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あれからなんとか私はラルフ兄の溺愛の手を逃れて、今は母とダイニングで遅めの夕食の準備をしている。
「~~♪ ♪~~~♪~♪(ひっさしぶりにリアとごはん作り~。リアも元気になってくれたし、うふふ~嬉しいわぁ~。)」
てゆーか、さっきから私の横で鼻歌交じりに料理を作っている、母のこのダダ漏れな“心の声”。
(こっちまで嬉しくなってしまうんだけど…//。)
多分、今の私の顔は何とも言えない、むず痒い顔をしていると思う。
そしてこんなに素直で可愛らしい人が、私の母で本当に良かったと、心から思う。
───そう…私が聞こえる“心の声”について。
私は生まれた時から、人が話す時はもちろん、話していない相手でも波長を合わせると、思念的な、その人が心で思っているだろう“心の声”が聴こえるのだ。
しかも幼い頃の私は、自分と同じように皆も“心の声”は聴こえているものだと、それが普通だと思っていたらしい。
だけど私が話せるようになって、父や母や兄の“心の声”を聴いて返事をしたりすれば、当然、両親と兄は驚き、“心の声”は私にしか聴こえないことを教えたそうだ。
でも、当時の私は《なぜなぜ期(質問期)》の真っ只中だったらしく、ふ~んそうなんだとは納得できなかったみたいで、両親や兄に「何で皆は聞こえないの?」って何度も聞いたらしい。
そんな娘の疑問に答えてあげようと、両親は私を教会まで連れて行って、神父さんに所持能力が判別できる水晶鏡で私を視てもらい、“心の声”を聴ける能力がどんなものかを詳しく教えてもらったそうだ。
それで私の疑問は解消されたのか、何となく自分は人より耳が良いんだって納得したらしい。
…うん。『らしい』や『そうだ』ばかりなのは、12歳の魔力判別の時に改めて母に聞いたからで、全く覚えてないからです‥。
いやホント…能天気な娘でゴメン!
ま、まぁ。それはともかく。
私はその時に神父さんから、辛くなったら使いなさいと『“心の声”を聴く力──〔読心〕』を発動や停止できる、[闇]の魔法が掛けられた〈晶鏡石〉を貰ったのよね。
この〈晶鏡石〉は、元々は〔読心〕の能力を操作できるようにと授かったんだけど、私が12歳の時に魔力量が膨大な事が判って、新たに魔力を抑える[風]の魔術を付与してもらった、私には欠かせない特別な石だ。
この世界では通常、“王族貴族内にしか魔力量が多い者は生まれない”。
その事情から、国の平穏を守る『監視の目』は王族貴族に限定されていて、庶民は監視の対象外だ。
例えば、“制御不能”な“高威力の火器”を財産として所有する人が居たとする。
当然そんな危険物を所有する人は、国の平穏を守るなら監視は必須!だよね。
だけど、その人が監視できない場所に住んでいたら?
国としては監視できる場所に移住してもらうか、危険物を国へ譲渡してもらうか、危険物を制御できる工夫をしてもらう必要がある。
置き換えると、私は王族貴族ではないから監視の対象に入るのは無理だし、体内魔力の譲渡も無理だから、魔力を制御できる工夫をするしかない。
つまり、私みたいな膨大な魔力所持者が市井で生活するには、常に庶民の魔力平均値である“100分の1”ほどに抑え続ける必要があるのだ。
何でかって、もしも私の魔力が暴走した時に、市井で暮らす周りの人々は、私の両親や兄でさえも、誰も私の魔力を抑えることができないからだ。
そういう訳で私は教会からこの〈晶鏡石〉を授かった時に、〈晶鏡石〉を肌身離さず身に付けることを《誓約》させられている。
ちなみに、私の〔読心〕の能力を操作する方法なんだけど。
〈晶鏡石〉を握って“心の声”を『聴きたくない』と念じたら聴こえなくなり、『聴きたい』と念じたら元に戻るのだそう。
ただこれについては一度も使ったことがないから、実際のところは定かでない。
───なぜ使ったことがないのかって?
