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火山から脱出し、麓にある鉱夫たちの集落に戻った。
その頃には、空はすっかり白み始めていた。
俺たちは集落の長に事情を話し、清潔な一室を借りてリナを休ませる。
彼女は全魔力を使い果たした影響で、深い眠りに落ちていた。
「おお勇者様、ご無事に戻られただけでなく山の怒りまで鎮めてくださるとは!」
長は、俺たちに何度も感謝の言葉を述べた。
イフリートを倒した影響か、火山の活動は以前よりも格段に穏やかになったらしい。
集落の鉱夫たちは、これで安心して鉱石を採掘できると心から喜んでいた。
「これは、我々からのささやかなお礼です。どうか、お受け取りください」
長はそう言って、布で包まれたいくつかの鉱石を差し出してきた。
俺は受け取る前に、神の眼でその鉱石を鑑定する。
それはオリハルコンの原石と、フレイム・クォーツだった。
オリハルコンは純度が低いものの、並の金属とは比較にならない性能を誇る。
フレイム・クォーツは、武具に炎の力を与えることができる希少な水晶だ。
「オリハルコンだと、本当か?」
声に出ていたらしく、長は「はい」とうなずいた。
思わぬところで、目的の鉱石の欠片を手に入れてしまった。
ヴォルカノンに行かなければ、入手できないと考えていたものがこんな場所に。
これも、試練を乗り越えた者への褒美ということだろうか。
俺は、ありがたくその鉱石を受け取った。
リナが目を覚ましたのは、それから丸一日が経った後だった。
窓から差し込む夕日が、彼女の髪を優しく照らしている。
「カイさん、おはようございます」
「目が覚めたかリナ、気分はどうだ?」
「はい、もう大丈夫です。魔力も、かなり回復しました。私、お役に立てましたか?」
不安そうに尋ねてくるリナの頭を、俺は優しく撫でた。
「役に立ったどころじゃない、お前がいなければあの番人には勝てなかった。俺の、自慢の相棒だ」
俺の言葉に、リナは顔を真っ赤にしてうれしそうにほほ笑んだ。
俺たちは集落の人々から盛大な見送りを受け、再びラトスの街へと戻ることにした。
街に戻ると、まずバルガンの工房へと向かった。
「おうカイの兄さんたち、無事だったか!その顔を見りゃ分かるぜ、試練は突破したんだな!」
バルガンは、俺たちの姿を見るなり豪快な笑顔で迎えてくれた。
俺は彼に、力の祭壇での出来事と集落で手に入れた鉱石を見せた。
バルガンはオリハルコンの原石を見るなり、職人としての目を輝かせた。
「こいつは、まさしく伝説の金属オリハルコンじゃねえか!純度は低いみてえだが、それでもとんでもねえ代物だ!こっちの水晶も、極上のフレイム・クォーツだ!」
彼は興奮した様子で、鉱石を様々な角度からまじまじと見つめている。
「バルガンさん、頼みがある。この鉱石と、俺の短剣で新しい武器を作りたい」
「おう任せとけ、いやぜひともやらせてくれ!」
バルガンの声が、工房中に響き渡る。
「兄さんの神の槌と、この伝説の素材。そして俺のドワーフとしての知識と技術、これらが合わされば傑作が生まれるに違いねえ!」
俺たちは早速、工房で新しい武器の製作に取り掛かった。
俺が金床の前に立ち、ヘパイストスの槌を握る。
バルガンが最高の助手として、炉の火力を調整し的確な助言をくれた。
リナは少し離れた場所から、真剣な眼差しで俺たちの作業を見守っている。
まずはミスリルダガーを炉で熱し、次に鉱石を槌の力で融合させていく。
カン、カンと響く音は以前よりもさらに澄み渡り、力強さを増していた。
俺自身が、力の証によって成長したからだろう。
槌の扱いが、より一層手に馴染むようになっている。
槌が鉱石を叩くたび、神聖な音色と共に火花が散る。
それはまるで、星屑のようであった。
