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俺は地面に平伏しているボルスさんを、なんとか助け起こした。
彼は脂汗を滝のように流して、ガタガタと震えている。
高級そうな服が砂まみれだが、気にする様子もない。
「あ、あの、本当に大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ」
「滅相もございません! 神の使い様の手を煩わせるわけには!」
ボルスさんは、俺の手が触れると感電したように飛び上がった。
神の使い様というのは、誰のことだろう。
俺の周りを見回しても、ルビたちがキョトンとしているだけだ。
「俺はただの飼育員のユウです。神様じゃありませんよ」
「ははっ! 左様でございますか! 世を忍ぶ仮の姿、というわけですね!」
「理解いたしました! 決して口外はいたしません!」
ボルスさんは勝手に納得して、何度も深く頷いている。
何を言っても無駄な気がしてきた。
こういう時は、流れに身を任せるのが一番だ。
「それで、今日は何の用事でいらしたんですか?」
俺は彼を中庭のテーブルに案内した。
ボルスさんは、恐る恐る椅子に座った。
彼の視線は、常にクマ子やルビたちに注がれている。
恐怖と、それ以上の強烈な欲望が入り混じった目だ。
「は、はい。実は、この町で『奇跡のブラシ』の噂を聞きつけまして」
「それを使えば、ドブネズミも王家のペットに変わるとか」
「私は珍しいものや、美しいものを集めるのが趣味でしてな」
「ぜひ、そのブラシを譲っていただきたいと思い、参上した次第です」
なるほど。
ガンツさんの作ったブラシの噂が、もう隣国まで届いていたのか。
さすが「熊殺し」。性能は折り紙付きだ。
でも、あれはクマ子のための特注品だ。
「すみません。あれは、うちの子専用に作ってもらったものなんです」
「だから、お譲りすることはできません」
俺がきっぱり断ると、ボルスさんは食い下がってきた。
「金なら出します! 金貨百枚、いや、三百枚出しましょう!」
「どうか! どうか、ご検討を!」
金貨三百枚。
それは、一生遊んで暮らせるほどの大金だ。
俺の心が一瞬揺らいだが、すぐにクマ子の顔を見た。
クマ子は、自分のために作られたブラシを、とても大切そうに抱きしめている。
『ごしゅじんさま……。これは、わたしの宝物です……』
『絶対に、渡したくありません……』
クマ子の瞳が、潤んでいる。
そんな顔をされたら、売れるわけがない。
「申し訳ありません。どれだけお金を積まれても、無理です」
「あれは、この子の宝物ですから」
俺が再び断ると、ボルスさんは驚愕の表情を浮かべた。
「な、なんと……。たかが魔獣一匹のために、金貨三百枚を蹴るとは……」
「やはり、あなたはただ者ではない……。欲を超越した存在か……」
彼はぶつぶつと独り言を言っている。
「分かりました。ブラシは諦めましょう」
「その代わりと言ってはなんですが……商談をさせてください」
ボルスさんは、商人の顔に戻った。
その目は、鋭く光っている。
「あなたが持っている、その『素材』を売ってはいただけませんか?」
「素材、ですか?」
「はい。先ほどから気になっていたのですが、そのお庭の隅にある袋」
「あれに入っているのは、もしや『ウールシープの毛』ではありませんか?」
ボルスさんが指差したのは、以前俺が採取してきたウールの残りだ。
寝床を作るのに使ったが、まだ大量に余っていた。
「ああ、これですか。どうぞ、見てみてください」
俺が袋を開けると、中から純白のふわふわな毛が溢れ出した。
太陽の光を受けて、神々しいまでに輝いている。
ボルスさんは、その毛に触れ、感触を確かめた。
そして、恍惚の表情を浮かべた。
「す、素晴らしい……! これほどの品質は見たことがない!」
「汚れ一つなく、傷もなく、魔力を含んで輝いている……!」
「これは、伝説の『天上の羊毛(ヘブンズ・ウール)』に匹敵するぞ!」
「へえ、そんなに良いものなんですか」
