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第63話 鉄血の侯爵と氷上の鮭缶外交
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王都を出発したアークライト鉄道の特別車両は、規則正しい車輪の音を奏でながら、白銀の世界を切り裂くように疾走していた。
窓の外に広がる景色は、もはや私の知る豊かな緑の大地ではない。
視界の全てが、色のない鉛色の空と、凍てつくような白い大地に塗り替えられている。
空からは絶え間なく白い粉雪が舞い落ち、線路の脇にうず高く積もった雪を、風が猛然と巻き上げているのが見えた。
外気温は、おそらく氷点下を大きく下回っているだろう。
もし旧来の馬車であれば、車輪が雪に足を取られ、寒さで凍えて話すことすらままならない過酷な環境だ。
「……ふう。極上の甘みね」
私は、最高級のビロード張りのソファに深く身を沈め、湯気を立てるマグカップに口をつけた。
濃厚なカカオの香りと、たっぷりのミルクのまろやかさが口いっぱいに広がり、喉を温かく滑り落ちていく。
特製のホットチョコレートだ。
隠し味に入れた少量のブランデーが、身体の芯から熱を生み出してくれる。
車内は、私が開発させた最新の魔導暖房システムによって、春の日差しのような快適な温度に保たれていた。
「リリア様、間もなく北の防衛ライン、アイゼン要塞に到着いたします」
向かいの席で、窓の外を険しい顔で監視していたレオン様が、短く報告してくる。
彼の金色の髪も、車内の暖かさのおかげで凍りつくことはないが、その表情は真冬の氷河のように硬い。
「ありがとう、レオン様。そんなに怖い顔をなさらなくてもよろしくてよ。せっかくの美味しいショコラの味が落ちてしまいますわ」
私はカップをソーサーに戻し、窓ガラスに映る自分の顔を見つめた。
ふと、感慨深い思いが胸に去来する。
「……思えば、長い道のりでしたわね」
私の呟きに、レオン様が怪訝そうな顔をした。
「ええ。王都からここまで、丸二日の長旅ですからな」
「いいえ、移動時間のことではありませんわ。この『北国路線』の計画を立ててから、今日この場所にたどり着くまでの時間のことよ」
私は目を細め、記憶の糸を手繰り寄せた。
あの暑い夏の日に、鉄道網の構想をアーノルド殿下にぶち上げてから、すでに一年以上の月日が流れていた。
未開の荒野を切り開き、巨大な川に橋を架け、そしてこの極寒の雪原に強固なレールを敷設する。
それは、莫大な資金と最新の魔導技術、そして何より数千人の労働者たちの汗と血の結晶だった。
特にこの北国エリアの工事は難航を極めた。
凍土との戦い、魔獣の襲撃、そして資材搬入の遅れ。
それら全てを、私の資金力と経営手腕、そして現場の意地でねじ伏せてきたのだ。
「計画から一年と三ヶ月……。ようやく、私の悲願である『雪原カモ』への道が繋がったのですわ」
「は、はあ……カモ、ですか」
レオン様が、ガクリと肩を落とす。
国家プロジェクト級の難工事を完遂した動機が「カモ肉」であることに、未だに慣れないらしい。
だが、動機など何でもいいのだ。
結果として、物流の大動脈が完成し、莫大な利益が生み出されるのであれば。
「ですがリリア様、相手はあの『鉄血の侯爵』アイゼン候です。王国の北部国境を半世紀にわたって守り抜いてきた、生ける伝説のような武人ですぞ。商人の論理が通じる相手ではありません」
レオン様が、心配そうに忠言してくる。
アイゼン候。
武力と規律を何よりも重んじ、軟弱な文化や商売を毛嫌いしているという、石頭の老人。
私の鉄道計画における、最終にして最大の障壁と言われている人物だ。
彼が首を縦に振らなければ、ここから先の資源地帯への延伸は不可能になる。
「大丈夫よ。どんなに硬い鉄でも、適切な熱を加えれば溶けるものです。……それに、鉄の規律もお腹が空いていては、ただの重荷にしかなりませんもの」
私はカップを置き、足元で毛布にくるまっている二匹の相棒に視線を落とした。
「わんっ。……リリアさま、おそと、まっしろです。さむそうです」
「にゃあ。私はここから一歩も出たくないわね。この毛布の中が世界の全てだわ」
フェンとノクスが、身を寄せ合って震えるふりをしている。
「ふふ、甘えん坊さんたちね。でも、今日はあなたたちの『鼻』と『食欲』が頼りなのよ。しっかり働いてもらうわ」
私は二匹の頭を撫でてやりながら、窓の外に目を向けた。
雪のカーテンの向こうに、巨大な影が浮かび上がってくる。
切り立った断崖絶壁の上にそびえ立つ、灰色の巨塔。
自然の岩盤をそのまま削り出したかのような、荒々しくも堅牢な要塞だ。
あれが、北の玄関口、アイゼン要塞か。
見る者を拒絶するかのような威圧感があるが、私には「未開拓の市場」への入り口にしか見えない。
列車が速度を落とし、軋むような音を立てて要塞の麓に新設された駅へと滑り込んだ。
プシュゥゥゥゥ――ッ!
