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忙しない季節とキスの痕(此木視点)
※9
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「キレイだよ。遥君」
「そう、ですか……」
熱っぽい表情で見つめられ、気恥ずかしくて目をそらした。敬久さんはベッドに片膝を立てて座り、オレは座ったまま後ろに手をついて彼に見せつけるように足を開いている。手を伸ばせば触れ合える距離なのがもどかしい。
「寒くはないかな」
「平気です……あなたに見られていると思うと……何だか熱くて……」
「そっかあ……」
彼は時折はぁっと色っぽいため息を吐き、目を細めてオレを見つめた。「好きなだけ見てください」と言ったものの、触られないまま見られ続けるというのは顔から火が出そうな程に恥ずかしい。
「下、すごく濡れているね」
「……だって……これは、生理現象ですから」
「ふふっ……うん、そうだね」
シーツを汚さないようにバスタオルの上に座ってはいたけれど、自分のものからは先走りの密がはしたなく溢れている。
――本当はシーツだけじゃなくて、タオルも汚したくはない。下は触られていないのに……オレの体がもう……こんな風になっている……
薄暗い照明の下でも先端が濡れているのが分かる。
――敬久さんは服を着ているのに、オレだけ脱いでいるのも恥ずかしい……視姦って相手の恥ずかしがっている姿を見たいって言うから……そういった趣向のためなのだろうか……い、いや、敬久さんに限ってそんな……たまたまだろう
先程寒くないかと聞かれた時に「寒い」と答えていたら、彼はきっと慌ててオレに服を着せ、抱きしめてくれただろう。ありありと想像出来て頬が緩んでしまった。
「……遥君、今、すごく可愛い顔したよね。どうしたの?」
「可愛い顔は分かりませんが……敬久さんに抱きしめられる想像を……していました」
「そう……」
敬久さんはオレの足の甲に指をツーっと這わせた。
「ん……」
「君の想像の中の自分に嫉妬してしまうなあ」
「じゃあ、抱きしめたら良いじゃないですか……」
「そうだよね……でも、今は君をもっと見ていたいし……はぁ……後で、沢山抱きしめさせてよ……」
「もう……」
彼の指先が段々上に上がり、足首やふくらはぎを指でなぞるので体がピクッと震えた。
「くすぐったいです……」
「そう、ここ、くすぐったいんだ……」
ふくらはぎの辺りをさわさわと優しく撫でられ、もっと上も触られるのかなと体が期待してしまう。
――足を開いたままだから、期待しているのも敬久さんに丸分かりなんだろうな……うぅ……恥ずかしい……
敬久さんはオレの開いた足の間に入り込むように近づき、太腿の裏を手の平で撫でた。
「……あっ」
「ここ……良いのかな……?」
「は、はい……好きです……」
足の付根に近い部分を撫でられるのは気持ちが良い。じれったく触られ、舐めるように見つめられ、体はどんどん敏感になっていく。
「……敬久さん、自分でするので……前を触っても良いですか? も……体が切なくて……」
「遥君が自分で…………あー、いや、もう少しだけ、我慢できるかな……?」
「あ」
敬久さんは「ごめんね、もう少しだけ」と言い、顔を近づけて鼻先にチュッとキスをしてくれた。
「ぅ、あっ、そ、そんな風にされたら……!」
足にゆっくりと手を這わせて、太腿をぐにぐにと揉むように撫でられた。先程から探るように触っては見つめて来るので、オレが反応する部分を宝探しのように楽しんでいるのかもしれない。
――オレも敬久さんにこういうこと、やってみたい。でも……彼をじっくり撫で回して見つめている内に、興奮でわけが分からなくなりそうだ。敬久さんは我慢強いな。そういう所も……好きだ……
「んんっ……!」
腕に力が入らなくなって来た。このまま撫でられ続ければ、欲望が吹き出してしまいそうだ。
「はぁ……胸も下も勃っていて……すごく可愛いね……」
「ひ……あッ……」
敬久さんが胸の先端にふっと息を吹きかけた。むず痒い刺激に仰け反るとそのまま片足を持ち上げられて、膝や太腿に唇を落とされた。
「うぁ……」
「遥君、後ろに寝転んで欲しいな……」
「わ、分かりました」