バルガンはその音に聞き惚れ、ドワーフの魂が震えるような感覚を覚えていた。
俺が槌を振り、バルガンが補助をする。
その作業は、まるで何十年も共にしてきた師弟のように息が合っていた。
そして数時間が経った頃、一振りの全く新しい短剣が姿を現した。
刀身はミスリルの銀色をベースに、黄金の輝きと赤い脈動が混じり合っている。
まるで生きているかのように、刀身そのものが熱を帯びていた。
「できた、ぞ」
俺は完成した短剣を、手に取った。
その瞬間、すさまじい力が腕から全身へと駆け巡るのを感じた。
俺は神の眼で、その性能を鑑定する。
炎神のダガー・アグニと名付けられた、神話級武器。
攻撃時に浄化の炎を放ち、炎属性の攻撃を吸収して力に変換する。
さらに、装備者の成長と共に武器も成長するらしい。
カイとバルガン、二人の才能と神の槌が生み出した唯一無二のダガーだ。
「神話級、か」
我ながら、またしてもとんでもない物を作り出してしまった。
「すげえ、本当にすげえもんができちまった。カイの兄さん、あんたは本当に鍛冶の神に愛されてるぜ」
バルガンも、感極まった様子でその短剣に見入っていた。
新しい武器を手に入れた俺たちは、次に冒険者ギルドへと向かった。
最後の試練である、勇気の霊峰についての情報を聞くためだ。
ポポロさんは書庫の奥から、一枚の古い羊皮紙を持ってきた。
「見つけましたぞカイ殿、勇気の霊峰に関する数少ない記述です」
その羊皮紙に書かれていたのは、衝撃的な内容だった。
「霊峰は、万年雪と氷河に覆われた極寒の地です。山頂には、天空の王者と呼ばれる巨大な鷲のロック鳥が巣を作っているとあります」
「ロック鳥、だと」
伝説に登場する、巨大な鳥だ。
一説には、象すらも掴んで飛ぶことができるという。
「試練の内容は、そのロック鳥が産んだ勇気の卵を巣から持ち帰ることだそうです。しかし、ただ力ずくで奪うのは不可能に近いでしょう。ロック鳥は神々の使いとも言われ、怒らせれば山全体が天変地異に見舞われると」
「つまり、ただ強いだけではクリアできないということか」
「はい、記述によれば真の勇気とは強き者にへつらわず弱き者をいたわる心。時には、剣を抜かぬ勇気も必要であると。何かしらの謎解きが、あるのではないかと」
剣を抜かぬ勇気、か。
最後の試練に相応しい、一筋縄ではいかなそうな内容だ。
俺たちはポポロさんたちに礼を言うと、最後の試練へ向かう準備を始めた。
バルガンは最高の耐寒コートとブーツを、用意してくれた。
リナも、凍傷に効く薬草を調合した。
そして数日後、俺たちはラトスの北門から北の果てを目指して出発した。
街を出て北へ向かう道を、数日間歩き続けた。
景色は次第に緑が失われ、灰色の荒野へと変わっていく。
空気も、日に日に冷たくなっていくのを感じた。
旅の道中、何度かモンスターに襲われた。
しかし新しいダガー、アグニの力は絶大だった。
刃を振るうたびに浄化の炎が敵を焼き尽くし、以前とは比較にならない速度で戦闘が終わる。
リナの援護も、もはや熟練の域に達していた。
そして旅を始めて一週間が経った頃、俺たちは森で野営の準備をしていた。
リナが温かいスープを作っている間、俺は周囲の警戒をしていた。
その時だった、森の奥から少女の悲鳴と獣のうなり声が聞こえてきた。
「カイさん、今の声!」
「ああ、行くぞ!」
俺たちは、音のした方へと駆けつけた。
そこでは三体の巨大な狼が、一人の小さな少女を取り囲んでいた。
少女はまだ、十歳くらいだろうか。
背中には、小さな白い翼が生えている。
獣人族の一種、有翼人の子供のようだった。
「来るな!」
少女は怯えながらも、必死に石を投げて抵抗していた。
だがダイアウルフは、じりじりと包囲を狭めていく。
絶体絶命の、状況だった。