それは、使った後で『元に戻らなくなったら怖い』っていうのもあるんだけど。
そもそもうちの父と母は裏表のない性格で、そんな両親に育てられた兄や弟妹も同様で、要するに家では全く使う必要がなかったんだ。
あと、私へのバッシングだったり表情や態度が違う“心の声”が聴こえても、生まれた時から聴こえるのが当たり前の私にとっては、『“心の声”も含めてその人』だと捉えちゃうから、むしろ聴ける能力を持って生まれて良かったと思ってる。
とまぁ、そんな感じで。
私は〈晶鏡石〉をペンダントにして肌身離さず身に付けてはいるんだけど、できれば〔読心〕の能力を封じる為に、〈晶鏡石〉は使いたくないなぁって思ってる訳ですよ。
余談ついでにもう1つ。
実はこの〈晶鏡石〉、“超高級レア品”だったりする。
というのも〈晶鏡石〉を作成できる〔魔法具師〕って、〔魔法薬剤師〕と同じく少数職なんだよね。
膨大な魔力量を必要とする魔法と名の付く役職は、総じて国の管理下だ。
あと〈晶鏡石〉自体も国の管理下で、教会で本当に必要と判断された者だけに授けられる代物だから、つまりは世に出回る事がない、めっっっっちゃレア物なんだ。(まぁ誰に頼まれても売れないけどね。)
なので〈晶鏡石〉を持っていることが良からぬ者にバレると、私や家族が命を狙われたりするから、この事は教会の最上層部と国の保管記録者と私達家族以外には秘密だったりするのだ。
閑話休題。
食材を切ったり夕食の盛り付けを手伝いながら、自分が“心の声”を聴けるのは(神父さんの説明を覚えてないからハッキリしたことは言えないんだけど。)十中八九、私の魔力量が関係してるよねぇ~と考えた所で、なんだか無性に笑えてきた。
だって青Fのストーリーでは、主人公が〔読心〕の能力を持ってることなんて全く語られてなかったんだもん。
私が生きてるこの世界は確かに青Fの世界と酷似している。
けれども。
冷静になって考えてみると、見えない所は色々と違うのかもしれない。
「──よし。完成~!皆お待たせ~。ご飯できたわよ~。(うふふ。リアもお手伝いありがと。助かったわ。)」
「!‥うん‥//。そっちの料理は私が持っていくねっ。」
私が〔読心〕の能力を持つことを知っている両親や兄は、たま~に。たま~に。
“心の声”でも会話をしてくるとゆー、嬉しい不意打ちを仕掛けてくる。
その行為がどれだけ私を安心させているのか、きっと分かってないんだろうな‥。
無邪気に「よろしく~」と言いながらパチンとウィンクを投げてくる母は、娘の私が言うのもなんだけど、美人な上にひたすら可愛い。
料理も上手くて器量もあるし、なんと言っても懐がめっちゃ広い。
これだけ多方面で男心をくすぐる要素を持っている母だ。
当時の母を知らない私でも、母がラルフ兄のように異性にモテまくっていた事は想像に難くない。
そんなうちの母は幼い頃から父一筋で、幼馴染の父以外には全く見向きもせずに、そのままゴールインした人だったりする。
私なんてここ数年のラルフ兄のモテっぷりにすら白旗を掲げて避けてるぐらいなのに、父はこれが幼い頃から母と結婚するまでなのだから、その心労はもっとずっと凄かったことだろう。
(お父さんってホント見かけによらないよなぁ・・・私には無理だわ…。)
私は父の精神の強靭さに尊敬の念を抱きつつ、母が作った料理を食卓に並べていく。
今日の夕食は父が帰りがけに買ってきたクルミ入りのパンに、干し肉を柔らかく煮込んだスープと、お芋と豆のサラダだ。
「わーーっ おほしさまだ!おいしそう~っ(はやく!はやく!)」
「わたしのすきな、おはながはいってるーっ(はやく!はやく!)」
「あらあら、二人とも、待ちきれないみたいね~。(うふふ♪ レイもルナもピーマンは苦手だから、こうすると食べるのよね~。)」
レストイのスープには星型の黄ピーマンが浮かんでいて、ルティナのスープには花型の赤ピーマンが浮かんでいる。
ほんと、うちの母は───…
「───母さんってほんと器用だよなぁ~。…ね、リア? (昔は俺もやってもらってたっけ‥。)」
私の思考を代弁するかのように、いきなり右斜め上からラルフ兄の声がして、びっくりした私は思わず手が止まってしまった。
ぱっと見上げれば、いつの間にか私の隣にはフォークやスプーンを並べている兄がいて‥。
「っっ‥う、うん。そうだねっ。」
私は跳ねる鼓動を誤魔化したくて、すぐに視線を手元に戻したけれど。
(‥や、やばい・・顔がっ‥。)
なんとか料理を並べるのに集中しようとするけど‥‥だ、ダメだ。
(だってこんなの‥顔が緩んじゃうよ…。)
この妹溺愛バカ…ゴホン。
ラルフ兄は、いつも当たり前に家族を──私を助ける。
そんな兄のスマートな行動にキュンとしてしまう私は、どんなに距離を保つようにしても、やっぱり自分は兄のことが大好きなのだと思い知らされて、それが無性に恥ずかしくて…‥だから、どうしていいか困るんだよね。。
(っとにラルフ兄は無自覚タラシなんだから‥。)
「…私も早くお母さんみたいに、できるようにがんばろーっと‥。」
(・・・あれ?)
