追放令嬢、魔導と科学で文明開花いたしますわ〜辺境から始める世界再設計〜

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第36話

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 未来記念塔からの指示で、特区中央広場に特設されたデモンストレーションエリアが一斉に光を放ちましたの。

 「リゼ、未来型市街戦魔導兵器の発進準備は?」

 「完了しています! 防護結界も三重に展開済みです!」

 「よろしいですわ。では、発進なさい」

 リゼが緊張した面持ちで魔導起動キーを操作し、デモンストレーションエリアに鎮座していた兵器たちが、唸りを上げて起動しましたの。

 広場を囲む市民たちが歓声とざわめきをあげましたの。

 「お嬢様! 査察団本隊、エリア正面に到着しました!」

 「完璧なタイミングですわ」

 未来型市街戦魔導兵器群、正式名称《アウローラ式自律防衛兵団》は、わたくしが開発した最新鋭の魔導戦闘ユニットですわ。空中、地上、水中、それぞれ専用に最適化されておりますの。

 「リゼ、まず空中部隊を展開なさい。編隊飛行で迎撃演習を開始」

 「了解しました!」

 空中に浮かび上がったのは、銀翼に青い魔導符を纏った自律型飛行魔導兵器たち。彼らは完璧なフォーメーションを組み、広場上空を疾走しましたの。

 「なんという機動性だ……!」

 リュミエールが驚愕を隠しきれない様子で呟きましたの。

 「ふふ、わたくしの“趣味”の一端にすぎませんわ」

 わたくしはゴーグルを軽く押し上げながら、さらなる指示を飛ばしましたの。

 「次、地上部隊。自律展開モード、移行」

 「はいっ!」

 リゼが操作すると、地上に配備された魔導歩兵ユニットが、滑らかに隊列を組み替えましたの。あらゆる地形変化に即応し、攻防一体の布陣を取る彼らに、査察団は目を見張っておりましたわ。

 「リゼ、デモンストレーションフェイズ2。“模擬戦闘モード”起動なさい」

 「了解しました!」

 飛行部隊と地上部隊が即座に模擬交戦を開始。制御されたエネルギービームと実体魔導兵器が交錯し、広場をまるで戦場のように染め上げましたの。

 「……これが、未来都市の自衛力か」

 リュミエールが険しい顔で言いましたの。

 「ええ、未来とは希望だけで成り立つものではありませんもの」

 わたくしは涼やかに応じましたの。

 「必要なのは、守るための力。未来を脅かす旧時代の残滓を排除するための力ですわ」

 「これだけの戦力を持ちながら……世界を脅す気はないというのか?」

 「当然ですわ。わたくしが欲しいのは、面白い世界だけ。支配や征服など、あまりに退屈でございますもの」

 わたくしの言葉に、リュミエールは複雑な表情を浮かべましたの。

 「未来型兵器によるデモンストレーション、終了しました!」

 リゼが元気に報告してきましたの。

 「よろしいですわ。次は、次世代市民防衛訓練プログラムのデモを実施なさい」

 「了解です!」

 広場中央に、一般市民志願者たちが招き入れられ、わたくしが設計した個人用防衛魔具の訓練が始まりましたの。

 「ご覧なさいませ、査察官閣下。ここでは市民一人ひとりが、未来を守る戦力へと変わるのですわ」

 「民間人を……?」

 「ええ、“守られる”だけの存在ではなく、自ら未来を守る意志を育てますの」

 訓練魔具を装着した市民たちは、指導員の指示のもと、初歩的な防御魔法や回避行動を次々と成功させておりましたわ。

 「驚いたな……」

 リュミエールの声が掠れましたの。

 「未来とは、ただ与えられるものではありませんもの。自ら掴み取るものですわ」

 わたくしは一歩前に出て、堂々と宣言しましたの。

 「アウローラは、すべての人に“可能性”を開く場所でございますわ」

 広場に集まった市民たちから、割れんばかりの歓声と拍手が巻き起こりましたの。

 リゼが嬉しそうに駆け寄ってきましたの。

 「お嬢様、式典の成功率、解析班によると百パーセントです!」

 「結構ですわ。では、次の段階に進みますわよ」

 わたくしは未来記念塔の操作盤に手を伸ばし、新たなプログラムを起動しましたの。

 「未来拡張計画フェイズ3、開始ですわ!」
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