オレが仰向けに寝転ぶと、敬久さんは持ち上げた足に舌を這わした。時折、ふくらはぎや太腿を甘噛みするので体が勝手にビクビクと反応した。オレは手の甲を口に押し当て、羞恥と快楽に耐えるように喘いだ。
「んゔっ……敬久さん、まだ……見るんですか……」
ゆるゆると撫でられ、体を見られるのはもどかしいけれど悪くはなかった。しかし、欲を言えばもっと触ってもらいたいし、オレも彼に触りたい。
――ダメだ……自分の欲望丸出しじゃないか……でも、もう……体が熱くて……ジリジリする……
敬久さんの体を足でスリスリと撫でた。
「オレも……あなたにエッチなこと……しても良いですか? もう我慢出来なくて……」
「ッ…………うん。ずっと我慢して……良い子だったね」
彼が切なそうな息を吐いて、オレの髪を優しく撫でた。敬久さんの手を引き寄せると、オレの上に覆い被さるような体勢になった。
体温を感じる程に近くなったのが嬉しくて、性急に敬久さんの服や下着を脱がせて唇を合わせた。彼の乱れた髪を撫で、じゃれ合いながら触れるだけのキスを何度も繰り返した。ただただ触れたくて堪らない。
「敬久さんのも……こんなに……」
腰を密着させて擦り寄り、首に腕を絡めた。
「はぁ……だって……君をあれだけ撫で回していたんだから……」
「あなたも……興奮してくれたんですね。嬉しい……」
敬久さんの首に抱きついて頬擦りすると、彼はふっと笑った。
「ふふ……君は可愛いね」
「あッ……ぅ……」
彼の手が下に伸び、オレのものを撫でた。ずっと触られたかったので体が期待と喜びでブルッと震えた。
「んん……あなたのと一緒にしたいです……オレのは……あまりもたないと、思いますが」
「うん、しよう……」
「あ……」
敬久さんがお互いの昂ぶったものを合わせて持ち、緩やかに扱いてきた。オレのものは先走りで濡れていたので水っぽい音が部屋に響く。
「あっ……んゔ……すごい……」
オレは快楽が背中から這い登って来るのを感じて、はしたない声を出した。
「ふふ……君の……触っただけで、イッちゃいそう……」
切なそうな声色の敬久さんがオレを追い立てるように手を動かして行く。
「……が、我慢していたからぁ……んンッ……!」
耐えられなくなって敬久さんにギュッとしがみつき、強引に唇を合わせた。
「はぁ……遥君、口開けて……」
「はい……あっ……んっ……ぁむ……」
口を開けると彼の舌が絡みついて来る。口内を探り合うように舐め、お互いの唾液を飲み込んだ。
「はぁ……はぁ……きもちい……んんっ……」
じれったく撫でられていたせいか、体も普段より敏感だ。彼の手の動きに合わせて腰がゆらゆらと揺れた。
「はぁ……ぁゔ……敬久さん……も、無理ぃ……」
「イッて良いよ……イク所、見たいな」
「んッ! ……ぁんっ……」
敬久さんの手の動きが強くなり、オレの腰が浮き上がってしまった。
「あっ……!んんっ……」
唇を離して彼の首に抱きついて震えた。敬久さんの息遣いが耳に当たり、耳を舐められたことを思い出してしまう。
「あっ! あッ……ダメ……イッちゃう……ぁ……ああッ――――――」
ビクンと体が跳ねて、敬久さんの手や自分の腹に欲望を吹き出した。
「――――ぁ……はぁ……はぁ……」
震えながら呼吸を整えていると、敬久さんがオレのものから手を離した。彼はまだ達していないのに上体を起こしたので、慌てて起き上がり彼の腕を掴んだ。
「た……敬久さん、イッてないですよね……オレの体……使ってくださいよ……」
敬久さんのことなので、オレの体を慰めるだけで満足して終わりにする可能性がある。オレだって彼の体を慰めたい。
「イッたばかりなんだから……休まないとダメだよ」
オレの手を優しく解くと、ティッシュの箱に手を伸ばした。
「だって……オレだけイクのは寂しいから……」
「遥君……」
敬久さんはティッシュで手を拭きながら困った顔をした。オレの体にかかった体液も拭き取ろうとして顔が近づいたので、キスをして彼の唇を舐めると、目に欲望が滲んだように見えた。
「敬久さん……使ってください。寂しいです……」
「…………『使って』なんて……遥君はさぁ……そういう言い方……本当、どこで覚えて来るの……」
敬久さんは熱い息を吐いて、髪を掻き上げた。切なそうな表情がとても色っぽい。
「……はぁ……君が……寂しくないようにしないとね……」
彼がオレの体をティッシュで拭くと、サイドボードから潤滑剤を取り出して来た。オレは気だるい体を自分で撫で、期待に胸を踊らせた。