…器用と言えば…。
「今思い出したんだけど、ラルフ兄も“飾り切り”ってできるよね?」
「‥え? (…僕、リアにできるって言ったことあったっけ?)」
「えーとほら、私が小さい頃ニンジン食べれなくて。お母さんが留守の時にラルフ兄が作ってくれたカレーのニンジン。ラルフ兄がお花に切ってくれてたのを思い出してさ…。」
「───。(ぅゎ、…リア、、そんな昔の事を覚えてるとか‥うわぁああああ~も~~~こういう所だよっ)」
‥え。ラルフ兄、顔、真っ赤…。
( ──って、え‥──ちょっ…げ!!!)
右手ぇええ?!
(っぎゃあ~~~~!!?)
───ブフッッ
何の気なしに過去の話をしたと思ったら、何故か兄に右手を引っ張られて、勢いそのまま思い切り───抱きしめられました…。
‥‥はい。口は災いの元ですね。。
「まぁ!うふふ♪(二人とも仲良しさんね~。)」
「うむ。リアが元気になって一安心だな。(皆が元気で父さんも嬉しい。)」
「ねー、ねー。(おなかすいたよ~)」
「まだ、いただきますの、おいのりしないの~? (おなかすいたよ~)」
てゆーかラルフ兄、そろそろガチで苦しいから!息できないから!!
私よりも幼くて可愛い弟妹が、ほら、うるうるした目で「はやくたべよ~よ~」って訴えてますよ!
‥いやいやいやいや、苦笑しながら聞き流すなよ!!
さらに抱き込むなっ!!
は~な~せ~~~っ!!!!
「~~♪ ♪~~~♪~♪(ひっさしぶりにリアとごはん作り~。リアも元気になってくれたし、うふふ~嬉しいわぁ~。)」
てゆーか、さっきから私の横で鼻歌交じりに料理を作っている、母のこのダダ漏れな“心の声”。
(こっちまで嬉しくなってしまうんだけど…//。)
多分、今の私の顔は何とも言えない、むず痒い顔をしていると思う。
そしてこんなに素直で可愛らしい人が、私の母で本当に良かったと、心から思う。
───そう…私が聞こえる“心の声”について。
私は生まれた時から、人が話す時はもちろん、話していない相手でも波長を合わせると、思念的な、その人が心で思っているだろう“心の声”が聴こえるのだ。
しかも幼い頃の私は、自分と同じように皆も“心の声”は聴こえているものだと、それが普通だと思っていたらしい。
だけど私が話せるようになって、父や母や兄の“心の声”を聴いて返事をしたりすれば、当然、両親と兄は驚き、“心の声”は私にしか聴こえないことを教えたそうだ。
でも、当時の私は《なぜなぜ期(質問期)》の真っ只中だったらしく、ふ~んそうなんだとは納得できなかったみたいで、両親や兄に「何で皆は聞こえないの?」って何度も聞いたらしい。
そんな娘の疑問に答えてあげようと、両親は私を教会まで連れて行って、神父さんに所持能力が判別できる水晶鏡で私を視てもらい、“心の声”を聴ける能力がどんなものかを詳しく教えてもらったそうだ。
それで私の疑問は解消されたのか、何となく自分は人より耳が良いんだって納得したらしい。
…うん。『らしい』や『そうだ』ばかりなのは、12歳の魔力判別の時に改めて母に聞いたからで、全く覚えてないからです‥。
いやホント…能天気な娘でゴメン!