「ただの羊の毛ですよ。ブラッシングしたら、喜んでくれました」
「ブ、ブラッシング……? このレベルの素材を、ブラッシングだけで……?」
ボルスさんは、また理解不能といった顔をした。
だが、すぐに気を取り直した。
「ユウ様! これを! この羊毛を、全て私に売ってください!」
「言い値で買います! 金貨……五十枚でどうだ!」
金貨五十枚。
ただの羊毛の残りが、そんな値段になるのか。
「いいですよ。邪魔になっていたので、助かります」
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
ボルスさんは、涙を流して感謝した。
「それから、そちらの熊神様……いえ、クマ子様が抱えているもの」
「あれは、もしや『抜け毛』ではありませんか?」
クマ子がブラシを抱きしめている手元には、さっきのブラッシングで抜けた大量の剛毛が固まっていた。
捨てるつもりでまとめておいたものだ。
「ええ、ゴミですよ。後で燃やそうかと」
「ゴミだなんて! とんでもない!」
「あれは『ブラックダイヤモンド・ベア』の毛! 鎧の裏打ちに使えば、ドラゴンの爪さえ通さない最強の防具になります!」
「あれも! あれも買わせてください!」
「ええ……。ゴミですよ? 本当にいいんですか?」
「もちろんです! 金貨二十枚出します!」
俺は、頭がクラクラしてきた。
ゴミだと思っていたものが、次々と大金に変わっていく。
異世界の経済というのは、本当によく分からない。
結局、ボルスさんは俺が持っていた不要な素材(ウールシープの毛、クマ子の抜け毛、ダチョウの羽の残り)を全て買い取ってくれた。
合計で、金貨百枚近くになった。
机の上に積み上げられた金貨の山を見て、ルビたちが目を輝かせている。
『わーい! キラキラがいっぱい!』
『これがあれば、お肉がたくさん食べられるね!』
『ユウ、わたし、新しいオモチャがほしい!』
ボルスさんは、荷馬車に素材を積み込むと、深々と頭を下げた。
「ユウ様。今日は本当に素晴らしい取引ができました」
「あなたは、やはり神に愛されたお方だ」
「このボルス、今後ともあなた様と懇意にさせていただきたい」
「また珍しい素材が手に入りましたら、必ず私にお声がけください」
「市場価格の倍、いえ、三倍で買い取らせていただきます!」
「はあ。分かりました。また何かあれば」
俺が見送ると、ボルスさんは満足げに馬車に乗り込んだ。
帰り際、彼はチラリとツバサを見た。
「その龍王の幼体……。成長すれば、国一つを滅ぼす力を持ちましょう」
「くれぐれも、その力を正しき方向へ導いてくださいませ」
「我々の世界の命運は、あなた様の手にかかっております」
謎の言葉を残して、ボルスさんの馬車は去っていった。
国を滅ぼす?
ツバサが?
俺は足元のツバサを見た。
彼女は、俺の膝に頭を擦り付けて甘えている。
『ユウ、お腹すいた。ごはん、まだ?』
こんなに可愛い子が、そんな物騒なことになるわけがない。
商人の話は大げさだな、と俺は思った。
「さて、と思わぬ臨時収入が入ったな」
「みんな、今日はごちそうだぞ!」
『やったー!』
歓声が上がる中、俺はふとツバサの翼を見た。
さっきのマッサージと、ボルスさんとのやり取りの間も、彼女はずっと翼を動かしていた。
可動域は、かなり広がっている。
痛みもなさそうだ。
「ツバサ。明日は天気が良さそうだ」
「少し広い場所に行って、飛ぶ練習をしてみようか」
俺の提案に、ツバサの目が輝いた。
『ほんと!? いく! わたし、とびたい!』
『お空を、ビューンってしたい!』
「よし。じゃあ、明日はピクニックだ」
「お弁当を持って、西の草原に行こう」
その夜、俺たちは金貨で買った高級食材を使って、盛大なパーティをした。
クマ子は高級な蜂蜜を舐めてご満悦だし、ルビは霜降り肉を焼いて食べている。
ツバサも、栄養たっぷりの特製スープを飲んで、満足そうに眠ってしまった。
俺は、幸せそうな寝顔を見ながら思った。
明日の飛行練習、うまくいけばいいな。
