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───時は少しだけ遡る。
冷黒王子とエステル様がバチバチと火花を散らして、何故か私の身柄を取り合った後。
私はアイリナ様とマーリン様に両脇を固められて、これまた何故か『王族貴族専用』の[学院の門]を通り過ぎて、あろうことか『王族貴族専用』の[学生寮]に、──エステル様の私室へと招かれることになった。
前にも説明したとおり、学生寮には『王族貴族専用』と『庶民用』がある。
そして、王族貴族は外部に聞かせられない密談が必要となることが多いので、『王族貴族専用』の各部屋はそれぞれ、特殊な防音魔法が施されている。
エステル様に「貴女の今後のことで、外部には聞かせられない内密な話があるから」と言われてしまえば、私は付いていくしかない訳で…。(というかエステル様が親切心で言ってると“心の声”で分かるから、若干の不安はあるけど付いていくことにしたんだよね。)
ちなみに、入学時に渡された冊子に『双方の利用はできないものとする』って規則が書かれていた話をエステル様にしたら、『特別な理由』と責任者の付き添い(今回はエステル様)さえあれば利用はできるのだと教えられた。
まぁ考えてみたら、青Fの主人公も私と同じ庶民階級なのに『王族貴族専用』の場所で《イベント》が発生して攻略キャラと仲を深める形だった訳だし、青Fでは語られてなかったけど、そういう裏(?)がなきゃ王族貴族との交流なんてできる訳ないか。
(でもなぁ…いいのかなぁ。。いくら今回のケースが『特別な理由』に当たると言われても、庶民の私が公爵令嬢様の私室に招かれるって…すごく場違いだよなぁ…。)
冷黒王子に対して私のことを「預からせていただく」とかエステル様は言ってたけど、あれは私の処置について一旦預かるって意味だと思ってたんですけど。
まさか私の身柄を預かるって意味じゃないよね?
「──フォートレックさん、ここがわたくしの部屋になります。少々強引にお招きしてしまって ごめんなさいね? (きっと戸惑われているでしょうね…。)」
「 !…いえっあの…(うわぉ‥私が戸惑ってることバレてるし。‥う~ん、なんて返そう‥)──むしろアストリア様に庇っていただいたのに、お気遣いまで‥恐れ多いです…。」
‥本当にそうだよなんて言えないし。
咄嗟にこんな感じの返ししか思いつかなかったけど…大丈夫だよね?
「ふふっ‥フォートレックさんは、とても可愛らしい方ですのね。(両肩を小さく丸めて下を向く姿なんて、まるで仔犬のように愛らしいですわ。)」
「か、かわっ…?!!」
あ、ヤバ!
すぐに顔を下に向けたけど、あまりの衝撃に、思わずエステル様を直視しちゃったじゃん!
(てゆーか、私のこと仔犬みたいって、私そんな風に見えてるの!?)
どう反応していいか分からなくて焦るしかできないんですけど!
すると、私を楽しそうに見ているエステル様の隣からアイリナ様がグイッと近づいてきて、私の顔を覗き込んできた。
「あ、あの…アイリナ様…?」
そんな間近で見られると、私が身分を気にして目を伏せてる意味がないんですけど…。
「‥確かに貴女、小鼠みたいな顔立ちですし、可愛らしいと言えば、そうですわね。(あら、わたしってば言い得て妙じゃないかしら!)」
…小鼠‥ネズミ顔って…うん、なんてゆーかアイリナ様は、さらりと私のことディスりますよね。。
「ふふっ。アイリってば、フォートレックさんが困ってるわよ? ‥そうそう、困ってると言えばフォートレックさん。わたくしは貴女と同じクラスで席も隣ですから、判らないことがあれば何でもお聞きになって?(耳が遠いなら何かと不便でしょうし…。)」
そして私のことを耳が遠いと信じてる、マーリン様の優しさがツライ‥。
そんなこんなで、三人から散々な言われように凹む私を尻目に、エステル様は自分の部屋の扉に左手を翳して魔力を流し、解錠の呪文を唱えていた。
カチャリ。
「さぁどうぞフォートレックさん。アイリとマノンも入って?」
* * * *
今、私の前には重厚な四角いテーブルがあって、正面にはエステル様が、左右にはアイリナ様とマーリン様が座られている。
(…き、緊張する。。)
エステル様の部屋に招き入れられた私は、勧められるままに椅子に座り、下を向いてカチコチに固まっていた。
