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グランデ・エトワールの視点『似合わない』

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 鏡の中、変わっていく自分の姿に唖然とする。衣装に、マスク、化粧まで施されてしまった。

 メイド達に全てをお願いしていた為、彼女らの好みの姿にされてしまった。それも仕方がない。何一つ、意見を言わなかった私達が悪いのだから。

「とても、お似合いです」

「それはどうも」

 担当してくれた彼女達はとても嬉しそうだ。そんな笑顔を見ていると祭りではしゃいでいたレイル様を思い出してしまう。

 お祭りでのレイ……彼は、とても楽しそうで輝いていた。食べ物屋や魔道具屋など、興味津々の様子は、まるで子どもの様だ。「お祭りなんて庶民のままごとだ」と貶していたレイル様と違ってとても親しみやすい。

 くじ引きの屋台で、当たったお菓子を小さな子どもにあげる場面もあって、和んでしまった。周りに蝶々が舞いそうな程のほのぼのしていた。転倒し、痛そうにしていた年配の女性に手を貸していたりと、彼はとても他人思いの優しさを持っているようだ。

 ぬいぐるみをプレゼントすると言った時は戸惑いながらも嬉しそうに笑っていた。彼の見た事のない姿も見れてとても良い一日だった。こうして見ると、彼は何か悪いことを考える人には思えない。それならば、彼は何故レイル様の体に入ったのだろう。その理由が考えつかない。いっその事、君は誰だと、何故ここに来たのか、直接聞いてしまおうかと思う自分がいる。だが、それをしてしまうと何故だろう。彼がいなくなってしまうんじゃないだろうかと不安になる自分もいるのだ。

「終わったか?」

 私の寝室で、共に強制着替えをされていたライトが近づいてきた。

「えぇ。一応は終わった様です」

「それ、似合わんな」

「別に構いません。貴方こそ、その格好は似合いませんね」

 両者ともに、自らの衣装を見てため息を吐いた。

「「「そんな事ありません!!」」」

 そんな私達を見て、彼女達の声が響く。レイ、いや彼はどんな衣装で仮装させられているのだろう。不安と期待が混じった複雑な感情に戸惑いつつも、彼ならばどんな格好でも、映えるだろうと思った。

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