乙ゲー主人公に転生した私は全力で悪役令嬢の恋を応援します!

小伊成

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『ここが学院内でなければ、即刻、打首ものだな…。』

(ゔわぁあああああ、思い出したらまた震えがきたし!!)

だって打首って言われたんだよ、打首って!!!

─────“心の声”でだけど!


あそこで悲鳴を上げなかった私は偉いと思う。

もちろん王子の“心の声”を聴いた私はすぐに床をバッと見たよ!

だって打首は嫌だもん! まだ生きてたいもん!

(ハァーーッ 学院内でほんっとーーーに良かったぁ!!)


あの時の私は、足がガクガクに震えて立ってるのもやっとだった。

青Fではガン無視されてたけど、よくよく考えたら当たり前のことだった。

庶民が王族貴族の通り道を阻んだり、ましてや直視ガン見するなど失礼千万で、目に余る振る舞いをした者は王子が言うように打首がこの世界の常識なのだ。

私は前世の記憶を取り戻したことで青Fの情報と現実がごちゃ混ぜになってて、王子の姿を目の当たりにした瞬間、あまりにもゲーム画面で見慣れていたものだからと、身分に対する常識がぶっ飛んでしまった自分に愕然がくぜんとした。

(…このままじゃヤバい。。)

一国の王子を、真正面から直視ガン見してしまった状況がヤバいと私に告げていた。

だからこそ私は、即座に王子に“謝意を示す”必要があった。

まぁ正直、あの時は恐怖で思考回路がパニック状態だったから細かいところまでは覚えてないんだけど。


───でもこれだけはハッキリと覚えてる。


私は絶対に王子と敵対したくなかったから、自分の震える手を心で叱咤しながら急いで鞄の中から〈自動万年筆〉(魔力を流して筆記するこの世界ではポピュラーな筆記具で、値段はピンからキリまである。ちなみに私はラルフ兄から入学祝いで貰った。)を取り出して。

用無しになった見取り図を裏返すと、メモ欄の所にこう書いて、平身低頭で王子に差し出したんだ。

───────────*
この度は 不注意で王太子殿下へぶつかり
また王太子殿下の美しさに見とれてしまい
失礼を重ねたこと 深く反省しております
誠に申し訳ございません

今後一切
私は王太子殿下に近づかないことを誓います

ですから どうか打首だけはご勘弁ください
───────────*

相手が王族だと分かった時点で、王子の許可無く話すことは不敬罪にあたるから、もちろん私から声を発することはできなくて。

加えて現在進行中で借金まみれの私はノート的な紙類も節約の対象で、今日の終わりのHRホームルームの時に配られる支給品に頼ろうと思ってたから、あの時の私は持ち合わせがなくて。

紙類といえば、あの時の私は〈学院の規律が記載された冊子〉と〈特別学科の申請用紙〉と〈学院内の見取り図〉しか持ってなかったんだよね。

冊子や申請用紙はこれから必要なものだし、だからまぁ、あんな手段でしか王子に伝えることができなかったんだけど。

(‥まさかあんな事になるなんて…。)

あの時の私は『王子だってこんなの私と関わるのは不本意に違いないんだから』と思って、今後は絶対に私から王子に近づかないことを宣言したんだけど。

(ってゆーか王子って実は口が悪かったんだなぁ…。)

この世界ではは血判と同じで、どんな用紙や様式であれ《法的効力》を発揮するから、〈自動万年筆〉で筆記した書面を渡すことで王子が私の過ちを見逃してくれることに賭けたんだけど。

(だからってあんな展開は望んじゃいなかったわ…。)

あの時の私は頭を下げたままだったから、見取り図を渡した時、王子がどんな表情をしていたかは分からなかった。

でも、差し出した見取り図は私の手から抜き取られたし、ちゃんと王子が読んだことは分かった。

だって王子は私にこう言ったから。


「・・・(ふぅん…“打首だけはご勘弁ください”か‥。この下民‥俺の思念を読んだのか?)──キミ、今にも倒れそうじゃないか‥悠長なことは言ってられないな。私が保健室まで連れて行こう。さぁ手を出して? (もしも本当に〔読心〕の能力スキル持ちならば…捕らえなくては。)」


それはそれは心配そうな声音で、(王子の演技力に脱帽したわ。)青Fと“同じ台詞セリフ”を。

、言ったのよ!!!