俺はためらうことなく、少女と狼たちの間に割り込んだ。
ダイアウルフたちが、新たな獲物である俺に一斉に襲いかかってきた。
その牙は、鉄をも砕くと言われている。
「下等な獣が、消えろ」
俺はアグニを抜き放ち、その刃を軽く一閃させた。
刃から放たれた浄化の炎が、三体のダイアウルフを瞬時に飲み込む。
聖なる光に包まれた狼たちは、苦しむ間もなく塵と化した。
「え、うそ」
助けられた少女は、何が起きたのか分からないという顔でこちらを見ている。
「怪我はないか、大丈夫か?」
俺が声をかけると、少女ははっと我に返りこくこくと頷いた。
「ありがとう、ございます。お兄ちゃん、すごく強いんだね」
「俺はカイだ、こっちはリナ。君は、どうしてこんな場所に一人で?」
「私ミリア、集落から薬草を摘んでたらはぐれちゃって」
ミリアと名乗った少女は、この先の山脈の麓にある集落に住んでいるらしかった。
「よかったら、集落まで送っていこう。道は分かるか?」
「うん、ありがとうお兄ちゃん!」
俺たちはミリアを保護し、彼女が言う集落へと向かうことにした。
道すがら、俺たちの目的地が勇気の霊峰であることを話す。
するとミリアは、目を丸くした。
「えっ、お兄ちゃんたちあの試しの山に行くの!?」
「知っているのか、その山を?」
「うん、私の集落は代々あの山を守るロック鳥様と共に生きてきた一族なんだよ!」
なんという偶然だろうか、いやこれも神の眼が引き寄せた必然なのかもしれない。
「そうか、それならちょうどいい。俺たちに、霊峰のことを教えてくれないか?」
「もちろん、助けてもらったお礼だもん!」
ミリアは元気よくそう答えると、山の頂を指さした。
「私の集落に行けば、長老様が色々と教えてくれるはずだよ。それに、お兄ちゃんたちみたいな強い人ならきっと私の相棒も力を貸してくれると思う!」
「相棒、だと?」
俺が聞き返すと、ミリアはにっこりと笑って空を指さした。
その時、空の彼方から甲高い鳴き声と共に巨大な影がこちらに降下してくる。
それは鷲の頭と翼、そしてライオンの体を持つ伝説の生物のグリフォンだった。
グリフォンはミリアの足元に舞い降りると、親しげに彼女の頬に頭をこすりつけた。
「この子は、私の相棒のシルフ!シルフに乗れば、霊峰の麓まであっという間だよ!」
俺とリナは、顔を見合わせた。
最後の試練は、思わぬ形で新たな協力者を得て始まることになりそうだ。
「よろしくな、シルフ」
俺がグリフォンの頭を撫でると、シルフは気持ちよさそうに目を細めた。
俺たちはミリアの案内で、彼女の集落へと向かう。
グリフォンの背に乗せてもらい、大空へと舞い上がった。
眼下には、これから俺たちが挑む白銀の世界が広がっていた。
「わあ、カイさん空を飛んでます!」
リナが、子供のようにはしゃいでいる。
俺たちの冒険は、ついに最後の試練の舞台へと移ろうとしていた。
ミリアという案内人と、グリフォンという翼を得て俺たちは霊峰の頂を目指す。
ミリアの集落は、巨大な木々の上に作られた美しい場所だった。
有翼人たちは最初俺たちを警戒していたが、ミリアが事情を話すと歓迎してくれた。
集落の長老は博識な老人で、俺たちに勇気の試練の核心について語ってくれた。
「ロック鳥は、力で屈服させようとする者には神の怒りを下す。じゃが心優しき者、真の勇気を持つ者の前には自ら道を開くという。卵を持ち帰るとは、母であるロック鳥に我が子を託すに値する者だと認めてもらうことなんじゃ」
「認めてもらう、ですか」
「うむ、そのためにはどうすればいいか。それは、ワシにも分からん。挑戦者自身が、見つけ出すしかない。それが、勇気の試練じゃ」
長老の話は、どこか禅問答のようだった。
だがヒントは得られた、力押しは最悪の選択肢だということだ。
