マジキチ組長一代記 ~半分は狂気、半分は真実~

マジキチ組長

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第6章:日常という名の狂宴編(実録・マジキチ組長の半径8キロ)

第28話:好奇心の暴走(ジャンルレスな新企画)

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 深夜のスタジオ――。
 配信開始のボタンを押した瞬間、コメント欄はいつにも増して殺気立った熱量で埋め尽くされていた。今夜の『たってやる。』は、リスナーからの挑戦状に応える新企画、「組長、これ食えるか? 潜れるか?」の第一弾だ。
 俺の目の前には、リスナーが匿名で送りつけてきた「怪しい海外製の超高周波マッサージ器」と、ラベルが剥がれかけ、見たこともない異臭を放つ「東南アジア直輸入の謎の発酵食品の缶詰」が鎮座している。

「よお、お前ら。……随分と気合の入った嫌がらせをサンキューな。俺の好奇心が、今まさにリンゴのごとく硬く、猛々しく勃ち上がってるぜ!」

 俺はガハハと笑い、ためらうことなくその謎の缶詰をブチ開けた。
 その瞬間、部屋中に広がる、濡れた靴下を三年間密閉して熟成させたような、鼻腔を突き刺す強烈な臭い。コメント欄には『うわあああ!』『放送事故だろ!』『通報レベル』と悲鳴が並ぶ。だが、俺は一切怯まない。むしろ、その異臭にすら、未知への興奮を感じていた。スプーンでそのドロドロとした暗緑色の中身を掬い、迷わず口に放り込んだ。

「……ほう。意外といけるじゃねえか。塩気と酸味が絶妙だ。納豆に混ぜれば最高の酒の肴になるぞ、これ!」

 俺には食べ物の好き嫌いが一切ない。ゲテモノだろうが、正体不明の健康食品だろうが、なんでも美味しく食べられる。
 周りからは「味音痴」と揶揄されることもあるが、俺から言わせれば、それは大きな間違いだ。何でも美味いと感じられること。それは、人生を人の何倍も楽しめる「最強の才能」なんだよ。

 なぜ好き嫌いがないのか? 答えは簡単だ。興味心と好奇心が人一倍強いからだ。

「これは一体、どんな歴史を経てこの味になったのか?」「この臭いの奥にはどんな栄養が隠されているのか?」
 ……興味が湧けば、恐怖よりも先に舌が動く。チャレンジしたくて身体が震えるんだ。この好奇心こそが、俺が「マジキチ」であり続けられる原動力に他ならない。

「いいか、お前ら。何事も『まずやってみる』だ。俺はこの精神で、かつて中国エステで伝説を作ったこともあるんだぞ」

 俺はかつて、自分の体力の限界を知るために、一軒の中国エステで「合計何回満足できるか」を身を持って体験したことがある。
 結果は、150分で5回だ。
 もはやアスリートのような極限状態だった。4回目を過ぎたあたりで意識は朦朧とし、膝は笑い、全身の水分が枯渇しそうになった。だが、5回目に至った瞬間、相手の女性が俺以上に「信じられない! すごい!」と一緒に喜んでくれたんだ。あの瞬間の、国境を越えた、そして客と嬢という立場を超えた一体感。それ以上に、一人の人間の生命力の限界を共有した高揚感。それこそが、好奇心の先に待っている真実の景色なんだ。

「ただな、お前ら。俺にも譲れないこだわりはある。……個人的なことを言うと、夜の遊びにおいて『清楚系』『素人系』『ロリ系』は、俺の辞書にはねえ。論外だ!」

 俺が声を荒らげると、コメント欄がザワつく。

「なぜか? ギャル系、キャバ系こそが正義だからだ! 彼女たちは総じてノリが良く、プレイの最初から最後まで、エンターテインメントとして俺を楽しませてくれる。以前、清楚系だの素人系だのと呼ばれる娘と遊んだこともあるが、まあ味気なかった。何を話しても会話が続かねえ。愛想笑い一つ引き出すのに苦労するようじゃ、せっかくの時間が台無しだ。マグロみたいに転がってるだけで、ただの作業になっちまうんだ。人生、楽しませて楽しんでなんぼだろうが!」

