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大聖堂の本堂は、大勢の貴族たちの熱気に満ちている。
中央に据えられた巨大な魔力測定石が、鈍い光を放っている。
この石に触れ、放たれる光の色と強さで人生が決まる。
前方には、現国王とまだ幼いシグルドが座っている。
シグルドはこちらを見て、あからさまに退屈そうな欠伸をした。
前世の私は、彼のその傲慢さすら「王子の風格」だと思い込んでいた。
今思えば、単なる育ちの悪いガキに過ぎない。
私の隣で、エリアナがそわそわと落ち着きなく手を動かしている。
彼女は自分の才能に絶対の自信を持っている。
前世では、彼女はこの儀式で私を上回る光を出し、聖女候補となった。
だが、それは私が無意識に彼女に魔力を分け与えていたからだ。
「次、エリアナ・フォン・アシュバートン公爵令嬢」
司祭の呼び声に従い、エリアナが誇らしげに壇上へ上がった。
彼女は私に勝ち誇ったような視線を向け、石に触れる。
本来なら、ここで大聖堂全体が揺れるほどの金色の光が溢れるはずだ。
しかし、石から放たれたのは、消え入りそうな灰色の光だった。
「……え?」
エリアナが呆然とした声を漏らす。
司祭が困惑した表情で、何度も水晶を確認した。
「魔力量……わずかに5。一般民以下です」
会場に、どよめきが広がった。
「そんなはずないわ! 私は聖女なのよ!」
エリアナが叫び、何度も石を叩く。
しかし、石は無情にも沈黙を保ったままだ。
彼女の「幸運」と「才能」は、さっき私が肩に触れた瞬間に抜き取った。
今の彼女は、そこら辺の草むしりをしている子供よりも魔力が低い。
シグルドが不快そうに顔を歪め、エリアナから視線を外した。
「期待外れだな。アシュバートン家の面汚しか」
その一言が、エリアナのプライドを粉々に砕く。
彼女は顔を真っ赤にし、震えながら壇上を降りてきた。
すれ違いざま、私は彼女の耳元で囁いた。
「残念だったわね、エリアナ」
「あんた、何かしたのね!? 私の力を返してよ!」
エリアナが私に掴みかかろうとするが、騎士たちに制止される。
見苦しい女だ。
次に、私の名前が呼ばれた。
私は優雅な所作で壇上に上がり、魔力測定石の前に立つ。
石の表面に、軽く指先を触れさせた。
瞬間、スキルの出力を一気に解放する。
「【因果逆転】、全開放」
視覚が焼き切れるほどの純白の閃光が、大聖堂を埋め尽くした。
石が激しい振動と共に悲鳴を上げる。
衝撃波で、周囲のステンドグラスが全て一斉に粉砕された。
鋭いガラスの破片が降り注ぐが、私の周囲には見えない壁があり、欠片一つ触れさせない。
司祭たちが腰を抜かし、石畳に這いつくばっている。
国王すらも、あまりの光圧に腕で顔を覆って椅子から転げ落ちた。
光が収まった後、魔力測定石は真っ二つに割れていた。
測定不能。
それが、私の出した答えだ。
「あ……ああ……」
司祭が震える指で、割れた石を指差した。
「神域を超えている……10万……いや、計測できない!」
静寂が支配する会場で、私は一人、静かに微笑んだ。
王族も、貴族も、騎士も。
全員が、畏怖の眼差しで私を見上げている。
これが、正しい世界のあり方だ。
私はシグルドの方へ歩み寄った。
彼は恐怖で顔を強張らせ、ガチガチと歯を鳴らしている。
「ユ、ユリアナ……お前、そんな力を……」
「シグルド様、私の力は国のためのものですわ」
私は彼の頬を、慈しむように撫でた。
その指先から、彼の「王族としてのカリスマ」をほんの少しだけ吸い取る。
シグルドの瞳から、自信に満ちた輝きが消え、濁った怯えが宿った。
「さあ、これからの話をしましょうか」