俺たちは集落で一晩を過ごし、翌朝ついに霊峰の登山を開始した。
ミリアとグリフォンのシルフが、案内役として同行してくれることになった。
「長老様から言われたんだ、お兄ちゃんたちみたいな心優しい強い人の力になりなさいって!」
ミリアは、元気よくそう言ってシルフの背を叩いた。
俺たちはグリフォンの背に乗り、霊峰の中腹まで一気に飛んだ。
そこからは、自分たちの足で頂上を目指さなければならない。
吹き荒れる吹雪と、凍てつく空気。
それは火山地帯とは全く違う、過酷な環境だった。
だが、俺たちの心は不思議と燃えていた。
三つの試練、その最後の一つ。
これを乗り越えれば、ヴォルカノンを救う道が開ける。
そしてその先には、オリハルコンが眠っている。
俺は隣で寒さに身を縮こませながらも、期待に目を輝かせているリナを見た。
彼女と出会って、俺の人生は大きく変わった。
一人では、決してここまで来ることはできなかっただろう。
「行くぞ、リナ、ミリア」
「はい!」とリナが答えた。
ミリアも「うん!」と元気よく返事をした。
俺たちは雪と氷に覆われた、最後の試練の地へとその一歩を踏み出した。
頂上にあるという、ロック鳥の巣を目指して。
吹雪は、俺たちの視界を奪おうとする。
だが俺の神の眼は、その白い闇の先を既に見通していた。
俺の的確な指示で、俺たちはどんな危険も事前に回避し安全なルートだけを進んでいった。
ミリアは、俺のその能力にただただ驚くばかりだった。
「お兄ちゃんどうして分かるの、まるで未来が見えてるみたい!」
「まあ、長年の勘というやつだ」
何度目になるか分からないその言い訳をしながら、俺たちは着実に山の頂へと近づいていった。
そして登山を開始してから数時間後、吹雪がうそのように止んだ。
視界が開け、俺たちの目の前に巨大な山の頂がその姿を現した。
その頂に、信じられないほど巨大な巣が作られているのが見えた。
巣の中には、白く輝く巨大な卵が三つ置かれている。
あれが、勇気の卵か。
俺たちが巣に近づこうとした、その時だった。
空が、一瞬で影に覆われた。
見上げると、そこには巨大な鷲のロック鳥が俺たちを見下ろしていた。
翼を広げると、山頂全体を覆い尽くさんばかりの大きさだ。
その金色の瞳は神々しく、侵入者である俺たちを厳しく見据えている。
羽ばたき一つで吹雪が巻き起こり、その瞳に見られると魂まで見透かされるようだ。
圧倒的な存在感を前に、ミリアはごくりと唾を飲んだ。
リナも、緊張で体を硬くしている。
その頃には、空はすっかり白み始めていた。
俺たちは集落の長に事情を話し、清潔な一室を借りてリナを休ませる。
彼女は全魔力を使い果たした影響で、深い眠りに落ちていた。
「おお勇者様、ご無事に戻られただけでなく山の怒りまで鎮めてくださるとは!」
長は、俺たちに何度も感謝の言葉を述べた。
イフリートを倒した影響か、火山の活動は以前よりも格段に穏やかになったらしい。
集落の鉱夫たちは、これで安心して鉱石を採掘できると心から喜んでいた。
「これは、我々からのささやかなお礼です。どうか、お受け取りください」
長はそう言って、布で包まれたいくつかの鉱石を差し出してきた。
俺は受け取る前に、神の眼でその鉱石を鑑定する。
それはオリハルコンの原石と、フレイム・クォーツだった。
オリハルコンは純度が低いものの、並の金属とは比較にならない性能を誇る。
フレイム・クォーツは、武具に炎の力を与えることができる希少な水晶だ。
「オリハルコンだと、本当か?」
声に出ていたらしく、長は「はい」とうなずいた。
思わぬところで、目的の鉱石の欠片を手に入れてしまった。
ヴォルカノンに行かなければ、入手できないと考えていたものがこんな場所に。
これも、試練を乗り越えた者への褒美ということだろうか。
