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第5章:交差する孤独編(たってやる。実録ドラマ)
第25話:たってやる。の行方(8キロの先の景色)
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午前五時半。冬の朝特有の、肺の奥まで凍りつかせるような鋭い空気を吸い込み、俺はいつもの路上に立っていた。
足元には、数え切れないほどの距離を共に刻んできたランニングシューズ。そして視界の先には、まだ眠りの中に沈んでいる街並みが広がっている。
これから始まる八キロの行軍。それは俺にとって、単なる運動ではない。昨日までの自分を脱ぎ捨て、今日という戦場へマジキチ組長として再臨するための、神聖な儀式だ。
歩き始めて数分、心拍数が上がるにつれて、脳内にこれまで『たってやる。』を通じて出会ったリスナーたちの顔や声が、走馬灯のように駆け巡る。
俺が撒き散らすエグい下ネタに狂喜乱舞し、心の底から賛同してくれた連中。最初は「不快だ」「苦手だ」と顔を顰めていたくせに、俺の毒が回るにつれて「……悔しいけど、これがないと夜が明けない」と、結局は下ネタの底なし沼にどっぷりと浸かっていった連中。
「……面白い。実にかっこいい生き様じゃねえか、どいつもこいつも」
俺は吐き出す息を白く染めながら、一人ごちた。
配信という窓を通じて、俺は無数の人生に触れた。再起を誓ったリストラ男、異国で聖母のように微笑む女性、アンチから共犯者へと転じた女。彼らとの交流は、俺の中にさらなる好奇心の火を灯した。
俺は人一倍、好奇心が強い。何を見ても「これは面白そうだ」「次はこれを企画してやろう」と、次から次へと新しいアイデアが泉のように湧き出てくる。その尽きることのない好奇心は、そのまま俺の旺盛な性欲へと直結し、そのエネルギーがまた新たなネタとなって『たってやる。』を熱狂の渦へと叩き込む。この循環こそが、俺というエンジンの回転数だ。
ふと、信号待ちで足を止めた時、鏡のようなビルの窓に映る自分の姿が見えた。
そこには、平日の昼間に「有能な課長」として組織の歯車を回し、夜には「マジキチ組長」として規約ギリギリの狂気を発信し続ける、矛盾に満ちた男がいた。
社会人として、ビジネスマンとして、世の中のルールに従うなら、俺の言動は「落第点」のオンパレードだろう。だが、俺は確信している。俺の掲げる「3つの非常識」こそが、停滞したこの日本を、そしてお前らの人生を打破する唯一の劇薬であることを。
一つ、「やりたいことだけやれ」。
二つ、「あれこれ考えるより、まずやってみろ」。
三つ、「計画なんて立てずに動け」。
エリート気取りのコンサルタントが見れば泡を吹いて倒れるような暴論だ。だが、見てみろ。俺はYouTubeで、そして『たってやる。』で、着実にリスナーという名の共犯者を獲得し、目に見える実績を叩き出している。計画に縛られ、リスクに怯え、会議室で死んだ魚のような目をしている連中には、一生たどり着けない景色がここにはある。
「自分が楽しいと思ったことをしなきゃ、生きてる意味がねえ。人生、楽しまなきゃ損だろうが!」
俺は再び走り出した。
趣味なんてのは、義務でやるもんじゃない。義務になった途端、それはクソほど面白くねえ「作業」に成り下がる。俺がAIで曲を作るのも、配信でハゲを連呼するのも、すべては俺自身が心の底から「楽しい」と震えているからだ。その震えが電波に乗って、お前らの冷え切った魂を共鳴させるんだ。
昔から、俺は周りに「人の話を聞かない奴だ」と後ろ指をさされ続けてきた。