私は王の前に跪くこともなく、傲然と言い放った。
中央に据えられた巨大な魔力測定石が、鈍い光を放っている。
この石に触れ、放たれる光の色と強さで人生が決まる。
前方には、現国王とまだ幼いシグルドが座っている。
シグルドはこちらを見て、あからさまに退屈そうな欠伸をした。
前世の私は、彼のその傲慢さすら「王子の風格」だと思い込んでいた。
今思えば、単なる育ちの悪いガキに過ぎない。
私の隣で、エリアナがそわそわと落ち着きなく手を動かしている。
彼女は自分の才能に絶対の自信を持っている。
前世では、彼女はこの儀式で私を上回る光を出し、聖女候補となった。
だが、それは私が無意識に彼女に魔力を分け与えていたからだ。
「次、エリアナ・フォン・アシュバートン公爵令嬢」
司祭の呼び声に従い、エリアナが誇らしげに壇上へ上がった。
彼女は私に勝ち誇ったような視線を向け、石に触れる。
本来なら、ここで大聖堂全体が揺れるほどの金色の光が溢れるはずだ。
しかし、石から放たれたのは、消え入りそうな灰色の光だった。
「……え?」
エリアナが呆然とした声を漏らす。
司祭が困惑した表情で、何度も水晶を確認した。
「魔力量……わずかに5。一般民以下です」
会場に、どよめきが広がった。
「そんなはずないわ! 私は聖女なのよ!」
エリアナが叫び、何度も石を叩く。
しかし、石は無情にも沈黙を保ったままだ。
彼女の「幸運」と「才能」は、さっき私が肩に触れた瞬間に抜き取った。
今の彼女は、そこら辺の草むしりをしている子供よりも魔力が低い。
シグルドが不快そうに顔を歪め、エリアナから視線を外した。
「期待外れだな。アシュバートン家の面汚しか」
その一言が、エリアナのプライドを粉々に砕く。
彼女は顔を真っ赤にし、震えながら壇上を降りてきた。
すれ違いざま、私は彼女の耳元で囁いた。
「残念だったわね、エリアナ」
「あんた、何かしたのね!? 私の力を返してよ!」
エリアナが私に掴みかかろうとするが、騎士たちに制止される。
見苦しい女だ。
次に、私の名前が呼ばれた。
私は優雅な所作で壇上に上がり、魔力測定石の前に立つ。
石の表面に、軽く指先を触れさせた。
瞬間、スキルの出力を一気に解放する。
「【因果逆転】、全開放」
視覚が焼き切れるほどの純白の閃光が、大聖堂を埋め尽くした。
石が激しい振動と共に悲鳴を上げる。
衝撃波で、周囲のステンドグラスが全て一斉に粉砕された。
鋭いガラスの破片が降り注ぐが、私の周囲には見えない壁があり、欠片一つ触れさせない。
司祭たちが腰を抜かし、石畳に這いつくばっている。
国王すらも、あまりの光圧に腕で顔を覆って椅子から転げ落ちた。
光が収まった後、魔力測定石は真っ二つに割れていた。
測定不能。
それが、私の出した答えだ。
「あ……ああ……」
司祭が震える指で、割れた石を指差した。
「神域を超えている……10万……いや、計測できない!」
静寂が支配する会場で、私は一人、静かに微笑んだ。
王族も、貴族も、騎士も。
全員が、畏怖の眼差しで私を見上げている。
これが、正しい世界のあり方だ。
私はシグルドの方へ歩み寄った。
彼は恐怖で顔を強張らせ、ガチガチと歯を鳴らしている。
「ユ、ユリアナ……お前、そんな力を……」
「シグルド様、私の力は国のためのものですわ」
私は彼の頬を、慈しむように撫でた。
その指先から、彼の「王族としてのカリスマ」をほんの少しだけ吸い取る。
シグルドの瞳から、自信に満ちた輝きが消え、濁った怯えが宿った。
「さあ、これからの話をしましょうか」
私は王の前に跪くこともなく、傲然と言い放った。
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