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謎解き
しおりを挟むふらふらする身体を壁に寄りかかりながら歩く。連れ込まれた部屋から出て、先程の階段へと向かう。
散々犯された身体は、疲れたと悲鳴を上げている。犯されている時は痛かったが、丁寧に解され優しく抱かれた為か、今は鈍い痛みだけだ。だが、今でも、海斗のものが入っているような感覚があって嫌になる。
今思えば、無理矢理だったとはいえ、優しく甘やかされた行為は宝物の様に扱われているように思えた。
あれ?俺は何を考えてるんだ。彼奴は、誘拐犯で強姦魔だ。それ以上でも以下でもない。惑わされたらだめだ。
ふと気付く、何で彼奴らは俺を知ってるんだ。名前もバレていた。海斗に会った事なんてない。なのに、何故? 頭を振り、疑問を吹き飛ばす。一人悩んでも答えは出ない。それよりも、ここ出なければ。
やっとの思いで、階段まで戻ってきた。今度は慎重に、また鉢合わせてしまっても大丈夫の様に、逃げる準備をしながらゆっくりと階段を上がっていく。
無事に踊り場まで到着した。踊り場には狼の絵画以外に寝椅子が置いてあるだけだ。階段を上がった左手にまた階段がある。この階段を上がればもう一階層に上がれるのだろう。階段の先を見上げて唖然とした。階段を登り切った先に鉄格子がしてあって、次の階に行けない様になっていた。
嘘だ。俺はこの階層に閉じ込められているのか。このまま時間が来れば、海斗みたいなやつがどんどんこの階層にやってきてしまう。そうなれば、俺はおしまいだ。
諦められず、鉄格子のもとへ行く。格子を引っ張ったり押したりして見だがびくともしない。
他に階段がないか探すしかないと俯くと、鉄格子の下の方に、何か紙が縛ってあった。何かと思い格子から紙を外し広げてみた。
【格子の開け方。次の問いの答えを壁のパネルに入力せよ。問、世界の布、輝きはいくつ。間違えるとアラームが鳴り、狼が貴方を捕まえに来ます。】
壁のパネル? 右手の壁にパネルが括り付けてあった。パネルに近づくと、急に電源が入り、一から九までの文字が並んでいた。答えをここに入力すれば、鉄格子は開く様だ。間違える訳には行かない。適当に文字を入力することは出来ない。
世界の布、輝きはいくつ。世界の布ってなんだ? 確か何処かの製糸場が国のすごい偉いものに選ばれたとかニュースになっていた様な気がするが。輝きが分からない。それに数字とは何も関係ない様な気がする。
世界。布。輝き。それに数字。一つの思いつきが浮かんだ。急いで階段をおり、さっき犯された部屋まで戻った。部屋の書棚に近づき、あるものを探す。
目的の本を見つけ、有頂天になった。急いで取り出し、ページを捲り読み進めていく。
よし! これで、行ける!
本を書棚に戻して、階段へと戻った。パネルに近づき、ある数字を打ち込んだ。
頼む。開いて!
ガタンと機械音がして、鉄格子が開いていった。
やった! 嬉しさがこみ上げて笑ってしまう。これで、次の階に行ける。
俺の打ち込んだ数字は七十四だった。世界の布とは国旗の事で、輝きは星の意味だ。ここまで言えばわかるだろう。【世界の国旗で、星を記しているものはいくつ】というのが本当の問題だ。あとは、国旗全集を見て星のある国旗を数えて入力したのだ。
ゆっくりと次の階の廊下を覗いた。情景はさっきの階と変わらない。薄暗く窓のない廊下。てっきり地上の階に出れると思ったのに、変わらずの薄暗さに落胆した。まだ地下層らしい。
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