――さっきイッたばかりなのに……体が反応してしまいそうだ……あぁ、ダメだ……煩悩だ……
「……君の体、使わせてもらうよ」
そう言うとオレの足をグイっと持ち上げるので、後ろに手をついた。
「そのまま仰向けで……こっちの足、開いて……」
「ん……分かりました」
オレは彼に言われるがまま、またバスタオルの上に仰向けになって自由な方の足を開いた。敬久さんは持ち上げた足に唇を這わせると、太腿に潤滑剤を塗りつけた。彼はいつも潤滑剤を手で温めてから使うのに、少し強引な感じがしてドキドキする。
「ぅあっ……」
彼は膝立ちになると、オレの太腿で自分の昂ぶったものを擦りつけるように腰を動かした。オレは達したばかりなので、体がくすぐったくて堪らなかったけれど何とか耐えた。
「ん……ぁあっ……あ……」
「はぁ……気持ち良いな……」
「……ぁ……こんな……いやらしいの……」
「嫌……?」
「……い、嫌では……ないですっ」
少し声が大きくなってしまった。敬久さんは目を細め、自分のものに手を添えた。
「……あ、あの、太腿で……挟んで擦りましょうか……?」
「…………魅力的な提案だけれど……もう……そんなにもたないから……今度お願いしたいな……」
「ぅ……はい……」
潤滑剤でじっとりと濡れた太腿に昂ぶったものを擦り付けられ、されるがままになった。心はウズウズするのに、体は気だるく敏感になっていて、彼に奉仕出来ないことを歯がゆく感じた。
――でもこれは、すごく……エッチなことだ……挿れてないのに……こんなことを……敬久さんとしている……
潤滑剤と敬久さんのものが擦れる音や、自分の体を使われていることが、とてもいやらしい。
「んっ……んんっ……くすぐったい……」
「……可愛いなあ……はぁ……」
敬久さんが荒い息を吐き出してオレを愛しそうに見つめた。見つめられると胸が苦しい。
「はぁ……はぁ……あなたの……すごい……ビクビクして……」
「君の体で……こんなことをしているからね……」
彼も限界が近いようだ、切羽詰まったように言うと腰の動きが激しくなった。オレも彼の腰の動きに合わせて足を動かした。
「…………ッ…………くっ……」
オレの足を掴む手の力が強くなり、敬久さんはビクっと震えるとオレの太腿に欲望を吐き出した。
「そう、ですか……」
熱っぽい表情で見つめられ、気恥ずかしくて目をそらした。敬久さんはベッドに片膝を立てて座り、オレは座ったまま後ろに手をついて彼に見せつけるように足を開いている。手を伸ばせば触れ合える距離なのがもどかしい。
「寒くはないかな」
「平気です……あなたに見られていると思うと……何だか熱くて……」
「そっかあ……」
彼は時折はぁっと色っぽいため息を吐き、目を細めてオレを見つめた。「好きなだけ見てください」と言ったものの、触られないまま見られ続けるというのは顔から火が出そうな程に恥ずかしい。
「下、すごく濡れているね」
「……だって……これは、生理現象ですから」
「ふふっ……うん、そうだね」
シーツを汚さないようにバスタオルの上に座ってはいたけれど、自分のものからは先走りの密がはしたなく溢れている。
――本当はシーツだけじゃなくて、タオルも汚したくはない。下は触られていないのに……オレの体がもう……こんな風になっている……
薄暗い照明の下でも先端が濡れているのが分かる。
――敬久さんは服を着ているのに、オレだけ脱いでいるのも恥ずかしい……視姦って相手の恥ずかしがっている姿を見たいって言うから……そういった趣向のためなのだろうか……い、いや、敬久さんに限ってそんな……たまたまだろう
先程寒くないかと聞かれた時に「寒い」と答えていたら、彼はきっと慌ててオレに服を着せ、抱きしめてくれただろう。ありありと想像出来て頬が緩んでしまった。
「……遥君、今、すごく可愛い顔したよね。どうしたの?」
「可愛い顔は分かりませんが……敬久さんに抱きしめられる想像を……していました」
「そう……」
敬久さんはオレの足の甲に指をツーっと這わせた。
「ん……」
「君の想像の中の自分に嫉妬してしまうなあ」
「じゃあ、抱きしめたら良いじゃないですか……」
「そうだよね……でも、今は君をもっと見ていたいし……はぁ……後で、沢山抱きしめさせてよ……」
「もう……」
彼の指先が段々上に上がり、足首やふくらはぎを指でなぞるので体がピクッと震えた。