 さらに俺は、自身のスタイルについてもメタな視点で語り始めた。

「贅沢を言うなら、スタイルは『長身』『スレンダー』が良い。なぜそうなのかというと、基本的に男も女も、自身の体型と真逆のスタイルの異性を好む傾向にあるという話を聞いたことがあるからだ。……まあ、ここでメタな発言をしておこう。この物語の挿絵に載っている、シュッとしたスタイリッシュな男。一応、設定上は俺と言うことになっているが……現実はこれと遠くかけ離れているからな!」

 俺の本当の姿は、巷で「豆タンク」と揶揄されるような、低重心で横に厚みのあるガッシリしたスタイルだ。
 だからこそ、自分にはない「長さ」と「細さ」を持つスレンダーなギャルに、猛烈な好奇心と憧憬を抱く。
 自分と違う存在を知りたい、その肉体を体感したい。これもまた、一種の「生物学的好奇心」の暴走なのだ。

 次に俺は、新企画の「超高周波マッサージ器」を自分の腹に貼り付け、最大出力のスイッチを入れた。

「ぐわあああぁぁぁ! 腹筋が……腹筋が千切れる! 痛い! 痛いけど……なんだこれ、身体の底から活力が湧いてきやがった! 細胞が強制的に再起動されてる感じだぜ!」

 激しくのたうち回り、痙攣し、散々な目に遭う俺の姿を見て、コメント欄は爆笑の渦に包まれる。
 だが、俺は確信している。この無様でドタバタした姿こそが、誰かの心を動かすのだと。

 失敗を恐れて動かない奴。
 好き嫌いをして、世界の半分を切り捨てている奴。
 計画ばかり立てて、結局何も始められない奴。
 そんな連中に、俺のこの「暴走」を叩きつけてやりたい。

「お前ら、いいか。いつまでも、何事にも興味を持つこと、好奇心を持つことが大切なんだ。それがなくなったら、人間はただの干からびた置物だ。何歳になっても、『これは何だ?』『やってみたい!』と思える心があれば、人生はどこまでだって拡張できる!」

 俺は、マッサージ器の影響で激しく痙攣する手で、三パーセントの缶を無理やり開けた。
 溢れた泡が指を濡らすが、それすらも心地よい刺激だ。

「昔から、俺はみんなに『人の話を聞かないやつ』とよく後ろ指をさされた。だがな、それは裏を返せば『自分を持ってる証拠』なんだよ。素晴らしいことじゃねえか。他人の評価や常識なんていう、賞味期限の切れたアドバイスに耳を貸す暇があるなら、自分の好奇心が指し示す方向へ全力で走れ!」

 やりたい放題。
 謎の缶詰を食らい、電流に焼かれ、それでも俺のリンゴは明日への希望で硬く勃ち上がっている。
 散々な目に遭うことも、恥をかくことも、すべては「ネタ」であり、俺という人間を構築するスパイスだ。

「さあ、次はどんな挑戦状を送ってくる? ゲテモノでも、危険地帯でも、俺の好奇心がお前らの期待を全部飲み干してやる。俺を味音痴だと笑う奴は笑えばいい。俺は世界中の『美味い』も『不味い』も全部まとめて、俺の血肉にしてやるからな!」

 俺の咆哮は、夜の静寂を切り裂き、安全地帯に閉じこもっている連中の脳髄へと、強烈な一撃を食らわせた。
 好奇心がある限り、俺の人生に退屈という文字はない。

 暴走の果てに、また新しい狂気が芽吹いている。

「お前らも食わず嫌いしてねえで、自分の限界に150分5回、挑んでみろよ! 景色が変わるぞ!」

 俺の笑い声は、夜明け前の街にいつまでも響き渡っていた。
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