蒸気の排出音と共に、鉄の塊が停止する。
扉が開いた瞬間、ナイフのような冷気が車内に雪崩れ込んできた。
「うっ、寒い……!」
レオン様が思わず身震いをする。
私は、セバスチャンが用意してくれた最高級の白狐の毛皮のコートを羽織り、優雅にホームへと降り立った。
そこには、黒い鋼鉄の鎧に身を包んだ兵士たちが、彫像のように微動だにせず整列している。
彼らの放つ殺気と冷気で、辺りの温度がさらに数度下がったような気がした。
その中央に、一人の老人が仁王立ちしていた。
身長は二メートル近いだろうか。
鋼のような白髪を短く刈り込み、顔には幾多の戦場を潜り抜けてきた証である深い傷跡が刻まれている。
その瞳は、猛禽類のように鋭く、私を射抜いていた。
アイゼン候だ。
「……アークライトの小娘か。王都で評判の天才少女が、このような極寒の地へ何の用だ。ここは遊び場ではないぞ」
候の声は、腹の底に響く地響きのように重く、威圧的だった。
周囲の兵士たちも、主君にならって鋭い視線を私に向けてくる。
普通の子供なら、いや大人でも、この場で泣き出して逃げ帰るところだろう。
だが、私は違う。
一年以上かけて敷設したこの鉄路の重みを背負っている私が、この程度の威圧感で怯むはずがない。
「ごきげんよう、アイゼン候。初めまして、リリア・アークライトですわ。本日は、北の守護神であらせられるあなた様に、どうしてもお渡ししたい『贈り物』がありまして、はるばる参りましたの」
私はドレスの裾を少しだけ持ち上げ、完璧なカーテシーを披露した。
極寒の中で、眉一つ動かさずに微笑む四歳の少女。
その異様な光景に、兵士たちの間にわずかな動揺が走る。
「贈り物だと? くだらん。商人のご機嫌取りなど、反吐が出る」
アイゼン候は鼻で笑い、私を一瞥もしないまま踵を返した。
「帰れ。貴様らが持ち込むような軟弱な品など、我が軍には不要だ。鉄道の話なら、以前に断ったはずだ」
取り付く島もないとは、まさにこのことだ。
だが、ここで引き下がるようでは、アークライト商会の代表は務まらない。
私は、背を向けた巨漢に向かって、透き通るような声を投げかけた。
「不要、ですか? ……では、お聞きしますが。兵士たちの食事は、足りていますか? 冷たく凍った干し肉と、石のように硬いパン。それに、飽き飽きしていませんか?」
私の言葉に、候の足がピタリと止まった。
図星だ。
この地域の冬は長く、厳しい。
鉄道が開通するまでは、物流が完全に途絶える陸の孤島となっていたはずだ。
新鮮な食材など手に入らず、兵士たちは味気ない保存食で飢えを凌いでいる。
ゼロ兄様の調査報告によれば、栄養失調による病人も出ているという。
食事の質の低下は、士気の低下に直結する。
名将である彼が、そのことに悩んでいないはずがない。
候はゆっくりとこちらを振り返った。
その眉間には、不快そうに深い皺が刻まれている。
「……食など、腹を満たせれば何でも良い。戦士に贅沢は不要だ」
「それは大きな間違いですわ、侯爵。美味しい食事は、兵士の士気を魔法以上に高める、最強の武器なのです。冷たくて硬いパンをかじる兵士と、温かくて美味しい魚料理を食べる兵士。……どちらが、いざという時に力を発揮できるか、あなた様ならお分かりでしょう?」
私は、セバスチャンに目配せをした。
彼は恭しく一礼し、手に持っていた銀色の小箱を、候の前にうやうやしく差し出した。
アークライト・ブランドの最高傑作、鮭の缶詰だ。
「これは、アークライト商会が総力を挙げて開発した、最新の保存食です。一口だけでも、試してくださいませんか? もしお口に合わなければ、二度とこの地の土は踏みませんわ」
アイゼン候は、しばらくの間、その銀色の物体を忌々しげに睨みつけていた。
得体の知れないものを口にする警戒心と、私の自信に満ちた瞳への好奇心が、彼の中でせめぎ合っているのが分かる。
周囲の兵士たちも、固唾を飲んで成り行きを見守っていた。
「……フン。よかろう。毒見は、私が直々に行う。もし変な真似をすれば、その細い首が飛ぶと思え」
候は、私の脅しになど動じないと言わんばかりに、缶をひったくった。
そして、缶切りの使い方も聞かずに、その太い指を蓋の縁にかけた。
グググッ……!