「今わたくしのメイドがお茶を用意しているから、もう少しお待ちになってね? (‥フォートレックさんはとても緊張しているようですし‥お茶を飲んで一息ついてから本題を話した方が良さそうですわね…。)」
「は、はい。」
エステル様の私室は、ダークブラウン調の家具にアイボリーの布製品と、淡いピンクの小物類が絶妙なバランスで配置されている部屋だった。
(あんまりキョロキョロしたら失礼だけど、なんてゆーか部屋全体は落ち着いた雰囲気なのに、安らぎと可愛らしさが溢れてるよね‥。エステル様って可愛い物が好きなのかな…。)
俯きながらも目だけを動かしてる私は、白地にピンクの花柄の香炉やら、桜色のドレスを着た白兎のぬいぐるみやら、テーブルの真ん中の花瓶に生けられた白とピンクの薔薇のチョイスやらを見て、あぁこれは『エステル様の悪役令嬢って肩書きは本格的に違うわ』と思った。
「ふふふっ‥そんなに畏まらないで。ここはわたくしの私室ですから、体裁は気にせず寛いでもらえると嬉しいですわ。(‥本当は学院に併設されているカフェテラスで話す方がフォートレックさんには良いのでしょうけど。彼女には悪いのだけど、殿下の切羽詰まったあの反応を見る限り、安全と分かる場所でお話を聞かなければならないのよね…。)」
「‥お気遣い、ありがとうございます…。」
うわぁ…エステル様は笑ってらっしゃるけど、“心の声”が…。
(ゔぅ…めっちゃ困らせてますよね‥すみません。。)
私が打首発言をしてしまったばかりに、エステル様にはあらぬ心労を掛けることになってるのに、寛ぐだなんて私には無理です…。
「そうそう。貴女のお名前なのですけど、リリアンさんでしたわよね?‥ご家族の方からはどんな風に呼ばれてますの? (‥できればフォートレックさんとは親しくなりたいですわ。)」
・・・・・え。
‥えぇと…。
(‥親しく‥、私と…親しく?)
エステル様から聴こえてきた想定外の“心の声”に、思わずエステル様を凝視しちゃったんですけど。
「え‥と‥家族にはリアって呼ばれてますけど…。」
てゆーか目の前の御令嬢って本当にエステル様だよね?‥身代わりの影武者とかじゃないよね??
「まあ!フォートレックさんにぴったりな、とっても可愛らしい愛称ですこと!…‥わたくしもそうお呼びしても宜しいかしら? (…ダメかしら‥。)」
「ぇええ?!!‥っあ‥すみませ…、」
ヤバ、またエステル様を直視しちゃっ‥目線は下、目線は下…。
「……そう。。やっぱりダメで「どうぞ私のことは『リア』とお呼びくださいませ!」」
っていやいや、そーじゃなくて!!
あまりに突拍子もないエステル様の申し出に、貴族の前で「ぇええ?!!」とか失礼な声が出ちゃったから謝ろうとしたら勘違いされそうになって勢いで了承したけど、そーじゃなくてね!
(‥あの、エステル様‥…本気で言ってるの?)
今度はそ~っと、お伺い気味にエステル様の顔を見ると、エステル様が確認するかのように…
「・・・宜しいのですか? (‥本当に宜しいの?)」
って───うわ、本気だったよこの人!!!
とりあえず、私は「宜しいです!」とエステル様の目を見て、力強く返事をした。
「というか、その…なぜ私を『リア』と愛称呼びで‥?」
「それはその‥わたくしが『リア』さんと親しくなりたかったから…何だか照れますわね。/// (あぁもう、わたくしったら嬉しくて、さっそくリアさんと呼んでしまいましたわっ。‥ふふふっ。)」
…いやもう、“心の声”がそのまんま理由として返ってきたんですけど、私にどうしろと…。
てゆーか、エステル様は貴族だからで、顔を直視しないように下を向く努力をしてたんだけどなぁ…。
さっきからエステル様が、私のことを「愛称で呼びたい」発言をしたり、「『リア』さんと親しくなりたかったから」発言に、今はもうエステル様の顔を直視どころか、凝視しまくってますよ…。
しかもそんな私の態度に、本来なら無礼に当たる態度に、エステル様は怒るどころかニコニコと笑顔を振りまいてらっしゃるし…。
それで良いのか公爵令嬢…。
そもそも、冷黒王子と対面でバトってた時のエステル様は、私を責任感から守ろうとしてくれてた筈なのに、どこからそういう心境になったのか、まったく分かんないんですけど。
…あれ? そう言えば両サイドで見てるアイリナ様とマーリン様はどう思って───‥あぁ、なるほどね。
マーリン様は信じられない顔で、ぽかんと口を開けてエステル様を見てるし、アイリナ様なんて私とエステル様を凄い形相で見比べてるよ‥。そりゃあ、そうなるわ。
