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月の神殿を後にして、私たちはシルフィードで大陸の中央部へと向かいました。
最後の聖地である「奈落の祭壇」を、目指すためです。
そこは、「侵食する虚無」が眠る魔王の迷宮の入り口でもあると聞いています。
これまでの旅とは、比べものにならないほどの危険が待っていることでしょう。
船内の空気は、自然と張り詰めたものになっていました。
窓から見える景色は、穏やかな海から再び緑豊かな大地へと変わっていきます。
しかし、大陸の中央部に近づくにつれて、その景色は少しずつ荒れ果てたものになっていきました。
木々は枯れてしまい、地面は乾燥してひび割れています。
空には、不気味な紫色の雲が漂っていました。
まるで、大地そのものが重い病気にかかっているかのようです。
「これが、封印から漏れ出した瘴気の影響なのでしょうか。」
私は、その荒れ果てた景色を見ながら呟きました。
封印されているとはいえ、「侵食する虚無」の力は、少しずつこの世界を蝕んでいるのです。
『その通りです、マスター。ヘスティアの情報によれば、この一帯は強力な魔獣の巣窟となっているそうです。瘴気の影響で、凶暴化したモンスターたちが数多く生息しています。』
ナナさんが、最新のデータを表示しながら説明してくれました。
私たちは、最後の戦いが近いことを肌で感じていました。
船の中で、私はこれまでに手に入れた四つの聖地の力を確かめていました。
生命の泉で得た、癒やしの力「生命のしずく」。
太陽の祭壇で得た、破壊の力「太陽の恩寵」。
風の聖域で得た、自由の力「風の加護」。
そして、月の神殿で得た、真実を見抜く力「月の叡智」です。
これらの力が、私の体の中で一つの大きな流れとなっているのを感じます。
(この四つの力を合わせれば、きっと。)
私は、自分の両手をじっと見つめました。
私の持つ『上位修復』スキルは、もはやただの修復スキルではありませんでした。
創造と破壊、そして癒やしと真実という、世界の理そのものに干渉できるほどの力へと進化を遂げつつあったのです。
私は、新しく手に入れた創造の力を試してみることにしました。
指先に意識を集中させて、何もない空間に水の分子構造をイメージします。
すると、私の手のひらの中に、透き通ったきれいな水が湧き出してきました。
「すごい、本当にできてしまいました。」
私は、自分の手のひらに溜まる命の水を、しばらくの間見つめていました。
この力を使えば、資源がない場所でも大丈夫です。
必要なものは、何でも作り出せるからです。
食料や水も、簡単に作れるかもしれません。強力な武器だって、作り出すことが可能です。
これからの戦いにおいて、この力は大きな助けになるでしょう。
その頃、狩人のザックの元でお世話になっていたアレス様たちは、一つの決意を固めていました。
ザックから、わずかな食料と古い地図を譲り受けた彼らは、再び旅に出ようとしています。
「本当に行くのか。お前たちだけでは、野垂れ死にするのがオチだぞ。」
ザックの、心配そうな声にアレス様はゆっくりと首を横に振りました。
「それでも、行かなければならないんだ。俺たちは、犯した過ちを償わなければならない。それに、確かめたいことがあるんだ。」
アレス様の目には、以前のような傲慢な光はありませんでした。
そこには、物静かで、しかし固い決意の光が宿っています。
彼は、何度も空に昇った光の柱の正体を、そして「奇跡の修理屋」の正体を自分の目で確かめたいと思っていました。
それが、シエラという一人の少女に繋がっているのではないかと、彼の心は確信に近づいていたのです。
「カイン、リナリア、ゲオルグ。もう一度、俺についてきてくれるか。今度は、勇者としてじゃない。ただの一人の男として、お前たちに頭を下げる。」
アレス様が、仲間たちに向かって深く頭を下げました。
その誠実な姿に、他の三人も心を動かされます。
「当たり前じゃないですか、アレス様。私たちは、最後まであなたの仲間です。」
カインが、力強くそう答えました。
リナリアさんとゲオルグも、黙って頷きます。
彼らの間には、失われかけていた本当の絆が、再び生まれようとしていました。
それは、以前のような偽りのものではなく、苦難を共にする本物の仲間としての絆でした。
「ありがとう。行こう、俺たちの最後の旅へ。」
四人は、お互いの顔を見合わせると力強く頷き合いました。
そして、荒野へと一歩を踏み出します。
彼らの目指す先もまた、大陸の中央部でした。
運命の糸が、私たちと彼らを、再び引き合わせようとしているのかもしれません。
シルフィードは、ついに目的地の空域に到達しました。
眼下には、巨大なクレーターのような大穴が口を開けています。
その直径は、数十キロメートルにも及ぶでしょう。
穴の底は、暗い瘴気で満たされており、見通すことができません。
ゴウゴウと、まるで大地の底から響いてくるような不気味な風の音が聞こえてきました。
「ここが、奈落の祭壇。そして、魔王の迷宮の入り口。」