金属が悲鳴を上げ、次の瞬間、バキャッという音と共に蓋が力任せに引き剥がされた。
なんて怪力。
道具など不要ということか。
その瞬間だった。
プシュッ、という空気の抜ける音と共に、一年以上もの間封じ込められていた香りが爆発的に広がった。
芳醇な醤油の焦げた匂い。
生姜の爽やかな刺激。
そして、南の海で獲れた脂の乗った鮭の、濃厚で甘美な香り。
それらが混然一体となり、極寒の空気を、一瞬にして食欲の色に染め上げた。
「な……!?」
周囲の兵士たちが、一斉に鼻をひくつかせた。
彼らの喉が、ゴクリと鳴る音が聞こえる。
乾パンと干し肉しか知らない彼らにとって、この匂いは暴力的なまでの誘惑だ。
アイゼン候もまた、その香りの直撃を受けて目を見開いていた。
缶の中には、黄金色の煮汁をまとった分厚い鮭の切り身が、宝石のように輝いている。
彼は、太い指で直接切り身をつまみ上げ、豪快に口へと放り込んだ。
咀嚼。
一回、二回。
数秒後。
彼の鋼鉄のような表情が、劇的に崩壊した。
「……ッ!? こ、これは……!!」
カッ!と目が見開かれ、その瞳に武人としての驚愕の色が浮かぶ。
「醤油の香ばしさ、そしてこの鮭の弾力……! 身は舌の上で解けるほど柔らかいのに、噛めば噛むほど旨味が溢れ出してくる! 骨まで……骨まで柔らかく煮込まれているのか!?」
候の声が、震えている。
味覚の衝撃が、彼の脳髄を直撃しているのだ。
彼は夢中になって、二口、三口と鮭の身を口へと運び続けた。
煮汁まで、指についたものを舐め取る勢いだ。
「信じられん……! これが、保存食だと!? 王都のレストランで出される煮込み料理よりも、遥かに味が深いではないか!」
「お気に召しましたかしら、侯爵。それは、時間を止める魔法と、私のこだわりが詰まった『缶詰』というものですわ」
私は、勝ち誇ったように微笑んだ。
アイゼン候は、空になった缶を名残惜しそうに見つめ、深く、大きく息を吐いた。
その吐息は白く、そして満足感に満ちていた。
「……認めざるを得んな。これは、私が今まで戦場で食べたどの食事よりも、生命の力を感じる。冷え切った体に、活力がみなぎってくるようだ」
彼は、私の方を向き直り、真剣な眼差しを向けた。
そこにはもう、侮蔑の色はない。
一人の交渉相手として、私を認めた目だ。
「アークライト嬢。お前の言いたいことは分かった。この食料があれば、我が軍の戦力は倍加するだろう。兵士たちの士気も、劇的に上がるに違いない」
「ええ、その通りですわ。ですが、条件がありますの」
私は、ここぞとばかりに本題を切り出した。
相手が価値を認めた瞬間こそ、最大の商機だ。
「アークライト鉄道の北国延伸、及び、この領地内への物流拠点の建設。これを、全面的に許可していただきます。そして、駅周辺の土地の開発権も、全て私が頂きます」
アイゼン候は、再び厳しい表情に戻り、腕を組んで唸った。
「……領地を、他国の商人に開くのは、私の流儀に反する。異国の者が入り込めば、規律が乱れる」
「流儀、ですか。では、領民たちが冬の飢えに苦しむのも、あなたの流儀なのですか?」
私は、懐から一枚の羊皮紙を取り出し、候に突きつける。
それは、ゼロ兄様に調べさせた、この領地の食料事情と、餓死者の数の統計データだ。
「ここ数年、寒波の影響で作物は不作続き。冬の間に、多くの老人や子供が、栄養不足で命を落としていますわね。あなたが頑なに門を閉ざしている間に、守るべき民が死んでいる。……それが、あなたの誇る『鉄の規律』の結果なのですか?」
突きつけられた残酷な数字を見て、アイゼン候は言葉を失った。
彼は、厳格だが、領民を思う気持ちは人一倍強い。
だからこそ、私の言葉が鋭い刃のように、彼の騎士道精神に突き刺さったのだ。