俺は、ありがたくその鉱石を受け取った。
リナが目を覚ましたのは、それから丸一日が経った後だった。
窓から差し込む夕日が、彼女の髪を優しく照らしている。
「カイさん、おはようございます」
「目が覚めたかリナ、気分はどうだ?」
「はい、もう大丈夫です。魔力も、かなり回復しました。私、お役に立てましたか?」
不安そうに尋ねてくるリナの頭を、俺は優しく撫でた。
「役に立ったどころじゃない、お前がいなければあの番人には勝てなかった。俺の、自慢の相棒だ」
俺の言葉に、リナは顔を真っ赤にしてうれしそうにほほ笑んだ。
俺たちは集落の人々から盛大な見送りを受け、再びラトスの街へと戻ることにした。
街に戻ると、まずバルガンの工房へと向かった。
「おうカイの兄さんたち、無事だったか!その顔を見りゃ分かるぜ、試練は突破したんだな!」
バルガンは、俺たちの姿を見るなり豪快な笑顔で迎えてくれた。
俺は彼に、力の祭壇での出来事と集落で手に入れた鉱石を見せた。
バルガンはオリハルコンの原石を見るなり、職人としての目を輝かせた。
「こいつは、まさしく伝説の金属オリハルコンじゃねえか!純度は低いみてえだが、それでもとんでもねえ代物だ!こっちの水晶も、極上のフレイム・クォーツだ!」
彼は興奮した様子で、鉱石を様々な角度からまじまじと見つめている。
「バルガンさん、頼みがある。この鉱石と、俺の短剣で新しい武器を作りたい」
「おう任せとけ、いやぜひともやらせてくれ!」
バルガンの声が、工房中に響き渡る。
「兄さんの神の槌と、この伝説の素材。そして俺のドワーフとしての知識と技術、これらが合わされば傑作が生まれるに違いねえ!」
俺たちは早速、工房で新しい武器の製作に取り掛かった。
俺が金床の前に立ち、ヘパイストスの槌を握る。
バルガンが最高の助手として、炉の火力を調整し的確な助言をくれた。
リナは少し離れた場所から、真剣な眼差しで俺たちの作業を見守っている。
まずはミスリルダガーを炉で熱し、次に鉱石を槌の力で融合させていく。
カン、カンと響く音は以前よりもさらに澄み渡り、力強さを増していた。
俺自身が、力の証によって成長したからだろう。
槌の扱いが、より一層手に馴染むようになっている。
槌が鉱石を叩くたび、神聖な音色と共に火花が散る。
それはまるで、星屑のようであった。
バルガンはその音に聞き惚れ、ドワーフの魂が震えるような感覚を覚えていた。
俺が槌を振り、バルガンが補助をする。
その作業は、まるで何十年も共にしてきた師弟のように息が合っていた。
そして数時間が経った頃、一振りの全く新しい短剣が姿を現した。
刀身はミスリルの銀色をベースに、黄金の輝きと赤い脈動が混じり合っている。
まるで生きているかのように、刀身そのものが熱を帯びていた。
「できた、ぞ」
俺は完成した短剣を、手に取った。
その瞬間、すさまじい力が腕から全身へと駆け巡るのを感じた。
俺は神の眼で、その性能を鑑定する。
炎神のダガー・アグニと名付けられた、神話級武器。
攻撃時に浄化の炎を放ち、炎属性の攻撃を吸収して力に変換する。
さらに、装備者の成長と共に武器も成長するらしい。
カイとバルガン、二人の才能と神の槌が生み出した唯一無二のダガーだ。
「神話級、か」
我ながら、またしてもとんでもない物を作り出してしまった。
「すげえ、本当にすげえもんができちまった。カイの兄さん、あんたは本当に鍛冶の神に愛されてるぜ」
バルガンも、感極まった様子でその短剣に見入っていた。
新しい武器を手に入れた俺たちは、次に冒険者ギルドへと向かった。
最後の試練である、勇気の霊峰についての情報を聞くためだ。
ポポロさんは書庫の奥から、一枚の古い羊皮紙を持ってきた。
「見つけましたぞカイ殿、勇気の霊峰に関する数少ない記述です」
