる。
さっき見た平常時のサイズを思うと、物理的な恐怖が湧き出てくる。
「係長、やっぱり無理だよ。入らな、い」
止せばいいのに、情欲の炎を燃やす燃料のような一言を、涙ぐみながら呟いてしまう。
「新妻。お前が守ってきた大切な処女を、俺がもらえるなんて――」
――最高に幸せだよ――そう口元が動いた瞬間だった。
グニュ、ニュルグ、グ。
「! たいっ、痛いっ!」
もう愛液でビショビショの膣内と、尿道球腺液でベトベトの肉棒という組み合わせ――にも関わらず、ねじ込まれて、膣内が圧迫されるそのつど、股間に亀裂が走るみたいな、激痛が疾走する。
「痛い、たいたい! 股がっ、裂けるぅ!」
こ、れは。マジ、まじで痛いっ! いた、痛みを少しでも誤魔化すため、彼のその硬い背中を抱きしめると、爪すら立ててしまう。
「くぅ、狭い。とても、イイ、ぞっ、新妻っ」
余裕の無い息遣いとは裏腹に、係長の足によって完全に開脚されてしまう。異物としか表現できない、焼けた鉄棒のようなモノが体内へと刺し込まれていく。
膣壁を灼け擦るみたいで、信じられない熱量と痛みに、汗を浮かべて顔が引きつる。逃げようとする腰は、彼の万力のごとき腕力によって固定されてしまう。
「(破瓜は痛いって、聞いたけど、これ、ほど、とはっ)ぜ、全部入った?」
ひぃ、はぁ、っと涙を浮かべつつ、口元の耳に尋ねるも。
「まだ半分、くらいだっ」
嘘っ。こんなに耐えに耐えて我慢しているのに、まだ折り返し地点?
汗だくになりながら、互いに死んだ虫のように身体を硬直させて抱きしめ合う。一方はとにかくゆっくり挿れさせるため、もう一方はとにかく早く挿れるために。
「ひたい! 痛いよぉ」
なんで女はこんなに痛い目に遭わないといけないの?
下手な化粧は当に落ちており、顔をグチャグチャにして何度も悲痛な声をもあげる。けど、係長は、そんな私の辛そうな言動にはお構いなしに、ただただ挿し込みを強行していた。
ヌチョォ、ピタン。
係長の腰の動きが止まる。もう痛すぎて、股付近の感覚があまり感じられないくらいだった。私は泣き震えながら、彼の耳元へ、許しを請うみたく、弱々しい息を吹きかけた。
「ハァ、ハァ。は、入ったぁ?」
「あぁ――」
ヒック、ヒックと嘔吐きつつ、気がつくと、彼の動きを少しでも阻害するためか、脚も腕も全てを巻き付けていた。
しかし、直後に、衝撃的なことを告げられる。
「動く、ぞ」
「……はっ?」
ニュル、ズニュニュ。
「! たいっ、痛い!」
ズルルル、っと肉棒が引き抜かれていく。い、挿れて出しているだけなのに、こんなにも濡れているのに、膣壁がほんの微かに拡張されるいるのか、激痛が膣を覆った。
「うご、かないでっ、裂けるぅ!」
必死に抱きしめて動きを止めようとするも、彼の力に勝てるわけもなかった。
「そんなの、無理だっ」
私を押しつぶすように抱きしめ抑えると、上半身を圧迫してくる。そして、彼は自由な下半身を、ここぞとばかりに前後へ揺らし始める。
ニュルグ、ズルル、ヌパアン!
「いたい、ひたい! おねがっ、もっ、ゆっくり!」
「すごい、締め付けだっ」
そういうプレイかと思うほどに泣き喚くけど、本当に痛いんだって! 熱い鉛の棒を何度も体内に出し入れされるみたいであった。
処女が初体験で感じるなんて、絶対嘘だと、我が身を持って知ることになるなんて、思わなかった。
パン、ズルル、パァン!
痛みが麻痺してきたせいか、膣内の感覚が再び失せていく。とにかく必死に彼を抱きしめる以外、出来ることは何もなかった。
「ハァ、ハァ。いいぞ、新妻っ」
褒められても、ただただ奥歯を噛みしめて痛みに耐えるしかなかった。は、早く膣外で射精って!