「‥あらあら? 皆さん揃って信じられない顔をなさってますけど、そんなに驚くことかしら? (わたくし、そこまで変なことを言ったかしら?)」
…無自覚ですかい。
「‥コホン。ステル‥説明して。(‥わたしの聞き間違いじゃないわよね?)」
いち早く立ち直ったマーリン様が、私の疑問とする説明をエステル様に求めてくれてるけど、私が居るのに爵位が上のエステル様へ敬語が無くなってるあたり‥まだ動揺は続いてるっぽいね。
「説明と言われても‥わたくしがリアさんと親しくなりたい正直な気持ちを伝えただけですわ。」
「そうじゃなくて!ステルが何故この子と仲良くなりたいと思ったのか教えて欲しいって言ってるの! (この子は庶民なのよ?!生まれた時から貴族の淑女として模範的なステルが何故?!)」
うわぉ。
同じく復活したアイリナ様が、納得いかないとばかりにエステル様の言葉を遮って詰め寄ってるよ…。
けどまぁ、アイリナ様はマーリン様以上に貴族のマナーを気にする余裕なんてなさそうだわ。。
エステル様はエステル様で、二人がこんなに動揺してるのにニコニコと笑ってるし…、まさかこれが三人の通常運転だとか言いませんよね?
「うふふっ‥そんなの簡単なことですわ。それは彼女が‥リアさんがとても素直な方で、そして──…。」
いやいや素直な方でって…私よりもエステル様の方がよっぽど素直な御方ですけどね…。
エステル様はそこで一旦、言葉を切って私を見ると。
───とても満足そうに、ニッコリと微笑まれた。
(…え。な、何…。)
つられるようにアイリナ様とマーリン様も私を見て、それからエステル様を見て…何故か二人とも顔を引き攣らせたんですけど、Why?
「「…そして?」」
「──“とても可愛らしいから”に決まってますわっ!(可愛いものは誰だって愛でたいに決まってるじゃないですか!)」
「「「・・・・・。」」」
────…うん。
アイリナ様やマーリン様と、私も同じ心境です。。
二人が顔を引き攣らせた意味が、よぉ~~~っく分かりました。。。
冷黒王子とエステル様がバチバチと火花を散らして、何故か私の身柄を取り合った後。
私はアイリナ様とマーリン様に両脇を固められて、これまた何故か『王族貴族専用』の[学院の門]を通り過ぎて、あろうことか『王族貴族専用』の[学生寮]に、──エステル様の私室へと招かれることになった。
前にも説明したとおり、学生寮には『王族貴族専用』と『庶民用』がある。
そして、王族貴族は外部に聞かせられない密談が必要となることが多いので、『王族貴族専用』の各部屋はそれぞれ、特殊な防音魔法が施されている。
エステル様に「貴女の今後のことで、外部には聞かせられない内密な話があるから」と言われてしまえば、私は付いていくしかない訳で…。(というかエステル様が親切心で言ってると“心の声”で分かるから、若干の不安はあるけど付いていくことにしたんだよね。)
ちなみに、入学時に渡された冊子に『双方の利用はできないものとする』って規則が書かれていた話をエステル様にしたら、『特別な理由』と責任者の付き添い(今回はエステル様)さえあれば利用はできるのだと教えられた。
まぁ考えてみたら、青Fの主人公も私と同じ庶民階級なのに『王族貴族専用』の場所で《イベント》が発生して攻略キャラと仲を深める形だった訳だし、青Fでは語られてなかったけど、そういう裏(?)がなきゃ王族貴族との交流なんてできる訳ないか。
(でもなぁ…いいのかなぁ。。いくら今回のケースが『特別な理由』に当たると言われても、庶民の私が公爵令嬢様の私室に招かれるって…すごく場違いだよなぁ…。)
冷黒王子に対して私のことを「預からせていただく」とかエステル様は言ってたけど、あれは私の処置について一旦預かるって意味だと思ってたんですけど。
まさか私の身柄を預かるって意味じゃないよね?
「──フォートレックさん、ここがわたくしの部屋になります。少々強引にお招きしてしまって ごめんなさいね? (きっと戸惑われているでしょうね…。)」
「 !…いえっあの…(うわぉ‥私が戸惑ってることバレてるし。‥う~ん、なんて返そう‥)──むしろアストリア様に庇っていただいたのに、お気遣いまで‥恐れ多いです…。」
‥本当にそうだよなんて言えないし。
咄嗟にこんな感じの返ししか思いつかなかったけど…大丈夫だよね?