握りしめた拳が、震えている。
「鉄道ができれば、南の国から新鮮な野菜や穀物が、冬でも数時間で届くようになります。この缶詰も、安価で大量に供給できます。……これは、商売である以前に、救済なのですわ、侯爵」
私の静かな、しかし力強い言葉が、雪原に響いた。
しばらくの沈黙の後、アイゼン候は天を仰ぎ、重い腰を上げるように大きく頷いた。
「……分かった。お前の勝ちだ、アークライト嬢。いや、リリア殿」
彼は、私に向かって右手を差し出した。
その手は、剣ダコだらけでゴツゴツとしていたが、温かかった。
「お前の算術と、その覚悟に敬意を表する。鉄道の敷設を、正式に許可しよう。物流拠点の建設も、好きにするがいい」
「ありがとうございます、侯爵。賢明なご判断ですわ」
私は、その大きな手を両手でしっかりと握り返した。
その瞬間、周囲の兵士たちから、どよめきと歓声が上がった。
彼らは理解したのだ。
これで、あの美味そうな「缶詰」が自分たちのものになることを。
「その代わり、この鮭の箱、今すぐ我が軍に万単位で納入してもらおうか。……代金は、弾む」
候は不敵に笑い、私の手を力強く握った。
万単位。
私の脳内で、金貨が積み上がる音がした。
初回取引としては、上々の数字だ。
「交渉成立ね。期待以上のスピードで納入してみせますわ。在庫なら、売るほどありますもの」
私は満足げに頷き、勝利の喜びを心の中で噛み締めた。
この一年、泥にまみれて線路を敷き、反対派をねじ伏せ、ここまで辿り着いた苦労が報われた瞬間だ。
北の玄関口は開かれた。
私の鉄道網は、雪国を貫き、さらにその奥にある資源地帯へと伸びていくことになる。
その時、空から本格的な大雪が降り始めた。
吹雪になりそうな気配だ。
「リリア様。城内に、温かい暖炉を用意させました。……今夜は、候の秘蔵の酒を振る舞ってくださるそうですぞ」
レオン様が、晴れやかな顔で私を迎えに来た。
「酒はいけませんわ、私はまだ子供ですから。ですが、美味しいお料理なら歓迎します」
「うむ。今夜は、我が領地自慢の『雪原カモ』のローストでもてなそう。脂が乗って、絶品だぞ」
アイゼン候が、豪快に笑いながら城の方を指差した。
雪原カモ。
私が、この一年間夢に見続け、喉から手が出るほど食べたかった幻の食材だ。
その言葉を聞いた瞬間、私の瞳が怪しく輝いた。
「まあ! それは楽しみですわ!」
私は吹雪の中、堂々とした足取りでアイゼン要塞の奥へと進んでいった。
私の頭の中では、すでにそのカモ肉に、シオン王国の醤油と、アークライト領のベリーをどう合わせるか、ソースの配合計算が始まっていた。
美食の方程式が、次々と解かれていく。
(北の鉄路は、これで繋がったわ。次は、この氷の大地を私の黄金の道に変えてあげる)
私の野望は、雪の結晶よりも複雑に、そして美しく輝きを増していく。
要塞の重厚な鉄の扉が、私の背後で、ズズーンと力強く閉まる音が響いた。
その音は、私の新たな章の始まりを告げる、号砲のようでもあった。
窓の外に広がる景色は、もはや私の知る豊かな緑の大地ではない。
視界の全てが、色のない鉛色の空と、凍てつくような白い大地に塗り替えられている。
空からは絶え間なく白い粉雪が舞い落ち、線路の脇にうず高く積もった雪を、風が猛然と巻き上げているのが見えた。
外気温は、おそらく氷点下を大きく下回っているだろう。
もし旧来の馬車であれば、車輪が雪に足を取られ、寒さで凍えて話すことすらままならない過酷な環境だ。
「……ふう。極上の甘みね」
私は、最高級のビロード張りのソファに深く身を沈め、湯気を立てるマグカップに口をつけた。
濃厚なカカオの香りと、たっぷりのミルクのまろやかさが口いっぱいに広がり、喉を温かく滑り落ちていく。
特製のホットチョコレートだ。