ま、まぁ。それはともかく。
私はその時に神父さんから、辛くなったら使いなさいと『“心の声”を聴く力──〔読心〕』を発動や停止できる、[闇]の魔法が掛けられた〈晶鏡石〉を貰ったのよね。
この〈晶鏡石〉は、元々は〔読心〕の能力を操作できるようにと授かったんだけど、私が12歳の時に魔力量が膨大な事が判って、新たに魔力を抑える[風]の魔術を付与してもらった、私には欠かせない特別な石だ。
この世界では通常、“王族貴族内にしか魔力量が多い者は生まれない”。
その事情から、国の平穏を守る『監視の目』は王族貴族に限定されていて、庶民は監視の対象外だ。
例えば、“制御不能”な“高威力の火器”を財産として所有する人が居たとする。
当然そんな危険物を所有する人は、国の平穏を守るなら監視は必須!だよね。
だけど、その人が監視できない場所に住んでいたら?
国としては監視できる場所に移住してもらうか、危険物を国へ譲渡してもらうか、危険物を制御できる工夫をしてもらう必要がある。
置き換えると、私は王族貴族ではないから監視の対象に入るのは無理だし、体内魔力の譲渡も無理だから、魔力を制御できる工夫をするしかない。
つまり、私みたいな膨大な魔力所持者が市井で生活するには、常に庶民の魔力平均値である“100分の1”ほどに抑え続ける必要があるのだ。
何でかって、もしも私の魔力が暴走した時に、市井で暮らす周りの人々は、私の両親や兄でさえも、誰も私の魔力を抑えることができないからだ。
そういう訳で私は教会からこの〈晶鏡石〉を授かった時に、〈晶鏡石〉を肌身離さず身に付けることを《誓約》させられている。
ちなみに、私の〔読心〕の能力を操作する方法なんだけど。
〈晶鏡石〉を握って“心の声”を『聴きたくない』と念じたら聴こえなくなり、『聴きたい』と念じたら元に戻るのだそう。
ただこれについては一度も使ったことがないから、実際のところは定かでない。
───なぜ使ったことがないのかって?
それは、使った後で『元に戻らなくなったら怖い』っていうのもあるんだけど。
そもそもうちの父と母は裏表のない性格で、そんな両親に育てられた兄や弟妹も同様で、要するに家では全く使う必要がなかったんだ。
あと、私へのバッシングだったり表情や態度が違う“心の声”が聴こえても、生まれた時から聴こえるのが当たり前の私にとっては、『“心の声”も含めてその人』だと捉えちゃうから、むしろ聴ける能力を持って生まれて良かったと思ってる。
とまぁ、そんな感じで。
私は〈晶鏡石〉をペンダントにして肌身離さず身に付けてはいるんだけど、できれば〔読心〕の能力を封じる為に、〈晶鏡石〉は使いたくないなぁって思ってる訳ですよ。
余談ついでにもう1つ。
実はこの〈晶鏡石〉、“超高級レア品”だったりする。
というのも〈晶鏡石〉を作成できる〔魔法具師〕って、〔魔法薬剤師〕と同じく少数職なんだよね。
膨大な魔力量を必要とする魔法と名の付く役職は、総じて国の管理下だ。
あと〈晶鏡石〉自体も国の管理下で、教会で本当に必要と判断された者だけに授けられる代物だから、つまりは世に出回る事がない、めっっっっちゃレア物なんだ。(まぁ誰に頼まれても売れないけどね。)
なので〈晶鏡石〉を持っていることが良からぬ者にバレると、私や家族が命を狙われたりするから、この事は教会の最上層部と国の保管記録者と私達家族以外には秘密だったりするのだ。
閑話休題。
食材を切ったり夕食の盛り付けを手伝いながら、自分が“心の声”を聴けるのは(神父さんの説明を覚えてないからハッキリしたことは言えないんだけど。)十中八九、私の魔力量が関係してるよねぇ~と考えた所で、なんだか無性に笑えてきた。
だって青Fのストーリーでは、主人公が〔読心〕の能力を持ってることなんて全く語られてなかったんだもん。
私が生きてるこの世界は確かに青Fの世界と酷似している。
けれども。
冷静になって考えてみると、見えない所は色々と違うのかもしれない。
「──よし。完成~!皆お待たせ~。ご飯できたわよ~。(うふふ。リアもお手伝いありがと。助かったわ。)」
「!‥うん‥//。そっちの料理は私が持っていくねっ。」
私が〔読心〕の能力を持つことを知っている両親や兄は、たま~に。たま~に。
