過去から来た忍者を拾ったら、料理上手すぎる完璧奥さんでした

及川証 (アカシ)

文字の大きさ
12 / 29

雪白の笑み

しおりを挟む
「お客様困ります」 

「えっ?」

「その格好はちょっと……」

 小洒落たカフェに入ろうとした雪白はウエイトレスに止められた。

「待ち合わせしてるんです!」

 「せめて、その覆面みたいなのを取ってお入りください」と背の高い雪白にものともせず、はっきり言うウエイトレスに雪白は1歩後ろに下がり、忍び頭巾を脱いだ。

「これでいいですか?」

「はっ、はいっ!!でっ、ではこちらへ……」

 口調と現代に合わない姿から、テレビに出てきそうなイケメンが姿を現しウエイトレスは声を裏返しながら雪白を店内に入れた。

「よお」

 雪白を見かけ手を挙げるのは遠藤。

「お前さんそんな顔してたのか。通りで声をかけられるはずだわ」

「そのせいで秋人さんが不機嫌です!」

 「あいつも人間だったんだなー」と「ケラケラ」と笑う遠藤。

「そう言えば秋人さんのスマホからメールしてきましたね。貸してもらったんですか?」

「いいや、パスワード解除して勝手にやった。アンタ、スマホ持ってるのも怪しかったし」

「気づかれたら怒られるやつですね」

 「俺もアンタもな」と他人事のように言いながら遠藤はコーヒーをすする。

「『なんか面白い事になってるからメアド教えてくれ―遠藤―』って、私的には面白くないです」

 「俺は面白い」と断言する遠藤に「いい性格してますねー!」と雪白は怒り混じりに言う。

「結局、どうすんだ?やるのかアイドル」

「しませんよ。何故やる必要があるんですか」

 「コロコロ」変わる雪白の表情が消えた。

「私は秋人さんと少しでもそばにいたい。役に立つ事が何にも代えがたい喜びなんです。秋人さんが「やって」と言うのであればやりますけど、あの人は言いませんよ」

 「絶対に」と雪白は笑みを浮かべる。

 それはいつもの、はしゃいでいる子供のような表情ではなく、大人の静かな笑み。

 予想していたのか肝が据わっているのか遠藤は「おうおう、お熱いこって」と笑う。

「でもなあ……あの社員そう簡単に見逃す気は無さそうだぜ?」

 「ちらり」と遠藤が視線を外に向けると建物の隙間に不自然な位置で女性が立っているのが見えた。

「社長様自らスカウトってか?凄えな」

「面倒なだけです!うう、やけ食いしますっ!!」

 いつもの雰囲気に戻り雪白は注文のタブレットをタップした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オークとなった俺はスローライフを送りたい

モト
BL
転生したらオークでした。豚の顔とかマジないわ~とか思ったけど、力も強くてイージーモードじゃん。イージーイージー!ははは。俺、これからスローライフを満喫するよ! そう思っていたら、住んでいる山が火事になりました。人間の子供を助けたら、一緒に暮らすことになりました。 子供、俺のこと、好きすぎるのやめろ。 前半ファンタジーっぽいですが、攻めの思考がヤバめです。オークが受けでも別に大丈夫という方のみお読みください。 不憫オークですが、前向きすぎるので不憫さは全くありません。 ムーンライトノベルズでも投稿しております。

果たして君はこの手紙を読んで何を思うだろう?

エスミ
BL
ある時、心優しい領主が近隣の子供たちを募って十日間に及ぶバケーションの集いを催した。 貴族に限らず裕福な平民の子らも選ばれ、身分関係なく友情を深めるようにと領主は子供たちに告げた。 滞りなく期間が過ぎ、領主の願い通りさまざまな階級の子らが友人となり手を振って別れる中、フレッドとティムは生涯の友情を誓い合った。 たった十日の友人だった二人の十年を超える手紙。 ------ ・ゆるっとした設定です。何気なくお読みください。 ・手紙形式の短い文だけが続きます。 ・ところどころ文章が途切れた部分がありますが演出です。 ・外国語の手紙を翻訳したような読み心地を心がけています。 ・番号を振っていますが便宜上の連番であり内容は数年飛んでいる場合があります。 ・友情過多でBLは読後の余韻で感じられる程度かもしれません。 ・戦争の表現がありますが、手紙の中で語られる程度です。 ・魔術がある世界ですが、前面に出てくることはありません。 ・1日3回、1回に付きティムとフレッドの手紙を1通ずつ、定期的に更新します。全51通。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

