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 あぶねー、森にいったことがばれるところだった。咄嗟に嘘をついたのだが、嘘は真実を少し混ぜることで信ぴょう性を増すという。だから魔物を飼っているという事実を織り交ぜながら右手の怪我を隠したがうまくいっただろうか。
 しかし右手に魔物を飼うことは万国共通なんだろうか。魔物を右手に飼っていることについては何も違和感を持っていないように見えた。前世の記憶を辿ると右手に魔物を飼っている人は温かく見守るのが共通認識らしい。

 家に帰りダラダラとしていると父が帰ってくる。そういえば昼間の騒ぎはなんだったんだろう。

「森にハティが出たそうだよ。シューベルトも気を付けて」

 ふーんハティねぇ。ハティってなんだ? 前世の知識からするとリボンをつけた猫の雄とかか?

「ハティは幻獣だよ。紫電を纏い月を食べると言われている狼型の魔物だ。ゴブリンとなんて比べ物にならないくらい強力だからね」

「ふ、ふーん」

 ダラダラと冷や汗が出る。やばいあれ、そんな強い魔物だったのか、止めを刺しておくべきだったか。まあ終わってしまったことは仕方ない。明日見に行ってみよう、危険なら殺してしまえばいいんだから。

 次の日、妹と一緒に昨日の滝までやってくる。狼の獣はこちらを見つけると嬉しそうにすり寄ってきた。良かった、ちゃんと手懐けられてる。
 途中で狩ってきた鳥を渡す。おいしそうに食べる狼、よーしよし、沢山お食べ。

「お兄さま、この子に名前を付けてあげないと」

「え?」

名前? 別になんでもいいんじゃない。

「お兄さまがつけてあげて!」

「ぐるるる」

うーん。雷を纏った狼だろう……とあるハンターがモンスターを倒すゲームにそんなモンスターがいたなぁ

「よし、お前の名前はジンオ――」

「ぐるるる!」

「お兄さま、その名前はダメだって!」

「なに? かっこいいと思ったんだけど」

うーん、もうなんでもいいや。

「よし、君の名前はポチだ!」

「ぐる!」

「凄く気に入ったみたい! 良かったねポチ!」
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