「くすぐったいです……」
「そう、ここ、くすぐったいんだ……」
ふくらはぎの辺りをさわさわと優しく撫でられ、もっと上も触られるのかなと体が期待してしまう。
――足を開いたままだから、期待しているのも敬久さんに丸分かりなんだろうな……うぅ……恥ずかしい……
敬久さんはオレの開いた足の間に入り込むように近づき、太腿の裏を手の平で撫でた。
「……あっ」
「ここ……良いのかな……?」
「は、はい……好きです……」
足の付根に近い部分を撫でられるのは気持ちが良い。じれったく触られ、舐めるように見つめられ、体はどんどん敏感になっていく。
「……敬久さん、自分でするので……前を触っても良いですか? も……体が切なくて……」
「遥君が自分で…………あー、いや、もう少しだけ、我慢できるかな……?」
「あ」
敬久さんは「ごめんね、もう少しだけ」と言い、顔を近づけて鼻先にチュッとキスをしてくれた。
「ぅ、あっ、そ、そんな風にされたら……!」
足にゆっくりと手を這わせて、太腿をぐにぐにと揉むように撫でられた。先程から探るように触っては見つめて来るので、オレが反応する部分を宝探しのように楽しんでいるのかもしれない。
――オレも敬久さんにこういうこと、やってみたい。でも……彼をじっくり撫で回して見つめている内に、興奮でわけが分からなくなりそうだ。敬久さんは我慢強いな。そういう所も……好きだ……
「んんっ……!」
腕に力が入らなくなって来た。このまま撫でられ続ければ、欲望が吹き出してしまいそうだ。
「はぁ……胸も下も勃っていて……すごく可愛いね……」
「ひ……あッ……」
敬久さんが胸の先端にふっと息を吹きかけた。むず痒い刺激に仰け反るとそのまま片足を持ち上げられて、膝や太腿に唇を落とされた。
「うぁ……」
「遥君、後ろに寝転んで欲しいな……」
「わ、分かりました」
オレが仰向けに寝転ぶと、敬久さんは持ち上げた足に舌を這わした。時折、ふくらはぎや太腿を甘噛みするので体が勝手にビクビクと反応した。オレは手の甲を口に押し当て、羞恥と快楽に耐えるように喘いだ。
「んゔっ……敬久さん、まだ……見るんですか……」
ゆるゆると撫でられ、体を見られるのはもどかしいけれど悪くはなかった。しかし、欲を言えばもっと触ってもらいたいし、オレも彼に触りたい。
――ダメだ……自分の欲望丸出しじゃないか……でも、もう……体が熱くて……ジリジリする……
敬久さんの体を足でスリスリと撫でた。
「オレも……あなたにエッチなこと……しても良いですか? もう我慢出来なくて……」
「ッ…………うん。ずっと我慢して……良い子だったね」
彼が切なそうな息を吐いて、オレの髪を優しく撫でた。敬久さんの手を引き寄せると、オレの上に覆い被さるような体勢になった。
体温を感じる程に近くなったのが嬉しくて、性急に敬久さんの服や下着を脱がせて唇を合わせた。彼の乱れた髪を撫で、じゃれ合いながら触れるだけのキスを何度も繰り返した。ただただ触れたくて堪らない。
「敬久さんのも……こんなに……」
腰を密着させて擦り寄り、首に腕を絡めた。
「はぁ……だって……君をあれだけ撫で回していたんだから……」
「あなたも……興奮してくれたんですね。嬉しい……」
敬久さんの首に抱きついて頬擦りすると、彼はふっと笑った。
「ふふ……君は可愛いね」
「あッ……ぅ……」
彼の手が下に伸び、オレのものを撫でた。ずっと触られたかったので体が期待と喜びでブルッと震えた。
「んん……あなたのと一緒にしたいです……オレのは……あまりもたないと、思いますが」
「うん、しよう……」
「あ……」
敬久さんがお互いの昂ぶったものを合わせて持ち、緩やかに扱いてきた。オレのものは先走りで濡れていたので水っぽい音が部屋に響く。
「あっ……んゔ……すごい……」
オレは快楽が背中から這い登って来るのを感じて、はしたない声を出した。
「ふふ……君の……触っただけで、イッちゃいそう……」
切なそうな声色の敬久さんがオレを追い立てるように手を動かして行く。
「……が、我慢していたからぁ……んンッ……!」
耐えられなくなって敬久さんにギュッとしがみつき、強引に唇を合わせた。
「はぁ……遥君、口開けて……」
「はい……あっ……んっ……ぁむ……」
口を開けると彼の舌が絡みついて来る。口内を探り合うように舐め、お互いの唾液を飲み込んだ。
「はぁ……はぁ……きもちい……んんっ……」