シスルの花束を

碧月 晶
BL
年下俺様モデル×年上訳あり青年 ~人物紹介~ ○氷室 三門(ひむろ みかど) ・攻め(主人公) ・23歳、身長178cm ・モデル ・俺様な性格、短気 ・訳あって、雨月の所に転がり込んだ ○寒河江 雨月(さがえ うげつ) ・受け ・26歳、身長170cm ・常に無表情で、人形のように顔が整っている ・童顔 ※作中に英会話が出てきますが、翻訳アプリで訳したため正しいとは限りません。 ※濡れ場があるシーンはタイトルに*マークが付きます。 ※基本、三門視点で進みます。 ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

あの部屋でまだ待ってる

名雪
BL
アパートの一室。 どんなに遅くなっても、帰りを待つ習慣だけが残っている。 始まりは、ほんの気まぐれ。 終わる理由もないまま、十年が過ぎた。 与え続けることも、受け取るだけでいることも、いつしか当たり前になっていく。 ――あの部屋で、まだ待ってる。

黒獅子の愛でる花

なこ
BL
レノアール伯爵家次男のサフィアは、伯爵家の中でもとりわけ浮いた存在だ。 中性的で神秘的なその美しさには、誰しもが息を呑んだ。 深い碧眼はどこか憂いを帯びており、見る者を惑わすと言う。 サフィアは密かに、幼馴染の侯爵家三男リヒトと将来を誓い合っていた。 しかし、その誓いを信じて疑うこともなかったサフィアとは裏腹に、リヒトは公爵家へ婿入りしてしまう。 毎日のように愛を囁き続けてきたリヒトの裏切り行為に、サフィアは困惑する。  そんなある日、複雑な想いを抱えて過ごすサフィアの元に、幼い王太子の世話係を打診する知らせが届く。 王太子は、黒獅子と呼ばれ、前国王を王座から引きずり降ろした現王と、その幼馴染である王妃との一人息子だ。 王妃は現在、病で療養中だという。 幼い王太子と、黒獅子の王、王妃の住まう王城で、サフィアはこれまで知ることのなかった様々な感情と直面する。 サフィアと黒獅子の王ライは、二人を取り巻く愛憎の渦に巻き込まれながらも、密かにゆっくりと心を通わせていくが…

祖国に棄てられた少年は賢者に愛される

結衣可
BL
 祖国に棄てられた少年――ユリアン。  彼は王家の反逆を疑われ、追放された身だと信じていた。  その真実は、前王の庶子。王位継承権を持ち、権力争いの渦中で邪魔者として葬られようとしていたのだった。  絶望の中、彼を救ったのは、森に隠棲する冷徹な賢者ヴァルター。  誰も寄せつけない彼が、なぜかユリアンを庇護し、結界に守られた森の家で共に過ごすことになるが、王都の陰謀は止まらず、幾度も追っ手が迫る。   棄てられた少年と、孤独な賢者。  陰謀に覆われた王国の中で二人が選ぶ道は――。

執着騎士団長と、筋肉中毒の治癒師

マンスーン
BL
現代日本から異世界へ転生した治癒師のレオには、誰にも言えない秘密がある。 それは「定期的に極上の筋肉に触れて生命力を摂取しないと、魔力欠乏で死んでしまう」という特異体質であること! ​命をつなぐため、そして何より己のフェティシズムを満たすため、レオがターゲットに選んだのは「氷の騎士団長」と恐れられる英雄ガドリエル。 ​「あぁっ、すごい……硬いですガドリエル様ッ!(大胸筋が)」 「……っ、治療中にそんな熱っぽい声を出すなッ」 ​生きるために必死で揉みしだくレオを、ガドリエルは「これほど俺の身を案じてくれるとは」と都合よく勘違い 触られたいムッツリ攻め×触りたい変態受け

処理中です...