「ふぁっ、ウ、グゥ――んんっ!」
互いの汗と体温と息と、何より体液が混ざり合う中、セックスを始めてからの時間の感覚がなくなっていった。
でも、やがて祈りが通じてか、膣内の肉棒が、ビクビクと収縮しだしたような気がした。
「か、かかり、ちょう」
やっと解放される、そう弛緩しかけた時であった。
「お、ぬおおっ」
雄叫びのような声が、耳元で放たれたかと思うと。
「(なに?)ひゃぁ!」
今までより輪をかけた力で、抱き締められて、腰を押し込まれる。痛いと呻く間もなく、反動でもって私の腰すらも前後させられる。
当然、肉棒が膣壁を擦る早さと強さは跳ね上がり、膣口と陰茎の根元がぶつかる衝撃のたび、卑猥な水音が室内に響く。
パン! ピチャ、パァン! ビチャァ。
互いの股間の辺りは、これ全て体液? と呼べるくらいにグチョビショだった。痛みと疲労で、私はもはや失神寸前だった。
「射精ぞっ、新妻!」
え? だす? えっ?
「! ――だ、だめ。膣内は、ダメぇ!」
もっとも不要な一言が、最大の後押しとなってしまった。
「おおおっ」
グリュリュ、ニュルルル。パァン!
肉棒が子宮口の最も深いところに到達するや否や、腕の筋肉が隆起する勢いで、肉体を圧着させられる。
ビュ、ビュルル、ピュピュ、ドポォ!
抱きしめてくる力が強すぎて、一瞬、息が出来なかった。
「あ、ああっ。ア――」
ヘソの真下あたりでぇ、熱いナニかがぁ、次々と放出されているのを、微かに感じ、た。う、受け側だから、か、膣内射精って、こんなに、熱狂的、なんだぁ。
ハァ、ハァ。
さっきまでの激しい運動はなりを潜めて、室内の全てが静止している風だった。二人は、一人の人間になってしまったの? ってくらいに、合体しまま動けなかった。
「かかり、ちょう。かいしゃ――」
ずっと非常識な行為をしていたためか、常識的な一言を言うと、口を口で覆われた。
股間に痛覚が戻ってきたのか、ジンジンと熱いけど、優しい風なキスにより、どういうわけか心が落ち着いてくる。
「ンッ。後休の連絡をしておく」
係長の舌が歯を舐め拭く。
と、とりあえずこのまま休めることと、もう終わったことで、全身の力が抜ける。
――ズリュリュ。
音を立てて係長のが引き抜かれる。微弱な電気信号に思わず、爪先がピクンと何度も動く。
やがて彼が胡座をかいてベッドに座ると、私は力を振り絞って上半身を起こしつつ、顎を引いて股の方を見る。陰毛やシーツの辺りが、白とわずかな赤でかなり汚れていた。
「――まだ挿入っている感じが、します」
動くと、ズキズキ、ヒリヒリする。女って、大変過ぎない?
「……怒っているか?」
えっ? っと見上げる。
今日は係長の本当に色々な顔を見る日となった。こんな不安そうな顔は初めてだった。
自分自身も、さっきまであんなに一杯一杯だったのに、割と冷静になりつつあった。
「う、う~ん、どうでしょう? でも、膣出しは流石にびっくりしましたよ」
この感情を上手く説明できない。女体化した初体験の感想が、こんなにボヤッとしたものになるなんて思いもしなかった。
彼の顔を見ていると、やがていつもの表情を取り戻す。
「――よっ」
再び彼が、私をお姫様抱っこする。
「え、ちょ、係長?」
「風呂に入って綺麗にしよう」
そういうと、ニカッと白い歯を見せる。ほ、本当に反省してます?
「やや、いいですって、てか一人でしますから!」
「痛くて動けないだろ? 身体の隅々まで綺麗にしてやるから――」
「ちょ、ほんと、だめぇ」
私が――あ、いや――お、私が心まで女になってしまう第一歩は、文字通り大股であったと、後になってから想うこととなった。
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