まだ飛べなくても、焦ることはない。
ゆっくり、育てていけばいいんだ。
彼は脂汗を滝のように流して、ガタガタと震えている。
高級そうな服が砂まみれだが、気にする様子もない。
「あ、あの、本当に大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ」
「滅相もございません! 神の使い様の手を煩わせるわけには!」
ボルスさんは、俺の手が触れると感電したように飛び上がった。
神の使い様というのは、誰のことだろう。
俺の周りを見回しても、ルビたちがキョトンとしているだけだ。
「俺はただの飼育員のユウです。神様じゃありませんよ」
「ははっ! 左様でございますか! 世を忍ぶ仮の姿、というわけですね!」
「理解いたしました! 決して口外はいたしません!」
ボルスさんは勝手に納得して、何度も深く頷いている。
何を言っても無駄な気がしてきた。
こういう時は、流れに身を任せるのが一番だ。
「それで、今日は何の用事でいらしたんですか?」
俺は彼を中庭のテーブルに案内した。
ボルスさんは、恐る恐る椅子に座った。
彼の視線は、常にクマ子やルビたちに注がれている。
恐怖と、それ以上の強烈な欲望が入り混じった目だ。
「は、はい。実は、この町で『奇跡のブラシ』の噂を聞きつけまして」
「それを使えば、ドブネズミも王家のペットに変わるとか」
「私は珍しいものや、美しいものを集めるのが趣味でしてな」
「ぜひ、そのブラシを譲っていただきたいと思い、参上した次第です」
なるほど。
ガンツさんの作ったブラシの噂が、もう隣国まで届いていたのか。
さすが「熊殺し」。性能は折り紙付きだ。
でも、あれはクマ子のための特注品だ。
「すみません。あれは、うちの子専用に作ってもらったものなんです」
「だから、お譲りすることはできません」
俺がきっぱり断ると、ボルスさんは食い下がってきた。
「金なら出します! 金貨百枚、いや、三百枚出しましょう!」
「どうか! どうか、ご検討を!」
金貨三百枚。
それは、一生遊んで暮らせるほどの大金だ。
俺の心が一瞬揺らいだが、すぐにクマ子の顔を見た。
クマ子は、自分のために作られたブラシを、とても大切そうに抱きしめている。
『ごしゅじんさま……。これは、わたしの宝物です……』
『絶対に、渡したくありません……』
クマ子の瞳が、潤んでいる。
そんな顔をされたら、売れるわけがない。
「申し訳ありません。どれだけお金を積まれても、無理です」
「あれは、この子の宝物ですから」
俺が再び断ると、ボルスさんは驚愕の表情を浮かべた。
「な、なんと……。たかが魔獣一匹のために、金貨三百枚を蹴るとは……」
「やはり、あなたはただ者ではない……。欲を超越した存在か……」
彼はぶつぶつと独り言を言っている。
「分かりました。ブラシは諦めましょう」
「その代わりと言ってはなんですが……商談をさせてください」
ボルスさんは、商人の顔に戻った。
その目は、鋭く光っている。
「あなたが持っている、その『素材』を売ってはいただけませんか?」
「素材、ですか?」
「はい。先ほどから気になっていたのですが、そのお庭の隅にある袋」
「あれに入っているのは、もしや『ウールシープの毛』ではありませんか?」
ボルスさんが指差したのは、以前俺が採取してきたウールの残りだ。
寝床を作るのに使ったが、まだ大量に余っていた。
「ああ、これですか。どうぞ、見てみてください」
俺が袋を開けると、中から純白のふわふわな毛が溢れ出した。
太陽の光を受けて、神々しいまでに輝いている。
ボルスさんは、その毛に触れ、感触を確かめた。
そして、恍惚の表情を浮かべた。
「す、素晴らしい……! これほどの品質は見たことがない!」
「汚れ一つなく、傷もなく、魔力を含んで輝いている……!」
「これは、伝説の『天上の羊毛(ヘブンズ・ウール)』に匹敵するぞ!」
「へえ、そんなに良いものなんですか」
「ただの羊の毛ですよ。ブラッシングしたら、喜んでくれました」
「ブ、ブラッシング……? このレベルの素材を、ブラッシングだけで……?」