隠し味に入れた少量のブランデーが、身体の芯から熱を生み出してくれる。
車内は、私が開発させた最新の魔導暖房システムによって、春の日差しのような快適な温度に保たれていた。
「リリア様、間もなく北の防衛ライン、アイゼン要塞に到着いたします」
向かいの席で、窓の外を険しい顔で監視していたレオン様が、短く報告してくる。
彼の金色の髪も、車内の暖かさのおかげで凍りつくことはないが、その表情は真冬の氷河のように硬い。
「ありがとう、レオン様。そんなに怖い顔をなさらなくてもよろしくてよ。せっかくの美味しいショコラの味が落ちてしまいますわ」
私はカップをソーサーに戻し、窓ガラスに映る自分の顔を見つめた。
ふと、感慨深い思いが胸に去来する。
「……思えば、長い道のりでしたわね」
私の呟きに、レオン様が怪訝そうな顔をした。
「ええ。王都からここまで、丸二日の長旅ですからな」
「いいえ、移動時間のことではありませんわ。この『北国路線』の計画を立ててから、今日この場所にたどり着くまでの時間のことよ」
私は目を細め、記憶の糸を手繰り寄せた。
あの暑い夏の日に、鉄道網の構想をアーノルド殿下にぶち上げてから、すでに一年以上の月日が流れていた。
未開の荒野を切り開き、巨大な川に橋を架け、そしてこの極寒の雪原に強固なレールを敷設する。
それは、莫大な資金と最新の魔導技術、そして何より数千人の労働者たちの汗と血の結晶だった。
特にこの北国エリアの工事は難航を極めた。
凍土との戦い、魔獣の襲撃、そして資材搬入の遅れ。
それら全てを、私の資金力と経営手腕、そして現場の意地でねじ伏せてきたのだ。
「計画から一年と三ヶ月……。ようやく、私の悲願である『雪原カモ』への道が繋がったのですわ」
「は、はあ……カモ、ですか」
レオン様が、ガクリと肩を落とす。
国家プロジェクト級の難工事を完遂した動機が「カモ肉」であることに、未だに慣れないらしい。
だが、動機など何でもいいのだ。
結果として、物流の大動脈が完成し、莫大な利益が生み出されるのであれば。
「ですがリリア様、相手はあの『鉄血の侯爵』アイゼン候です。王国の北部国境を半世紀にわたって守り抜いてきた、生ける伝説のような武人ですぞ。商人の論理が通じる相手ではありません」
レオン様が、心配そうに忠言してくる。
アイゼン候。
武力と規律を何よりも重んじ、軟弱な文化や商売を毛嫌いしているという、石頭の老人。
私の鉄道計画における、最終にして最大の障壁と言われている人物だ。
彼が首を縦に振らなければ、ここから先の資源地帯への延伸は不可能になる。
「大丈夫よ。どんなに硬い鉄でも、適切な熱を加えれば溶けるものです。……それに、鉄の規律もお腹が空いていては、ただの重荷にしかなりませんもの」
私はカップを置き、足元で毛布にくるまっている二匹の相棒に視線を落とした。
「わんっ。……リリアさま、おそと、まっしろです。さむそうです」
「にゃあ。私はここから一歩も出たくないわね。この毛布の中が世界の全てだわ」
フェンとノクスが、身を寄せ合って震えるふりをしている。
「ふふ、甘えん坊さんたちね。でも、今日はあなたたちの『鼻』と『食欲』が頼りなのよ。しっかり働いてもらうわ」
私は二匹の頭を撫でてやりながら、窓の外に目を向けた。
雪のカーテンの向こうに、巨大な影が浮かび上がってくる。
切り立った断崖絶壁の上にそびえ立つ、灰色の巨塔。
自然の岩盤をそのまま削り出したかのような、荒々しくも堅牢な要塞だ。
あれが、北の玄関口、アイゼン要塞か。
見る者を拒絶するかのような威圧感があるが、私には「未開拓の市場」への入り口にしか見えない。
列車が速度を落とし、軋むような音を立てて要塞の麓に新設された駅へと滑り込んだ。
プシュゥゥゥゥ――ッ!