私は、ごくりと息を飲み込みました。
これまでの聖地とは、明らかに空気が違います。
ただそこにいるだけで、心が蝕まれていくような、邪悪な気配に満ちていました。
『マスター、全軍に最高レベルの警戒態勢を発令します。これより、大穴の内部へと降下を開始します。』
ナナさんの、緊張した声が響きました。
シルフィードを先頭に、ヴァルキリー部隊とタイタン部隊を乗せた輸送船が後に続きます。
私たちは、ゆっくりと大穴の中へと入っていきました。
瘴気の霧を抜けると、その先には信じられない光景が広がっていました。
そこは、とてつもなく巨大な地下空間です。
しかし、その内部はまるで異世界でした。
地面は、禍々しい紫色の水晶で覆われています。
空には、赤い月のようなものがいくつも浮かんでいました。
そして、あちこちから見たこともないような、異形のモンスターたちが姿を現します。
『警告、高濃度の魔力汚染を確認しました。敵性生命体を、多数感知しました。』
船のAIが、けたたましく警報を鳴らしました。
モンスターたちは、私たちに気づくと一斉に襲いかかってきます。
その数は、数百、いや数千はいるでしょう。
まるで、虫の大群のようでした。
「タイタン部隊、地上部隊を展開してください。ヴァルキリー部隊は、上空から援護をお願いします。」
私の指示で、輸送船からタイタンたちが次々と地上に降り立ちます。
彼らは、巨大なハンマーや斧を振り回して、モンスターの群れをなぎ倒していきました。
上空では、ヴァルキリーたちがレーザーの雨を降らせます。
壮絶な戦いの火蓋が、今まさに切って落とされました。
私たちは、モンスターの群れを突き進み、迷宮の奥深くを目指します。
最後の聖地である「奈落の祭壇」は、この迷宮の最下層にあるはずでした。
どれくらいの時間を進んだでしょうか。
私たちは、一つの巨大な扉の前にたどり着きました。
その扉には、古代文明の文字でこう刻まれています。
『この先、世界の終わりが眠る場所。心せよ、生きて帰ることは叶わぬだろう。』
扉の向こう側から、これまでのモンスターとは比べ物にならないほどの、強大な気配が漏れ出ていました。
まるで、虚無そのものがそこにいるかのようです。
『マスター、この扉の奥に、最後の聖地と、そして迷宮の核が存在します。』
ナナさんが、落ち着いた声でそう告げました。
私は、息をのんで頷きます。
この扉を開けた時、私たちの最後の戦いが本当に始まるのです。
私は、ゆっくりと扉に手をかけました。
その時でした。
『マスター、前方に未確認の超巨大エネルギー反応を多数検知しました。これは……!』
ヘスティアの焦った声が、操縦室に響き渡りました。
最後の聖地である「奈落の祭壇」を、目指すためです。
そこは、「侵食する虚無」が眠る魔王の迷宮の入り口でもあると聞いています。
これまでの旅とは、比べものにならないほどの危険が待っていることでしょう。
船内の空気は、自然と張り詰めたものになっていました。
窓から見える景色は、穏やかな海から再び緑豊かな大地へと変わっていきます。
しかし、大陸の中央部に近づくにつれて、その景色は少しずつ荒れ果てたものになっていきました。
木々は枯れてしまい、地面は乾燥してひび割れています。
空には、不気味な紫色の雲が漂っていました。
まるで、大地そのものが重い病気にかかっているかのようです。
「これが、封印から漏れ出した瘴気の影響なのでしょうか。」
私は、その荒れ果てた景色を見ながら呟きました。
封印されているとはいえ、「侵食する虚無」の力は、少しずつこの世界を蝕んでいるのです。
『その通りです、マスター。ヘスティアの情報によれば、この一帯は強力な魔獣の巣窟となっているそうです。瘴気の影響で、凶暴化したモンスターたちが数多く生息しています。』
ナナさんが、最新のデータを表示しながら説明してくれました。
私たちは、最後の戦いが近いことを肌で感じていました。
船の中で、私はこれまでに手に入れた四つの聖地の力を確かめていました。
生命の泉で得た、癒やしの力「生命のしずく」。
太陽の祭壇で得た、破壊の力「太陽の恩寵」。
風の聖域で得た、自由の力「風の加護」。
そして、月の神殿で得た、真実を見抜く力「月の叡智」です。
これらの力が、私の体の中で一つの大きな流れとなっているのを感じます。
(この四つの力を合わせれば、きっと。)
私は、自分の両手をじっと見つめました。
私の持つ『上位修復』スキルは、もはやただの修復スキルではありませんでした。
創造と破壊、そして癒やしと真実という、世界の理そのものに干渉できるほどの力へと進化を遂げつつあったのです。
私は、新しく手に入れた創造の力を試してみることにしました。
指先に意識を集中させて、何もない空間に水の分子構造をイメージします。
すると、私の手のひらの中に、透き通ったきれいな水が湧き出してきました。
「すごい、本当にできてしまいました。」
私は、自分の手のひらに溜まる命の水を、しばらくの間見つめていました。
この力を使えば、資源がない場所でも大丈夫です。
必要なものは、何でも作り出せるからです。