その羊皮紙に書かれていたのは、衝撃的な内容だった。
「霊峰は、万年雪と氷河に覆われた極寒の地です。山頂には、天空の王者と呼ばれる巨大な鷲のロック鳥が巣を作っているとあります」
「ロック鳥、だと」
伝説に登場する、巨大な鳥だ。
一説には、象すらも掴んで飛ぶことができるという。
「試練の内容は、そのロック鳥が産んだ勇気の卵を巣から持ち帰ることだそうです。しかし、ただ力ずくで奪うのは不可能に近いでしょう。ロック鳥は神々の使いとも言われ、怒らせれば山全体が天変地異に見舞われると」
「つまり、ただ強いだけではクリアできないということか」
「はい、記述によれば真の勇気とは強き者にへつらわず弱き者をいたわる心。時には、剣を抜かぬ勇気も必要であると。何かしらの謎解きが、あるのではないかと」
剣を抜かぬ勇気、か。
最後の試練に相応しい、一筋縄ではいかなそうな内容だ。
俺たちはポポロさんたちに礼を言うと、最後の試練へ向かう準備を始めた。
バルガンは最高の耐寒コートとブーツを、用意してくれた。
リナも、凍傷に効く薬草を調合した。
そして数日後、俺たちはラトスの北門から北の果てを目指して出発した。
街を出て北へ向かう道を、数日間歩き続けた。
景色は次第に緑が失われ、灰色の荒野へと変わっていく。
空気も、日に日に冷たくなっていくのを感じた。
旅の道中、何度かモンスターに襲われた。
しかし新しいダガー、アグニの力は絶大だった。
刃を振るうたびに浄化の炎が敵を焼き尽くし、以前とは比較にならない速度で戦闘が終わる。
リナの援護も、もはや熟練の域に達していた。
そして旅を始めて一週間が経った頃、俺たちは森で野営の準備をしていた。
リナが温かいスープを作っている間、俺は周囲の警戒をしていた。
その時だった、森の奥から少女の悲鳴と獣のうなり声が聞こえてきた。
「カイさん、今の声!」
「ああ、行くぞ!」
俺たちは、音のした方へと駆けつけた。
そこでは三体の巨大な狼が、一人の小さな少女を取り囲んでいた。
少女はまだ、十歳くらいだろうか。
背中には、小さな白い翼が生えている。
獣人族の一種、有翼人の子供のようだった。
「来るな!」
少女は怯えながらも、必死に石を投げて抵抗していた。
だがダイアウルフは、じりじりと包囲を狭めていく。
絶体絶命の、状況だった。
俺はためらうことなく、少女と狼たちの間に割り込んだ。
ダイアウルフたちが、新たな獲物である俺に一斉に襲いかかってきた。
その牙は、鉄をも砕くと言われている。
「下等な獣が、消えろ」
俺はアグニを抜き放ち、その刃を軽く一閃させた。
刃から放たれた浄化の炎が、三体のダイアウルフを瞬時に飲み込む。
聖なる光に包まれた狼たちは、苦しむ間もなく塵と化した。
「え、うそ」
助けられた少女は、何が起きたのか分からないという顔でこちらを見ている。
「怪我はないか、大丈夫か?」
俺が声をかけると、少女ははっと我に返りこくこくと頷いた。
「ありがとう、ございます。お兄ちゃん、すごく強いんだね」
「俺はカイだ、こっちはリナ。君は、どうしてこんな場所に一人で?」
「私ミリア、集落から薬草を摘んでたらはぐれちゃって」
ミリアと名乗った少女は、この先の山脈の麓にある集落に住んでいるらしかった。
「よかったら、集落まで送っていこう。道は分かるか?」
「うん、ありがとうお兄ちゃん!」
俺たちはミリアを保護し、彼女が言う集落へと向かうことにした。
道すがら、俺たちの目的地が勇気の霊峰であることを話す。
するとミリアは、目を丸くした。
「えっ、お兄ちゃんたちあの試しの山に行くの!?」
「知っているのか、その山を?」
「うん、私の集落は代々あの山を守るロック鳥様と共に生きてきた一族なんだよ!」
なんという偶然だろうか、いやこれも神の眼が引き寄せた必然なのかもしれない。