蒸気の排出音と共に、鉄の塊が停止する。
扉が開いた瞬間、ナイフのような冷気が車内に雪崩れ込んできた。
「うっ、寒い……!」
レオン様が思わず身震いをする。
私は、セバスチャンが用意してくれた最高級の白狐の毛皮のコートを羽織り、優雅にホームへと降り立った。
そこには、黒い鋼鉄の鎧に身を包んだ兵士たちが、彫像のように微動だにせず整列している。
彼らの放つ殺気と冷気で、辺りの温度がさらに数度下がったような気がした。
その中央に、一人の老人が仁王立ちしていた。
身長は二メートル近いだろうか。
鋼のような白髪を短く刈り込み、顔には幾多の戦場を潜り抜けてきた証である深い傷跡が刻まれている。
その瞳は、猛禽類のように鋭く、私を射抜いていた。
アイゼン候だ。
「……アークライトの小娘か。王都で評判の天才少女が、このような極寒の地へ何の用だ。ここは遊び場ではないぞ」
候の声は、腹の底に響く地響きのように重く、威圧的だった。
周囲の兵士たちも、主君にならって鋭い視線を私に向けてくる。
普通の子供なら、いや大人でも、この場で泣き出して逃げ帰るところだろう。
だが、私は違う。
一年以上かけて敷設したこの鉄路の重みを背負っている私が、この程度の威圧感で怯むはずがない。
「ごきげんよう、アイゼン候。初めまして、リリア・アークライトですわ。本日は、北の守護神であらせられるあなた様に、どうしてもお渡ししたい『贈り物』がありまして、はるばる参りましたの」
私はドレスの裾を少しだけ持ち上げ、完璧なカーテシーを披露した。
極寒の中で、眉一つ動かさずに微笑む四歳の少女。
その異様な光景に、兵士たちの間にわずかな動揺が走る。
「贈り物だと? くだらん。商人のご機嫌取りなど、反吐が出る」
アイゼン候は鼻で笑い、私を一瞥もしないまま踵を返した。
「帰れ。貴様らが持ち込むような軟弱な品など、我が軍には不要だ。鉄道の話なら、以前に断ったはずだ」
取り付く島もないとは、まさにこのことだ。
だが、ここで引き下がるようでは、アークライト商会の代表は務まらない。
私は、背を向けた巨漢に向かって、透き通るような声を投げかけた。
「不要、ですか? ……では、お聞きしますが。兵士たちの食事は、足りていますか? 冷たく凍った干し肉と、石のように硬いパン。それに、飽き飽きしていませんか?」
私の言葉に、候の足がピタリと止まった。
図星だ。
この地域の冬は長く、厳しい。
鉄道が開通するまでは、物流が完全に途絶える陸の孤島となっていたはずだ。
新鮮な食材など手に入らず、兵士たちは味気ない保存食で飢えを凌いでいる。
ゼロ兄様の調査報告によれば、栄養失調による病人も出ているという。
食事の質の低下は、士気の低下に直結する。
名将である彼が、そのことに悩んでいないはずがない。
候はゆっくりとこちらを振り返った。
その眉間には、不快そうに深い皺が刻まれている。
「……食など、腹を満たせれば何でも良い。戦士に贅沢は不要だ」
「それは大きな間違いですわ、侯爵。美味しい食事は、兵士の士気を魔法以上に高める、最強の武器なのです。冷たくて硬いパンをかじる兵士と、温かくて美味しい魚料理を食べる兵士。……どちらが、いざという時に力を発揮できるか、あなた様ならお分かりでしょう?」
私は、セバスチャンに目配せをした。
彼は恭しく一礼し、手に持っていた銀色の小箱を、候の前にうやうやしく差し出した。
アークライト・ブランドの最高傑作、鮭の缶詰だ。
「これは、アークライト商会が総力を挙げて開発した、最新の保存食です。一口だけでも、試してくださいませんか? もしお口に合わなければ、二度とこの地の土は踏みませんわ」
アイゼン候は、しばらくの間、その銀色の物体を忌々しげに睨みつけていた。
得体の知れないものを口にする警戒心と、私の自信に満ちた瞳への好奇心が、彼の中でせめぎ合っているのが分かる。
周囲の兵士たちも、固唾を飲んで成り行きを見守っていた。
「……フン。よかろう。毒見は、私が直々に行う。もし変な真似をすれば、その細い首が飛ぶと思え」
候は、私の脅しになど動じないと言わんばかりに、缶をひったくった。
そして、缶切りの使い方も聞かずに、その太い指を蓋の縁にかけた。
グググッ……!