学校でも、会社でも、どこへ行っても俺は異分子だった。だが、今の俺なら胸を張って言える。それは、俺が「自分」というものを、誰にも譲れない芯を、一ミリもブレずに持っているという証拠だ。素晴らしいことじゃねえか。他人の色に染まって個性を殺すのが「まとも」だというなら、俺は一生、マジキチのままでいい。
走り続ける俺の横を、始発列車が通り過ぎていく。
あの車両の中に揺られている無数の人々の中に、今夜、俺の配信を聴いて笑う「共犯者」が何人いるだろうか。
俺の咆哮は、もはや画面の中だけには留まらない。この街の騒音に、風の音に、そしてお前らの鼓動の中に、マジキチ組長のイズムは確実に染み込んでいる。
「宣戦布告だ。……次なる時代は、俺たちが面白くしてやる」
ノンフィクションの重み、それは出会った人々の痛みや喜びを知ったことで得た、表現者としての責任だ。ただ暴れるだけじゃない。俺は、俺を信じてついてくる連中のために、誰よりも自由に、誰よりも過激に、この日本という舞台で踊り続けてやる。
八キロの終点が見えてきた。
汗に濡れた肌を、昇り始めた太陽が赤く染める。
俺の心臓は、かつてないほど力強く、正確なビートを刻んでいる。
明日も、明後日も、俺はスーツを着て「課長」を演じ、夜にはスマホを手に取り「組長」へと変貌する。
この境界線のない生き方こそが、俺の、俺たちだけの、真実の景色だ。
「さあ、お前ら。準備はいいか。マジキチ組長の活動は、ここからが本番だ。アクセルはベタ踏み、ブレーキは最初から壊してある!」
俺は、朝日に向かって高らかに笑い声を上げた。
やりたい放題。自分を信じ、好奇心の赴くままに、計画なき航海へ。
マジキチ組長一代記。
この狂った愛の物語は、これからも決してブレることなく、お前らの日常をぶち壊し、再構築し続けていく。
「たってやる。……そう、俺はいつだって、何度だって立ち上がってやる。日本中が、俺の毒で笑い転げるその日までな!」
俺は一歩、強く地面を蹴った。
そこには、昨日の絶望など微塵も残っていない。
八キロの先の景色。それは、狂気という名の光に満ちた、新しい世界の夜明けだった。
足元には、数え切れないほどの距離を共に刻んできたランニングシューズ。そして視界の先には、まだ眠りの中に沈んでいる街並みが広がっている。
これから始まる八キロの行軍。それは俺にとって、単なる運動ではない。昨日までの自分を脱ぎ捨て、今日という戦場へマジキチ組長として再臨するための、神聖な儀式だ。
歩き始めて数分、心拍数が上がるにつれて、脳内にこれまで『たってやる。』を通じて出会ったリスナーたちの顔や声が、走馬灯のように駆け巡る。
俺が撒き散らすエグい下ネタに狂喜乱舞し、心の底から賛同してくれた連中。最初は「不快だ」「苦手だ」と顔を顰めていたくせに、俺の毒が回るにつれて「……悔しいけど、これがないと夜が明けない」と、結局は下ネタの底なし沼にどっぷりと浸かっていった連中。
「……面白い。実にかっこいい生き様じゃねえか、どいつもこいつも」
俺は吐き出す息を白く染めながら、一人ごちた。
配信という窓を通じて、俺は無数の人生に触れた。再起を誓ったリストラ男、異国で聖母のように微笑む女性、アンチから共犯者へと転じた女。彼らとの交流は、俺の中にさらなる好奇心の火を灯した。
俺は人一倍、好奇心が強い。何を見ても「これは面白そうだ」「次はこれを企画してやろう」と、次から次へと新しいアイデアが泉のように湧き出てくる。その尽きることのない好奇心は、そのまま俺の旺盛な性欲へと直結し、そのエネルギーがまた新たなネタとなって『たってやる。』を熱狂の渦へと叩き込む。この循環こそが、俺というエンジンの回転数だ。
ふと、信号待ちで足を止めた時、鏡のようなビルの窓に映る自分の姿が見えた。
