追放令嬢、魔導と科学で文明開花いたしますわ〜辺境から始める世界再設計〜

第48話

　未来記念塔の作戦室へと歩を進めながら、わたくしはリゼへ新たな指示を飛ばしましたの。

　「リゼ、議会急進派の主要人物リストをまとめなさい」

　「はいっ！　現在情報局が洗い出しを進めています！」

　「よろしいですわ。連中が動く前に、根本から仕留めますのよ」

　リゼが端末に次々とデータを叩き込み、ホログラムマップに王都議会の内部構造と主要議員の動態が浮かび上がりましたの。

　「急進派、確認できた限りで十五名！　そのうち議会幹部クラスが四名！」

　「ふふ、狙い所は明白ですわね」

　わたくしは一瞥で優先順位を定めましたの。

　「まずは幹部クラスを無力化しますわ。リゼ、特務情報部《オルド》を起動なさい」

　「了解しました！」

　リゼの指先が踊り、未来記念塔地下に控える隠密工作部隊《オルド》が即座に起動指令を受け取りましたの。

　「対象は急進派四名。優先順位第一位、ディルク・フォン・カーレン伯爵」

　「第二位、エステル・ルヴァン議員！」

　「第三位、ハロルド・ミンスター軍参謀！」

　「第四位、サラ・デュラン商工会議長！」

　わたくしは次々に指示を飛ばし、迅速に状況を掌握していきましたの。

　「リゼ、各対象の現在地は？」

　「ディルク伯爵、自邸内！　エステル議員、王都西区にて密談中！　ハロルド参謀、王国軍本部待機！　サラ議長、商工会館内！」

　「よろしいですわ。《オルド》には最速で接近、拘束なさい。抵抗した場合は、その場で排除して構いませんわ」

　「了解しました！」

　わたくしはさらに追加指示を飛ばしましたの。

　「同時に、議会全体への影響工作も進めますわ。リゼ、広域魔導通信《ミスティア・ネット》を使って、急進派の動きをリークなさい」

　「かしこまりました！」

　わたくしが設計した情報操作網、《ミスティア・ネット》は、たった数分で王都中に“急進派による違法な再征服計画”という噂を流布し、民衆の信頼を失墜させる威力を持っておりましたの。

　リゼが震える声で報告しましたの。

　「王都全域、情報拡散速度急上昇中！　急進派に対する批判、爆発的に増加しています！」

　「当然ですわ。人々は未来に希望を見ているのですもの」

　わたくしは未来記念塔の展望室から夜空を見上げ、未来都市群の灯火を見下ろしましたの。

　「リゼ、《オルド》からの状況報告は？」

　「ディルク伯爵、拘束完了！　エステル議員、逃亡を試みたため排除！　ハロルド参謀、交戦の末確保！　サラ議長、無抵抗で拘束！」

　「完璧ですわ」

　わたくしは頷き、さらに指示を重ねましたの。

　「拘束対象は、未来都市群法に基づき即時裁定を実施なさい。公開審問は不要ですわ。国家反逆罪で資産没収、政治生命の永久剥奪処分にいたしますわ」

　「了解しました！」

　リゼが次々と指令を転送し、未来都市群中枢の自律審判システムが即時処理を開始しましたの。

　未来都市群法においては、旧体制の掟など無意味。正義とは、わたくしが定めるものにございますから。

　広場の大型ホログラムスクリーンには、急進派粛清完了の速報が流れ、市民たちの歓声が一層高まっておりましたの。

　「お嬢様、これで王国本土からの干渉は事実上不可能となりました！」

　「当然の成り行きですわ。わたくしたちの未来に、もはや過去は不要ですもの」