金属が悲鳴を上げ、次の瞬間、バキャッという音と共に蓋が力任せに引き剥がされた。
なんて怪力。
道具など不要ということか。
その瞬間だった。
プシュッ、という空気の抜ける音と共に、一年以上もの間封じ込められていた香りが爆発的に広がった。
芳醇な醤油の焦げた匂い。
生姜の爽やかな刺激。
そして、南の海で獲れた脂の乗った鮭の、濃厚で甘美な香り。
それらが混然一体となり、極寒の空気を、一瞬にして食欲の色に染め上げた。
「な……!?」
周囲の兵士たちが、一斉に鼻をひくつかせた。
彼らの喉が、ゴクリと鳴る音が聞こえる。
乾パンと干し肉しか知らない彼らにとって、この匂いは暴力的なまでの誘惑だ。
アイゼン候もまた、その香りの直撃を受けて目を見開いていた。
缶の中には、黄金色の煮汁をまとった分厚い鮭の切り身が、宝石のように輝いている。
彼は、太い指で直接切り身をつまみ上げ、豪快に口へと放り込んだ。
咀嚼。
一回、二回。
数秒後。
彼の鋼鉄のような表情が、劇的に崩壊した。
「……ッ!? こ、これは……!!」
カッ!と目が見開かれ、その瞳に武人としての驚愕の色が浮かぶ。
「醤油の香ばしさ、そしてこの鮭の弾力……! 身は舌の上で解けるほど柔らかいのに、噛めば噛むほど旨味が溢れ出してくる! 骨まで……骨まで柔らかく煮込まれているのか!?」
候の声が、震えている。
味覚の衝撃が、彼の脳髄を直撃しているのだ。
彼は夢中になって、二口、三口と鮭の身を口へと運び続けた。
煮汁まで、指についたものを舐め取る勢いだ。
「信じられん……! これが、保存食だと!? 王都のレストランで出される煮込み料理よりも、遥かに味が深いではないか!」
「お気に召しましたかしら、侯爵。それは、時間を止める魔法と、私のこだわりが詰まった『缶詰』というものですわ」
私は、勝ち誇ったように微笑んだ。
アイゼン候は、空になった缶を名残惜しそうに見つめ、深く、大きく息を吐いた。
その吐息は白く、そして満足感に満ちていた。
「……認めざるを得んな。これは、私が今まで戦場で食べたどの食事よりも、生命の力を感じる。冷え切った体に、活力がみなぎってくるようだ」
彼は、私の方を向き直り、真剣な眼差しを向けた。
そこにはもう、侮蔑の色はない。
一人の交渉相手として、私を認めた目だ。
「アークライト嬢。お前の言いたいことは分かった。この食料があれば、我が軍の戦力は倍加するだろう。兵士たちの士気も、劇的に上がるに違いない」
「ええ、その通りですわ。ですが、条件がありますの」
私は、ここぞとばかりに本題を切り出した。
相手が価値を認めた瞬間こそ、最大の商機だ。
「アークライト鉄道の北国延伸、及び、この領地内への物流拠点の建設。これを、全面的に許可していただきます。そして、駅周辺の土地の開発権も、全て私が頂きます」
アイゼン候は、再び厳しい表情に戻り、腕を組んで唸った。
「……領地を、他国の商人に開くのは、私の流儀に反する。異国の者が入り込めば、規律が乱れる」
「流儀、ですか。では、領民たちが冬の飢えに苦しむのも、あなたの流儀なのですか?」
私は、懐から一枚の羊皮紙を取り出し、候に突きつける。
それは、ゼロ兄様に調べさせた、この領地の食料事情と、餓死者の数の統計データだ。
「ここ数年、寒波の影響で作物は不作続き。冬の間に、多くの老人や子供が、栄養不足で命を落としていますわね。あなたが頑なに門を閉ざしている間に、守るべき民が死んでいる。……それが、あなたの誇る『鉄の規律』の結果なのですか?」