「そうか、それならちょうどいい。俺たちに、霊峰のことを教えてくれないか?」
「もちろん、助けてもらったお礼だもん!」
ミリアは元気よくそう答えると、山の頂を指さした。
「私の集落に行けば、長老様が色々と教えてくれるはずだよ。それに、お兄ちゃんたちみたいな強い人ならきっと私の相棒も力を貸してくれると思う!」
「相棒、だと?」
俺が聞き返すと、ミリアはにっこりと笑って空を指さした。
その時、空の彼方から甲高い鳴き声と共に巨大な影がこちらに降下してくる。
それは鷲の頭と翼、そしてライオンの体を持つ伝説の生物のグリフォンだった。
グリフォンはミリアの足元に舞い降りると、親しげに彼女の頬に頭をこすりつけた。
「この子は、私の相棒のシルフ!シルフに乗れば、霊峰の麓まであっという間だよ!」
俺とリナは、顔を見合わせた。
最後の試練は、思わぬ形で新たな協力者を得て始まることになりそうだ。
「よろしくな、シルフ」
俺がグリフォンの頭を撫でると、シルフは気持ちよさそうに目を細めた。
俺たちはミリアの案内で、彼女の集落へと向かう。
グリフォンの背に乗せてもらい、大空へと舞い上がった。
眼下には、これから俺たちが挑む白銀の世界が広がっていた。
「わあ、カイさん空を飛んでます!」
リナが、子供のようにはしゃいでいる。
俺たちの冒険は、ついに最後の試練の舞台へと移ろうとしていた。
ミリアという案内人と、グリフォンという翼を得て俺たちは霊峰の頂を目指す。
ミリアの集落は、巨大な木々の上に作られた美しい場所だった。
有翼人たちは最初俺たちを警戒していたが、ミリアが事情を話すと歓迎してくれた。
集落の長老は博識な老人で、俺たちに勇気の試練の核心について語ってくれた。
「ロック鳥は、力で屈服させようとする者には神の怒りを下す。じゃが心優しき者、真の勇気を持つ者の前には自ら道を開くという。卵を持ち帰るとは、母であるロック鳥に我が子を託すに値する者だと認めてもらうことなんじゃ」
「認めてもらう、ですか」
「うむ、そのためにはどうすればいいか。それは、ワシにも分からん。挑戦者自身が、見つけ出すしかない。それが、勇気の試練じゃ」
長老の話は、どこか禅問答のようだった。
だがヒントは得られた、力押しは最悪の選択肢だということだ。
俺たちは集落で一晩を過ごし、翌朝ついに霊峰の登山を開始した。
ミリアとグリフォンのシルフが、案内役として同行してくれることになった。
「長老様から言われたんだ、お兄ちゃんたちみたいな心優しい強い人の力になりなさいって!」
ミリアは、元気よくそう言ってシルフの背を叩いた。
俺たちはグリフォンの背に乗り、霊峰の中腹まで一気に飛んだ。
そこからは、自分たちの足で頂上を目指さなければならない。
吹き荒れる吹雪と、凍てつく空気。
それは火山地帯とは全く違う、過酷な環境だった。
だが、俺たちの心は不思議と燃えていた。
三つの試練、その最後の一つ。
これを乗り越えれば、ヴォルカノンを救う道が開ける。
そしてその先には、オリハルコンが眠っている。
俺は隣で寒さに身を縮こませながらも、期待に目を輝かせているリナを見た。
彼女と出会って、俺の人生は大きく変わった。
一人では、決してここまで来ることはできなかっただろう。
「行くぞ、リナ、ミリア」
「はい!」とリナが答えた。
ミリアも「うん!」と元気よく返事をした。
俺たちは雪と氷に覆われた、最後の試練の地へとその一歩を踏み出した。
頂上にあるという、ロック鳥の巣を目指して。
吹雪は、俺たちの視界を奪おうとする。
だが俺の神の眼は、その白い闇の先を既に見通していた。
俺の的確な指示で、俺たちはどんな危険も事前に回避し安全なルートだけを進んでいった。
ミリアは、俺のその能力にただただ驚くばかりだった。