食料や水も、簡単に作れるかもしれません。強力な武器だって、作り出すことが可能です。
これからの戦いにおいて、この力は大きな助けになるでしょう。
その頃、狩人のザックの元でお世話になっていたアレス様たちは、一つの決意を固めていました。
ザックから、わずかな食料と古い地図を譲り受けた彼らは、再び旅に出ようとしています。
「本当に行くのか。お前たちだけでは、野垂れ死にするのがオチだぞ。」
ザックの、心配そうな声にアレス様はゆっくりと首を横に振りました。
「それでも、行かなければならないんだ。俺たちは、犯した過ちを償わなければならない。それに、確かめたいことがあるんだ。」
アレス様の目には、以前のような傲慢な光はありませんでした。
そこには、物静かで、しかし固い決意の光が宿っています。
彼は、何度も空に昇った光の柱の正体を、そして「奇跡の修理屋」の正体を自分の目で確かめたいと思っていました。
それが、シエラという一人の少女に繋がっているのではないかと、彼の心は確信に近づいていたのです。
「カイン、リナリア、ゲオルグ。もう一度、俺についてきてくれるか。今度は、勇者としてじゃない。ただの一人の男として、お前たちに頭を下げる。」
アレス様が、仲間たちに向かって深く頭を下げました。
その誠実な姿に、他の三人も心を動かされます。
「当たり前じゃないですか、アレス様。私たちは、最後まであなたの仲間です。」
カインが、力強くそう答えました。
リナリアさんとゲオルグも、黙って頷きます。
彼らの間には、失われかけていた本当の絆が、再び生まれようとしていました。
それは、以前のような偽りのものではなく、苦難を共にする本物の仲間としての絆でした。
「ありがとう。行こう、俺たちの最後の旅へ。」
四人は、お互いの顔を見合わせると力強く頷き合いました。
そして、荒野へと一歩を踏み出します。
彼らの目指す先もまた、大陸の中央部でした。
運命の糸が、私たちと彼らを、再び引き合わせようとしているのかもしれません。
シルフィードは、ついに目的地の空域に到達しました。
眼下には、巨大なクレーターのような大穴が口を開けています。
その直径は、数十キロメートルにも及ぶでしょう。
穴の底は、暗い瘴気で満たされており、見通すことができません。
ゴウゴウと、まるで大地の底から響いてくるような不気味な風の音が聞こえてきました。
「ここが、奈落の祭壇。そして、魔王の迷宮の入り口。」
私は、ごくりと息を飲み込みました。
これまでの聖地とは、明らかに空気が違います。
ただそこにいるだけで、心が蝕まれていくような、邪悪な気配に満ちていました。
『マスター、全軍に最高レベルの警戒態勢を発令します。これより、大穴の内部へと降下を開始します。』
ナナさんの、緊張した声が響きました。
シルフィードを先頭に、ヴァルキリー部隊とタイタン部隊を乗せた輸送船が後に続きます。
私たちは、ゆっくりと大穴の中へと入っていきました。
瘴気の霧を抜けると、その先には信じられない光景が広がっていました。
そこは、とてつもなく巨大な地下空間です。
しかし、その内部はまるで異世界でした。
地面は、禍々しい紫色の水晶で覆われています。
空には、赤い月のようなものがいくつも浮かんでいました。
そして、あちこちから見たこともないような、異形のモンスターたちが姿を現します。
『警告、高濃度の魔力汚染を確認しました。敵性生命体を、多数感知しました。』
船のAIが、けたたましく警報を鳴らしました。
モンスターたちは、私たちに気づくと一斉に襲いかかってきます。
その数は、数百、いや数千はいるでしょう。
まるで、虫の大群のようでした。
「タイタン部隊、地上部隊を展開してください。ヴァルキリー部隊は、上空から援護をお願いします。」
私の指示で、輸送船からタイタンたちが次々と地上に降り立ちます。
彼らは、巨大なハンマーや斧を振り回して、モンスターの群れをなぎ倒していきました。
上空では、ヴァルキリーたちがレーザーの雨を降らせます。
壮絶な戦いの火蓋が、今まさに切って落とされました。
私たちは、モンスターの群れを突き進み、迷宮の奥深くを目指します。
最後の聖地である「奈落の祭壇」は、この迷宮の最下層にあるはずでした。
どれくらいの時間を進んだでしょうか。
私たちは、一つの巨大な扉の前にたどり着きました。
その扉には、古代文明の文字でこう刻まれています。
『この先、世界の終わりが眠る場所。心せよ、生きて帰ることは叶わぬだろう。』
扉の向こう側から、これまでのモンスターとは比べ物にならないほどの、強大な気配が漏れ出ていました。
まるで、虚無そのものがそこにいるかのようです。
『マスター、この扉の奥に、最後の聖地と、そして迷宮の核が存在します。』
ナナさんが、落ち着いた声でそう告げました。
私は、息をのんで頷きます。
この扉を開けた時、私たちの最後の戦いが本当に始まるのです。
私は、ゆっくりと扉に手をかけました。
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