「ふふっ‥フォートレックさんは、とても可愛らしい方ですのね。(両肩を小さく丸めて下を向く姿なんて、まるで仔犬のように愛らしいですわ。)」
「か、かわっ…?!!」
あ、ヤバ!
すぐに顔を下に向けたけど、あまりの衝撃に、思わずエステル様を直視しちゃったじゃん!
(てゆーか、私のこと仔犬みたいって、私そんな風に見えてるの!?)
どう反応していいか分からなくて焦るしかできないんですけど!
すると、私を楽しそうに見ているエステル様の隣からアイリナ様がグイッと近づいてきて、私の顔を覗き込んできた。
「あ、あの…アイリナ様…?」
そんな間近で見られると、私が身分を気にして目を伏せてる意味がないんですけど…。
「‥確かに貴女、小鼠みたいな顔立ちですし、可愛らしいと言えば、そうですわね。(あら、わたしってば言い得て妙じゃないかしら!)」
…小鼠‥ネズミ顔って…うん、なんてゆーかアイリナ様は、さらりと私のことディスりますよね。。
「ふふっ。アイリってば、フォートレックさんが困ってるわよ? ‥そうそう、困ってると言えばフォートレックさん。わたくしは貴女と同じクラスで席も隣ですから、判らないことがあれば何でもお聞きになって?(耳が遠いなら何かと不便でしょうし…。)」
そして私のことを耳が遠いと信じてる、マーリン様の優しさがツライ‥。
そんなこんなで、三人から散々な言われように凹む私を尻目に、エステル様は自分の部屋の扉に左手を翳して魔力を流し、解錠の呪文を唱えていた。
カチャリ。
「さぁどうぞフォートレックさん。アイリとマノンも入って?」
* * * *
今、私の前には重厚な四角いテーブルがあって、正面にはエステル様が、左右にはアイリナ様とマーリン様が座られている。
(…き、緊張する。。)
エステル様の部屋に招き入れられた私は、勧められるままに椅子に座り、下を向いてカチコチに固まっていた。
「今わたくしのメイドがお茶を用意しているから、もう少しお待ちになってね? (‥フォートレックさんはとても緊張しているようですし‥お茶を飲んで一息ついてから本題を話した方が良さそうですわね…。)」
「は、はい。」
エステル様の私室は、ダークブラウン調の家具にアイボリーの布製品と、淡いピンクの小物類が絶妙なバランスで配置されている部屋だった。
(あんまりキョロキョロしたら失礼だけど、なんてゆーか部屋全体は落ち着いた雰囲気なのに、安らぎと可愛らしさが溢れてるよね‥。エステル様って可愛い物が好きなのかな…。)
俯きながらも目だけを動かしてる私は、白地にピンクの花柄の香炉やら、桜色のドレスを着た白兎のぬいぐるみやら、テーブルの真ん中の花瓶に生けられた白とピンクの薔薇のチョイスやらを見て、あぁこれは『エステル様の悪役令嬢って肩書きは本格的に違うわ』と思った。
「ふふふっ‥そんなに畏まらないで。ここはわたくしの私室ですから、体裁は気にせず寛いでもらえると嬉しいですわ。(‥本当は学院に併設されているカフェテラスで話す方がフォートレックさんには良いのでしょうけど。彼女には悪いのだけど、殿下の切羽詰まったあの反応を見る限り、安全と分かる場所でお話を聞かなければならないのよね…。)」
「‥お気遣い、ありがとうございます…。」
うわぁ…エステル様は笑ってらっしゃるけど、“心の声”が…。
(ゔぅ…めっちゃ困らせてますよね‥すみません。。)
私が打首発言をしてしまったばかりに、エステル様にはあらぬ心労を掛けることになってるのに、寛ぐだなんて私には無理です…。
「そうそう。貴女のお名前なのですけど、リリアンさんでしたわよね?‥ご家族の方からはどんな風に呼ばれてますの? (‥できればフォートレックさんとは親しくなりたいですわ。)」
・・・・・え。
‥えぇと…。
(‥親しく‥、私と…親しく?)
エステル様から聴こえてきた想定外の“心の声”に、思わずエステル様を凝視しちゃったんですけど。
「え‥と‥家族にはリアって呼ばれてますけど…。」
てゆーか目の前の御令嬢って本当にエステル様だよね?‥身代わりの影武者とかじゃないよね??