(ハァ~~‥…見逃すどころか『捕らえなくては』って言われたんだよ…ほんとマジで最悪だよ。。)

とゆーか王子よ…。
私の能力を疑ってるのに、“心の声”をダダ漏れさせるって、あなた。

“心の声”で『行動の本意』を言うって、あなた。。

としか考えられないんですけど…。

(ハァ…。王子の内面ってこんなドエスで腹黒だったんだ…。光希の記憶ではもっとこ~甘くて‥…結構ショックだな…。)

もちろん、王子の“心の声”をバッチリ聴いた私はこう応えましたとも。

「だだだ大丈夫です!私は元気です!失礼いたしましたーーーーーーっっ」

私は王子に謝り姿勢のまま、二歩ほど後退してからきびすを返して、全力でその場から逃げたんだよね。。




…────以上、回想終わり。

とゆーか、王子のあの台詞セリフって《魔法練習イベント》の台詞セリフだったんだけど、一体どうなってるんだろう。

ちなみに《魔法練習イベント》ってゆーのは、『主人公がに、自分の力を制御できずに魔力酔いを起こして気分が悪くなり、倒れそうになった所を、丁度隣に居たティタ二ア王国の第一王子に受け止められて、そのまま保健室まで運ばれた。』例の《遭遇イベント》が起こる発端のイベントのことね。

王子は青Fとをなぞるように言っていたけど、言われた[場所]も[タイミング]も違ってた。

反対に、悪役令嬢と取り巻きの御三方に呼び出された[場所]は、青Fと同じ[裏庭]だったけど、んだよね。

悪役令嬢エステル様と初対面する《遭遇イベント》での[]が、何かしらの影響を及ぼした感じなのかな。。

(…うーん。わっかんないなぁ。。)

まぁとにかく。
悪役令嬢も取り巻きも攻略対象キャラの王子も、青Fと[同じ容姿]と[地位]で学院内に居ることが分かったから、他の攻略対象キャラも青Fと同じ形で居ると考えた方が良さそうだし、少なくとも青Fで《イベント》が発生してた[場所]には近づかない方が無難よね…。

(あとは…う~ん‥。。)

光希の青F情報がこの世界でどこまで信憑しんぴょう性があるのか、正直まだ判断つかないや。。

────それにしても。

前世の私は王子の優しい笑顔と甘い言葉の数々に、それはそれは胸キュンしまくりだったのだ。

(それがまさか王子の本性があんなに“ドS”で“腹黒”だったなんてね…。)

ぶっちゃけ、かなりショックだった。

いやまぁ、王子の立場を考えたら、二面性を持つのは当たり前だとは思う。

青Fでも重要なキーパーソンだった『セノヴァス-ロル-レーゼンデルク・ティタ二ア王太子殿下』は、この国の未来を背負う大切な御身の至高の御方だ。

当然、本音と建前を上手く使い分ける必要がある立場にある人なんだから、今生の王子の態度は正しい。

そう、正しいのは分かってるんだ。

(ただなぁ‥私の中の光希の記憶が鮮明すぎて、勝手に裏切られた気持ちになってるとゆーか、無性に悲しみがこみ上げてきちゃうのよね…。)

だけど前世は前世、今は今だ。

私が生きてるのは“今”であって、こっちが現実なんだから受け止めなくちゃね…。

私は光希の時によくやっていた、“意識を切り替えるスイッチ”を設けることにした。

そのスイッチとは、人や物のたいを表す『呼称』を付けることで、それ等を受け入れやすくする為のものだ。

例えばここにニンジンがあったとする。(そう、私は今でもニンジンが苦手だ。)

普通のニンジンだと野菜臭さや特有の味が苦手で嫌煙してしまうんだけど、そこに“甘い”だったり“フルーツ”だったり(桃とか苺とかでも可)、とにかく私が好きな味の『呼称』を付けることで嫌煙度が減って食べたくなるという具合に、精神的に?受け入れやすくなるのだ。

人も同じで、“ガキ大将”とか“姐御アネゴ肌”とか、謂わゆる『あだ名』を付けることで相手の性格を受け入れやすくなるんだよね。

(えっと‥確かセノヴァスは青Fファンの間で“甘々王子”と呼ばれていたから‥よぉし!)

光希の記憶にある“甘々王子”と区切りをつける為にも、今生の王子のことは〈冷黒れいこく王子〉と、(冷酷と腹黒を掛けて)呼ばせてもらいますかね!

もちろん声に出したら打首確定だから、心の中でだけどね☆

────てゆーか改めて思い出してみたら。

よくよく考えたら私があの時、行動アレって。

傍から見た人にとっては、王子に無礼を働いたことになるんじゃ‥?


(・・・・・・。)


無礼どころか実はものすごーーーーく、王子に“非礼”をぶっこいた事になるんじゃないの?


(う‥うわ・・・・・・。)


それに、王子の“心の声”が聴こえてたのは私だけであって。

傍から見た人にとっては、私は『王子にぶつかっておきながら(謝りもおざなりに)、王子に“非礼”を働いて逃げた“不届き者”』って、思われてる可能性“大”なんじゃ…‥。


(え、え、ちょっと待って‥。)


…ってことはよ。。


『非礼この上ない不届き者イコール私が悪者』的な解釈が出来上がって。

それで私が王子に『ワザとぶつかった』噂になってるってこと…‥?


(…‥‥そーゆーーことだったの~~~~??!)
 
 
 
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