「お兄ちゃんどうして分かるの、まるで未来が見えてるみたい!」
「まあ、長年の勘というやつだ」
何度目になるか分からないその言い訳をしながら、俺たちは着実に山の頂へと近づいていった。
そして登山を開始してから数時間後、吹雪がうそのように止んだ。
視界が開け、俺たちの目の前に巨大な山の頂がその姿を現した。
その頂に、信じられないほど巨大な巣が作られているのが見えた。
巣の中には、白く輝く巨大な卵が三つ置かれている。
あれが、勇気の卵か。
俺たちが巣に近づこうとした、その時だった。
空が、一瞬で影に覆われた。
見上げると、そこには巨大な鷲のロック鳥が俺たちを見下ろしていた。
翼を広げると、山頂全体を覆い尽くさんばかりの大きさだ。
その金色の瞳は神々しく、侵入者である俺たちを厳しく見据えている。
羽ばたき一つで吹雪が巻き起こり、その瞳に見られると魂まで見透かされるようだ。
圧倒的な存在感を前に、ミリアはごくりと唾を飲んだ。
リナも、緊張で体を硬くしている。
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すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
【改訂版アップ】10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
ばいむ
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10日間の異世界旅行~帰れなくなった二人の異世界冒険譚~
大筋は変わっていませんが、内容を見直したバージョンを追加でアップしています。単なる自己満足の書き直しですのでオリジナルを読んでいる人は見直さなくてもよいかと思います。主な変更点は以下の通りです。
話数を半分以下に統合。このため1話辺りの文字数が倍増しています。
説明口調から対話形式を増加。
伏線を考えていたが使用しなかった内容について削除。(龍、人種など)
別視点内容の追加。
剣と魔法の世界であるライハンドリア・・・。魔獣と言われるモンスターがおり、剣と魔法でそれを倒す冒険者と言われる人達がいる世界。
高校の休み時間に突然その世界に行くことになってしまった。この世界での生活は10日間と言われ、混乱しながらも楽しむことにしたが、なぜか戻ることができなかった。
特殊な能力を授かるわけでもなく、生きるための力をつけるには自ら鍛錬しなければならなかった。魔獣を狩り、いろいろな遺跡を訪ね、いろいろな人と出会った。何度か死にそうになったこともあったが、多くの人に助けられながらも少しずつ成長し、なんとか生き抜いた。
冒険をともにするのは同じく異世界に転移してきた女性・ジェニファー。彼女と出会い、ともに生き抜き、そして別れることとなった。
2021/06/27 無事に完結しました。
2021/09/10 後日談の追加を開始
2022/02/18 後日談完結しました。
2025/03/23 自己満足の改訂版をアップしました。
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
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農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
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・・・
・・
・
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