突きつけられた残酷な数字を見て、アイゼン候は言葉を失った。
彼は、厳格だが、領民を思う気持ちは人一倍強い。
だからこそ、私の言葉が鋭い刃のように、彼の騎士道精神に突き刺さったのだ。
握りしめた拳が、震えている。
「鉄道ができれば、南の国から新鮮な野菜や穀物が、冬でも数時間で届くようになります。この缶詰も、安価で大量に供給できます。……これは、商売である以前に、救済なのですわ、侯爵」
私の静かな、しかし力強い言葉が、雪原に響いた。
しばらくの沈黙の後、アイゼン候は天を仰ぎ、重い腰を上げるように大きく頷いた。
「……分かった。お前の勝ちだ、アークライト嬢。いや、リリア殿」
彼は、私に向かって右手を差し出した。
その手は、剣ダコだらけでゴツゴツとしていたが、温かかった。
「お前の算術と、その覚悟に敬意を表する。鉄道の敷設を、正式に許可しよう。物流拠点の建設も、好きにするがいい」
「ありがとうございます、侯爵。賢明なご判断ですわ」
私は、その大きな手を両手でしっかりと握り返した。
その瞬間、周囲の兵士たちから、どよめきと歓声が上がった。
彼らは理解したのだ。
これで、あの美味そうな「缶詰」が自分たちのものになることを。
「その代わり、この鮭の箱、今すぐ我が軍に万単位で納入してもらおうか。……代金は、弾む」
候は不敵に笑い、私の手を力強く握った。
万単位。
私の脳内で、金貨が積み上がる音がした。
初回取引としては、上々の数字だ。
「交渉成立ね。期待以上のスピードで納入してみせますわ。在庫なら、売るほどありますもの」
私は満足げに頷き、勝利の喜びを心の中で噛み締めた。
この一年、泥にまみれて線路を敷き、反対派をねじ伏せ、ここまで辿り着いた苦労が報われた瞬間だ。
北の玄関口は開かれた。
私の鉄道網は、雪国を貫き、さらにその奥にある資源地帯へと伸びていくことになる。
その時、空から本格的な大雪が降り始めた。
吹雪になりそうな気配だ。
「リリア様。城内に、温かい暖炉を用意させました。……今夜は、候の秘蔵の酒を振る舞ってくださるそうですぞ」
レオン様が、晴れやかな顔で私を迎えに来た。
「酒はいけませんわ、私はまだ子供ですから。ですが、美味しいお料理なら歓迎します」
「うむ。今夜は、我が領地自慢の『雪原カモ』のローストでもてなそう。脂が乗って、絶品だぞ」
アイゼン候が、豪快に笑いながら城の方を指差した。
雪原カモ。
私が、この一年間夢に見続け、喉から手が出るほど食べたかった幻の食材だ。
その言葉を聞いた瞬間、私の瞳が怪しく輝いた。
「まあ! それは楽しみですわ!」
私は吹雪の中、堂々とした足取りでアイゼン要塞の奥へと進んでいった。
私の頭の中では、すでにそのカモ肉に、シオン王国の醤油と、アークライト領のベリーをどう合わせるか、ソースの配合計算が始まっていた。
美食の方程式が、次々と解かれていく。
(北の鉄路は、これで繋がったわ。次は、この氷の大地を私の黄金の道に変えてあげる)
私の野望は、雪の結晶よりも複雑に、そして美しく輝きを増していく。
要塞の重厚な鉄の扉が、私の背後で、ズズーンと力強く閉まる音が響いた。
その音は、私の新たな章の始まりを告げる、号砲のようでもあった。
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