ボルスさんは、また理解不能といった顔をした。
だが、すぐに気を取り直した。
「ユウ様! これを! この羊毛を、全て私に売ってください!」
「言い値で買います! 金貨……五十枚でどうだ!」
金貨五十枚。
ただの羊毛の残りが、そんな値段になるのか。
「いいですよ。邪魔になっていたので、助かります」
「ありがとうございます! ありがとうございます!」
ボルスさんは、涙を流して感謝した。
「それから、そちらの熊神様……いえ、クマ子様が抱えているもの」
「あれは、もしや『抜け毛』ではありませんか?」
クマ子がブラシを抱きしめている手元には、さっきのブラッシングで抜けた大量の剛毛が固まっていた。
捨てるつもりでまとめておいたものだ。
「ええ、ゴミですよ。後で燃やそうかと」
「ゴミだなんて! とんでもない!」
「あれは『ブラックダイヤモンド・ベア』の毛! 鎧の裏打ちに使えば、ドラゴンの爪さえ通さない最強の防具になります!」
「あれも! あれも買わせてください!」
「ええ……。ゴミですよ? 本当にいいんですか?」
「もちろんです! 金貨二十枚出します!」
俺は、頭がクラクラしてきた。
ゴミだと思っていたものが、次々と大金に変わっていく。
異世界の経済というのは、本当によく分からない。
結局、ボルスさんは俺が持っていた不要な素材(ウールシープの毛、クマ子の抜け毛、ダチョウの羽の残り)を全て買い取ってくれた。
合計で、金貨百枚近くになった。
机の上に積み上げられた金貨の山を見て、ルビたちが目を輝かせている。
『わーい! キラキラがいっぱい!』
『これがあれば、お肉がたくさん食べられるね!』
『ユウ、わたし、新しいオモチャがほしい!』
ボルスさんは、荷馬車に素材を積み込むと、深々と頭を下げた。
「ユウ様。今日は本当に素晴らしい取引ができました」
「あなたは、やはり神に愛されたお方だ」
「このボルス、今後ともあなた様と懇意にさせていただきたい」
「また珍しい素材が手に入りましたら、必ず私にお声がけください」
「市場価格の倍、いえ、三倍で買い取らせていただきます!」
「はあ。分かりました。また何かあれば」
俺が見送ると、ボルスさんは満足げに馬車に乗り込んだ。
帰り際、彼はチラリとツバサを見た。
「その龍王の幼体……。成長すれば、国一つを滅ぼす力を持ちましょう」
「くれぐれも、その力を正しき方向へ導いてくださいませ」
「我々の世界の命運は、あなた様の手にかかっております」
謎の言葉を残して、ボルスさんの馬車は去っていった。
国を滅ぼす?
ツバサが?
俺は足元のツバサを見た。
彼女は、俺の膝に頭を擦り付けて甘えている。
『ユウ、お腹すいた。ごはん、まだ?』
こんなに可愛い子が、そんな物騒なことになるわけがない。
商人の話は大げさだな、と俺は思った。
「さて、と思わぬ臨時収入が入ったな」
「みんな、今日はごちそうだぞ!」
『やったー!』
歓声が上がる中、俺はふとツバサの翼を見た。
さっきのマッサージと、ボルスさんとのやり取りの間も、彼女はずっと翼を動かしていた。
可動域は、かなり広がっている。
痛みもなさそうだ。
「ツバサ。明日は天気が良さそうだ」
「少し広い場所に行って、飛ぶ練習をしてみようか」
俺の提案に、ツバサの目が輝いた。
『ほんと!? いく! わたし、とびたい!』
『お空を、ビューンってしたい!』
「よし。じゃあ、明日はピクニックだ」
「お弁当を持って、西の草原に行こう」
その夜、俺たちは金貨で買った高級食材を使って、盛大なパーティをした。
クマ子は高級な蜂蜜を舐めてご満悦だし、ルビは霜降り肉を焼いて食べている。
ツバサも、栄養たっぷりの特製スープを飲んで、満足そうに眠ってしまった。
俺は、幸せそうな寝顔を見ながら思った。
明日の飛行練習、うまくいけばいいな。
まだ飛べなくても、焦ることはない。
ゆっくり、育てていけばいいんだ。
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