「まあ!フォートレックさんにぴったりな、とっても可愛らしい愛称ですこと!…‥わたくしもそうお呼びしても宜しいかしら? (…ダメかしら‥。)」
「ぇええ?!!‥っあ‥すみませ…、」
ヤバ、またエステル様を直視しちゃっ‥目線は下、目線は下…。
「……そう。。やっぱりダメで「どうぞ私のことは『リア』とお呼びくださいませ!」」
っていやいや、そーじゃなくて!!
あまりに突拍子もないエステル様の申し出に、貴族の前で「ぇええ?!!」とか失礼な声が出ちゃったから謝ろうとしたら勘違いされそうになって勢いで了承したけど、そーじゃなくてね!
(‥あの、エステル様‥…本気で言ってるの?)
今度はそ~っと、お伺い気味にエステル様の顔を見ると、エステル様が確認するかのように…
「・・・宜しいのですか? (‥本当に宜しいの?)」
って───うわ、本気だったよこの人!!!
とりあえず、私は「宜しいです!」とエステル様の目を見て、力強く返事をした。
「というか、その…なぜ私を『リア』と愛称呼びで‥?」
「それはその‥わたくしが『リア』さんと親しくなりたかったから…何だか照れますわね。/// (あぁもう、わたくしったら嬉しくて、さっそくリアさんと呼んでしまいましたわっ。‥ふふふっ。)」
…いやもう、“心の声”がそのまんま理由として返ってきたんですけど、私にどうしろと…。
てゆーか、エステル様は貴族だからで、顔を直視しないように下を向く努力をしてたんだけどなぁ…。
さっきからエステル様が、私のことを「愛称で呼びたい」発言をしたり、「『リア』さんと親しくなりたかったから」発言に、今はもうエステル様の顔を直視どころか、凝視しまくってますよ…。
しかもそんな私の態度に、本来なら無礼に当たる態度に、エステル様は怒るどころかニコニコと笑顔を振りまいてらっしゃるし…。
それで良いのか公爵令嬢…。
そもそも、冷黒王子と対面でバトってた時のエステル様は、私を責任感から守ろうとしてくれてた筈なのに、どこからそういう心境になったのか、まったく分かんないんですけど。
…あれ? そう言えば両サイドで見てるアイリナ様とマーリン様はどう思って───‥あぁ、なるほどね。
マーリン様は信じられない顔で、ぽかんと口を開けてエステル様を見てるし、アイリナ様なんて私とエステル様を凄い形相で見比べてるよ‥。そりゃあ、そうなるわ。
「‥あらあら? 皆さん揃って信じられない顔をなさってますけど、そんなに驚くことかしら? (わたくし、そこまで変なことを言ったかしら?)」
…無自覚ですかい。
「‥コホン。ステル‥説明して。(‥わたしの聞き間違いじゃないわよね?)」
いち早く立ち直ったマーリン様が、私の疑問とする説明をエステル様に求めてくれてるけど、私が居るのに爵位が上のエステル様へ敬語が無くなってるあたり‥まだ動揺は続いてるっぽいね。
「説明と言われても‥わたくしがリアさんと親しくなりたい正直な気持ちを伝えただけですわ。」
「そうじゃなくて!ステルが何故この子と仲良くなりたいと思ったのか教えて欲しいって言ってるの! (この子は庶民なのよ?!生まれた時から貴族の淑女として模範的なステルが何故?!)」
うわぉ。
同じく復活したアイリナ様が、納得いかないとばかりにエステル様の言葉を遮って詰め寄ってるよ…。
けどまぁ、アイリナ様はマーリン様以上に貴族のマナーを気にする余裕なんてなさそうだわ。。
エステル様はエステル様で、二人がこんなに動揺してるのにニコニコと笑ってるし…、まさかこれが三人の通常運転だとか言いませんよね?
「うふふっ‥そんなの簡単なことですわ。それは彼女が‥リアさんがとても素直な方で、そして──…。」
いやいや素直な方でって…私よりもエステル様の方がよっぽど素直な御方ですけどね…。
エステル様はそこで一旦、言葉を切って私を見ると。
───とても満足そうに、ニッコリと微笑まれた。
(…え。な、何…。)
つられるようにアイリナ様とマーリン様も私を見て、それからエステル様を見て…何故か二人とも顔を引き攣らせたんですけど、Why?
「「…そして?」」
「──“とても可愛らしいから”に決まってますわっ!(可愛いものは誰だって愛でたいに決まってるじゃないですか!)」
「「「・・・・・。」」」
────…うん。
アイリナ様やマーリン様と、私も同じ心境です。。
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