“心の声”でも会話をしてくるとゆー、嬉しい不意打ちを仕掛けてくる。
その行為がどれだけ私を安心させているのか、きっと分かってないんだろうな‥。
無邪気に「よろしく~」と言いながらパチンとウィンクを投げてくる母は、娘の私が言うのもなんだけど、美人な上にひたすら可愛い。
料理も上手くて器量もあるし、なんと言っても懐がめっちゃ広い。
これだけ多方面で男心をくすぐる要素を持っている母だ。
当時の母を知らない私でも、母がラルフ兄のように異性にモテまくっていた事は想像に難くない。
そんなうちの母は幼い頃から父一筋で、幼馴染の父以外には全く見向きもせずに、そのままゴールインした人だったりする。
私なんてここ数年のラルフ兄のモテっぷりにすら白旗を掲げて避けてるぐらいなのに、父はこれが幼い頃から母と結婚するまでなのだから、その心労はもっとずっと凄かったことだろう。
(お父さんってホント見かけによらないよなぁ・・・私には無理だわ…。)
私は父の精神の強靭さに尊敬の念を抱きつつ、母が作った料理を食卓に並べていく。
今日の夕食は父が帰りがけに買ってきたクルミ入りのパンに、干し肉を柔らかく煮込んだスープと、お芋と豆のサラダだ。
「わーーっ おほしさまだ!おいしそう~っ(はやく!はやく!)」
「わたしのすきな、おはながはいってるーっ(はやく!はやく!)」
「あらあら、二人とも、待ちきれないみたいね~。(うふふ♪ レイもルナもピーマンは苦手だから、こうすると食べるのよね~。)」
レストイのスープには星型の黄ピーマンが浮かんでいて、ルティナのスープには花型の赤ピーマンが浮かんでいる。
ほんと、うちの母は───…
「───母さんってほんと器用だよなぁ~。…ね、リア? (昔は俺もやってもらってたっけ‥。)」
私の思考を代弁するかのように、いきなり右斜め上からラルフ兄の声がして、びっくりした私は思わず手が止まってしまった。
ぱっと見上げれば、いつの間にか私の隣にはフォークやスプーンを並べている兄がいて‥。
「っっ‥う、うん。そうだねっ。」
私は跳ねる鼓動を誤魔化したくて、すぐに視線を手元に戻したけれど。
(‥や、やばい・・顔がっ‥。)
なんとか料理を並べるのに集中しようとするけど‥‥だ、ダメだ。
(だってこんなの‥顔が緩んじゃうよ…。)
この妹溺愛バカ…ゴホン。
ラルフ兄は、いつも当たり前に家族を──私を助ける。
そんな兄のスマートな行動にキュンとしてしまう私は、どんなに距離を保つようにしても、やっぱり自分は兄のことが大好きなのだと思い知らされて、それが無性に恥ずかしくて…‥だから、どうしていいか困るんだよね。。
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「…私も早くお母さんみたいに、できるようにがんばろーっと‥。」
(・・・あれ?)
…器用と言えば…。
「今思い出したんだけど、ラルフ兄も“飾り切り”ってできるよね?」
「‥え? (…僕、リアにできるって言ったことあったっけ?)」
「えーとほら、私が小さい頃ニンジン食べれなくて。お母さんが留守の時にラルフ兄が作ってくれたカレーのニンジン。ラルフ兄がお花に切ってくれてたのを思い出してさ…。」
「───。(ぅゎ、…リア、、そんな昔の事を覚えてるとか‥うわぁああああ~も~~~こういう所だよっ)」
‥え。ラルフ兄、顔、真っ赤…。
( ──って、え‥──ちょっ…げ!!!)
右手ぇええ?!
(っぎゃあ~~~~!!?)
───ブフッッ
何の気なしに過去の話をしたと思ったら、何故か兄に右手を引っ張られて、勢いそのまま思い切り───抱きしめられました…。
‥‥はい。口は災いの元ですね。。
「まぁ!うふふ♪(二人とも仲良しさんね~。)」
「うむ。リアが元気になって一安心だな。(皆が元気で父さんも嬉しい。)」
「ねー、ねー。(おなかすいたよ~)」
「まだ、いただきますの、おいのりしないの~? (おなかすいたよ~)」
てゆーかラルフ兄、そろそろガチで苦しいから!息できないから!!
私よりも幼くて可愛い弟妹が、ほら、うるうるした目で「はやくたべよ~よ~」って訴えてますよ!
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