じれったく撫でられていたせいか、体も普段より敏感だ。彼の手の動きに合わせて腰がゆらゆらと揺れた。
「はぁ……ぁゔ……敬久さん……も、無理ぃ……」
「イッて良いよ……イク所、見たいな」
「んッ! ……ぁんっ……」
敬久さんの手の動きが強くなり、オレの腰が浮き上がってしまった。
「あっ……!んんっ……」
唇を離して彼の首に抱きついて震えた。敬久さんの息遣いが耳に当たり、耳を舐められたことを思い出してしまう。
「あっ! あッ……ダメ……イッちゃう……ぁ……ああッ――――――」
ビクンと体が跳ねて、敬久さんの手や自分の腹に欲望を吹き出した。
「――――ぁ……はぁ……はぁ……」
震えながら呼吸を整えていると、敬久さんがオレのものから手を離した。彼はまだ達していないのに上体を起こしたので、慌てて起き上がり彼の腕を掴んだ。
「た……敬久さん、イッてないですよね……オレの体……使ってくださいよ……」
敬久さんのことなので、オレの体を慰めるだけで満足して終わりにする可能性がある。オレだって彼の体を慰めたい。
「イッたばかりなんだから……休まないとダメだよ」
オレの手を優しく解くと、ティッシュの箱に手を伸ばした。
「だって……オレだけイクのは寂しいから……」
「遥君……」
敬久さんはティッシュで手を拭きながら困った顔をした。オレの体にかかった体液も拭き取ろうとして顔が近づいたので、キスをして彼の唇を舐めると、目に欲望が滲んだように見えた。
「敬久さん……使ってください。寂しいです……」
「…………『使って』なんて……遥君はさぁ……そういう言い方……本当、どこで覚えて来るの……」
敬久さんは熱い息を吐いて、髪を掻き上げた。切なそうな表情がとても色っぽい。
「……はぁ……君が……寂しくないようにしないとね……」
彼がオレの体をティッシュで拭くと、サイドボードから潤滑剤を取り出して来た。オレは気だるい体を自分で撫で、期待に胸を踊らせた。
――さっきイッたばかりなのに……体が反応してしまいそうだ……あぁ、ダメだ……煩悩だ……
「……君の体、使わせてもらうよ」
そう言うとオレの足をグイっと持ち上げるので、後ろに手をついた。
「そのまま仰向けで……こっちの足、開いて……」
「ん……分かりました」
オレは彼に言われるがまま、またバスタオルの上に仰向けになって自由な方の足を開いた。敬久さんは持ち上げた足に唇を這わせると、太腿に潤滑剤を塗りつけた。彼はいつも潤滑剤を手で温めてから使うのに、少し強引な感じがしてドキドキする。
「ぅあっ……」
彼は膝立ちになると、オレの太腿で自分の昂ぶったものを擦りつけるように腰を動かした。オレは達したばかりなので、体がくすぐったくて堪らなかったけれど何とか耐えた。
「ん……ぁあっ……あ……」
「はぁ……気持ち良いな……」
「……ぁ……こんな……いやらしいの……」
「嫌……?」
「……い、嫌では……ないですっ」
少し声が大きくなってしまった。敬久さんは目を細め、自分のものに手を添えた。
「……あ、あの、太腿で……挟んで擦りましょうか……?」
「…………魅力的な提案だけれど……もう……そんなにもたないから……今度お願いしたいな……」
「ぅ……はい……」
潤滑剤でじっとりと濡れた太腿に昂ぶったものを擦り付けられ、されるがままになった。心はウズウズするのに、体は気だるく敏感になっていて、彼に奉仕出来ないことを歯がゆく感じた。
――でもこれは、すごく……エッチなことだ……挿れてないのに……こんなことを……敬久さんとしている……
潤滑剤と敬久さんのものが擦れる音や、自分の体を使われていることが、とてもいやらしい。
「んっ……んんっ……くすぐったい……」
「……可愛いなあ……はぁ……」
敬久さんが荒い息を吐き出してオレを愛しそうに見つめた。見つめられると胸が苦しい。
「はぁ……はぁ……あなたの……すごい……ビクビクして……」
「君の体で……こんなことをしているからね……」
彼も限界が近いようだ、切羽詰まったように言うと腰の動きが激しくなった。オレも彼の腰の動きに合わせて足を動かした。
「…………ッ…………くっ……」
オレの足を掴む手の力が強くなり、敬久さんはビクっと震えるとオレの太腿に欲望を吐き出した。
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