そこには、平日の昼間に「有能な課長」として組織の歯車を回し、夜には「マジキチ組長」として規約ギリギリの狂気を発信し続ける、矛盾に満ちた男がいた。
社会人として、ビジネスマンとして、世の中のルールに従うなら、俺の言動は「落第点」のオンパレードだろう。だが、俺は確信している。俺の掲げる「3つの非常識」こそが、停滞したこの日本を、そしてお前らの人生を打破する唯一の劇薬であることを。
一つ、「やりたいことだけやれ」。
二つ、「あれこれ考えるより、まずやってみろ」。
三つ、「計画なんて立てずに動け」。
エリート気取りのコンサルタントが見れば泡を吹いて倒れるような暴論だ。だが、見てみろ。俺はYouTubeで、そして『たってやる。』で、着実にリスナーという名の共犯者を獲得し、目に見える実績を叩き出している。計画に縛られ、リスクに怯え、会議室で死んだ魚のような目をしている連中には、一生たどり着けない景色がここにはある。
「自分が楽しいと思ったことをしなきゃ、生きてる意味がねえ。人生、楽しまなきゃ損だろうが!」
俺は再び走り出した。
趣味なんてのは、義務でやるもんじゃない。義務になった途端、それはクソほど面白くねえ「作業」に成り下がる。俺がAIで曲を作るのも、配信でハゲを連呼するのも、すべては俺自身が心の底から「楽しい」と震えているからだ。その震えが電波に乗って、お前らの冷え切った魂を共鳴させるんだ。
昔から、俺は周りに「人の話を聞かない奴だ」と後ろ指をさされ続けてきた。
学校でも、会社でも、どこへ行っても俺は異分子だった。だが、今の俺なら胸を張って言える。それは、俺が「自分」というものを、誰にも譲れない芯を、一ミリもブレずに持っているという証拠だ。素晴らしいことじゃねえか。他人の色に染まって個性を殺すのが「まとも」だというなら、俺は一生、マジキチのままでいい。
走り続ける俺の横を、始発列車が通り過ぎていく。
あの車両の中に揺られている無数の人々の中に、今夜、俺の配信を聴いて笑う「共犯者」が何人いるだろうか。
俺の咆哮は、もはや画面の中だけには留まらない。この街の騒音に、風の音に、そしてお前らの鼓動の中に、マジキチ組長のイズムは確実に染み込んでいる。
「宣戦布告だ。……次なる時代は、俺たちが面白くしてやる」
ノンフィクションの重み、それは出会った人々の痛みや喜びを知ったことで得た、表現者としての責任だ。ただ暴れるだけじゃない。俺は、俺を信じてついてくる連中のために、誰よりも自由に、誰よりも過激に、この日本という舞台で踊り続けてやる。
八キロの終点が見えてきた。
汗に濡れた肌を、昇り始めた太陽が赤く染める。
俺の心臓は、かつてないほど力強く、正確なビートを刻んでいる。
明日も、明後日も、俺はスーツを着て「課長」を演じ、夜にはスマホを手に取り「組長」へと変貌する。
この境界線のない生き方こそが、俺の、俺たちだけの、真実の景色だ。
「さあ、お前ら。準備はいいか。マジキチ組長の活動は、ここからが本番だ。アクセルはベタ踏み、ブレーキは最初から壊してある!」
俺は、朝日に向かって高らかに笑い声を上げた。
やりたい放題。自分を信じ、好奇心の赴くままに、計画なき航海へ。
マジキチ組長一代記。
この狂った愛の物語は、これからも決してブレることなく、お前らの日常をぶち壊し、再構築し続けていく。
「たってやる。……そう、俺はいつだって、何度だって立ち上がってやる。日本中が、俺の毒で笑い転げるその日までな!」
俺は一歩、強く地面を蹴った。
そこには、昨日の絶望など微塵も残っていない。
八キロの先の景色。それは、狂気という名の光に満ちた、新しい世界の夜明けだった。
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